カナとの一時的な別れからしばらくしたある日。
キリトからメッセージが届いた。
カルム「ん?」
ミト「どうしたの?」
カルム「キリトからメッセージが届いた。」
ミト「なんて?」
俺が、キリトから届いたメッセージを読んだ。
要約すると、22層の主を釣り上げる大会をするから、来ないかという物だった。
それを聞いたミトは。
ミト「ねぇ、折角だし、その釣り大会に参加しようよ!」
カルム「そうだな。偶には、そういうのも悪くはないか。」
こうして、俺たちも参加する事になったのだった。
その当日、ギャラリーが多く居る事が判明した。
正直、バレるのは面倒くさい。
その為、ミトは紫色の長い髪をアップに纏めて、大きなスカーフを目深に巻いて、顔を隠す。
更に、オーバーコートを着用する。
俺は、武装してなければ大丈夫だと思ったので、武装していない。
まあ、ストレージ内には入れておくが。
キリト達と合流して、その場所へと向かう。
すると、1人のおじさんがやって来る。
???「わ、は、は、晴れて良かったですなぁ!」
アスナ「こんにちは、ニシダさん。」
カルム「初めまして。俺はカルム。で、こっちが………。」
ミト「ミトです。」
ニシダ「これは、ご丁寧に。私は、ニシダという者です。」
俺とミトがニシダさんに挨拶した後、長大な竿を片手に前に出る。
ニシダ「え〜、それでは、いよいよ、本日のメイン・イベントを決行します!」
ていうか、餌のトカゲ、デカすぎだろ。
ニシダさんは、そのトカゲを湖に放り込む。
しばらくすると、ニシダさんからキリトに変わる。
何が釣れるのか、水中を見ていると、かなり巨大な影が見えた。
俺たちは、二、三歩後退する。
キリト「どうしたん…………。」
キリトのその言葉を最後まで聞かず、俺たちは即座に湖から離れる。
キリトは、湖の方を見ていた。
すると、巨大な魚が現れた。
それも、足が生えている、若干気色悪いのが。
すると、キリトは脱兎の如く逃げ出して、こちらに向かって来た。
キリト「ず、ずずずずずるいぞ!自分達だけ逃げるなよ!」
アスナ「そんな事言ってる場合じゃないよキリト君!」
カルム「んな事言ってる場合か!来てるぞ!」
そう、あの巨大な魚は、こちらに向かって来ていたのだ。
キリト「おお、陸を走ってる。」
カルム「肺魚の類か?」
ニシダ「キリトさん!カルムさん!呑気な事言っとる場合じゃないですよ!早く逃げんと!」
確かに、俺たちは大丈夫だけど、他の人たちはまずいかもな。
すると。
ミト「カルム。ここは私に任せて。」
カルム「ミト?」
ミト「貴方は、カナちゃん達の一件で暴れたでしょ?少しは私にもやらせてよ。」
カルム「ああ。頼む。」
ミト「ええ。アスナ、行くわよ。」
アスナ「分かったわ。」
そう言って、2人はウインドウを操作して、オーバーとスカーフを同時に剥ぎ取った。
その手には、鎌とレイピアが。
すると、ニシダさんが叫ぶ。
ニシダ「キリトさん!カルムさん!奥さん達が、奥さん達が危ない!!」
キリト「いや、任せておけば大丈夫です。」
カルム「大丈夫だ。」
そう言った直後、ミトとアスナは、有言実行した。
2人の攻撃で、あの魚は倒されたのだ。
俺とキリトは、ミトとアスナの方へと向かう。
キリト「よ、お疲れ。」
カルム「お疲れさん。」
アスナ「私にだけやらせるなんてずるいよー。今度、何か奢ってもらうからね。」
キリト「もう財布も共通データじゃないか。」
アスナ「う、そうか………。」
ミト「あ〜!久しぶりに暴れた、暴れた!」
キリトとアスナは、そんな風に話し、ミトは満足気だった。
その後、見事にバレてしまったのだった。
すると、ヒースクリフから、七十五層の攻略戦への参加を要請するメッセージが届いた。
翌朝、俺達は準備をしていた。
ミト「まさか、新婚生活が2週間で終わるなんてね。」
カルム「もうちょい一緒に居たかった。」
経緯が経緯故に、今回の要請は断る事が出来たはずだ。
しかし、ヒースクリフの「既に被害が出ている。」という一文が重くのしかかった。
俺は、ここ最近着けていなかった防具に、ブレイラウザーにラウズアブソーバーを腕に装備した。
今回の75層のボスは、クォーターポイントである。
つまり、グリームアイズの時よりも更に厳しい戦闘になる事が容易に想像がつく。
ミト「まあ、話を聞くだけ聞いてもいいんじゃない?」
カルム「そうだな。」
俺達は、先に来ていたキリトとアスナと合流して、グランザムへと。
その際に、ニシダさんが見送ってくれた。
血盟騎士団の本部に着いた俺達が聞かされたのは、衝撃的な知らせだった。
カルム「偵察隊が、全滅……!?」
ヒースクリフ「昨日の事だ。75層の迷宮区のマッピング自体は、時間は掛かりつつも何とか犠牲者を出さずに終了した。だがボス戦はかなりの苦戦が予想された……。」
そう、25層のボスには、軍の精鋭がほぼ全滅。
50層のボスには、猛攻に怯んだ結果、勝手に緊急脱出をする者が続出して戦線が一度崩壊して、全滅の憂き目に遭いそうだった。
ヒースクリフ「……そこで、我々は五ギルド合同のパーティー20人を偵察隊として送り込んだ。偵察は慎重に行われ、10人が後衛としてボス部屋前で待機した。しかし、最初の10人が部屋の中央に到達して、ボスが出現した瞬間、入り口の扉が閉まってしまった。扉は5分以上開かずに、鍵開けスキルや直接の打撃攻撃も無駄だったらしい。ようやく開いたと思ったら、部屋の中には、何も無かったそうだ。10人の姿も、ボスも。その後、黒鉄宮まで確認しに行かせたのだが……。」
そう言って、首を左右に振った。
アスナとミトが絞り出す様に呟いた。
アスナ「十………人も……。」
ミト「何でそんな事に……。」
キリト「まさかと思うが……。」
カルム「結晶無効化空間……?」
ヒースクリフ「そうとしか考えられないだろうな。74層も同様だった事から、恐らく、今後全てのボス部屋が結晶無効化空間と思っていいだろう。」
カルム「嘘だろ……。」
つまり、緊急脱出不可。
死ぬ確率が飛躍的に上昇した。
本格的なデスゲームになってきた。
ヒースクリフ「だが、攻略を諦める訳には行かない。結晶による脱出が不可な上に、今回は出現と同時に退路が断たれてしまう。新婚の2組を召喚するのは不本意だが、了承してくれ。」
キリト「分かりました。だが、俺にとってはアスナの安全が最優先です。もし危険な状態になったら、アスナを守ります。」
カルム「それは、自分も同じです。いざという時は、ミトを守ります。」
ヒースクリフ「何かを守ろうとする人間は強いものだ。君たちの勇戦を期待するよ。攻略開始は3時間後。予定人数は君達を入れて34人。75層コリニア市ゲートに午後1時集合だ。では解散。」
ヒースクリフと幹部陣は、退出した。
その後、俺とミト、キリトとアスナの2組に別れた。
ミト「3時間も空くね。どうする?」
カルム「そうだな。」
ミト「……何を考えているの?」
カルム「バレた?」
ミト「そんな顔の時の君は、何かを考えている証だからね。」
カルム「………正直、君を行かせたくない。もしも何かあったら……。」
ミト「私だけ安全な所で待ってろって?それで帰って来なかったら、私、自殺するよ。」
カルム「……すまん。これからボス攻略の時にそんな事を考えちゃダメだよな。」
ミト「でも、皆怖いんだと思うよ。でも、キリトにカルムに、団長。その3人が居るから皆が来てくれた。だからさ、期待に応えよう。」
カルム「………そうだな!悪い。弱気になっちまった。終わったら、一緒に帰ろうぜ。」
ミト「うん……。」
俺達は、お互いを抱きしめていた。
その後、キリトとアスナと合流して、75層の主街区へ。
そこには、既に大量のプレイヤーが。
俺たちを見た途端、一斉に黙り、敬礼をしてくる奴もいた。
クライン「よう!」
右肩を叩かれたので、振り返ると、クラインにエギル、ノーチラス、ユナ、レイヒムが居た。
カルム「ノーチラス、久しぶりだな!」
ノーチラス「僕も、参加させて貰うよ。」
ユナ「私は、ノー君が守ってくれるから。」
レイヒム「よろしく頼むな、カルム。」
俺達が話していると、午後1時ジャストに、ヒースクリフ達が現れた。
ヒースクリフ「欠員は無いようだな。よく集まってくれた。状況は既に知っていると思う。厳しい戦いになるだろうが、諸君の力なら切り抜けられると信じている。……解放の日の為に!」
本当に、ヒースクリフはカリスマがある。
一体、現実世界では何をやっていたのか?
そして、ヒースクリフは俺とキリトの元に近づいてくる。
ヒースクリフ「キリト君、カルム君。今日は頼りにしているよ。」
ヒースクリフは回廊結晶を取り出して、俺達は、ゲートを通って、迷宮区へ。
ミトとは手を繋いでいる。
そうして、ボス部屋の前に着く。
ヒースクリフ「皆、準備はいいかな。今回、ボスの攻撃パターンに関して情報が無い。基本的にはKoBが前衛で攻撃を食い止めるので、その間に攻撃して欲しい。では、行こうか。」
カルム「死ぬなよ。」
レイヒム「お前もな。」
ノーチラス「行こう、ユナ。」
ユナ「うん。」
ボス部屋が開き始めて、プレイヤーは一斉に抜刀し、俺もエボリューションキングを発動して、右手にキングラウザーを、左手にブレイラウザーを持つ。
驚いたのは、レイヒムも、俺と似たような武器、ギャレンラウザーというボウガンを持っていた事だ。
ヒースクリフ「戦闘、開始!」
俺達は、ボス部屋へと突入して、扉が閉じる。
だが、ボスは出現しない。
冒険者「おい……。」
アスナ「上よ!!」
ミト「上空!」
そこに居たのは、骸骨の百足だった。
名前が表示されて、The Skullreaper、直訳して、骸骨の刈り手。
そいつは、不意に落下してきた。
ヒースクリフ「固まるな!距離を取れ!!」
ヒースクリフの叫び声で我に返り、全員が動き出す。
しかし、骨百足の落下予測地点の真下に居たプレイヤー3人の動きが、僅かに遅れた。
キリト「こっちだ!!」
カルム「早く!!」
だが、間に合わなかったのか、落下の衝撃でたたらを踏み、背後から攻撃されて、吹っ飛ばされて、全員、死んだ。
ミト「っ!!」
ユナ「え?」
カルム「一撃で、だと!?」
ノーチラス「そんなバカな!?」
アスナ「無茶苦茶だわ……。」
レイヒム「嘘だろ……!?」
俺達が唖然としていると、骨百足は、別の一団に襲いかかる。
しかし、ヒースクリフが迎撃する。
もう片方の鎌は、キリトとアスナが迎撃していく。
キリト「皆!側面から頼む!!」
カルム「ああ!!」
ノーチラス「行くぞ!」
ユナ「皆、お願い!!」
ミト「………っ!!」
そうして、俺達と骨百足との戦闘は、約2時間にも及んだ。
その際に、俺はミトと連携をしていた。
しかし、俺はミトが生き残ったのは嬉しかったが、周囲の人は、たくさん死んだ。
ノーチラス「何人……やられた?」
ノーチラスの問いに、俺は確認して、答えた。
カルム「………14人も死んだ。」
レイヒム「漸く、4分の3で、このザマか。」
まだ、25層もあるのだ。
このペースでは、ラスボスと戦えるのはたった1人になりかねない。
恐らく、ヒースクリフだ。
ヒースクリフは、普通に立っていた。
だが、その視線に違和感を感じた。
そう、あの時の決闘の時のような。
キリトも同じ様に感じたようで、俺が気づいた時には、俺と同時に駆け出して、レイジスパイクを繰り出していた。
その時、攻撃を受けたヒースクリフの胸に、システムメッセージが。
【Immortal Object】、それは、先日のユイやカナも見せた属性だ。
アスナ「キリト君、カルム君、何を……!?」
ミト「システム的不死……?どういうことですか、団長……?」
キリト「……この世界に来てからずっと疑問に思ってたんだ。アイツは今、どこから俺たちを観察し、世界を調整してるんだろう、ってな。でも俺は単純な真理を忘れていたよ。どんな子供でも知ってることさ。」
カルム「《他人のやってるRPGを傍から眺めるほどつまらないことはない。》……そうなんだろう、茅場晶彦。」
俺達は、そうカミングアウトした。
今回はここまでです。
次回で、アインクラッド編は終わります。
アンケートは、しばらく続けます。
現状、仮面ライダーの武器が一番多いですが、何を持たせましょうか。
そして、ヒースクリフはどんな感じに倒しましょうか。
感想、リクエスト、絶賛受け付けています。
溟き夕闇のスケルツォも、10月の22日に決まって、楽しみです。
ユージーンと戦うのは、どっちか
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カルム
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キリト