とある双子の奔走劇   作:すぎざき凉子

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閑話:双子の誕生日③

 

 

 肩で息をする男の子2人は、とてもイケメンだった。

 これで全員揃ったらしい。

 

 顔の良さだけは保証する、と言っていたけれど本当にみんなイケメン。

 

「態と夜更かしさせたな……!」

「ひっかかったお前らが悪いだろ」

「珍しいじゃん、何してたの?」

 

 水を持ってきたみっちゃんが二人に渡す。

 

「ファンタジー系のオープンワールドのネトゲ。素材周回必要なやつがあって付き合わせた」

「いつゲームやるヒマあんだよおまえ」

「ド深夜に時間あるとき、短時間だけやってる。提供がちょっとだけ出資してる会社なんだよ、株持ってて」

 

 そのままゲームの話で盛り上がっている男の子たちを横目に、すぅちゃんは真剣な顔でアイドルの動画を見ていた。

 

「やっぱり315プロダクションさんかしら」

「蜜香ちゃんがここのアイドル好きよね。B−プロはどう?」

「あんまり激しいとオラオラ感出るのね。それなら王子様系攻めましょうか」

「王子様系キラキラファンサやって欲しいわよね。特に大倶利伽羅が嫌がりそうなやつ」

 

 千草、と呼ばれているすぅちゃんのお友達のお名前は草谷真由さんと言うそうで、ひとつ上の高校三年生らしい。

 名門と名高い双星館学園に通っているそうだ。お父様が外交官でご家族は皆さん海外とのことで、学校が全寮制のことから寮住まいなのだそう。

 

「おい審神者ども、嫌がらせに全力出すな」

「ほほほ、蜜香の策略にひっかかったのが悪いのよ」

「いや策略っていうか、ただ単に素材周回必要だっただけだよ。アタシも寝坊したし」

「起こせよ」

「鬼電したじゃんよぉ。出なかったのそっちじゃん」

「マナーモードにしてた」

「それアタシのせいじゃなくない!?付き合わせたのは悪かったけどさぁ!」

 

 ははは、と笑い声が響く。

 ここのメンツみんなあだ名みたいなものでしか呼ばないから、と千草さん以外の男性陣は、本名は言わなかった。

 

 遅れてきた二人のうち色黒で少し彫りが深い顔立ちの大倶利伽羅さん。

 もう一人の金髪で王子様みたいな外見の山姥切国広さん。

 

 最初に話しかけてきた加州清光さん。

 清光さんと遠慮なく言い合っているのは泣きぼくろが印象的な大和守安定さん。

 そこに絡みに行く背の高くて切れ長の目の和泉守兼定さんと、身長がちょっと低めで私達と視線の近い堀川国広さん。

 

 もう一人金髪で長髪をポニーテールにしている獅子王さん。

 和泉守さんより背が高くて見上げるほどの御手杵さん。

 顔に大きな傷がある同田貫正国さん。

 

「お兄さん達はみんな刀の名前なんだね」

「そ。かっこいいだろ」

「役名みたいなものよ、私のもそうなの」

 

 趣味で知り合った、と言っていたからその関係なのかもしれない。

 

「賢い子ですね、よく刀の名前とわかりましたね。かなりマイナーだし、コアな知識だと思うんですけど」

「え、えへへ。本で読んだことあったんだぁ」

「小1って聞いてたけどすげーな。小難しい本読んでるなあ」

 

 和泉守さんに頭を撫でられて、コナンくんは少し恥ずかしそうだった。

 

 獅子王さんと堀川さん以外はみんな私達と同級生らしい。

 二人は大学生と聞いた。

 

「獅子王そういや進級できたの?」

「できたよ!失礼なやつだな」

 

 安定さんがにやにやと訊ねると、獅子王さんは嫌そうな顔をした。

 

「大学ついていけてる?大丈夫?」

「僕が見てるから平気だよ、蜜香さん」

「国広に面倒見させんじゃねーよ、年上だろ」

 

 堀川さんにフォローされたのを和泉守さんがからかう。

 

「わかってんよ、おまえらが同い年だったら良かったのに」

「学年3つ違うもんね、獅子王。大学2年生か」

「良かったなぁ進級できて」

 

 清光さんの言葉に御手杵さんがしみじみとつぶやく。

 

「このままダブって俺らと同学年になったら、盛大に笑ってやったのによ」

 

 正国さんがそう言うと、すぅちゃんが眉をひそめた。

 

「やめてくださる?わたくしたちの努力無駄にしないで」

「翠星と千草が可哀想になるからやめてやれよ。あんだけ受験勉強付き合ってやってたのに」

 

 御手杵さんがとりなすと、ダンスを覚えていた山姥切国広さんが真顔で振り返った。

 

「いずれにせよ年下に勉強見られてるの、恥ずかしくないのか」

「開き直ってる」

「開き直るな」

 

 大倶利伽羅さんがため息をついた。

 

 知らない人ばかりの中に入るからちょっと緊張したけれど、みなさん気さくに話しかけてくださって安心した。

 

 みっちゃん曰く、人見知りするのは今踊ってるから、だそう。

 取っつきにくい印象というか、ちょっとコワモテの正国さんのほうが話しやすいらしい。

 確かにこちらをよく気遣ってくれて、冷えるだろうからと私達のためにわざわざブランケットを室内に取りに行ってくださった。

 顔の傷は幼少期の怪我が原因らしく、このせいでよく喧嘩に巻き込まれると口を尖らせていた。

 たしかに、一見すると不良っぽいし、獅子王さんと並んでると怖いかも。

 

 

 結局、大倶利伽羅さんと山姥切国広さんは動画サイトに投稿されていた元気な双子アイドルの曲を練習させられていた。

 コナンくんがそのアイドルを知っていたのが決め手だった。

 

「Wなら知ってると思った。コナンならたぶん選手時代のほうが詳しいでしょ」

「うん」

 

 元サッカー選手らしい。

 サッカー大好きなコナンくんだけあって、みっちゃんたちとそのアイドルのプレーの話で盛り上がっている。

 

「国広の悠介くん似合わなすぎ、ウケる」

「いや大倶利伽羅の顔やば」

「キックオフ出来てねえぞアイツら」

「チャンス2倍どころか半減してそう」

「元気がウリのWでこんなにテンション低いことある?」

 

 録画したり合いの手を入れながらみんな爆笑している。

 みっちゃんはどこかから持ってきた、星の形のペンライトとうちわを振っていた。

 

 2曲目、二人はバラードでしっとり歌ってくれた。

 知らない曲だけど、こっちのほうがよほど雰囲気に似合ってるなぁ。

 でも、さっき見た動画と曲が違う。

 

「ちょっと!リクエストしたのと違うでしょ!」

「ずるい!それはずるい!」

 

 清光さんと安定さんが抗議しているけれど、二人はどこ吹く風だ。

 みっちゃんはゲラゲラ笑いながら正国さんにもたれかかっていて、その正国さんも笑いながらみっちゃんの背中をバンバン叩いている。

 すぅちゃんと千草さんは不満げ。

 

「罰ゲーム延長しましょう。二人にはエンドレスナイトやってもらいましょうよ」

「やめろ千草!あれは平安刀たちだから恥ずかしげもなくやれるんだろ!」

「あのジジイ共と俺たちを同列に扱うな」

 

 千草さんが良いことを思いついたとばかりに手を打って、国広さんがぶんぶんと首を横に振る。

 大倶利伽羅さんも苦虫を噛んだような顔。

 

「戦国生まれがなんかいってる」

「俺からみりゃお前らも十分ジジイだよ」

「これだから幕末生まれは」

「遠回しにオレもジジイって言われてないか?」

「平安なんだから獅子王はそうじゃん」

 

 平安?戦国?と首を傾げると、コナンくんが「たぶん刀が打たれた時代のことだよ」と教えてくれた。

 よく知ってるなぁ。隣の園子は呆れた目をコナンくんに向けていた。

 

「音源、蜜香のを使ったの?提供はポチかしら?」

「姫さん冤罪っすよ!お嬢が端末そのまま渡したんじゃないンすか!?」

「はぁん、それで見つけたのか。じゃあ伽羅くんは源氏版、国広くんは三条版ね。どうせ踊れるでしょ」

「両方あんのかよ、蜜香やっぱりおまえ最高」

 

 いまだヒィヒィ笑っている正国さんから離れて、みっちゃんが機械を操作して音を流した。

 

「ほら国広くん出番だよ」

「俺からか!」

「くそッ」

 

 途中のセリフを恥ずかしそうに言うと、「全然そばにいたそうじゃないぞー」とみっちゃんから野次が飛ぶ。

 国広さんはそれでもやりきって、戻ってくるときにみっちゃんの肩を強めに叩く。

 

 問題は大倶利伽羅さんで、ミュージカル調にアレンジされた同じ曲を棒読みでやって散々いじられていた。

 

「歌がうまいぶん、棒読みが残念すぎる」

「勝手にそばにいるけど文句はねえよな、の文脈だった」

「完全に確定事項としてきいてたでしょ、あれ」

「ミュージカルそんな苦手だったか?」

「国広で恥ずかしがったほうが恥ずかしいってわかっただろうよ」

「うるさい……!」

 

 曲が終わって千草さんとすぅちゃんに挟まれて座られてしまったからか、大倶利伽羅さんは逃げられないでいる。

 そこを代わる代わる男の子たちが声をかけに行く。

 項垂れた大倶利伽羅さんの後ろを国広さんがオロオロとしていたのが面白くて、少し笑ってしまった。

 

 

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