ALO内 トゥーレ島
ここはシルフ領の南方にある島《トゥーレ島》。
アルヴヘイムのワールドマップの南にあるため、この島も現実世界と同様に真夏日となっている。
リアルでは日が沈んですっかりと夜となっているが、ALOではまだ昼過ぎといったところだ。
俺、キリト、クライン、ノーチラス、アーロンは、浜辺にビーチパラソルとビーチチェアを用意し、ビーチチェアの上でくつろいでいた。
すると、クラインが口を開く。
クライン「お前らよぉ~、オレは今日ほどALO内の時間が現実世界と同期してなくてよかったと思った日はねぇぜ。」
カルム「リアルはもう夜だからな。」
クラインの言葉に、俺はそう返す。
すると、クラインは起き上がって言う。
クライン「やっぱ、海はこうじゃなきゃよ!青い空!」
キリト「白い砂浜。」
クライン「寄せて返す波!」
キリト「眩しい太陽。」
クライン「そして…………!」
キリトとクラインは、交互にそう言って、海辺で遊ぶ女性陣を見ようとする。
すると。
エギル「よぉ、お待たせ。」
そう言って、2人の目の前に、エギルが着地する。
エギルの水着は、完全なブーメランという訳ではないが、かなりインパクトの強い水着姿だった。
まあ、美女を拝もうとしたら、いきなり筋肉質の巨漢が現れたのだ。
フリーズするのも、無理はない。
エギル「おい、どうしたんだよ?2人とも。」
カルム「いや…………いきなり筋肉質の巨漢が現れたら、誰もがびっくりするだろ。」
エギルが首を傾げる中、俺はそう言って、アーロンは苦笑、ノーチラスは呆れた様に首を振る。
ちなみに、パラドは、そこら辺を泳ぎまくっている。
女性陣は、楽しそうに遊んでいた。
リズベット「うりゃぁっ!STR型パワー全開!!」
リズベットはそう言って、勢いよく海水をシリカ達にかけていく。
シリカ「負けませんよ!ピナ、ウォーターブレス!」
シリカは、ピナにそう言うと、ピナは海面に顔を突っ込み、海水を飲む。
しばらく飲んで、腹が水によって膨れる。
「「はっしゃ〜!!」」
ピナに乗っているカナとユイちゃんがそう叫ぶと、ピナはリズに向かって、海水を噴射する。
それを顔面からまともに食らったリズは、倒れて、海に沈む。
ユナ「凄い威力だよね…………。」
フィリア「本当だね…………。」
それを見ていたユナとフィリアは、そうコメントする。
すると、アーロンは、リーファの元に行く。
アーロンside
僕は、リーファが心配になって、リーファの元に行く。
当のリーファは、難しそうな顔をして海面と睨めっこしていた。
そして、息を大きく吸い込んで水に顔を付け、10秒間程して水から顔を離した。
僕は、リーファに声をかける。
そこには、アスナさんとミトさんも居た。
アーロン「リーファ、大丈夫?」
リーファ「アーロン。うん、ばっちりだよ。もう怖くないよ。……足が付く深さなら、だけど……………。」
最後の方は、少し不安げだった。
それを聞いたアスナさんは。
アスナ「そう、良かった。………でも、これから行く所は…………。」
リーファ「そうなんですよね。海底ダンジョンって、どれくらい深いんですかね?」
ミト「確か…………海面からざっと100mって感じだったかしら…………。」
リーファ「ひゃ、ひゃく…………!?」
リーファは100という単語を聞いた途端、一気に顔を青ざめてしまう。
僕は、すかさずフォローに入る。
アーロン「大丈夫だよ。僕もサポートするから。何かあったら、僕を頼ってね。」
リーファ「アーロン…………。うん!あたし、頑張るよ!」
アーロン「うん。」
リーファの表情は、明るくなった。
それを見ていたアスナさんとミトさんは。
アスナ「リーファは、アーロン君に任せようか。」
ミト「そうね。」
そう言って、2人は離れる。
恐らく、気を遣ったのだろう。
しばらく最後の特訓に付き合って、男性陣の方に戻る。
カルムside
リーファの元に行っていたアーロンが戻ってきて、俺たちは、これから受けるクエストについて話し合う。
クライン「おい、キリト。マジなんだろうな?このクエストにクジラが出るっていう話。ユイちゃんとカナちゃん、すっげぇ楽しみにしてたぞ?これでクジラじゃなくて、クラゲだったりクリオネだったらシャレになんねぇぞ。」
キリト「巨大クリオネだったら見てみたいけどなぁ…………。」
ノーチラス「そういう話じゃないだろ。」
クラインの言葉に、キリトはそう答え、ノーチラスは呆れながら言う。
カルム「エギル、ノーチラス、何か情報はあったか?」
エギル「ああ、それがなぁ。こんなワールドマップの端っこにあるクエストだから、知っている奴が少なくてな。」
ノーチラス「ただ、アルゴによると、クエストの最後に巨大なサイズの水棲型モンスターが出てくるのは本当だそうだ。」
俺の質問に、エギルとノーチラスはそう答える。
すると、戻ってきたパラドが口を開く。
パラド「つまり、情報は少ないけど、期待は出来るって事だな!」
クライン「そうだな!今日は頑張ろうぜ!」
クラインはそう叫びながら、いつもより気合が入った様子でビーチチェアからひょいっと飛び起きる。
そして、女性陣に声をかける。
クライン「みなさーん、そろそろ出発の時間ですよー!」
アスナ「はーい!今行きまーす!」
クラインの言葉に、アスナがそう答え、女性陣たちはこっちに並んで歩いてくる。
その光景を見ていたクラインは、鼻の下を伸ばしていた。
それを俺たちは、呆れた表情で見ていた。
ある程度歩くと、女性陣はメニューウィンドウを開いて操作して、いつもの戦闘服へと変わった。
それを見たクラインは、唖然となる。
クライン「へ……?あの、みなさん……。クエスト中はずっとその装備で……?」
リズベット「あったり前でしょ、戦闘するんだから。アンタもさっさと着替えなさいよー。」
クラインのその言葉に、リズはそう返す。
俺たちは、既にいつもの服に着替えていた。
ノーチラス「クライン。お前はそんなんだから、モテないんだよ。」
ノーチラスの言葉が止めを刺したのか、クラインはその場に膝から崩れ落ち、砂浜に手をつけて涙を流し始めた。
そんなクラインを放置して、話は進む。
キリト「えー、僭越ながら、今回のクエストでは俺がレイドパーティのリーダーを務めさせてもらいます。クエストの途中で目的の大クジラが出現した場合は、俺の指示に従ってください。」
「「「「はーい。」」」」
ミト「ええ。」
カルム「おう。」
パラド「あいよ。」
エギル「うむ。」
ノーチラス「分かった。」
ユナ「OK!」
キリト「このお礼はいつか精神的に。それじゃあ、皆頑張ろう!」
『おおーっ!』
ピナ「きゅる!」
最後の掛け声はピナまでも上げて、クラインを除いて全員の士気が高まった。
そして、未だにショックを受けているクラインを置いて、目的地へと飛び立ったのだった。
飛び立ってからしばらくして、俺たちは周囲の海を見渡す。
だが、これと言って、怪しい物は見当たらない。
すると、やっとクラインがやって来る。
クライン「お?あそこじゃねえか?」
クラインはそう言って、ある箇所を指差す。
そこは、周囲と比べると、光っていた。
それを見て、全員が頷く。
アスナ「それじゃあ、《ウォーターブレッシング》の魔法をかけるね。」
そう言って、アスナは詠唱をする。
すると、水中呼吸の支援魔法が付いた。
俺たちは、海へと飛び込んでいく。
アーロンは、リーファの元に行っていた。
アーロンside
僕は、リーファの事が心配になって、彼女の元に。
アーロン「リーファ。大丈夫?」
リーファ「アーロン…………ちょっと、不安かも。」
アーロン「大丈夫。僕がついてるから。」
リーファ「うん。」
僕は、リーファの手を握って、一緒に海の中に入っていく。
リーファは、一瞬パニック状態になりそうになったけど、僕はすぐにリーファの手を握って、一緒に行く。
すると、リーファは落ち着いたみたいだ。
そうして、深海の神殿へと向かっていく。
カルムside
リーファが少し心配になったが、アーロンが居るから問題ないか。
俺たちは、海底にある神殿に向かって泳いでいく。
数分すると、目的の神殿が見えてきた。
シリカ「うわぁ…………凄い…………!」
リズベット「あ、あそこに誰か居るわよ!」
シリカが感嘆の声を出す中、リズベットは指差す。
そこには、人影があった。
エギル「おっ、クエストNPCだな。」
クライン「海の中で困っている人とくりゃぁ、人魚だと相場が決まってるぜ!マーメイドのお嬢さ~ん、今助けに行きますよ~!」
ノーチラス「……………何でそうなる。」
ユナ「本当にブレないね…………。」
エギルがそう言うと、クラインは叫びながら、クエストNPCの方に向かう。
それを見ていたノーチラスは呆れ、ユナは苦笑する。
俺たちもクエストNPCの方に向かうと、クラインは片膝をついて、手を差し伸べている姿勢で固まっていた。
何故なら、女性ではなく、お爺さんだったからだ。
ユイ「お嬢さんではなく、お爺さんでしたね。」
カナ「だね。」
ユイちゃんとカナが、そうコメントする。
俺たちは、固まっているクラインを放っておいて、代表してキリトが話しかける。
キリトが話しかける中、俺はお爺さんの名前を見ていた。
名前は、《Nerakk》と表示されていた。
恐らく、ネラックと呼ぶのだろう。
ネラック「おぉ、地上の妖精たちよ。この老いぼれを助けてくれるのかい?」
キリトが、クエストを受注した事で、喋り出す。
お爺さん曰く、古い友人への土産物をこの神殿を根城にしている盗賊に奪われてしまい、それを俺たちに取り返してほしいらしい。
その真珠の大きさを手を振って説明したのだが、大きさは、サッカーボールより少し大きいくらいだ。
リズベット「でかっ!」
フィリア「へぇぇ…………。」
リズベットとフィリアはそう言う。
2人の目は輝いていた。
ノーチラス「おい。ネコババして、売り飛ばそうと考えてないだろうな?」
ユナ「2人とも!クエストアイテムを盗むのはダメだよ!」
リズベット「し…………しないわよ!今回は。」
フィリア「私もしないよ!…………今回は。」
ダメだこりゃ。
実は、この2人、クエストアイテムを勝手にネコババしそうになった事があるのだ。
その時は、俺たちで全力で止めた。
俺たちは、海底神殿内へと足を踏み入れていく。
ただ、リーファがそのお爺さんを気にしていたのが気になるが。
海底神殿内は、オレンジ色の照明に照らされていて、明るかった。
現状、水棲型モンスターや盗賊は現れていない。
警戒しないとな。
俺は、アーロンが先ほどから後ろを…………リーファの方を見ていたのが気になり、声をかける。
カルム「アーロン、どうした?」
アーロン「カルム…………。ちょっと、リーファが不安で…………。」
カルム「泳ぎの特訓をして、泳げるようになったんだろ?大丈夫だと思うよ。」
アーロン「そうだと良いんだけど…………。」
アーロンはそう言う。
まあ、気持ちは分かるけどな。
カルム「…………アーロンは、リーファを支えるんだろう?なら、リーファが危なくなったら、助けてやらないとな。」
アーロン「カルム…………。そうだね。くよくよしてる場合じゃないね。」
カルム「その意気だ。」
どうやら、大丈夫そうだな。
俺が前を向くと、キリトとクラインが、落とし穴に差し掛かっていた。
カルム「キリト!クライン!前を見ろ!!」
キリト「えっ?……………のわぁ!?」
クライン「なぁぁぁ!?」
俺はそう叫ぶも、キリトとクラインは、穴の中に落ちていく。
2人は必死に泳いで何とか飲み込まれる前に這い上がってきた。
エギル「…………見えてる落とし穴に落ちる奴が居るか。」
ノーチラス「注意不足だ。」
エギル「2人を引き上げるぞ。カルム、ノーチラス、アーロン。手伝ってくれ。」
カルム「分かった。」
アーロン「はい。」
ノーチラス「ったく…………。」
俺たち男性陣で、キリトとクラインを引き上げる。
それを見ていた女性陣は。
リズベット「これが元攻略組のトッププレイヤーだなんてね。」
シリカ「大丈夫ですよ。私はどんなキリトさんだって…………ぶっ!」
「「「「あはは……………。」」」」
リズベットの呆れた発言に、シリカが何かを言おうとすると、リズベットにどつかれる。
それを見ていたミト、アスナ、ユナ、フィリアは苦笑する。
すると、カナとユイちゃんが、大声を出す。
ユイ「あっ…………!」
カナ「皆さん!後ろに気を付けてください!」
そう言うと、穴から何かが出てくる。
しかも、二体だ。
クライン「おわっ!出たか、クジラかっ!?」
カルム「絶対違うだろ!」
クラインはそう言って、俺はそう突っ込む。
現れたのは《Armachthys》という名の大型の魚モンスターだ。
頭の部分が、骨で覆われている魚型のモンスターだった。
キリト「戦闘用意!」
パラド「あいよ!やっと暴れられるぜ!」
その魚型のモンスターが、俺とキリトに向かって突進してくる。
俺とキリトは、すぐに剣で受け止めるが、ダメージが一切入っていない。
カルム「くそっ!こいつ、正面からは無理だ!」
キリト「ああ!俺とカルムでタゲを取る!皆は側面から攻撃してくれ!」
クライン「おっしゃああ!!」
エギル「任せろっ!!」
パラド「行くぜ!」
ノーチラス「分かった!」
アーロン「はい!」
その声と共に、男性陣が、側面から攻撃する。
リズベット「私たちも行くわよ!」
シリカ「はい!」
フィリア「分かった!」
ミト「行くわよ!」
それを見ていたミト達も、俺たちの方に向かう。
リーファ「あ、あたしも…………うわっ!」
リーファも、こちらに向かおうとするが、上手く動けないようだ。
アーロン「リーファ!無理しないで!」
キリト「リーファ!アスナとユナと一緒に、援護頼む!」
アーロンとキリトは、そう言う。
リーファとアスナは支援魔法を、ユナは吟唱スキルを使い、バフがかかる。
一匹が、ユナの方に向かおうとするが。
ノーチラス「ユナの所には行かせない!」
すぐにノーチラスが対応する。
俺たちの猛攻で、一匹は撃破して、残り一匹となった。
あと少しと思っていると、リーファが抜刀してやってくる。
アーロン「リーファ!?」
リーファ「大丈夫!ハァァァァァ!」
リーファは、大きく上段構えで攻撃しようとする。
だが、モンスターは俺たちから離れて、高速で回転して泳いで渦潮を発生させた。
カルム「渦潮!?」
ミト「皆、伏せて!」
ミトの声と共に、俺たちはすぐに伏せる。
だが、リーファだけは、攻撃しようとしたのが理由で、伏せる事が出来ず、渦潮に巻き込まれてしまった。
アーロンside
リーファ!!
リーファが飛び出して、渦潮に巻き込まれてしまい、先ほどキリトとクラインさんが落ちかけた穴に落ちていた。
幸いにも、縁に掴まることが出来ていたから、どうにかなっているが、いつ落ちてもおかしくない。
すると、僕は敢えて渦潮の中に突っ込んでいく。
カルム「アーロン!無茶すんな!」
カルムのそんな声が聞こえたような気がする。
僕は、渦潮に巻き込まれかけるが、何とか振り切って、天井に足をつける。
すぐに、ゼロガッシャーを大剣状態から、ボウガンの状態にする。
アーロン「ハァァァァァ!」
ゼロガッシャーから、光の矢を放ち、モンスターを倒す。
アーロン「リーファ!!」
僕は、すぐにリーファの元に向かい、リーファの左手を掴む。
リーファ「アーロン…………?」
アーロン「大丈夫!すぐに助けるから!」
だが、右手にはボウガン状態のゼロガッシャー、左手にはリーファの手を握っているから、掴めない。
僕は、ゼロガッシャーの弓の部分を縁に引っ掛ける。
だが、すぐに持たなくなって、外れてしまう。
すると。
カルム「アーロン!大丈夫か!?」
僕の右腕を、カルムが掴んでいた。
カルムside
全く、無茶しやがって!
アーロンは、リーファを助けようとするが、ゼロガッシャーの弓の部分を縁に引っ掛けるも、すぐに外れてしまった。
何とか、俺が掴む事に成功した。
アーロン「カルム…………!」
カルム「待ってろ!すぐに引き上げるからな!キリト!クライン!エギル!パラド!ノーチラス!手伝ってくれ!」
キリト「おう!」
クライン「おうともさ!」
エギル「任せろ!」
パラド「ああ!」
ノーチラス「急ぐぞ!」
男性陣総出で、アーロンとリーファの2人を引き上げる。
流石に疲れて、息を切らせる。
すると、リーファが口を開く。
リーファ「アーロン…………お兄ちゃん…………皆…………助けてくれて、ありがとう!」
その言葉に、俺たちは笑う。
そうして、俺たちは更に進んでいく。
途中、色んなトラップや、巨大なカニを始めとする水棲型モンスターの襲撃があったりしたが、難なく突破して、最深部に辿り着いた。
目的の真珠を回収して、俺たちは神殿の外へと出る。
クライン「オレ、当分エビだのカニだの見たくねぇ…………。」
エギル「イカとタコもな…………。」
ノーチラス「僕も…………しばらく海鮮系は見たくないかな……………。」
クラインとエギルとノーチラスは、神殿の入り口の階段に腰を下ろしてそう言う。
パラド「でも…………結局、クジラは出てこなかったな。」
カルム「あ。」
ミト「確かにね。でも、カナもユイちゃんが楽しそうだったからね。」
まあ、2人が満足してるなら、それで良いか。
だが、とある事が引っ掛かる。
カルム「う〜ん…………。」
フィリア「どうしたの?」
カルム「いや…………この神殿を根城にしている盗賊とは、結局遭遇しなかったなぁって思ってな。」
ユナ「言われてみれば…………。」
フィリア「それに…………あの真珠が置いてあった場所って、何か、巣みたいな感じだったような…………。」
俺たちはそう話す。
すると、ミトとアスナが、キリトの方に向かう。
俺も行ってみると、ミトが、真珠を掲げた。
ミト「アスナ………これって…………!」
アスナ「うん…………!これ、真珠じゃなくて、卵よ!」
カルム「何!?」
2人がそう言う中、俺も見る。
すると、魚の幼生体らしき影が見える。
つまり、クエスト名の《深海の略奪者》の略奪者とは、そのクエストを受けたプレイヤー達の事だったのだ。
ネラック「さあ、早くそれを渡すのだ。」
お爺さんはそう言いながら、俺たちに近寄る。
俺、キリト、ミトは武器を構えて、アスナは卵を抱える。
それを見て、拒否と判断したお爺さんは。
ネラック「渡さぬと言うのであらば、仕方ないのぉっ!!」
お爺さんはそう言って、目を開く。
だが、目は人間の物ではなかった。
そして、お爺さんは姿を変えていく。
長く蓄えていた白い髭は吸盤付きの8本の触腕に変化し、体が大きく膨れ上がって巨大な軟体生物に変化させる。
その姿はまごう事なき、巨大なタコだった。
名前も、《Kraken the Abyss Lord》となった。
名前の感じは、SAOの物と似たような文になっていた。
そして、7本のHPゲージが出現する。
リーファ「クラーケン!?」
クラーケンといえば、北欧神話で、海で船を襲う巨大なタコやイカの姿をした怪物の事のはずだ。
うろ覚えではあるが。
クラーケン「礼を言うぞ、妖精達よ。我を拒む結界が張られた神殿からよくぞ神子の卵を持ち出してくれたのぉ!さぁ、それを我に捧げよ!」
アスナ「お断りよ!この卵は私たちで神殿に戻します!」
ミト「アンタの様な奴に渡さない!」
クラーケン「愚かな羽虫どもよ!ならば深海の藻屑となるがよいっ!!」
そうして、戦闘が始まる。
クラーケンは、触手を振り下ろしてくる。
それを、クライン、エギル、ノーチラスの三人が受け止め、リーファとシリカとユナが、支援魔法や吟唱スキルで援護する。
三人は、受け止めるのが精一杯の様だった。
キリト「ハァァァァァ!!」
カルム「でやぁぁ!」
アーロン「フッ!」
パラド「オラァッ!」
ミト「ハァァァァァ!」
俺、キリト、アーロン、パラド、ミトの5人で攻撃するが、すぐに再生される。
カルム「なっ…………!?」
すぐに再生されるとは思っておらず、ソードスキル発動の硬直で動けない俺たちに、クラーケンが触手を叩きつけようとする。
リズベット「キリト!」
フィリア「カルム!」
リズベットとフィリアが、俺たちを助けようとするが、全員が吹っ飛ばされる。
何とか、死んだやつは居ないが、前衛は全員がHPがレッドゾーンになっていた。
すると、カナが話しかける。
カナ「パパ!あのクラーケンは、新生アインクラッドのフロアボスを遥かに上回る数値です!」
カルム「嘘だろ…………!?」
それはあまりにも戦力差が凄まじい。
新生アインクラッドのボスだって、フルレイドでもやられる事があるのだ。
まずいな…………!
すると、口を開けながら迫ってきたクラーケンと俺たちの間に、三又の槍が降ってくる。
クラーケン「ぬっ!?この槍は…………!?」
クラーケンが驚く中、上から巨人が現れる。
名前は、《Leviathan the Sea Lord》。
つまり、リヴァイアサンという事だ。
しかも、HPバーは、リヴァイアサンは8本もある。
すると、リヴァイアサンは、クラーケンに話しかける。
リヴァイアサン「久しいな、古き友よ。相変わらず悪巧みがやめられないようだな。」
クラーケン「そう言う貴様こそ、いつまでアース神族の手先に甘んじているつもりだ?海の王の名が泣くぞ!」
リヴァイアサン「私は王であることに満足しているのさ。そしてここは私の庭。それを知りながらも戦いを挑むのか、深淵の王よ?」
リヴァイアサンの言葉に、不利を悟ったのか、クラーケンは少し下がる。
クラーケン「今は退くとしよう。だが、諦めるつもりはないぞ!いつか神子の力を我が物とし、忌々しい神共に一泡吹かせるその時までぇぇ!」
クラーケンはそう言いながら、後ろに下がり、深海の更に奥深くへと消えていった。
俺たちが呆然とする中、リヴァイアサンはアスナに話しかける。
リヴァイアサン「その卵はいずれ全ての海と空を支配するお方のもの。新たな場所に移さねばならぬ故、返してもらうぞ。」
リヴァイアサンがそう言うと、アスナが抱えていた卵は消えて、クエストクリアのウインドウが出る。
カルム「俺…………あのクラーケンとリヴァイアサンの会話が全く分からなかったぞ………。」
ミト「私も…………。」
リヴァイアサン「今はそれでよい。さ、そなたらの国まで送ってやろう、妖精たちよ。」
フィリア「送るって…………どうやって?」
俺とミトの会話に、リヴァイアサンはそう答える。
フィリアの質問には、リヴァイアサンは答えずに、上空に巨大な影が現れる。
その影の正体は、クジラで、クジラに乗って、俺たちは海の外に出る。
ユイ「クジラさん、すっごくすっごく大きいですっ!」
カナ「本当に大きいね!」
ユイちゃんとカナは、満足そうにそう言う。
それにしても、クジラに乗る事が出来るなんてな。
こうして、ALOでの一夏の冒険は、幕を閉じたのだった。
今回はここまでです。
今回で、Extra Editionの話は終わりです。
これが、カルム達の一夏の思い出となった事でしょう。
次からは、日常回をやって、ファントム・バレットに入っていきます。
ヴァリアント・ショウダウンが始まって、かなり面白いゲームでした。
ファントム・バレットでは、アインクラッドでカルムと因縁があるキャラが登場します。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
リクエストは、活動報告から受け付けています。
ついでに、もし良かったらで良いですが、ファントム・バレット以降に聞きたい事があるので、下記のリンクから、その活動報告を見て、何か意見が欲しいです。
良かったらで良いので、よろしくお願いします。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=288909&uid=373253
今作では、ミトもGGOに行くべきか
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行く
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行かない