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今回は鳥人族のオリキャラが出ます。
「ここは・・・ベッドか」
ハジメは目を覚ますと、自分がベッドの上にいることに気付く。どこかの建物に運び込まれたようだ。
「ハジメお父様、起きた」
ハジメが声が聞こえてきた方を見ると、ユエと元の姿のベビーがいた。どうやら、ベビーは解放されたらしい。
「おはよう、ユエ。ここはどこだ?」
「反逆者の住処」
「なるほど、ここはあの扉の奥か。だが、どうやって俺をここまで?」
「ベビーに運んでもらった。そういえば、途中から案内してくれた鳥みたいな人がいた」
「鳥みたいな人?」
鳥みたいな人・・・まさか、鳥人族か?
「たぶん、お父様の言っていた鳥人族」
その時、ガチャッと扉が開いた。そこから姿勢を屈めて出てきたのは、1人の鳥人族・・・それもソウハ族の老人だった。
「ユエ殿、あなたのお父上・・・後継者殿はお目覚めになられたようですな。身体に多大な負担がかかっていたようですが、無事に回復なされて何よりです」
「ありがとう。あなたのお陰でハジメお父様は回復した」
「いえいえ、礼には及びません。後継者殿をお支えすることが私の役目ですから」
(後継者?鳥人族の遺伝子と技術を受け継いでいるという意味では、間違いではないが・・・)
「あなたは?」
ハジメは目の前の鳥人族に問いかける。
「申し遅れました、後継者殿。私はエルダーバード、あなたをお支えする役目を拝命しております。そして、あなたとは別の世界を起源とする鳥人族の端くれです」
エルダーバードと名乗った彼はそう言うと、深々とお辞儀をした。
「別の世界・・・」
別の世界にも鳥人族がいる。その事実をハジメは初めて知った。
「はい。我々はかつて、解放者と名乗る者達・・・今では反逆者の濡れ衣を着させられていますが、そんな彼らと鳥人族は交流がありました」
エルダーバードの言葉からは、さらっと重要な情報が出てくる。とりあえず、反逆者=鳥人族という図式は消えた。それ以上に重要なのは、反逆者が濡れ衣だったということだろう。
「しかし・・・別世界の鳥人族は異世界への進出を始めていたのか」
ハジメの知る鳥人族といえば、惑星を開拓することで領域を拡大していた。
「ええ。文明が行き詰まっていた鳥人族は当時、新たな入植地を求めて異世界への進出を推進しておりました」
「ところで、後継者というのは何なんだ?」
何度か出てきた“後継者”という言葉・・・ハジメはその意味が気になっていた。
「そのことですか。今すぐ説明したいのですが、少し場所を変えましょう。その説明にはとある立体映像が必要なのですが、それを見ればあなたの全ての疑問は殆ど解決するはずです」
ハジメの知りたいことは多くあった。世界の真実・・・反逆者・・・そして、鳥人族がどのように関わっていたのか?その映像を見れば、全て分かるらしい。
エルダーバードに案内され、建物の外に出たハジメ達。そこで見た光景は、ここが地下の迷宮であると信じられないようなものであった。
最初に目撃したものは、まるで太陽のように輝く球体だった。エルダーバードによると、夜になると月に変わるとのことだ。
視線を下に降ろしていくと、そこには草原が広がっており、滝からの水が流れる小川があった。よく見ると、小魚も泳いでいる。そして、奥の方には大きな畑もある。
エルダーバードに付いていくのだが、そこに同行してくる者が数体あった。それは、鳥人像であった。
「お父様、この鳥人族みたいなのは?」
「鳥人像。鳥人族が自身を模して作り出した生物兵器だ。ここの警備用に置いてあるみたいだな」
やがて、石造りの住居の3階に通される。3階には1部屋しか存在せず、階層をまるごと使った広い部屋になっていた。そして、その床には直径8mの魔法陣が刻まれ、部屋の端の方には鳥人族の技術が使われたコンソールが設置してあった。
「では、これを見ていただきます」
エルダーバードがコンソールを操作すると、魔法陣の中央に立体映像が映し出される。そこに映ったのは、黒衣の青年であった。
『この映像が流れたということは、我が友エルダーに出会ったということだろう。試練を乗り越えよくたどり着いた。私はオスカー・オルクス、鳥人族と共にこの迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな?』
その青年は、オスカー・オルクスと名乗った。どうやらオスカーはエルダーバードと友人だったらしい。
『最深部に辿り着いた者・・・予言にあった鳥人族の後継者に、世界の真実を知る者としてメッセージを残させてもらうことにした。どうか聞いて欲しい。我々は反逆者であって反逆者ではないということを・・・我々と鳥人族がどのように関わっていたのかを・・・』
こうして始まったオスカーの話。それは、ハジメが王国で収集した情報やユエの言っていた反逆者の話とは大きく異なっていた。
神代の少し後の時代、多くの種族が自らの信じる神の神託を受け、神敵を滅ぼすという大義名分の元に戦争を続けていた。だが、何百年と続いた争いに終止符を打とうとする“解放者”と呼ばれる集団が現れた。
そんな中、解放者達は異世界からの来訪者である鳥人族と接触する。解放者達は鳥人族と協力し、長い戦争で停滞していたトータスの技術レベルの向上を目指した。また、鳥人族と共同で魔法と科学を融合させる研究も行っていた。
順調に争いが終わりつつあったある日、解放者達は神の真意を知ってしまった。それは神が世界の全てを操って遊戯のつもりで人々に戦争を行わせていたということだ。
鳥人族の協力で神がいる空間である“神域”を突き止めた解放者達は、メンバーの中でも強い力を持つ七人を中心に戦いを挑んだ。
だが、その目論みはその前に破綻してしまう。何と、神は人々を操って解放者達を世界に破滅をもたらす神敵・・・“反逆者”に仕立てあげてしまったのだ。守るべき人々に力を振るえなかった彼らは次々と討たれ、最後に残ったのは七人の解放者と裏方に徹していた鳥人族達のみだった。
敗北を喫した七人の解放者は、バラバラに大陸の果てに迷宮を作り、神の遊戯を終わらせる者が現れることを願って、迷宮を攻略した者に自らの持つ力・・・“神代魔法”を授けることにした。だがその時、予言能力を持つ1人の鳥人族がある予言をする。
それは、別の世界を起源とする鳥人族の遺伝子と叡智、力を受け継ぐ後継者がオスカーの作った迷宮を攻略し、神を討つという意志を継ぐというものだった。
そこで、鳥人族は後継者を支援するためにパワーアップアイテムを迷宮等に設置することにした。そのアイテム群には解放者と鳥人族が共同で開発したエーテルアビリティと呼ばれるものも含まれていた。
さらに、真のオルクス大迷宮の入口には鳥人族の像が設置され、神に対抗できるシステムをダウンロードできるようにしたのだが、ダウンロードしたそのシステムを完全に起動するには全ての神代魔法を集める必要があるとのことだった。
長い話が終わり、オスカーは微笑む。
『長い話をしてしまってすまない。だが、我々の真実を君に知っておいて欲しかった。私は、鳥人族の後継者である君に力を授ける。それと同時に、我々と鳥人族の絆の結晶たるエーテルアビリティを授けさせてもらう。予言では我々の意志を継ぐことになっているようだが、別に神殺しを強要する気はない。できれば、その力を悪しき心を満たすために振るわないで欲しい。話は以上だ。聞いてくれてありがとう。あぁ、そうだ・・・我が友エルダーのことをよろしく頼む。君のこれからが、自由の光で満たされんことを願っているよ』
話が終わると、オスカーの立体映像は消えた。
「では、後継者殿とユエ殿。魔法陣の中央に立っていただきたい。そうすれば、神代魔法の1つが手に入るでしょう」
エルダーバードに言われ、2人は魔法陣の中央に立つ。すると、魔法陣が輝くと同時に2人の脳裏に情報が刻まれ始め、頭がズキズキと痛んだ。
やがて、光が収まると頭痛も止まり、脳裏に浮かんでくるものがあった。
「生成魔法・・・なるほど、鉱石に魔法を付与して特殊な鉱石を・・」
「お父様。私も習得したけど相性が悪いみたい」
どうやら、相性の問題もあるようだ。
「それと、後継者殿にはエーテルアビリティの方も授けましょう」
エルダーバードがコンソールを操作すると、天井が2つに割れた。そこから出てきたのは、大きなレンズのようなものがついたエネルギーを照射する機械。機械からは、光のシャワーが降り注いできた。
光を受けたハジメの体は宙に浮かび始め、天井の機械に近い高さで静止する。そして、無数の光の粒子がスーツ全体に殺到していった。やがて、粒子の殺到が止まると、ハジメは床に着地した。
『フラッシュシフトを入手しました。エーテルアビリティに対応するため、スーツとエーテルタンクをアップデート中…』
エーテルアビリティの1つは、フラッシュシフトというらしい。
『アップデート完了。エーテルタンクの容量が100増加しました(100→200)。エーテルアビリティの1回の使用につき、タンク内の魔力を100消費します』
『フラッシュシフトは、前方もしくは後方の一定距離を瞬時に高速移動する能力であり、1回の使用につき3回まで連続で高速移動が可能です。その際、スーツは青く発光します』
ハジメは、神代魔法とエーテルアビリティという新たな力を得た。これから先、ハジメは後継者として数多くの戦いに関わることになるのだろう。
お分かりかもしれませんが、エーテルアビリティの元ネタはエイオンアビリティです。