ソードアート・オンライン Re:紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、ヒースクリフの正体がバレるまでです。


第26話 奈落の淵

 カナとの一時的な別れからしばらくしたある日。

 キリトからメッセージが届いた。

 

カルム「ん?」

ミト「どうしたの?」

カルム「キリトからメッセージが届いた。」

ミト「なんて?」

 

 俺が、キリトから届いたメッセージを読んだ。

 要約すると、22層の主を釣り上げる大会をするから、来ないかという物だった。

 それを聞いたミトは。

 

ミト「ねぇ、折角だし、その釣り大会に参加しようよ!」

カルム「そうだな。偶には、そういうのも悪くはないか。」

 

 こうして、俺たちも参加する事になったのだった。

 その当日、ギャラリーが多く居る事が判明した。

 正直、バレるのは面倒くさい。

 その為、ミトは紫色の長い髪をアップに纏めて、大きなスカーフを目深に巻いて、顔を隠す。

 更に、オーバーコートを着用する。

 俺は、武装してなければ大丈夫だと思ったので、武装していない。

 まあ、ストレージ内には入れておくが。

 キリト達と合流して、その場所へと向かう。

 すると、1人のおじさんがやって来る。

 

???「わ、は、は、晴れて良かったですなぁ!」

アスナ「こんにちは、ニシダさん。」

カルム「初めまして。俺はカルム。で、こっちが………。」

ミト「ミトです。」

ニシダ「これは、ご丁寧に。私は、ニシダという者です。」

 

 俺とミトがニシダさんに挨拶した後、長大な竿を片手に前に出る。

 

ニシダ「え〜、それでは、いよいよ、本日のメイン・イベントを決行します!」

 

 ていうか、餌のトカゲ、デカすぎだろ。

 ニシダさんは、そのトカゲを湖に放り込む。

 しばらくすると、ニシダさんからキリトに変わる。

 何が釣れるのか、水中を見ていると、かなり巨大な影が見えた。

 俺たちは、二、三歩後退する。

 

キリト「どうしたん…………。」

 

 キリトのその言葉を最後まで聞かず、俺たちは即座に湖から離れる。

 キリトは、湖の方を見ていた。

 すると、巨大な魚が現れた。

 それも、足が生えている、若干気色悪いのが。

 すると、キリトは脱兎の如く逃げ出して、こちらに向かって来た。

 

キリト「ず、ずずずずずるいぞ!自分達だけ逃げるなよ!」

アスナ「そんな事言ってる場合じゃないよキリト君!」

カルム「んな事言ってる場合か!来てるぞ!」

 

 そう、あの巨大な魚は、こちらに向かって来ていたのだ。

 

キリト「おお、陸を走ってる。」

カルム「肺魚の類か?」

ニシダ「キリトさん!カルムさん!呑気な事言っとる場合じゃないですよ!早く逃げんと!」

 

 確かに、俺たちは大丈夫だけど、他の人たちはまずいかもな。

 すると。

 

ミト「カルム。ここは私に任せて。」

カルム「ミト?」

ミト「貴方は、カナちゃん達の一件で暴れたでしょ?少しは私にもやらせてよ。」

カルム「ああ。頼む。」

ミト「ええ。アスナ、行くわよ。」

アスナ「分かったわ。」

 

 そう言って、2人はウインドウを操作して、オーバーとスカーフを同時に剥ぎ取った。

 その手には、鎌とレイピアが。

 すると、ニシダさんが叫ぶ。

 

ニシダ「キリトさん!カルムさん!奥さん達が、奥さん達が危ない!!」

キリト「いや、任せておけば大丈夫です。」

カルム「大丈夫だ。」

 

 そう言った直後、ミトとアスナは、有言実行した。

 2人の攻撃で、あの魚は倒されたのだ。

 俺とキリトは、ミトとアスナの方へと向かう。

 

キリト「よ、お疲れ。」

カルム「お疲れさん。」

アスナ「私にだけやらせるなんてずるいよー。今度、何か奢ってもらうからね。」

キリト「もう財布も共通データじゃないか。」

アスナ「う、そうか………。」

ミト「あ〜!久しぶりに暴れた、暴れた!」

 

 キリトとアスナは、そんな風に話し、ミトは満足気だった。

 その後、見事にバレてしまったのだった。

 すると、ヒースクリフから、七十五層の攻略戦への参加を要請するメッセージが届いた。

 翌朝、俺達は準備をしていた。

 

ミト「まさか、新婚生活が2週間で終わるなんてね。」

カルム「もうちょい一緒に居たかった。」

 

 経緯が経緯故に、今回の要請は断る事が出来たはずだ。

 しかし、ヒースクリフの「既に被害が出ている。」という一文が重くのしかかった。

 俺は、ここ最近着けていなかった防具に、ブレイラウザーにラウズアブソーバーを腕に装備した。

 今回の75層のボスは、クォーターポイントである。

 つまり、グリームアイズの時よりも更に厳しい戦闘になる事が容易に想像がつく。

 

ミト「まあ、話を聞くだけ聞いてもいいんじゃない?」

カルム「そうだな。」

 

 俺達は、先に来ていたキリトとアスナと合流して、グランザムへと。

 その際に、ニシダさんが見送ってくれた。

 血盟騎士団の本部に着いた俺達が聞かされたのは、衝撃的な知らせだった。

 

カルム「偵察隊が、全滅……!?」

ヒースクリフ「昨日の事だ。75層の迷宮区のマッピング自体は、時間は掛かりつつも何とか犠牲者を出さずに終了した。だがボス戦はかなりの苦戦が予想された……。」

 

 そう、25層のボスには、軍の精鋭がほぼ全滅。

 50層のボスには、猛攻に怯んだ結果、勝手に緊急脱出をする者が続出して戦線が一度崩壊して、全滅の憂き目に遭いそうだった。

 

ヒースクリフ「……そこで、我々は五ギルド合同のパーティー20人を偵察隊として送り込んだ。偵察は慎重に行われ、10人が後衛としてボス部屋前で待機した。しかし、最初の10人が部屋の中央に到達して、ボスが出現した瞬間、入り口の扉が閉まってしまった。扉は5分以上開かずに、鍵開けスキルや直接の打撃攻撃も無駄だったらしい。ようやく開いたと思ったら、部屋の中には、何も無かったそうだ。10人の姿も、ボスも。その後、黒鉄宮まで確認しに行かせたのだが……。」

 

 そう言って、首を左右に振った。

 アスナとミトが絞り出す様に呟いた。

 

アスナ「十………人も……。」

ミト「何でそんな事に……。」

キリト「まさかと思うが……。」

カルム「結晶無効化空間……?」

ヒースクリフ「そうとしか考えられないだろうな。74層も同様だった事から、恐らく、今後全てのボス部屋が結晶無効化空間と思っていいだろう。」

カルム「嘘だろ……。」

 

 つまり、緊急脱出不可。

 死ぬ確率が飛躍的に上昇した。

 本格的なデスゲームになってきた。

 

ヒースクリフ「だが、攻略を諦める訳には行かない。結晶による脱出が不可な上に、今回は出現と同時に退路が断たれてしまう。新婚の2組を召喚するのは不本意だが、了承してくれ。」

キリト「分かりました。だが、俺にとってはアスナの安全が最優先です。もし危険な状態になったら、アスナを守ります。」

カルム「それは、自分も同じです。いざという時は、ミトを守ります。」

ヒースクリフ「何かを守ろうとする人間は強いものだ。君たちの勇戦を期待するよ。攻略開始は3時間後。予定人数は君達を入れて34人。75層コリニア市ゲートに午後1時集合だ。では解散。」

 

 ヒースクリフと幹部陣は、退出した。

 その後、俺とミト、キリトとアスナの2組に別れた。

 

ミト「3時間も空くね。どうする?」

カルム「そうだな。」

ミト「……何を考えているの?」

カルム「バレた?」

ミト「そんな顔の時の君は、何かを考えている証だからね。」

カルム「………正直、君を行かせたくない。もしも何かあったら……。」

ミト「私だけ安全な所で待ってろって?それで帰って来なかったら、私、自殺するよ。」

カルム「……すまん。これからボス攻略の時にそんな事を考えちゃダメだよな。」

ミト「でも、皆怖いんだと思うよ。でも、キリトにカルムに、団長。その3人が居るから皆が来てくれた。だからさ、期待に応えよう。」

カルム「………そうだな!悪い。弱気になっちまった。終わったら、一緒に帰ろうぜ。」

ミト「うん……。」

 

 俺達は、お互いを抱きしめていた。

 その後、キリトとアスナと合流して、75層の主街区へ。

 そこには、既に大量のプレイヤーが。

 俺たちを見た途端、一斉に黙り、敬礼をしてくる奴もいた。

 

クライン「よう!」

 

 右肩を叩かれたので、振り返ると、クラインにエギル、ノーチラス、ユナ、レイヒムが居た。

 

カルム「ノーチラス、久しぶりだな!」

ノーチラス「僕も、参加させて貰うよ。」

ユナ「私は、ノー君が守ってくれるから。」

レイヒム「よろしく頼むな、カルム。」

 

 俺達が話していると、午後1時ジャストに、ヒースクリフ達が現れた。

 

ヒースクリフ「欠員は無いようだな。よく集まってくれた。状況は既に知っていると思う。厳しい戦いになるだろうが、諸君の力なら切り抜けられると信じている。……解放の日の為に!」

 

 本当に、ヒースクリフはカリスマがある。

 一体、現実世界では何をやっていたのか?

 そして、ヒースクリフは俺とキリトの元に近づいてくる。

 

ヒースクリフ「キリト君、カルム君。今日は頼りにしているよ。」

 

 ヒースクリフは回廊結晶を取り出して、俺達は、ゲートを通って、迷宮区へ。

 ミトとは手を繋いでいる。

 そうして、ボス部屋の前に着く。

 

ヒースクリフ「皆、準備はいいかな。今回、ボスの攻撃パターンに関して情報が無い。基本的にはKoBが前衛で攻撃を食い止めるので、その間に攻撃して欲しい。では、行こうか。」

カルム「死ぬなよ。」

レイヒム「お前もな。」

ノーチラス「行こう、ユナ。」

ユナ「うん。」

 

 ボス部屋が開き始めて、プレイヤーは一斉に抜刀し、俺もエボリューションキングを発動して、右手にキングラウザーを、左手にブレイラウザーを持つ。

 驚いたのは、レイヒムも、俺と似たような武器、ギャレンラウザーというボウガンを持っていた事だ。

 

ヒースクリフ「戦闘、開始!」

 

 俺達は、ボス部屋へと突入して、扉が閉じる。

 だが、ボスは出現しない。

 

冒険者「おい……。」

アスナ「上よ!!」

ミト「上空!」

 

 そこに居たのは、骸骨の百足だった。

 名前が表示されて、The Skullreaper、直訳して、骸骨の刈り手。

 そいつは、不意に落下してきた。

 

ヒースクリフ「固まるな!距離を取れ!!」

 

 ヒースクリフの叫び声で我に返り、全員が動き出す。

 しかし、骨百足の落下予測地点の真下に居たプレイヤー3人の動きが、僅かに遅れた。

 

キリト「こっちだ!!」

カルム「早く!!」

 

 だが、間に合わなかったのか、落下の衝撃でたたらを踏み、背後から攻撃されて、吹っ飛ばされて、全員、死んだ。

 

ミト「っ!!」

ユナ「え?」

カルム「一撃で、だと!?」

ノーチラス「そんなバカな!?」

アスナ「無茶苦茶だわ……。」

レイヒム「嘘だろ……!?」

 

 俺達が唖然としていると、骨百足は、別の一団に襲いかかる。

 しかし、ヒースクリフが迎撃する。

 もう片方の鎌は、キリトとアスナが迎撃していく。

 

キリト「皆!側面から頼む!!」

カルム「ああ!!」

ノーチラス「行くぞ!」

ユナ「皆、お願い!!」

ミト「………っ!!」

 

 そうして、俺達と骨百足との戦闘は、約2時間にも及んだ。

 その際に、俺はミトと連携をしていた。

 しかし、俺はミトが生き残ったのは嬉しかったが、周囲の人は、たくさん死んだ。

 

ノーチラス「何人……やられた?」

 

 ノーチラスの問いに、俺は確認して、答えた。

 

カルム「………14人も死んだ。」

レイヒム「漸く、4分の3で、このザマか。」

 

 まだ、25層もあるのだ。

 このペースでは、ラスボスと戦えるのはたった1人になりかねない。

 恐らく、ヒースクリフだ。

 ヒースクリフは、普通に立っていた。

 だが、その視線に違和感を感じた。

 そう、あの時の決闘の時のような。

 キリトも同じ様に感じたようで、俺が気づいた時には、俺と同時に駆け出して、レイジスパイクを繰り出していた。

 その時、攻撃を受けたヒースクリフの胸に、システムメッセージが。

 【Immortal Object】、それは、先日のユイやカナも見せた属性だ。

 

アスナ「キリト君、カルム君、何を……!?」

ミト「システム的不死……?どういうことですか、団長……?」

キリト「……この世界に来てからずっと疑問に思ってたんだ。アイツは今、どこから俺たちを観察し、世界を調整してるんだろう、ってな。でも俺は単純な真理を忘れていたよ。どんな子供でも知ってることさ。」

カルム「《他人のやってるRPGを傍から眺めるほどつまらないことはない。》……そうなんだろう、茅場晶彦。」

 

 俺達は、そうカミングアウトした。




今回はここまでです。
次回で、アインクラッド編は終わります。
アンケートは、しばらく続けます。
現状、仮面ライダーの武器が一番多いですが、何を持たせましょうか。
そして、ヒースクリフはどんな感じに倒しましょうか。
感想、リクエスト、絶賛受け付けています。
溟き夕闇のスケルツォも、10月の22日に決まって、楽しみです。

ユージーンと戦うのは、どっちか

  • カルム
  • キリト
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