カルムside
俺たちも、ラフコフのプレイヤーを殺した事をシノンに話して、シノンは黙り込む。
シノン「死銃は一体どうやって、現実世界のプレイヤーを殺しているのかしら…。」
心を落ち着けたシノンがそう語る。
そう、まずはそれが先だ。
カルム「恐らく、あの骸骨フェイスの奴は、特徴的な喋り方から、ザザだろうな。」
ザザの名前は分かったので、菊岡に伝えればOKで、菊岡が連中の本名と住所を突き止めてくれる。
しかし、大会中なので、ログアウト出来ない。
現状、俺たちがGGO内で、死銃達をどうにかするしかない。
エターナル「キリト、カルム、ミト。死銃に撃たれた《ゼクシード》と《薄塩たらこ》の2人の死因は何だ?アミュスフィアはナーヴギアみたい脳を破壊することはできないはずだが。」
カルム「ああ。脳損傷じゃなくて、全員、急性心不全で亡くなってる。」
キリト「だけど、殺人の方法はまだ分からないんだよ。仮想世界で撃ったプレイヤーを現実世界でも本当に殺害できる手段なんて……。」
ミト「そこが引っかかるのよね…………。ナーヴギアを使うならともかく…………。」
そう、引っかかるのはここだ。
死銃達は、どのようにして、現実の体を殺しているのかが分からない。 呪いや超能力の類では無いのは確かだが。
カルム「なあ、1つ気になったんだけど、本当にゲーム内でプレイヤーを撃つと現実世界でもそのプレイヤーを殺すことができるならどうしてわざわざ拳銃で撃つ必要があるか? サイレントアサシンがあるなら、そっちを使った方がすぐに済むはずだ。」
シノン「そういえば、ペイルライダーを殺した時も妙だったわ。あの時は近くに倒れていたダインは無視した。ダインのアバターは残ってたし、まだログアウトもしていなかった。ゲームの枠を超えた力があるなら、HPの有無なんて関係なさそうじゃない?」
俺の言葉に、シノンが頷く。
という事は、死銃の殺害方法にはトリックがあって、ターゲットとなった面子には、何かしらの共通点があるという事だ。
そこを洗えば、何かが分かる筈だ。
カルム「シノン、エターナル。殺された面子とシノンで共通点とかって何かないか?使う武器とかどんなことでもいいから、思い当たることがあったら教えてくれ。」
俺は2人にそう聞く。
2人なら、何か分かるはずだ。
俺たちよりもGGOをやっている2人なら。
シノン「装備は全員バラバラで、共通点となると強引にくくることになるけど、全員《AGI特化型ビルドじゃない》ってことになるかな。でも、STRかVITに偏っていたからちょっと無理はあるかな……。あ、そう言えば、殺された4人の中にいた《薄塩たらこ》とは前の大会の商品で何を貰うかで少し話したことがあるわ。」
エターナル「大会の順位に応じて貰える賞品を選べるやつか。商品は銃、防具、街で売られてない髪染め、服といった外見が目立つだけで高性能じゃないゲーム内のアイテム、あとは銃のモデルガンもあったな。確か現実の商品の場合、国際郵便で送られて来るんだよな。まあ、そのためにはBoB予選にエントリーした時に現実の住所氏名を打ち込まないといけないが……。」
なるほどねぇ。
うん?
現実の住所氏名……?
それに、メタマテリアル光歪曲迷彩……。
シノンがダインがゲーム内のアイテム、薄塩たらことシノン、ゼクシードがモデルガンを選んだ事に関して聞いているとその2点が引っかかった。
だが、一つの仮説に行き着き、解けた。
カルム「そうか……。繋がった。」
ミト「カルム……………?」
キリト「何がだよ?」
カルム「俺たちはとんでもない誤解をしていたんだ。」
ミト「誤解って?」
エターナル「お前も分かったか。」
カルム「俺たちは死銃の仲間は、ゲームの中にしかいないと思ってた。でも、そこが盲点だった。現実世界にも居るんだよ、仲間が。死銃がターゲットを撃ち、同時に、ターゲットの部屋に侵入した共犯者が無抵抗で横たわるプレイヤーを殺すっていう方法でな。」
これなら辻褄が合う。
ラフコフは、現実にも居る。
その推理に、キリトとエターナルとミトが納得していたが、シノンは納得していなかった。
すると、反論してくる。
シノン「なら、どうやってプレイヤーのリアル情報を手に入れるの?何処の誰かもわからないのに。」
エターナル「総督府で、大会にエントリーするときに自分のリアル情報を任意で打ち込むだろ。その時に、双眼鏡やスコープを使えば離れていても見ることはできるはずだ。見つかればマナー違反で吊し上げされるが、あのメタマテリアル光歪曲迷彩を使えば、他のプレイヤーに気づかれることはないだろうな。」
シノン「仮に現実世界の住所がわかったとしても忍び込むのに鍵はどうするの?家の人とかは?」
エターナル「前に殺された2人は家が古いアパートだったのなら、ドアの電子錠もセキュリティの甘い初期型だったはずだ。1人暮らしだから侵入しても気付かれる心配はない。そういった解除装置は裏で高額取引されていると、聞いたことがある。」
シノン「じゃあ、死因は?心不全って言ったけど、警察とかお医者さんとかにもわからない手段で心臓を止めることなんて出来るの?」
キリト「多分何かの薬品とかだろう。殺された3人は発見が遅れて身体の腐敗が進んでいたんだよ。だから注射の痕とかは発見できなかった。」
カルム「それに、飲まず食わずでログインするのはよくあるからな。それで心臓発作で死んでいるのも少なくはない。」
ミト「確かに。部屋も荒らされず、金品も無事なら、自然死として処理されるわね。」
そう、これで謎は解けた。
それと同時に、シノンには、危険が迫っている事も事実になるが。
すると、シノンは顔を青ざめて言う。
シノン「じゃ、じゃあ……。死銃が私を狙ってきたのは……!」
ミト「………言いづらいんだけど、恐らく、もう共犯者が待機してるんでしょうね。」
シノン「嫌……いや!いやよ!……そんなの!」
シノンはそう言って、首を振る。
まずい、このままじゃ、シノンが緊急ログアウトしてしまう。
すると、エターナルがシノンに話しかける。
エターナル「シノン落ち着け!奴らの拳銃で撃たれるまで侵入者はお前に手は出せない!それが奴らが自身で定めた制約だ!だが今自動ログアウトして共犯者の顔を見てしまうと返って危険だ!だから落ち着け!ゆっくり気を落ち着かせるんだ!」
エターナルがそう叫ぶと、シノンは落ち着いたが、すぐにエターナルに聞く。
シノン「ど、どうして……どうして……私、殺されなきゃいけないの……?アイツに何か恨まれることをしたから……?強盗を撃ち殺したから……?」
シノンは子供のようにエターナルに縋り付き、涙声で訴える。
無理もない。
何もしていないのに、命を狙われているのだから。
エターナルは、シノンを優しく抱きしめた。
エターナル「理由はないだろう。恐らく、アイツらは自分の快楽のために人の命を簡単に奪う。だから、お前を絶対に殺させない!」
シノン「エターナル……。」
シノンも落ち着きを取り戻しているが、気まずい。
何せ、今のシノンとエターナルを見てると、俺がミトに、ミトが俺に甘えているのにそっくりだ。
もしかして、シノンはエターナルの事が……。
まあ、部外者は引っ込むか。
カルム「エターナル。俺とキリトとミトは見張に戻るから、シノンと一緒に居てやれ。キリト、ミト、行くぞ。」
キリト「ああ………。」
ミト「分かったわ。」
俺達は外に出た。
エターナルside
カルムとキリトとミトが見張りに戻り、今ここには俺とシノンしか居ない。
シノンは未だに抱き付いたままで、俺はシノンを落ち着かせようと、頭を撫でていた。
エターナル「落ち着いたか?」
シノン「うん、ありがとう。だけど、もう少しこのままで良い?」
エターナル「構わないが、シノン。お前、好きな奴が居るんじゃないのか?」
シノン「……いいのよ、これで……。」
気のせいかシノンの頬が少し赤い感じがした。
まさかと考えていると、上空に浮かぶ見覚えのある奇妙な水色の同心円を見つける。
実体ではなく、ゲーム的な単色発光オブジェクト。
それを見たシノンが口を開く。
シノン「普段は戦闘中のプレイヤーしか追わないんだけど、残り人数が少なくなってきたからこんなところまで来たのね。」
エターナル「そうみたいだな……。」
特に慌てる必要もない。
だが、ライブ中継カメラがここまでやって来たということは、シノンが俺に抱きついたり、俺がシノンの頭を撫でているシーンが映されてしまっただろう。
GGOの男性プレイヤーたちは、間違いなく俺のことを敵意をむき出しにして見ているだろう。
ジョーカー辺りも、それを見て、揶揄いに来るだろう。
そう思っていると、シノンが口を開く。
シノン「どうしたの?……もしかして、この映像を見られると困る人でもいるの?」
エターナル「いや、見られたら困るというより、面倒な奴らが居るからな。」
シノン「ふふ、何よそれ……。」
どうやら、落ち着いたようだな。
すると、シノンは真面目な顔で聞いてくる。
シノン「どうするの?」
エターナル「奴らを倒すしかない。死銃さえ倒せば、奴らはシノンには手出ししない。」
シノン「でも、黒星抜きでも、あのボロマントは強いわ。」
確かに、シノンの銃撃を躱すのを見ても、強いだろう。
キリトとカルムとミト、俺の4人の内の、1人でもやられたら、シノンの命は無い。
シノン「それに多分、私もこのままここに隠れているわけにはいられない……そろそろ、私たちが砂漠の洞窟に隠れていることに、他のプレイヤーも気付いてる。」
エターナル「………いつ奇襲を受けても、おかしくないか。」
作戦を立てるために、カルムとキリトとミトの三人を呼び戻す。
カルム「………ここまで来たんだ。4人で、アイツを倒す………と言いたい所だが、俺はコルトと決着をつける。」
ミト「私は、カルムを助けるわ。」
キリト「分かった。」
エターナル「……ああ。だが、シノン。もしお前があの拳銃に撃たれそうになったら……。」
シノン「あんなの………所詮、旧式のシングルアクションだわ………仮に、撃たれそうになっても、あなた達が楽々叩き切ったり、弾いたりしてくれるでしょ?」
俺がそう聞くと、シノンはそう返す。
それを聞いて、俺は口を開く。
エターナル「…………そうだな。そこまで信用してもらえてるのなら、やらせるわけにはいかないよな?キリト、カルム、ミト?」
カルム「愚問だろ。」
キリト「ああ。」
ミト「ええ。」
その後、作戦を立てた。
俺が死銃もといザザの相手をして、コルトという奴に関しては、カルムとキリトとミトの三人で対応する事に。
ちなみに、アランとクレハは、サテライト・スキャンの結果、脱落しているのが分かった。
闇風に関しては、俺が足止めをして、シノンが倒す手筈になっている。
こうして、死銃への反撃が始まる。
すると、シノンが話しかける。
シノン「エターナル。」
エターナル「どうした?」
シノン「エターナルに、渡しておこうと思って。」
そう言って、シノンが渡してきたのは、ゾーンのメモリだった。
エターナル「これは……………。」
シノン「あのアイズ・ドーパントを倒した時に拾ったの。これを使って欲しいの。」
エターナル「ああ。助かる。」
俺は、シノンからゾーンのメモリを受け取った。
今回はここまでです。
死銃のトリックを見破り、いよいよ、反撃の時です。
次回は、ALOでの話です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
アーロンとエターナルの2人が、アンダーワールドにダイブする際には、どんなアカウントを使わせましょうか?
オーディナル・スケールに代わるエピソードも、中々思いつかなくて。
どういうエピソードをやって欲しいというのがあれば、リクエストをお願いします。
日常回を、マザーズ・ロザリオが終わった後にやる予定ですが、どういうのをやって欲しいというのがあれば、リクエストをお願いします。
アリシゼーションでのカルムの武器はどうするか
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刃王剣十聖刃
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オージャカリバー
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オージャカリバーZERO
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その他