ソードアート・オンライン Re:紫紺の剣士   作:仮面大佐

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第7話 それぞれの覚悟と想い

カルムside

 

 まさか、SAOで生まれた悪意が、GGOでまた生まれるとはな。

 SAOで猛威を振るった殺人ギルド、《ラフィン・コフィン》。

 その生まれたきっかけは、PoHという男だ。

 ユーモラスな響きの名前だが、奴は強烈なカリスマ性を持っていた。

 まさに、血盟騎士団の団長であるヒースクリフとは真逆の存在。

 ゲーム開始から1年が経過した2023年の大晦日の夜に、レッドギルド、《ラフィン・コフィン》結成の告知が、アルゴを始めとする情報屋に伝達された。

 その後、ラフコフはプレイヤーを殺しまくったのだ。

 攻略組としては、そんな事を防ぐべく、色々対策を講じていたが、奴らは更に新しい手口を編み出していって、イタチごっこの常態だったのだ。

 俺はラフコフの事を、悪意と称していた。

 ネット世界で生まれた悪意は、人の心を侵していき、更に悪意を広めた。

 その後、罪悪感に負けたプレイヤーがラフコフのアジトを教え、討伐隊が組まれた。

 しかし、こちらの情報が漏れていて、血みどろの混戦状態に陥った。

 その際に、俺はプレイヤーを2人殺してしまったのだ。

 冷静さを欠いてしまった事が理由で。

 その結果、暫くはホームに引き篭もっていたのだが、仲間が支えてくれた。

 だが、その悪意が、また現れるとは……。

 

シノン「3人とも、なんて顔をしてるのよ。」

エターナル「大丈夫か?」

アラン「どうした?」

クレハ「苦戦した様には見えなかったけど。」

 

 そんな事を考えていると、シノン、エターナル、アラン、クレハ、アファシスの5人がやって来た。

 

キリト「あ………い、いや、何でも………。」

カルム「ま、まあ………GGOでの対人戦は、これが初めてだからな………。」

ミト「そ、そうね………。」

シノン「………?」

アファシス「何か、3人の様子が変ですね。」

アラン「ああ………。」

クレハ「確かに………。」

エターナル「…………………。」

 

 俺は、そんな曖昧な返事をするしか出来なかった。

 その後、俺はKブロックに配置されていたのだが、相手を倒していった。

 2回戦は、マグナムシューターを周囲に向かって撃ち、跳弾を利用して炙り出して、レイジングソードで倒した。

 3回戦は、相手の背後からレイジングソードで倒した。

 準々決勝は、マグナムシューターが連射が出来る事に気付き、連射しながら相手をドラム缶の近くに誘導して、ドラム缶の爆発に巻き込んで倒した。

 準決勝は、相手の弾丸を避けたり斬ったりして、叩っ斬った。

 ちなみに、ミトは一足早く決勝まで行って、勝ったそうだ。

 俺の決勝の相手は、無論キリトだ。

 だが、キリトの試合はもう少しかかりそうなので、エターナルとシノンの試合を見る事にした。

 

シノンside

 

 いよいよ、エターナルとの戦いが始まる。

 今の私の実力で、エターナルとどこまで戦えるのかを確かめたい。

 フィールドは、森林地帯だった。

 森林地帯なら、私のスナイパーとしての実力を活かせるはず。

 私は転送されたと同時に、ヘカートのスコープで周囲を確認する。

 流石に、森林地帯ではそう簡単に見つけられないわね。

 

シノン「………………エターナルはどこに?」

 

 私はそう呟きながらエターナルを探す。

 すると、エターナルを見つけた。

 エターナルは、私に気付いているのか、真っ直ぐ走って向かっていた。

 

シノン「気付いているのね…………。」

 

 私はすぐにヘカートをエターナルの方へと向けて、トリガーを引く。

 ヘカートから放たれた必殺の弾丸は、エターナルに向かっていく。

 肉眼でもエターナルが見えるほどにまで近づいていたので、当たったと思った。

 だけど、エターナルは弾丸を躱していた。

 

シノン「躱された………………!?」

 

 私は驚いていた。

 こんな至近距離から迫る弾丸を躱すなんて……………!?

 私が驚く中、エターナルは更に接近して、私の喉にエターナルエッジを翳す。

 驚いた私は、思わずエターナルに問う。

 

シノン「………どうして、私の照準が予測出来たのよ?」

エターナル「スコープのレンズ越しから、お前の視線を見て、弾道を予測したんだ。」

 

 まさか、そんな事が出来るなんて……!

 その途端、戦慄とは似て非なる1つの感覚が、背筋から頭の天辺までを貫いた。

 強い。

 もう、エターナルの強さは、VRゲームの枠を超えている。

 その強さの理由を聞ければ、強くなれるかもしれない………………!

 

シノン「エターナル。」

エターナル「何だ?」

シノン「どうして、貴方はそんなに強いの?」

エターナル「………こんなのは、技術の範疇に過ぎない。」

シノン「嘘。嘘よ。テクニックだけでヘカートの弾を躱せる筈がない。貴方は知っている筈。どうすればその強さを身につけられるの?私は………私はそれを知る為に………。」

 

 私はそう言い続ける。

 すると、エターナルは口を開く。

 

エターナル「オレの強さは紛い物だ…………。強くなろうとして強くはなれない。自分の弱さを受け入れて、強くなるのさ。それを忘れるな……………。リザイン。」

シノン「なっ………………!?」

 

 エターナルはそう言って、リザインと言う。

 エターナルは降参したのだ。

 それを聞いた私は、怒りと同時に、エターナルの言葉が引っかかった。

 

シノン「自分の弱さを受け入れる……………?」

 

 その言葉を呟くと、転送される。

 

カルムside

 

 シノンとエターナルとの戦いを見ている中、俺は待機エリアに転送された。

 どうやら、キリトの方も、終わったみたいだな。

 しばらくすると、再び転送される。

 フィールドは朽ちた高速道路で、周囲には朽ちた車が転がっていた。

 俺はその車に隠れながら移動する。

 

カルム(さて。あいつはどこに……………っ!?)

 

 俺はキリトを探しながら移動していたが、驚愕の光景が目に入り、驚く。

 何と、キリトはただまっすぐ歩いていたのだ。

 カゲミツG4も、FN・ファイブセブンも持っておらず、戦闘の意思を感じられなかった。

 怒りが込み上げてきたが、同時に困惑と納得という、不思議な感情が込み上げていた。

 

カルム(まさかな……………。)

 

 気になった俺は、キリトの方へと向かう。

 そして、あいつに聞く。

 

カルム「どういうつもりだ?丸腰で何もせずに近寄るなんて。」

キリト「俺たちの目的は、明日の本戦に出ることだ。もうこれ以上戦う理由はない。」

カルム「何言ってんだ…………。ラフコフの事を気にしてるのか?」

キリト「…………………。」

 

 俺の問いに、キリトは何も答えない。

 図星みたいだな。

 だが、どうにも気に食わない。

 

カルム「……………そうかもな。だがな、それはどうかと思うぞ。」

キリト「………………何?」

カルム「確かに、俺たちの目的は本戦に出場して、奴の目的を挫く事だ。だがな、その態度は、他のGGOプレイヤーに対する裏切りだと思うぞ。」

キリト「裏切り?」

カルム「ああ。さっきまで、キリトが倒してきたプレイヤー達もまた、本戦に出場する為に、頑張ってきたんだよ!お前は…………そのプレイヤー達の思いを踏み躙る気か!!」

キリト「っ!?」

 

 そう。

 キリトの行いは、キリトに敗れたプレイヤー達に対する最大の侮辱だ。

 俺の言葉に、キリトが顔を上げると、俺はキリトに怒鳴る。

 

カルム「本戦に出場するプレイヤーは、倒したプレイヤー達の思いも背負って、戦うんだよ!それがお前の答えなのか!?あの世界で、如何なる時も真剣に戦ったお前のやる事なのかよ!?」

キリト「…………………。」

 

 俺の怒鳴りに、キリトは無言になって、顔を下げる。

 だが、すぐに顔を上げると、その視線は、やる気に満ちていた。

 

キリト「そう……………だよな。悪い、俺が間違ってた。償いをさせて欲しい。本気で戦って欲しいんだ。」

カルム「ああ。まあ、気持ちは分からんでもないけどな。ラフコフで気持ちが揺らぐのも、無理はない。…………良いぜ。本気で行こう。」

 

 俺とキリトは、少し離れ、それぞれの剣を構える。

 すると、キリトはFN・ファイブセブンから弾丸を1発出す。

 

キリト「この弾丸が地面に落ちたら、試合開始でいいか?」

カルム「ああ。」

 

 俺とキリトはそう話し、再び少し離れる。

 そして、キリトの弾丸を注視する。

 キリトは弾丸を放り投げる。

 俺はすぐに突進出来るように腰を下げる。

 俺とキリトには、お互いしか見えていない。

 しばらくの静寂の末、弾丸が落ちたと同時に、俺はキリトに向かっていく。

 レイジングソードで、キリトに攻撃しようとするが、キリトはそれを躱す。

 俺は反撃にレイジングソードを思いっきり振るうが、キリトは俺の足を蹴り払い、体勢を崩させる。

 体勢が崩れる中、キリトは攻撃してくるが、俺はすかさずレイジングソードを戻して、攻撃する。

 お互いに少し攻撃を食らい、少し距離を取る。

 

カルム「やるな、キリト!」

キリト「お前もな!」

 

 俺とキリトはそう話し、再び駆け出す。

 俺とキリトの攻防は、激しく続く。

 キリトのフォトンソードは、実体がないので、鍔迫り合いに持ち込む事が出来ず、俺はキリトの攻撃は躱すしかない。

 だが、俺のレイジングソードは、フォトンソードと実体剣のハイブリッドなので、キリトとしても、剣で受け止めるなんて事が出来ないので、躱すしかない。

 その為、この勝負は、お互いがお互いの動きを読んで行動すると言う事になる。

 

カルム(やっぱり……………キリトは強い!)

 

 俺はそう思う。

 流石と言うべきだろう。

 俺とキリトの攻撃は、お互いに掠っていく。

 そんな攻防が続く中、一つ気になる事がある。

 

カルム(これ……………レイジングソードのバッテリーが持つかな……………。)

 

 そう。

 フォトンソードは、バッテリー式であり、電池が切れたら、ただの棒になる。

 レイジングソードの場合は、実体剣でもあるので、問題は無いが。

 すると、キリトはある構えをする。

 それを見て、キリトの意図が伝わる。

 

カルム(そういう事か!)

 

 俺は、キリトと同じ構えを取る。

 それは、片手剣のソードスキルの一つ、ヴォーパル・ストライクの構えだ。

 しばらくの静寂の末、俺たちは駆け出す。

 

カルム「ハァァァァァ!!」

キリト「ウオオオオオ!!」

 

 俺たちは叫びながら、それぞれの剣を突き出す。

 お互いに突進して、交差する。

 しばらくすると、俺のHPはゼロになっていた。

 キリトのHPは、かろうじて残っていた。

 

カルム「やっぱ…………強ぇな…………。」

 

 俺はそういうと、ポリゴンになる。

 こうして、この戦いは、キリトの勝利で幕を閉じる。




今回はここまでです。
今回は、予選が終わるまでです。
カルムとキリトの戦いは、キリトの勝利で終わりました。
いよいよ、本戦の幕が開けます。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
マザーズ・ロザリオとアリシゼーションの間のストーリー………要は、オーディナル・スケールに代わるエピソードをやる予定ですが、どういうのが良いのか、リクエストがある場合は、お願いします。
アリシゼーションで、オリジナルの整合騎士を出して欲しいというのや、カルムやカルムの相棒の先輩や後輩の傍付き錬士はこういうキャラが良いというのも、受け付けます。
あと、もしかしたら、そーどあーと・おふらいんもやるかもしれません。
アノマリークエストというのが発表されましたね。
今更ですが。
キリトとアスナが敵なんて、勝てる気がしないですよ。
フェイタルバレットのエネミーアファシスにコピーされたキリトとアスナみたいですよね。
これからも応援の程、よろしくお願いします。

オーディナル・スケールに代わるエピソードはやるかやらないか

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