ソードアート・オンライン Re:紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、アーロン視点とカルム視点です。


第5話 動き出す剣士達

アーロンside

 

 僕は、驚いていた。

 何せ、初心者(ニュービー)であるのにも関わらず、火妖精族(サラマンダー)のプレイヤーを、あっという間に倒してしまったのだ。

 リーファは、その影妖精族(スプリガン)のプレイヤーに話しかける。

 

リーファ「………で、あたし達はどうすれば良いのかしら。」

アーロン「確かに………。礼を言えば良いのかな?それとも、戦えば良いのかな?」

???「う〜ん。俺的には、正義の騎士が悪漢から2人を助けた、っていう場面なんだけど…………。感激したお姫様が、抱きついてくる的な…………。」

アーロン「何言ってんですか。」

リーファ「ば、バッカじゃないの!?」

 

 そのスプリガンの言う事に、僕が呆れ、リーファが叫んでいると。

 

???「そ、そうですよ!そんなのダメです!!」

 

 いきなり、幼い女の子の声が聞こえてきて、周囲を見渡すが、誰も居ない。

 すると、スプリガンがやや慌てた様子で言う。

 

???「「あ、こら、ユイ、出てくるなって。」

ユイ「パパにくっついて良いのは、ママと私だけです!」

「「ぱ、パパァ!?」」

 

 スプリガンから現れた小さなそれは、スプリガンの周囲を飛び回る。

 小さな妖精は、確か、ナビゲーション・ピクシーだった筈。

 でも、定型文で答えるだけなのに、すごく喋る。

 リーファは、プライベート・ピクシーだと思ったのか、声をかける。

 僕は、そのスプリガンの事が気になっていた。

 初期装備の割には、強いし、プライベート・ピクシーを連れている。

 この人、一体何者なんだ………?

 そんな事を考えていると、リーファが僕の顔を覗いていた。

 

アーロン「ん?」

リーファ「どうしたの?何か、考え事?」

アーロン「いや………。大丈夫。」

リーファ「そう…………。まあ、ともかく、お礼を言うわ。助けてくれてありがとう。あたしはリーファって言うの。」

アーロン「僕は、アーロンです。」

キリト「…………俺はキリトだ。この子はユイ。」

 

 キリトって言うのか。

 リーファは、キリトに話しかける。

 

リーファ「ねぇ、君この後どうするの?」

キリト「や、特に予定はないんだけど………。」

アーロン「あの………。お礼に一杯奢らせて下さい。」

 

 僕がそう言うと、キリトは笑った。

 

キリト「それは嬉しいな。実は、色々教えてくれる人を探してたんだ。」

リーファ「色々って………?」

キリト「この世界の事さ。特に…………あの樹の事をね。」

 

 キリトはそう言うと、世界樹の方に視線を向ける。

 

アーロン「…………もしかして、世界樹の事かい?」

リーファ「良いよ。あたし達、こう見えても結構古参なのよ。…………じゃあ、ちょっと遠いけど、北の方に中立の村があるから、そこまで飛びましょう。」

キリト「あれ?スイルベーンって街の方が近いんじゃあ?」

 

 それを聞いて、僕とリーファは少し呆れる。

 さっき聞いた話によると、昔、アカウントだけは作ったが、他のVRMMOの方をやっていたと言っていた。

 アスカ・エンパイアか、はたまた、あの悪魔のデスゲームとなった、あれか………。

 そこで思考を一旦切ると、リーファが呆れた声で言う。

 

リーファ「そりゃそうだけど………本当に何も知らないのねぇ。あそこはシルフ領だよ。」

キリト「何か問題あるの?」

アーロン「君ねぇ…………。街の圏内じゃあ、君はシルフを攻撃出来ないけど、シルフが君を攻撃するのはありなんだよ。」

キリト「へぇ…………なるほどね。でも、別に皆が即襲ってくる訳じゃないんだろう?リーファさんにアーロン君も居るしさ。」

リーファ「…………リーファで良いわよ。」

アーロン「僕も、呼び捨てで良いよ。でも、命の保証は出来ないよ?」

 

 そんな感じで、僕たちは、スイルベーンに向かう事になった。

 スイルベーンに向かう中、キリトに随意飛行のやり方を教えた。

 しばらくして、スイルベーンが見えてきた。

 

キリト「お、見えてきたな!」

リーファ「真ん中の塔の根元に着地するわよ!」

アーロン「…………あれ?そういえば、キリトって、ランディングのやり方、分かる?」

 

 僕が、ふとそう思って、キリトに聞くと、キリトは笑顔を引き攣らせる。

 

キリト「分かりません………。」

アーロン「えっと…………。」

リーファ「ごめん、もう遅いや。幸運を祈るよ。」

 

 僕とリーファが急減速に入る中、キリトはそのまま塔に突っ込んでいく。

 

キリト「そ…………そんな馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 キリトがそう叫んだ数秒後、大音響が空気を震わせる。

 その後、キリトは僕たちに恨みがましい表情で見る。

 リーファが回復魔法をかけて、僕たちは移動する。

 すると、後ろからレコンの声が聞こえてくる。

 

レコン「リーファちゃん!アーロン!」

リーファ「あ、レコン。」

アーロン「まあ、何とかね。」

レコン「流石はリーファちゃんとアーロン……って、影妖精族(スプリガン)じゃないか!?何で…………!?」

 

 レコンは、キリトに気付いたのか、そう叫び、腰のダガーに手をかけようとする。

 それを、僕たちが制する。

 

リーファ「あ、大丈夫よ、レコン。」

アーロン「僕たち、彼に助けてもらったからね。」

レコン「へっ…………?」

 

 レコンは、僕たちの言葉に唖然となる。

 僕は、キリトにレコンの事を紹介する。

 

アーロン「彼はレコン。僕たちの仲間なんだけど、サラマンダーにやられてね。」

キリト「よろしく、俺はキリトだ。」

レコン「あ、どうも」

 

 レコンはキリトに握手をし、頭をぺこぺこ下げる。

 だが、すぐに飛び退がる。

 

レコン「って、いや、そうじゃなくて!大丈夫なの?この人、スパイとかじゃ………。」

リーファ「大丈夫よ。スパイにしてはキリト君、天然ボケ過ぎるし。」

アーロン「確かにね。」

キリト「うわ、ひでぇえ……。」

 

 そんな風に話している中、レコンは僕たちに声をかける。

 

レコン「シグルドたちはいつもの酒場で席取ってるよ。分配はそこでやろうって。」

リーファ「あ、そっか。う〜ん…………。」

 

 そう、ALOではPKされたり、死亡するとアイテムの30%をランダムにロストするか、相手に奪われるが、保険枠と言うものがあって、あらかじめ設定したアイテムは死亡しても生き残ってる仲間の元に預けられる。

 今回は、狩りで入手したアイテムの内、価値のある物は保険扱いにしておいたので、僕とリーファが持っている。

 僕たちは、どうするのか少し悩んだが、答える。

 

リーファ「あたし、今日の分配は良いわ。スキルに合ったアイテムもなかったしね。アンタに預けるから、4人で分けて。」

アーロン「僕も良いや。彼に一杯奢る約束をしてたからね。それじゃあ。」

 

 僕とリーファは、アイテムをレコンに渡して、キリトを連れて移動する。

 着いたのは、僕とリーファが贔屓にしている酒場兼宿屋の《すずらん亭》という店だ。

 

キリト「さっきのはリーファの彼氏?」

ユイ「恋人さんなのですか?」

 

 席に着くなり、キリトとユイはそんな質問を、リーファにした。

 

リーファ「はぁ!?違うわよ!パーティーメンバーよ!」

 

 キリトとユイの質問にリーファは慌てて否定する。

 僕は、リーファに助け舟を出す。

 

アーロン「彼は、僕とリーファと、リアルでも知り合いなんだよ。学校の同級生さ。」

 

 そんなこんなで、色々と注文して、食べながら話す。

 

キリト「それにしても、えらく好戦的な連中だったな。ああいう集団PKはよくあるのか?」

アーロン「まあ、火妖精族と風妖精族が仲が悪いのは、確かだね。領地が隣り合ってるから、ちょくちょく戦闘になるし。」

リーファ「でも、ああいう組織的なPKが出るようになったのは、つい最近だよ。きっと、近いうちに世界樹攻略を狙ってるんじゃないかな。」

 

 僕とリーファの言葉を聞いたキリトが反応する。

 

キリト「それだ。その世界樹について、教えて欲しいんだ。」

アーロン「そういえば、そんな事を言ってたね。」

リーファ「でも、何で?」

キリト「世界樹の上に行きたいんだよ。」

 

 僕とリーファは、少し呆れながらキリトの事を見るが、キリトの眼の色には、真剣な色が宿っていた。

 

リーファ「…………それは、多分全プレイヤーがそう思ってるよ、きっと。っていうか、それがこのALOっていうゲームのグランド・クエストなのよ。」

キリト「と言うと?」

アーロン「ALOには、滞空制限があるのは、君も知っているだろう?どんな種族も連続で飛べるのは十分が限界なんだ。でも、空中都市に最初に到達して、《妖精王オベイロン》に謁見した種族は全員、《アルフ》っていう高位種族に生まれ変われる。そうなれば、滞空制限はなくなり、いつまでも、自由に空を飛ぶことが出来る。だからこそ、全種族プレイヤーは、世界樹を目指すんだ。」

キリト「なるほど…………。」

 

 僕の説明に納得してくれたのか、キリトが頷いた。

 キリトは、質問してきた。

 

キリト「世界樹の上に行く方法は?」

リーファ「世界樹の根元がドームになっていて、そこが空中都市の入口になってるの。でも、そのドームを守ってるNPCのガーディアン軍団が凄い強さなの。」

キリト「そんなに強いのか?」

アーロン「無茶苦茶だよ。ALOがサービス開始されてから1年は経ったのに、未だにガーディアン軍団を突破したっていう種族は居ないんだから。」

 

 そう。

 未だにガーディアン軍団を突破した種族は、誰も居ない。

 一度、大手のALO情報サイトが署名を集めて、レクトプログレスにバランス改善を求めたが、『当ゲームは、適切なバランスの元に運営されている。』と返ってきたのだ。

 

キリト「何か、キークエストとか見落としてるとか、単一の種族じゃ攻略できないとかなんじゃないのか?」

リーファ「いいカンしてる。クエスト見落としはいま躍起になって検証してるわ。でも、後者は絶対に無理ね。」

キリト「どうしてだ?」

アーロン「矛盾が生じるからさ。『最初に到達した種族しかクリア出来ない』クエストを、他の種族と協力して攻略するなんてさ。」

 

 そう、そんな矛盾が生じる。

 僕がそう言う中、キリトは呟く。

 

キリト「………じゃあ、世界樹を攻略するのは、無理ってことか?」

リーファ「あたしはそう思う。でも、諦めきれないよね。いったん飛ぶことの楽しさをしっちゃうとね。例え、何年かかっても、きっと。」

キリト「それじゃ遅すぎるんだ!」

 

 リーファがそう言うと、キリトは押し殺した声で叫ぶ。

 僕とリーファがキリトを見ると、眉間に深い谷が刻まれ、口許が震えるほど歯を食いしばったキリトの顔があった。

 

ユイ「パパ…………。」

 

 両手でチーズクッキーを抱えながら食べていたユイちゃんが、キリトを宥めるように声をかける。

 

キリト「………すまない。でも俺、どうしても世界樹の上に行きたいんだ。」

リーファ「……なんで、そこまで?」

キリト「人を……探してるんだ。」

アーロン「人を?どういうことだい?」

キリト「……簡単には説明できない。」

 

 そう言うキリトの眼は、似ていた。

 リーファ………直葉が、兄がSAOに囚われた時に見せた、あの時の眼に。

 

キリト「ありがとう、リーファ、アーロン。色々教えてもらって助かったよ。御馳走様、ここで最初に会ったのが君たちでよかった。」

 

 キリトはそう言って、席を立ち上がる。

 リーファは、キリトに話しかける。

 

リーファ「ちょ、ちょっと待ってよ。世界樹に……行く気なの?」

アーロン「たった1人だけで行こうと言うのかい?」

キリト「ああ。この眼で確かめないと」

リーファ「無茶だよ、そんな……。ものすごく遠いし、途中で強いモンスターもいっぱい出るし、そりゃ君も強いけど………。」

 

 それを聞いた時、ある事を決意する。

 そう思うと、自然とキリトに話しかけていた。

 

アーロン「じゃあ、僕も行くよ。」

リーファ「アーロン!?」

キリト「…………良いのか?」

アーロン「うん。それに、案内役も必要だろう?こう見えても、僕はかなり強いから、足手纏いにはならないよ。」

キリト「…………なら、よろしく頼むな。」

アーロン「ああ。」

 

 そう言って、僕とキリトは握手をする。

 あのキリトの眼を見て、どうにも放ってはおけなかった。

 それを見たリーファは。

 

リーファ「アーロン!?本気!?」

アーロン「ああ。どの道、シグルドのパーティーからは抜けるつもりだったからね。」

リーファ「…………も行く。」

アーロン「ん?」

 

 リーファは、僕にそう聞いて、僕はそう答える。

 すると、リーファは何かを呟く。

 

リーファ「私も行く!アーロンだけなんて、心配だから!」

アーロン「…………良いのかい?」

リーファ「うん!」

アーロン「…………分かった。」

リーファ「よし!じゃあ、明日の午後三時にここでね。あたし、もう落ちなきゃいけないから。ログアウトには上の宿屋を使ってね。また明日ね!」

 

 リーファも同行する事になって、立て続けにそう言いながらログアウトする。

 何だったんだろうか?

 そう思う中、キリトは何かを察した様な表情を浮かべる。

 

カルムside

 

 俺達は、装備を整えて、すぐさまインプの首都を出発しようとしたのだが。

 

カナ「世界樹には、この先を行こう!」

カルム「だが、キリトとは合流したい。」

ミト「そうね。カナ、どうにか合流出来そうなところは無い?」

カナ「実は、幾つか中立都市があるにはあるんだけど、キリトさんがどこを通るのか……。」

カルム「弱ったな。」

ミト「どうにか、連絡を取らないと。」

カルム「ひとまず、このアバターにも慣れさせたい。何か、強い武器が手に入るクエストとかダンジョンとか無いのかなぁ。」

ミト「確かに、いつまでもこの店で売ってた奴じゃ厳しいかも。」

カナ「なら、丁度近くに、何かのダンジョンがあるからそこに行こう!」

 

 そうして、俺達はとあるダンジョンへと向かって行った。

 モンスターを倒しつつ先へと進むと、そこには、ミノタウロスというモンスターが居た。

 

カルム「あいつがボスか。」

ミト「なら、さっさと片付けましょう。」

 

 俺達は、SAOでの連携を活かして、攻撃していく。

 しかし、ミノタウロスの攻撃で、俺のバスタードソードが折れた。

 

カルム「折れたァァァ!!」

ミト「そんな事言ってる場合!?」

 

 仕方なく、サブの片手直剣に切り替えて、何とか倒す事が出来た。

 だが、突如、少し視界が歪んだ。

 異変に気がついたミトが支えてくれた。

 

ミト「大丈夫?」

カルム「ああ、大丈夫だ。」

カナ「大丈夫だよね?」

カルム「大丈夫だ。」

 

 すぐに何にもなくなったので、気にせずにする事に。

 宝箱を開けると、ウィザーソードガンという剣と、ペンダントが入っていた。

 ミトにペンダントをあげて、俺はウィザーソードガンをメインにする。

 本当に、俺の体に何が起こってるんだ?

 すると。

 

???「へぇぇ!凄えじゃねぇか!」

 

 そんな声と共に、俺から赤と青の粒子が現れて、人の形になる。

 青年で、黒い上着を着て、下にお腹の部分が水色で、腕の部分がピンクの服を着ていた。

 ズボンも、紫に水色やピンク、黄色といった四角い模様が入った物を着用している。

 急に現れたその人物に、ミトは警戒心を見せる。

 

ミト「貴方…………誰?」

パラド「俺はパラド。ある人から、カルムに託された存在だ。」

カルム「ある人……………?」

 

 俺は、それに首を傾げた。

 ログインした直後に届いた謎のメッセージ。

 そのメッセージを送った人が、パラドも送ったという事になる。

 

パラド「まあ、よろしくな!」

カルム「ああ…………。」

 

 そんな感じで、パラドが仲間になった。

 解析したカナ曰く、カナと同じく、AIという事だ。

 なんで、ALOにログインしたばかりの奴に、そんな物を送ってきたんだ?




今回はここまでです。
アーロンが、キリトの事を放っておかなかったのは、直葉がキリトがSAOに囚われた時に見せた表情と似ていたので、放っておかなかった感じです。
この作品のリーファは、キリトではなく、アーロンに惹かれている事にしています。
何故、リーファがアーロンに惹かれているのかは、いずれ明かします。
そして、パラドが、前の紫紺の剣士よりも早く、カルムの前に現れました。
あと、東映特撮のYouTubeチャンネルにて、エグゼイドの最終回が配信されました。
やっぱり、エグゼイド、良いですよね。
同じ高橋脚本のギーツが、どうなっていくのか、楽しみです。
あと、活動報告にて、アリシゼーション編で、オリキャラを出すかどうかの奴を出しました。
下記から、その活動報告に行けます。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=286522&uid=373253
どうか、宜しくお願いします。
まあ、アリシゼーションをやるのは、かなり先になりますが。

カルムのGGOの武器はどうするか

  • ゼットソード
  • ブラストソード
  • ハンドル剣&ドア銃
  • マグナムシューター
  • その他
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