ソードアート・オンライン Re:紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回から、Extra Editionの話に入ります。
今回は、水泳特訓の休憩までです。


Extra Edition &日常
第1話 水泳の練習


2025年7月25日

 

 現在、帰還者学校は夏休みだ。

 SAOに居た頃だと、こうはならなかったしな。

 まあ、課題も多い訳だが。

 俺は、毎日少しずつでもやっているので、問題はない。

 そんな俺は今、帰還者学校に向かって、バイクを走らせていた。

 ちなみに、バイクの免許自体は、夏休みに入るまでに取得していた。

 バイクは、父さんの使っていた物を譲ってもらった。

 しばらくバイクを走らせると、学校が見えてきて、バイクに乗った二人組が見えた。

 

冬馬「よう、和人、直葉ちゃん。」

和人「おう、冬馬。」

直葉「こんにちは。」

 

 そう。

 今日は、帰還者学校で泳ぐ事になったのだ。

 その理由は、とあるクエストにある。

 遡る事前日、俺、ミト、キリト、アスナは、アインクラッドの、ユイとカナが結晶となっていた頃の話をしていた。

 

アスナ「それでね、キリト君はね、湖の主を見た瞬間ね、すっごい悲鳴を上げたのよ!うぎゃぁぁ!って!」

ミト「確かに、凄い悲鳴を上げてたよね。」

カルム「そうだな。その逃げっぷりは、脱兎の如きだったからな!」

キリト「3人して揶揄うなよ…………。」

 

 キリトがそんな声を出す中、俺、ミト、アスナは笑って、ユイちゃんとカナが口を開く。

 

ユイ「良いなぁ………私も主さん見たかったたです!」

カナ「私も!」

カルム「新生アインクラッドが、22層まで開通したら、それぞれでログハウスを買って、主釣り大会をしよう。」

カナ「はい!」

キリト「でも、主はでっかいからなぁ………。ユイは泣いちゃうかもなぁ…………。」

ユイ「泣きませんよ!大きいと言っても、湖の面積から考えれば、現実世界のクジラほどでは無いはずです!」

カナ「そうよ!絶対に、クジラほどじゃないわよ!」

 

 キリトの言葉に、ユイちゃんとカナはそう反論する。

 

アスナ「ユイちゃんにカナちゃん、クジラを見た事があるの!?」

ユイ「いえ…………数値データと映像データから、大きさを推測しただけです。」

カナ「私たちは、パパやママ、キリトさん、アスナさん達みたいに、現実世界の物を見る事が出来ないので…………。」

 

 そうか。

 2人は、AIだもんな。

 それを聞いたミトとアスナは、2人の肩に手を置く。

 

ミト「そっか…………そうだよね。アルヴヘイムにもクジラが居たら、2人も見れたのにね。」

アスナ「すっごく大きいんだよ!海中からドーンってジャンプして、バッシャーンって…………。」

キリト「……………あぁ!」

カルム「どうした?」

 

 ミトとアスナがそう言う中、キリトは突然大声を出す。

 何事かと聞いてみると。

 

キリト「聞いた事があるぞ…………。確か、シルフ領の南の方で、クジラが出てくるクエストが見つかったとか…………。」

ユイ「本当ですか!?」

カナ「私たち、クジラに乗ってみたいです!」

 

 ユイちゃんとカナは、目を輝かせながらそう言う。

 それを聞いた俺たちは、同時に。

 

「「「「乗るのはちょっと無理かな…………。」」」」

 

 そう言った。

 こうして、そのクエストを受ける事にした。

 そのクエストに参加するのは、俺、キリト、アスナ、ミト、リーファ、アーロン、シリカ、リズベット、フィリア、ノーチラス、ユナ、クライン、エギル、パラドだ。

 ユナは、お父さんである重村教授から、少しは息抜きしても良いと言われ、クエストには参加出来るそうだ。

 ノーチラスも同様に、参加出来るようになった。

 だが、そこで問題が発生した。

 それは、リーファが泳げないという事だ。

 アーロンから聞いた話によると、リーファこと直葉ちゃんは、現実で溺れた事があり、それが理由で、水が苦手らしい。

 という訳で、水泳特訓をする事になった。

 俺、和人、直葉ちゃんは、先に到着していた深澄、明日奈、珪子、里香、琴音、悟の所に向かう。

 

冬馬「待たせたな。」

珪子「あ、直葉さん、キリトさん、カルムさん。」

直葉「ごめんなさい………皆さんにわざわざ集まってもらっちゃって…………。」

琴音「そんな、水臭いわよ。でも、直葉が泳げないのは意外だったかな…………。」

直葉「うう…………。現実でも、バーチャルでも、水の中は苦手なの…………。悟君も来てくれてありがとうね。」

悟「大丈夫ですよ。それより…………僕たち、帰還者学校の生徒では無いんですけど、大丈夫なんですか?」

深澄「大丈夫よ。ちゃんと許可は貰ってあるから。」

 

 悟と直葉ちゃんは、仲良いな。

 ちなみに、悟曰く、告白して、付き合う事になったらしい。

 それは、和人も知っており、悟なら任せられると語っている。

 すると、里香が話しかけてくる。

 

里香「しっかし、アンタ達、ついてないわね。こんな絶好のプール日和に、臨時カウセリングなんてね…………。」

冬馬「全くだ。何で唐突に………。」

和人「一学期はそこそこ真面目にやってたんだけどな…………。」

 

 そう。

 俺と和人は、臨時カウンセリングで呼ばれたのだ。

 里香は、ニヤニヤ笑いながら言う。

 

里香「私たちの水着姿が見れなくて残念ねー。あ、だからと言って、美人のカウンセラーに鼻の下を伸ばすんじゃないわよ〜。」

冬馬「何で美人のカウンセラーが前提なんだよ?」

和人「べ、別にそれくらい良いじゃ無いか!」

明日奈「キリトく〜ん?」

和人「な、何でもありません!」

深澄「あははは…………。」

冬馬「俺だって、深澄の水着姿を見たかったのにな…………。」

深澄「と、唐突にそんな事を言わないでよ…………。」

 

 俺の呟きに、深澄は顔を赤く染める。

 和人の失言に、明日奈は笑顔でそう言う。

 笑顔という名の威圧をかけながら。

 

冬馬「まあ、俺たちはこの辺で。」

和人「スグ、皆が教えてくれるんだから、ちゃんと練習するんだぞ。」

直葉「は〜い。」

 

 俺たちは、カウンセリングの方へと向かう。

 すると、後ろから声が聞こえてくる。

 

明日奈「アルヴヘイムの海と比べたら、学校のプールは凄く浅いから、遊びのつもりで気楽に練習すれば良いよ。」

深澄「2人とも、また後でね〜!」

里香「美人の先生によろしくね〜!」

和人「うわっ!ととっ………。」

冬馬「何ずっこけてるんだ?」

 

 里香の言葉に転びかける和人に突っ込む。

 俺たちは、校舎の中に入り、カウンセリング室へと向かう。

 それにしても、どちらから先に入った方が良いんだろうか?

 まあ、2人同時に入っても、片方が外に出れば問題ないか。

 和人が、扉をノックする。

 

女性「どうぞ。」

「「失礼します。」」

 

 女性の声に、俺と和人は、同時にそう言って、中に入る。

 カウンセリング室に入って、中に入っていくと、女性が机に寄りかかっていた。

 どうしたもんかと思うと、その女性の近くにあった椅子が回転する。

 その椅子に座っていたのは、顔見知りの人だった。

 

和人「き、菊岡さん…………!?」

菊岡「やあ、キリト君、カルム君。久しぶりだね。」

 

 そう。

 総務省総合通信基盤局高度通信網振興課第二別室の仮想課に所属している、菊岡誠二郎だったのだ。

 

冬馬「…………総務省仮想課のエリート官僚様が、この帰還者学校………というより、俺たちに一体、何の用ですか?」

菊岡「いやぁ、君たちにちょっと聞きたい事があってねぇ。それで、こんな場を設けてもらったのさ。」

和人「じゃあ…………臨時カウンセリングというのは…………。」

冬馬「嘘…………なんですね。」

菊岡「悪いね。そうでも言わなきゃ、君たちは来てくれないと思ってね。」

 

 なるほど。

 道理で、俺と和人の臨時カウンセリングのタイミングが一緒な訳だ。

 その女性の人は、「何かあったら、隣の準備室に居るから。」と言って、去っていく。

 

菊岡「まあ、立ち話もなんだし、座ったらどうだい?」

 

 その言葉を聞いて、俺たちは、椅子に座る。

 椅子に座ると、和人が口を開く。

 

和人「…………最初に言っておきますけど、この後、約束があるから、手短に頼みますよ。」

菊岡「努力するよ。実は、SAOとALOの事件を纏めるに当たって、君たちから直接話を聞きたいと思ってね。」

冬馬「……………それに関しては、何回も答えましたよね?プレイヤーの行動ログを見れば、大体の事が分かるじゃないですか。」

菊岡「行動ログで分かるのは、誰がいつ、どこに行ったかという事くらいでね。そこで何が起きたかは、分からないんだよねぇ。」

 

 菊岡はそう言って、後ろに置いてあるアタッシュケースを持って、開ける。

 その中には、大量のお菓子が入っていて、それを机の上に広げ、録音の為のスマホを置く。

 

菊岡「SAO事件では、4000人もの犠牲者が出たのにも関わらず、首謀者である茅場晶彦が死亡した為、事件の全貌は、未だに掴めていない。肝心な茅場先生の動機も、全く不明。彼がなぜ、SAOというデスゲームを作ったのか、それを明らかにする為にも、2人に話を聞きたいんだ。……………協力してくれるね?」

 

 菊岡はそう言って、チョコを口に放り込む。

 和人は、口を開く。

 

和人「…………嫌だと言ったら?」

菊岡「…………廃棄処分される筈のナーヴギアの持ち出し許可を、君たち2人とミト君に出したり、アスナ君の病院を教えたのは、誰だっけ?」

冬馬「それは…………確かにアンタですけど…………。」

菊岡「SAO帰還者のメディアスクラムが起きない様に対処してるのも、実は、うちの部署なんだよね。」

 

 要するに、話を聞かせろという事だ。

 まあ、菊岡には、色々と世話になっているのは事実だ。

 俺たちはため息を吐きつつ、チョコを口にする。

 

深澄side

 

 私たちは、プールに入る為に、水着へと着替えていた。

 明日奈は、大胆なビキニタイプだった。

 

深澄「へぇぇ…………明日奈、結構大胆じゃない。キリトに見てもらいたかったの?」

明日奈「そ、そういう深澄だって、結構大胆じゃない!冬馬君に見せたかったの?」

深澄「まあね。」

 

 私と明日奈は、そう話す。

 私の水着は、所謂セパレートタイプだ。

 すると、直葉の不安そうな声が聞こえてきた。

 

直葉「今更ですけど、私、この学校のプールを使わせて貰って、良いんですか?」

里香「大丈夫よ。ちゃんと許可は貰ってあるし。」

珪子「里香さんと琴音さんの水着、かっこいいですね!」

里香「でしょ〜?SAO前に使ってた奴は、流石にきつくってさ〜。」

琴音「私と里香で、新しいのを買ったのよ。」

珪子「私は殆ど、サイズが変わって無かったんですけどね…………。」

 

 直葉の不安げな言葉に里香がそう答えて、珪子は、2人の水着を褒める。

 私と明日奈は、着替え終わったので、里香達の方に行く。

 すると、気付いたのか、里香達は、こちらを見てくる。

 

里香「おお〜!明日奈さんはビキニで、深澄さんはセパレートとは、やりますなぁ!大胆水着で、キリトとカルムを悩殺ですか?」

明日奈「そ、そんなんじゃないわよ………。」

深澄「さて、どうかしらね?」

琴音「深澄は、余裕だね…………。」

直葉「あ、あれ…………?皆、学校指定の水着じゃないの…………?」

 

 そんな声が聞こえてきて、直葉の方を見ると、直葉は、目に涙を浮かべながら、スクール水着を着ていた。

 

直葉「だって…………学校のプールで泳ぐって言うから…………。」

珪子「ス、スクール水着も、可愛いですよね!」

里香「そ、そうそう!直葉には、似合いそうだし…………。」

直葉「どういう意味ですか、それ!?」

 

 里香の言葉に、直葉はそう叫ぶ。

 

冬馬side

 

 俺たちは、仕方なく、菊岡に話す事にした。

 和人が、菊岡に質問をする。

 

和人「…………で、どこから話せば良いんですか?」

菊岡「まずは、事件初日の事を聞きたいな。ええっと…………確か、日付は…………。」

冬馬「2022年の11月6日です。もう、2年半も経過したんですね……………。」

 

 菊岡が首を傾げる中、俺はそう言う。

 俺は、全ての始まりの日を思い出していた。

 ミトとアスナと共に、茅場晶彦のデスゲームの開始宣言を。

 あれから、全てが始まったのだ。

 

菊岡「…………世界を鑑賞する為に、SAOを作った。茅場先生は、そう言ったんだね?」

和人「ええ。」

菊岡「それについて、君たちはどう思うんだい?」

冬馬「…………正直言って、突然のデスゲームの開始宣言を聞いて、生き延びようと思うのに精一杯で、茅場の意図は読めなかったですよ。」

和人「…………でも、冬馬は凄いよ。その時は初心者だったアスナを、ミトと一緒に、守ろうとしたんだから。俺は…………クラインを見捨てたんだから…………。」

冬馬「キリト……………。」

 

 そう。

 ある時に、キリトから聞いたのだが、キリトは、クラインを見捨ててしまったのだと。

 当初は、クラインを連れて行こうとしたのだが、クラインは、風林火山の面々を置いていけないと言って、別れたそうだ。

 やっぱり、キリトって、心に闇を抱えすぎな気がするんだが…………。

 

悟side

 

 僕は、水着に着替え終えて、準備体操をして、直葉さん達を待っていた。

 ちなみに、付き合う事になってからは、下の名前でも呼んで良いと言われたので、そうしている。

 それにしても……………。

 

悟「遅いなぁ……………。」

 

 僕はそう呟く。

 まあ、準備に時間がかかるのはしょうがないよね。

 そう思っていると、里香さんと珪子さんの声が聞こえてくる。

 

里香「うっひょ〜!貸し切りプール最高!」

珪子「なんだか、新鮮ですね!」

 

 その声が聞こえてきて、振り返ると、里香さんと珪子さんは、プールに飛び込んでいた。

 

明日奈「こら!2人とも!準備運動をしなきゃダメでしょ!」

深澄「ごめんね。悟君。」

悟「大丈夫ですよ。」

直葉「あの…………悟君。」

 

 直葉さんの声が聞こえてきて、直葉さんの方を見ると、スク水を着ていた。

 

悟「な、なんでスク水…………?」

直葉「だって…………学校のプールで泳ぐって言ってたから…………。」

悟「なるほどね……………。」

 

 まあ、無理もないか。

 僕と直葉さんが話していると、明日奈さんと深澄さんも、プールに入っていた。

 僕と直葉さんも、プールに入る。

 

直葉「わぁ………冷たい!」

悟「冷たくて気持ち良いですね。」

 

 僕と直葉さんは、そう言う。

 というより、直葉さんは、いつの間に浮き輪を持ってきたんだ?

 すると、里香さんが、浮き輪の空気を抜く。

 

里香「いつの間にこんな物を持ち込んだのよ。大体、これがあるんじゃあ、泳ぎの練習になんないでしょ!」

直葉「うわ………!いや、ちょっとダメです!これがないと沈んじゃうんです!」

里香「大丈夫だって!こんな立派な物が二つも付いているから、沈みっこないって!」

直葉「嫌っ………ちょっ!どこ触って………!」

 

 里香さんはそう言って、直葉さんの胸を揉む。

 僕は、すぐに視線を逸らす。

 刺激が強すぎる…………!

 

里香「何食べたらこんなになるんだか!全く、けしからんですなぁ!」

直葉「嫌っ………!ていうか、悟君も居るのに…………!?」

珪子「………………。」

 

 里香さんは、しばらく直葉さんの胸を揉んでいたけど、明日奈さんに首根っこを掴まれる。

 

明日奈「……………リズ?」

里香「すいません…………。」

深澄「それじゃあ、水に顔をつける所から始めましょう。悟君も手伝って。」

悟「は、はい…………。」

直葉「……………変な事を考えてないよね?」

悟「考えてないよ…………。」

 

 直葉さんのジト目に、僕はそう答える。

 刺激が強すぎて、それどころじゃなかったし。

 ちなみに、僕が手伝う理由としては、直葉さんと仲が良いからだそうだ。

 

冬馬side

 

 俺たちは、SAO事件が始まった頃を菊岡に話していた。

 菊岡は、気になる事があったのか、俺たちに聞いてくる。

 

菊岡「…………デスゲームと化したSAOで生き残る為、プレイヤーの多くはパーティーを組んで行動していた。………ところが、キリト君とカルム君は、序盤と終盤以外は、殆どソロで行動しているね。HPが無くなれば本当に死ぬ世界で、どうしてこんなリスキーな事を?」

カルム「安全マージンは取っていたので。」

キリト「俺だって、最初からソロプレイヤーになるつもりは無かったですよ。ただ………。」

 

 そう。

 俺はともかく、キリトが孤立したのは、第一層のボス攻略後のある出来事が理由だ。

 イルファング・ザ・コボルトロードの行動パターンが変わって、ディアベルが死にかけた。

 それを、俺が救い、俺、キリト、アスナ、ミトの4人で、ボスを倒した。

 だが、キバオウというプレイヤーが、行動パターンを知っていたのかと聞き、とあるプレイヤーが、βテスターへの怒りを誘発させる様なセリフを吐く。

 キリトは、他の元βテスターを守る為に、敢えて、元βテスターへのヘイトを、たった1人で受けたのだ。

 その時に、ビーターという言葉が生まれ、キリトは孤立した。

 

菊岡「なるほど…………。ビーターって言葉を作り出したのは、キリト君だったんだね。悪役を引き受ける事で、他のβテスターが恨まれないようにした訳だ。なかなか辛い役回りだね…………。」

冬馬「……………和人。今更だが、本当にすまない。」

和人「冬馬……………。」

冬馬「俺も庇っていれば、お前1人に、ヘイトを集めさせる事にはならなかったのに……………。」

和人「……………過ぎた事さ。それに、おまえがいたから、月夜の黒猫団の皆と和解出来たんだ。」

 

 和人……………。

 本当に、済まない。

 俺は、とある事に気付き、声を出す。

 

冬馬「……………それにしても、ラフコフは、この頃から動き始めてたんだな。」

和人「……………そうだな。」

菊岡「どういう事だい?」

冬馬「実は、元βテスターへの怒りを煽るような発言をした奴が居まして。そいつは、ラフコフの一員だったんです。」

 

 そう。

 第五層での《フラッグ・オブ・ヴァラー》を巡る一件で、キリトを殺してでもそれを奪うように仕向けようとしたのも、そいつの仕業だ。

 その時は、キバオウが冷静な判断をしたおかげで、なんとかなったが。

 つまり、第一層の頃から、ラフコフは動いていたのだ。

 菊岡が調べた所、キバオウが言っていたジョーというプレイヤーの行動ログを見た所、ジョニー・ブラックの物と一致した。

 つまり、ジョーはジョニー・ブラックという事だ。

 PoHと会ったのも、その頃だった。

 ボス攻略が終わり、リーテンとシヴァタというプレイヤーが企画した年末の年越しパーティーにて、俺たちが、何か食べ物を貰ってこようとした時に、後ろに現れ、圏外に誘導して、殺そうとした。

 その時は、ミトとアスナの機転のおかげで、どうにかなったが。

 その頃は、PoHだとは分からなかったが、恐らく、可能性が高い。

 多分だけど、目をつけられたかもしれないな。

 

悟side

 

 直葉さんの特訓は、順調に進んでいた。

 まずは、水に顔をつける所から始めて、ある程度慣れてきたら、潜る練習も始める事にした。

 今は、僕が直葉さんの手を引いて、バタ足で泳ぐ段階まで来ていた。

 しばらく泳ぐと、直葉さんは顔を上げる。

 

直葉「プハッ!」

悟「どう?少しは慣れたかい?」

直葉「うん。何とか水に顔を付けられるようになったけど、まだ水の中で目を開けられなくて…………。」

明日奈「焦らなくても良いから、ゆっくり慣れていこう。」

深澄「そろそろ休憩しましょう。」

「「「ラジャ!」」」

 

 深澄さんの言葉に、珪子さん、里香さん、琴音さんがそう返す。

 そうして、休憩する事に。

 里香さんが口を開く。

 

里香「あ〜夏だねぇ…………。」

珪子「本当ですね。」

琴音「確か、今回のクエストで行くのも、常夏のエリアなんだよね?」

明日奈「シルフ領のずっと南だから、すっごい暑いと思うよ。」

深澄「今までにない仕掛けもあるらしいから、楽しみね。」

里香「キリトにカルムが、突っ走りすぎないように気をつけないとね〜。」

 

 そんな風に話す。

 シルフ領の南にあるトゥーレ島。

 そこが、今回のクエストの近くにある島だ。

 すると、直葉さんが口を開く。

 

直葉「前から聞こうと思ってたんですけど、皆さんは、どうやってお兄ちゃんと知り合ったんですか?」

悟「あと、カルムとも。」

 

 直葉さんと僕がそう聞くと、珪子さんと里香さん、琴音さんが顔を見合って、珪子さんが口を開く。

 

珪子「私は、モンスターに襲われている所を、キリトさんに助けてもらったんです。」

 

 珪子さん曰く、モンスターに襲われ、相棒のピナのHPが全損して、呆然としてしまい、襲われそうになった所を、助けてもらったそうだ。

 そこで、珪子さんを助けた理由が、妹………直葉さんに似ていると、キリトは言ったそうだ。

 それを聞いて、直葉さんも僕は、微妙な表情をして、他の人たちは笑う。

 

琴音「確かに、そんな事を真顔で言えるのは、キリトくらいだよね。」

里香「でも、直葉と珪子って、実際の所、あんまり似てないわよね〜。」

珪子「…………ど、どこを比べながら言ってるんですか!?」

直葉「アハハハハ……………。」

珪子「その後、キリトさんは、カルムさんと合流して、ピナを助けるために、冒険してくれたんです。」

 

 死んでしまったピナを蘇生させる為に、2人は協力したそうだ。

 その際、珪子さんは何かを思い出したのか、顔を赤く染めていた。

 次は、琴音さんが口を開く。

 

琴音「私は、カルムからしたら、少し最悪な出会い方だったかな…………。」

 

 琴音さん曰く、カルムが開けようとした宝箱を奪い、逃げたそうだ。

 それで、カルムから逃げてる途中で、トラップに引っかかってしまい、落ちてしまう。

 だけど、カルムは、落ちていく琴音さんの手を握った。

 

琴音「それで、私は聞いたんだ。どうして助けたのかって。その時、カルムはこう言ったの。『人が人を助けるのに、理由なんているか?この世界は、死んだら現実でも死ぬ。だからさ、人が目の前で死ぬのが、嫌なんだよ。』ってね。」

深澄「カルムらしいわね。」

 

 琴音さんの言葉に、深澄さんが頷く。

 その後、一緒に冒険したらしい。

 

里香「私の場合は、シリカみたいな、ドラマチックな出会いじゃなかったなぁ…………。」

 

 里香さん曰く、ある日、キリトが店にやって来て、店1番の剣をへし折ったらしい。

 

里香「いきなり売り物の剣をへし折られて、第一印象最悪だったわよ。」

直葉「す、すみません…………。」

珪子「キリトさんって、時々とんでもない事をしますよね。」

 

 珪子さんの言葉に、僕は納得していた。

 火妖精族(サラマンダー)のユージーン将軍と戦ったのはカルムだけど、発案したのはキリトらしいから。

 里香さんは、まだまだ言う。

 

里香「他にも、ドラゴンの巣穴に落っこちたり、ドラゴンのンコを投げつけたり、碌な思い出が無いわね…………。」

深澄「ドラゴンのンコ…………?ああ………クリスタライト・インゴットね。」

明日奈「ごめんね、リズ………。」

里香「まあ、今となっては、良い思い出だよ。」

 

 里香さんは、そう言う。

 というより、どんな物なんだろう。

 新生アインクラッドで、取れるのかな?

 まあ、鍛治系のスキルは取ってないから、意味ないと思うけど。

 すると、里香さんがボソッと呟く。

 

里香「何だかな…………今頃、美人の先生とイチャコラしてんのかな?」

 

 それは、どうだろう?




今回はここまでです。
一部、現在公開中の、冥き夕闇のスケルツォの設定を反映した物にしました。
ミトがクリスタライト・インゴットの事を知っていたのは、防具作成スキルを鍛えていた際に、知り合いから聞いた感じです。
PoHに目をつけられていたのを察したカルムでした。
次回は、水泳特訓が終わった頃まで行くかもしれません。
まあ、この小説では、ミトは攻略組から脱落していませんからね。
一応、Extra Editionをやった後、日常回を何話かやって、ファントム・バレットに入っていきます。
アンケートは、マグナムシューターが多いですね。
次回には終了したいと思います。
ただ、ローというキャラとカルムが戦うので、マグナムシューターだけでなく、剣型の武器を、持たせようかなと思います。
マグナムシューターが一番多い場合は。
その他にも、聞きたい事があるので、下記のリンクから、活動報告に行けるので、良かったら意見を聞かせて欲しいです。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=288909&uid=373253
これからも応援の程、よろしくお願いします。

今作では、ミトもGGOに行くべきか

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