第1話 全ての始まり
俺の朝は早い。
俺の家は剣道をやっていて、俺も剣道をやっている。
早朝に道場へと向かい、掃除をしてから稽古を始める。
冬馬「さて、これをやったら、SAOやるか!」
この時期にやる事と言えば、素振りをやって、模擬試合をやった。
休日故に、午前中で稽古を切り上げて、昼食を取る。
昼食を食べ終えると、父さんと母さんに声をかけられた。
父さんの方が、小野倫太郎、母さんの方が、小野洋子。
父さんは、剣道の道場の師範で、母さんは、官僚のコネを持つ新聞記者だ。
倫太郎「冬馬。SAOをやってはいいけれど、程々にな。」
洋子「まあ、冬馬は分かってると思うけど。」
冬馬「分かってるよ、父さん、母さん。」
この2人にはどうも頭が上がらない。
父さんは、剣道の師範で、母さんは、色々な意味でヤバい。
実際に、父さんは高校生や大学生の時に、何度も大会で優勝した腕前で、今も衰えていない。
母さんはライバル企業が母さんの事を潰しにかかったが、逆に悪事を露呈させられ、潰されたという噂があり、本人に聞くと、少し悪い笑みで、「さぁ?どうなんだろうね?」と語った。
両親共にゲーム好きで、とあるゲーム大会で出会って、そこから一目惚れしたそうだ。
でも、俺は2人に感謝している。
父さんから剣の腕と礼儀正しさを学び、母さんから情報戦におけるノウハウを叩き込んでもらった。
そうして、俺は自分の部屋へと向かい、ナーヴギアを被った。
そして、浮遊城へと向かう魔法の言葉を言う。
冬馬「リンク・スタート!」
その言葉と共に、俺はSAOの世界へと向かう。
少しの浮遊感と共に、目を開けると、そこには、始まりの街が広がっていた。
カルム「久しぶりに来たなぁ!SAO!」
そう、この日、2022年11月6日は、ソードアート・オンラインの正式サービス開始日だ。
俺は、この日を待ち侘びていた。
さて、ミトと会えれば良いんだけどな。
そんな事を思っていると、1人の女の子がNPC相手に話しているのを見つけた。
???「だから、兎澤深澄って言う女の子は居ませんか!?」
NPC「申し訳ありません。その様なプレイヤーは居ません。」
なるほど、あの子は初心者だな。
しばらくすると、見覚えのある大男が、その女の子に向かっていった。
て言うか、ミトじゃん。
声をかけるべく、2人に近づく。
カルム「よお、ミトじゃん。」
ミト「ん?カルム?」
???「誰?」
ミト「それはそうと…………ここでは、本名で呼ばないで!!」
俺が話しかけると、2人はそう反応する。
そして、ミトはそんな風に叫ぶ。
ただ、男の声だったのが、今は女の声になっていたのだが。
その後、俺達は広場から少し離れたベンチに向かった。
ちなみに、女の子の名前は、アスナというらしい。
一応、聞いてしまった以上、俺も教えてもらった。
どうやら、ミトはそこの目の前に居るアスナとは同級生らしい。
ミト「こっちに来るなら、先に言ってよ。」
アスナ「ごめん……………ついさっき、急に思いついたの。」
カルム「それと、アスナさん。ミトも叫んだ通り、ここでは、リアルネームは御法度なんだ。プレイヤーネームで呼ぶんだ。」
アスナ「ごめん…………。」
ミトがそう言って、飲み物を渡して、アスナはそれを飲みながら言う。
一応、俺も釘を刺しておく。
アスナ「本当に………深澄なのよね?」
ミト「こっちだとミト。」
アスナ「ミト?…………どうして、そんな格好をしてるの?」
ミト「こういう感じのキャラが好きなの。」
アスナがそう聞く中、ミトは声を変えながらそう言う。
驚いたよな。
カルム「それにしても、驚いたな。」
ミト「まあ、カルムに関しては、事故だろうけどね。」
カルム「まあ、良いんじゃないか?そういう感じでも。」
俺とミトは、そう話す。
やっぱり、そっちの方がしっくりと来るよな。
そんな中、アスナが口を開く。
アスナ「それにしても、深澄とは思えないわね。あと、私以外にも、ゲームをする人が居るなんて。」
ミト「深澄じゃなくて、ミト!それに、カルムとは、たまたま会っただけだから。」
カルム「まあ、そういうのも、ネットあるあるだよな。」
ミト「まあね。でも、私からしたら、アスナの方がよっぽど大胆だよ。プレイヤーネームは本名だし、アバターも、リアルの姿のままだし。」
アスナ「だって…………よく分からなかったんだもん。」
カルム「アハハハハ………………。」
なるほど。
まあ、ネット初心者みたいな感じだよな。
ミト「全く……………でも、こっちでもアスナに出会えて嬉しいな。」
アスナ「うん!私も、ミトに会えて良かった!」
カルム「あの〜………………俺はどうすれば良いんですかね?」
アスナ「そういえば、その人はどうするの?」
ミト「………………まあ良いか。それはさておき、そろそろ行こうか。」
俺は、若干気まずく感じていた。
何せ、2人がリアルでも親友なのに対して、俺は部外者だ。
ミトは少し考えて、そう言った。
アスナ「え?どこに?」
ミト「このゲームの一番の醍醐味を教えてあげよう。装備を揃えてモンスターと戦うんだ。」
アスナ「えっ!?た、戦うって!?」
カルム「大丈夫ですよ。この街の周囲のモンスターは、弱い奴が多いから。」
アスナ「でも、私、ゲームとかは…………!」
ミト「格ゲーとは違って、実際に体を動かして戦うんだ。アスナは運動が得意だから、すぐに慣れる。」
アスナ「そ、そうかなぁ……………?」
まあ、初心者だとそうなるのも無理ないよな。
俺としては、そこら辺はその人の意思を尊重するが。
ミト「でも、その前に。街の中を歩いてみよう。このゲームの一番の醍醐味だから。」
アスナ「ふふっ。一番がいくつあるのよ。」
カルム「それだけ、このゲームは面白いって事ですよ。」
しばらく話して、ミトとアスナに付き合う事にした。
ショッピングに付き合わされたり、それぞれの装備を整えたりした。
それにしても、結構楽しいな。
気づけば、夕方になっていた。
ミト「お腹空いたろ?美味しいところに案内しよう。」
カルム「良いな。この先の角を曲がったところに……………。」
アスナ「ねぇ。このゲームのサービス開始って、今日からなんだよね?」
カルム「そうだけど……………。」
アスナ「ううん。2人とも、随分詳しいんだなって。」
ミト「長い事予習してたから。」
アスナ「予習?」
アスナの質問に、ミトはそう答える。
まあ、βテストは、ある意味で予習だからな。
すると、アスナは口を開く。
アスナ「あっ!私、そろそろ帰らないと!」
ミト「ご飯は?」
アスナ「折角だけど、また今度にするよ。」
カルム「分かった。俺はもうちょいやるけど、ミトはどうする?」
ミト「私も残る。まだやる事があるしね。」
アスナ「ふふっ。ありがとう、2人とも。今日はとても楽しかった。じゃあ、ミトとは、また明日、学校でね。」
そう言って、アスナはログアウトしようとする。
まあ、俺はもうちょいやりますか。
すると、アスナが口を開く。
アスナ「あれ?」
ミト「どうした?」
アスナ「ねえ。このゲームって、どうすれば外に出られるの?」
カルム「ログアウトボタンがある筈だけど?」
アスナ「う〜ん……………ログアウト……………ログアウト……………見つからない。」
カルム「え?」
ミト「そんなはずは……………。」
どういう事だ?
胸騒ぎがして見てみると、ログアウトボタンが消えていた。
ミト「ん?ない!?」
カルム「どういう事だ!?」
ミト「変だな。UIのデザインは前と一緒なのに。」
カルム「それに、こんな事になってるのに、運営から何も連絡がない。」
これって、やばくね?
こんな事になってるのに、運営からお詫びの連絡の一つもない。
すると、鐘が鳴りだすと同時に、転移エフェクトに包まれて、俺たちは広場に転移していた。
周囲には、沢山のプレイヤーが。
ミト「強制テレポート?」
カルム「一体、何が起こっているんだ…………?」
アスナ「ミト……………カルム君…………?」
男性「なあ、上!」
カルム「ん?」
俺たちが思案している中、男性の叫び声が聞こえる。
すると、上空には、『WARNING』と書かれた六角形が浮いていた。
鐘の音が止まった次の瞬間、それが大量に増えていく。
何が起こっている?
そう思う中、それらから赤黒い液体が出てきたと思ったら、それが何かを形成する。
出来上がったのは、赤いローブの何かだった。
それを見て、周囲がざわつく中、その赤ローブは、喋りだす。
???「プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。」
カルム「何だあれ?」
ミト「………?」
茅場「私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロール出来る唯一の人間だ。」
アバターもとい茅場晶彦はそう宣言した。
茅場晶彦。
その人物は、天才プログラマーで、このゲームを開発した責任者だ。
ミト「茅場……………!?」
カルム「晶彦……………!?」
アスナ「ねえ、誰なの?」
カルム「……………茅場晶彦。このゲーム………ソードアート・オンラインやナーヴギアの開発者だ。」
茅場「プレイヤー諸君は、既にメインメニューからログアウトボタンが消失した事に気付いていると思う。しかしゲームの不具合などではない。繰り返す、これは不具合ではなく、『ソードアート・オンライン』本来の仕様である。」
カルム「仕様……!?」
おい、どういう事だ?
茅場「諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトする事は出来ない。」
ミト「何ですって……!?」
アスナ「え……。」
茅場「また、外部の人間の手による、ナーヴギアの停止あるいは解除もあり得ない。もしそれが試みられた場合、ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる。」
なんだと……!?
俺はそれを聞いて、呆然としていた。
茅場「具体的には、10分間の外部電源切断、2時間のネットワーク回線切断、ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊の試み、以上の条件を満たすと、ナーヴギアの脳破壊シークエンスが実行される。既に警告を無視した家族友人等のナーヴギアを強制除装を試みた結果、213名がアインクラッド及び現実世界からも永久退場している。」
つまり、既に死者が出ているという事だ。
ジョークの類ではないのは間違いないな。
茅場「既に報道された結果、諸君らが死ぬ事はない。安心して、ゲーム攻略に励んで欲しい。」
カルム「マジか………………。」
茅場「しかし、充分に留意してもらいたい。諸君らのヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅して、ナーヴギアによって、脳は破壊される。ログアウトするには、百層まで辿り着き、ボスを倒してゲームをクリアすればいい。」
なんだと……!?
つまり、ここで死んだら、現実でも死んでしまう。
デスゲームになったって事か。
それを聞いて、プレイヤーたちが動揺する。
茅場「諸君らが解放される条件はただ一つ。このゲームをクリアすれば良い。現在、君たちが居るのは、アインクラッドの最下層、第一層である。各フロアの迷宮区を攻略し、フロアボスを倒せば、上の階へ進める。第百層にいる最終ボスを倒せば、ゲームはクリアだ。」
茅場は、ルールを説明した。
正直、厳しくねぇか?
すると、周囲から叫び声が聞こえてくる。
男性「適当な事言ってんじゃねぇよ!!」
男性「クリア…………?第百層だと…………!?出来る訳ねぇだろうが!βテストじゃあ、碌に上がれなかったんだろ!?」
その叫び声を筆頭に、人たちは叫んでいく。
そう。
βテストで上がれたのは、第十層までだ。
事実、第十層のボスを拝む前に、βテストが終了したのだ。
無理にも程がある。
そんな中、茅場は口を開く。
茅場「それでは、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに私からのプレゼントがある。」
カルム「プレゼント?」
俺たちは、そう言われて、アイテムストレージを確認する。
すると、手鏡というアイテムが入っていた。
手鏡は、入手した覚えがない。
それを実体化させて、首を傾げながら眺めていると、突然、視界が青白く包まれた。
暫くすると、元の視界になった。
すると、声がかけられる。
???「アスナ!カルム!大丈夫!?」
アスナ「あ、うん………………えっ!?あなた、深澄!?」
ミト「もう!こっちではミトだってば………!」
カルム「いや、そうじゃなくて!ミト、姿が変わってるぞ!?」
ミト「え……………!?」
そう。
ミトの姿が、いかつい男のアバターから、ポニーテールの女の子の姿に変わっていたのだ。
俺は、手鏡を覗き込むと、リアルでの姿に変わっていた。
手鏡を見るとそこには、俺の現実での顔が。
アスナは大して変化していなかった。
すると、ある可能性につながった。
アスナ「どういう事なの!?」
カルム「そうか!ナーヴギアが顔をスキャンした事で、再現できたんだ!」
アスナ「で、でも、体とかはどうしてなの?」
カルム「それは……………キャリブレーションか。」
ミト「それで体格とかを再現したって事!?なぜ……………!?どうして、茅場晶彦はそんな事を……………!?」
カルム「どうせ、すぐに教えてくれるさ。」
そう。
体格とかは、キャリブレーションをした事で、再現できたんだろう。
ミトがそう言う中、俺は茅場を指差す。
その数秒後、茅場は答える。
茅場「諸君は今、なぜと思っているだろう。何故、ソードアート・オンライン及び、ナーヴギアの開発者である茅場晶彦は、こんな事をしたのかと。私の目的は既に達せられている。この世界を生み出し、干渉する為にのみ、私はソードアート・オンラインを作った。そして今、全ては達成せしめられた。以上で、ソードアート・オンライン、正式サービスのチュートリアルを終了する。最後に忠告しておく。これはゲームであっても、遊びではない。プレイヤー諸君の健闘を祈る。」
茅場はそう言って、消えていった、
茅場の言葉の中にあった、『これはゲームであっても、遊びではない。』は、茅場がインタビューで答えた言葉だ。
つまり、茅場は本気で、これは現実だ。
周囲の人たちが呆然とする中、女の子の悲鳴が聞こえる。
女の子「いや…………!いやぁぁぁぁぁぁ!!」
それを皮切りに、周囲から怒号と悲鳴が響いていく。
そんな現実を見る中、俺は覚悟を決めていた。
デスゲームと化してまった、ソードアート・オンライン。
この中で、絶対に生き抜いてみせると。
今回はここまでです。
デスゲームが始まりました。
前の紫紺の剣士での第3話までは、今日中に投稿したいと思います。
ぶっちゃけ、前の紫紺の剣士とほぼ同じではあるので。
カルムの装備に関しては、前の紫紺の剣士とほぼ同じです。
ブレイド関連の装備となります。
リーファとシノンに彼氏は必要か
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必要。
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リーファのみ要る。
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シノンのみ要る。
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必要ない。