南雲ハジメはバリアスーツと共に   作:ウエストモール

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 プライムの体色ですが、ダークサムスをよく見たら黒色だったので、紺色から黒色に修正しました。
 また、主人公のステータスに関しては、レベルを除いて明確な数値を定めました。それにより、5話と6話の内容を変更しました。急な変更すいません。


21話 大峡谷とウサギ

 

 チャージビームがパイレーツ戦闘員の1体に直撃し、その上半身を吹き飛ばす。

 

 直後、残りの4体が量子アサルトキャノンによる一斉射撃を行ってきたため、ハジメは跳躍して回避し、ベビー剛力体がユエを庇う。メトロイドはエネルギー武器に対する高い耐性を持つので、問題はない。

 

 ハジメはパイレーツの1体の上に着地すると、至近距離からチャージビームを放ち、一撃で爆散させた。残りは3体。

 

 残りのパイレーツ達は、光子エネルギーシザースを使って近接戦闘を仕掛けてくる。彼らはすでにハジメを包囲しており、ハジメの正面に2体、背後に1体が配置されている。

 

 正面の2体がハジメに近接攻撃を仕掛けるタイミングに合わせ、1体が背後から襲いかかる。

 

 だが、パイレーツ達は忘れていた。正確には、「それが脅威であると思っていなかった」というのが正解なのだが。

 

「“緋槍”!」

 

 ハジメに背後から襲い掛かったパイレーツに、ユエの放った炎の槍が突き刺さり、内側から焼かれて死ぬ。パイレーツ達は、ユエのことを脅威だと思っていなかったのだ。

 

 この大峡谷の特性によって、魔法を使うためには通常の10倍の魔力が必要になる。だが、ユエ自身の魔力が膨大である上、ハジメがエーテルタンクを参考に製作した、装飾品となる魔力タンクを装備しているため、魔法を使うためのハードルが低い。

 

ピュン!ピュン!

 

 そして、素早い2発の発砲音が連発する。少し遅れて、2体のパイレーツが同時に崩れ落ちた。どちらも、頭に風穴が空いている。

 

 アルラウネ擬きの時にも見せた、正確なハジメの早撃ちだ。ハジメはこの一瞬で2つの頭を正確に撃ち抜いたのだ。それも、1発も外すことなく。

 

「ユエ、助かった」

 

「お父様の背後を取るなんて、100年早い。背後を取っていいのは、私とベビー・・・それと将来のお母様だけ」

 

 ユエはドヤ顔でそう言った。

 

「まずは、こいつらを片付けないとな」

 

 ハジメは周囲を見る。そこには、大量の魔獣の死骸とパイレーツ戦闘員の死体が転がっていた。

 

 魔獣の死骸に関しては、換金したり素材にすることを考え、宝物庫に収納した。戦闘員の死体からは、技術漏洩を防ぐために破損したものも含めて装甲服と武装を回収し、死体は火葬した上で深い所に埋めた。回収した装備も、どこかで活用されるだろう。

 

 

 

 

 

 プライム・・・奴は何者なのだろうか?黒色の有機的な装甲で覆われていることを除けば、バリアスーツと特徴が一致していた。

 

 現時点で分かっていることは、対鳥人族も考慮して作られた存在であり、俺を倒すことが目的だということ。

 

 先ほど奴が見せた能力に関しては、右腕のアームキャノンからのビーム、浮遊能力、短距離ワープ能力、超重力空間展開があった。

 

 そして、スーツに残された記録によると、奴が各種能力を使用した際、強力な魔力が検出されていたことが分かった。ユエも魔力を感じていたようなので、間違いない。

 

 この大峡谷で魔力を使えるくらいなのだから、奴はユエと同じように膨大な魔力を持っていると推測される。

 

 能力に関しては未知数だ。仮にバリアスーツと同等の機能があるのなら、魔力ミサイル(仮)や各種の魔力ビーム(仮)を備えているだろう。

 

 さしずめ、奴は魔力で動くバリアスーツといったところだろうか。戦闘能力に関しても、俺と同等かそれ以上だと思われる。

 

 問題は、奴に従っていると思われるスペースパイレーツだ。地球に帰る少し前に受けた依頼で、俺はスペースパイレーツの勢力を大幅に弱体化させることに成功していた。恐らく、奴らはその残党であり、こちらに迷い込んだ際にプライムによって掌握されたと思われる。

 

 奴は勿論だが、スペースパイレーツも再び現れるだろう。奴らを放っておけば、多くの悲劇が起こる。俺は今まで、パイレーツによって殲滅されたコロニーを何度も見てきた。その悲劇を、この世界で起こさせるわけにはいかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず、樹海側を目指そう。フェアベルゲンに向かわないといけないからな」

 

「ん・・・もしかしたら、迷宮の1つも見つけられるかも」

 

 ライセン大峡谷は、迷宮の1つがあると言われている場所なのだ。移動中に見つけられれば、一石二鳥である。

 

 そして、ハジメはジャガーノートを取り出す。ジャガーノートは全長10m、全幅5m、上部にはプラズマ砲を搭載し、人間の背丈より大きい直径のタイヤを4つ備えている大型装甲戦闘車両だ。

 

 それが、ズシンという音と共にライセン大峡谷の地を踏みしめた。

 

 ハジメがアームキャノンを操作すると、車体左側のハッチが開き、そこからタラップが降りてくる。この車両はスターシップと同様にスーツと連動しており、スーツを通して命令を出すことが可能なのだ。

 

 なお、スーツを着ていない時にビークルを操作するためのスマホ型デバイスも製作されている。そのデバイスには各種バイザーシステムの機能も移植されているため、スーツを着られない時でも分析能力を発揮できる。

 

 ハジメとユエはタラップを登り、車内に入る。ハジメはスーツを解除して先頭の操縦席に座り、ユエは後部座席に座る。ベビーは元の姿に戻り、車内を浮遊していた。

 

 ここで、2人の服装を見ていこう。ハジメはオルクスにいた時と変わらずに緑のパイロットスーツの上に銀のジャケットを羽織っており、銀のジェットブーツを履いていた。

 

 ユエは前面にフリルの付いた白のドレスシャツに、同じくフリルの付いた黒のミニスカートを穿いており、上から白いロングコートを羽織っていた。そして、ニーソックスとショートブーツを履いていた。

 

「では、出発するぞ」

 

 ハジメが球体型の操作デバイスを操作すると、動力源であるプラズマエンジンに火が入り、エンジンの回転数が上がっていく。そして、特徴的な大型のタイヤが回り始め、ジャガーノートは発進した。

 

 ライセン大峡谷の一本道を進んでいくジャガーノート。道とはいっても整備されていないため、中々の悪路である。だが、この車両なら心配ご無用だ。多少のデコボコであれば大型のタイヤで簡単に乗り越え、大きな段差もタイヤに付与された錬成による整地で緩やかな道に変えられる。大岩等の障害物はプラズマ砲で破壊するか、ホバリング機能で飛び越えて進んでいく。

 

 しばらくの間、魔獣を轢き殺しながら大峡谷を進んでいたジャガーノート。しかし、ジャガーノートは急にその足を止めた。

 

「お父様?どうかしたの?」

 

 何があったのかと思ったユエは、後部座席からハジメに尋ねる。

 

「前方に気になるものがあってな。ユエ、ちょっと前方を見てくれ」

 

 ユエはハジメの膝の上に座り、フロントバイザー越しに前方を見る。

 

「あれは・・・魔獣。何かを追いかけてる」

 

 そこにいたのは、オオトカゲをそのまま大きくしたような魔獣だった。そして、巨大トカゲの大顎から必死に逃げ惑う半泣きのウサミミ少女が・・・

 

 このままでは、ウサミミ少女は巨大トカゲの胃袋に収められることになるだろう。

 

「お父様、どうする?」

 

「助ける理由はない。だが、こちらの手が届く範囲にいるというのに、見殺しにするのは心が痛む」

 

「もしも悪い奴だったら?」

 

 ライセン大峡谷は罪人が追放されるような場所である。ユエは、目の前のウサミミが罪人なのではないかと考えていた。

 

「その時はその時だ。適当な所で放してやればいい」

 

 大峡谷は魔獣の巣窟だ。すぐに別の魔獣に見つかって食われるだろう。

 

「ユエ、ベビーは隠しておけ。俺はあのウサミミを助けてくる」

 

 操縦席の上にあるハッチを開け、ハジメは車体の上に出る。

 

「スーツは着ないの?」

 

「あぁ、ここの魔獣はベヒモスより弱いからな。生身でも大丈夫だろう」

 

 そもそも、人前では可能な限りバリアスーツを装着しない方針であった。

 

「行ってくる」

 

 宝物庫からレイヴンを取り出したハジメは、ジャガーノートの上から飛び降りると、巨大トカゲとウサミミの方へと駆けて行った。

 

「だずげでぐだざ~い!」

 

 そのウサミミは近づいて来るハジメに気付き、助けを求めながら必死に駆けてくる。涙と鼻水で汚れているその顔は、ぐしゃぐしゃになっていた。ハジメもウサミミの方へ走っているため、両者の距離は急速に縮まっていく。

 

 そして、ウサミミは地面を蹴って、向こうから駆けてくるハジメに飛び付こうとする。しかし、ハジメがサイドステップで躱したことにより、地面に飛び付くことになった。

 

「ええっ!?」

 

 直後、ウサミミはグシャ!という音と共に顔から地面にダイブした。

 

「あべし!!」

 

 漫画のような悲鳴が聞こえるが、ハジメは気にしない。

 

 ハジメは巨大トカゲの姿を認めると、“瞬発”によって素早く地面を蹴り、それと同時にブーツからのジェット噴射を行うことで、瞬時に巨大トカゲとの距離を詰める。

 

「たあっ!」

 

 その勢いのまま、空中回し蹴りを巨大トカゲの横っ面に叩き込む。遠心力も乗せた強烈な蹴りを受けた巨大トカゲは横方向に吹き飛ばされ、地面に転がる。そして、藻掻くだけでその場を動けないままでいた。

 

 ハジメは、そんな巨大トカゲにスタスタと近づいて行くと、その頭に無慈悲にレイヴンの穂先を突き立て、息の根を止めた。

 

「助けて頂きありがとうございました!私は兎人族ハウリアの1人、シアと言いますです!」

 

 巨大トカゲの死亡を確認したハジメの背後から先ほどのウサミミが近付き、お礼を言ってくる。だが、ハジメはそれを無視してポケットから取り出したスマホ型デバイスを操作する。

 

 直後、ジャガーノートが轟音を立てながらハジメの所にやって来る。それを見たウサミミ改めシアは、新手の魔獣だと勘違いしてハジメにしがみついた。

 

「ひいっ?!お助けぇ~!」

 

「安心しろ、あれは俺の乗り物だ」

 

 そして、ジャガーノートからユエが降りて来る。ユエが降りてきたことによって魔獣でないことを理解したシアは、しがみつくのを辞めた。

 

「さて、君が何者で何故こんな所にいるのか教えてもらおうか?」

 

 シアに対する事情聴取が始まろうとしていた。

 





シアとの出会いは、原作と違ってこちらから助けに行く展開になりました。まぁ、扱いは若干酷いですが・・・
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