南雲ハジメはバリアスーツと共に   作:ウエストモール

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修正を入れさせてもらいました


6話 オルクスへ

 我々は、神エヒトに召喚されたことから“神の使徒”と呼ばれているらしい。そして、神の使徒に下手な装備を使わせるわけにはいかないため、王国は国の宝物庫を解放した。各々が宝物庫に入り、天職や技能に適合したアーティファクトの装備を手にしていく。

 

 剣士である八重樫さんは曲刀のような剣を、坂上という拳士である男子生徒は脛当と籠手を、治癒師である香織は魔法を使うための杖を手にする。

 

 勇者の天之河は聖剣と呼ばれる長剣を王国から渡された。この聖剣には、敵の弱体化と使用者の身体能力を強化する能力がある。

 

 俺が選んだのは、槍だった。槍は鳥人族がよく使う武器であり、ゼーベスにいた頃から慣れ親しんだ武器だ。

 

 この槍は、この世界特有の硬く黒い鉱石であるタウル鉱石で作られており、最高硬度の鉱石であるアザンチウム鉱石で全体がコーティングされている。その黒い見た目から、“レイヴン”と名付けた。

 

 レイヴンには2つの能力がある。1つ目は、魔力を流すことで長さを自由自在に変えられるという能力だ。これにより、短いときは短剣サイズに、長いときは最大で6mまで伸びる。2つ目は、先端に風の刃を纏うことで威力を向上させる能力だった。

 

 

 

 

 

 それから2週間が経過する。その間、俺は戦闘訓練と情報収集を行う一方で、錬金と錬成を自分のものとするための練習を行っていた。

 

 “錬金”は魔力を使って物質を任意の物質に変換する能力で、等価交換が基本となっている。なお、その使用には物質に対する知識が必要なのだが、その辺りの知識に関しては鳥人族による教育で叩き込まれているので問題ない。

 

 “錬成”は金属や土などの形状を変化させる能力で、この世界の多くの鍛冶職は錬成によって武器や防具、道具を製作している。そして、錬成の練習のために様々な刀剣類を製作した。

 

 ちなみに、今のステータスはこうだ。

 


南雲ハジメ 17歳 男 レベル:?

天職:戦士/錬金術師

筋力:1000

体力:920

耐性:700

敏捷:1100

魔力:200

魔耐:100

技能:槍術・棒術・射撃・格闘術・回避性能[+見極][+瞬発]・飛躍[+宙躍]・錬金・錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成]・言語理解


 

 各ステータスが上昇し、“錬成”からは派生技能が出現した。相変わらず、「?」の部分はそのままだったが。

 

 新たに出現した技能は2つ。錬成の派生である“鉱物系鑑定”は、触れた鉱物の名称と性質を知ることが可能な能力。一方、“精密錬成”は文字通り精密に錬成する能力。やり方次第なら、銃だって製作できるだろう。

 

 この世界には優秀な素材が存在する。それも、地球の金属よりも耐久性が高い物だ。そして、錬金を駆使すれば、それらに加えて火薬の材料だって無尽蔵に用意できる。銀河社会で使われているような素材も用意できるので、時間はかかるかもしれないが、いずれはパワードスーツ等も作成してみたい。

 

 戦闘に使用する技能に関しても、戦闘訓練に取り組むうちに詳細が分かってきた。

 

 “見極”は敵の攻撃を見極める技能。“瞬発”は瞬発力を発揮して攻撃を回避したり、敵との距離を詰める技能。“飛躍”は高く跳躍する技能であり、“宙躍”は1度だけ空間を蹴ることを可能にする技能だった。

 

 また、情報収集に際して七大迷宮という存在を知った。七大迷宮は七大と呼ばれてはいるが、場所が判明しているのは【オルクス大迷宮】と【グリューエン大火山】、【ハルツェナ樹海】の3つのみだ。残りの4つは古文書においてその存在が仄めかされているだけであり、詳しい場所は不明となっているらしい。

 

 予想されている場所としては、大陸を分断している【ライセン大峡谷】や南大陸の奥地にある【氷雪洞窟】という場所があるようだった。

 

 この七大迷宮に俺は目を付けた。七大迷宮は誰にも攻略されておらず、その奥底は前人未到となっている。そして、誰がこれらを築いたのかも明らかになっていない。

 

 七大迷宮の奥底には物凄い何かが眠っているのかもしれないと俺は考えた。もしかすると、世界を越えるための手段が存在する可能性もある。

 

 無茶苦茶な考えではあるが、俺が調べた範囲では世界を越える手段の存在は確認できておらず、未知の場所を探索するしかなかったのだ。俺は、最初にオルクスを探索することにした。

 

 とりあえず、ここを離脱することは決定事項となったが、香織がそれを知れば「ハジメ君に付いていく」なんて言いだすだろう。だが、非戦闘職の治癒師である彼女を守りながら迷宮に挑むのは難しい。何とかして、香織には神の使徒の一員として残ってもらわなければならない。さて、どうするべきか…

 

 

 

 そして、召喚されてから2週間が経過した今日、メルド団長からとある発表があった。それは、実戦訓練のために【オルクス大迷宮】へ向かうということであった。

 

 俺はオルクスに潜ることを決めていたので、これは渡りに船だ。この訓練が終わった後、ここを離脱するのが良いかもしれない。勿論、ベビーの回収も忘れてはいけない。

 

 翌日、王宮を出発した我々は宿場町ホルアドに到着。ホルアドには王国が運営する宿があり、そこで一泊。翌朝、オルクスに出発するそうなので、早く寝ようとしていたのだが、扉がノックされた。

 

「ハジメ君、まだ起きてる?」

 

 扉の向こう側から聞こえてきたのは、香織の声だった。扉を開けると、白いネグリジェに上着を羽織った香織が立っている。

 

「香織、どうかしたか?」

 

「その…少し話したいことがあって」

 

 出入口で話し続けていては誰かに見られそうなので、部屋の中に招き入れる。俺は、窓際のテーブルに着いた香織にお茶を出した。

 

「それで、話というのは?」

 

「そこまで大それた話じゃないんだけど、明日迷宮に行くのが怖くて…」

 

 恐怖……なる程な。訓練をしたとはいえ、精神は高校生のままだ。初めて命のやり取りをするのだから、怖いのは当たり前だろうな。

 

 俺も、初めてスペースパイレーツと戦った時は恐怖があった。だが、やらなければゼーベスが陥落し、家族同然の鳥人族達が死ぬことになるので、恐怖を押し殺して戦った。

 

「香織、あまり心配する必要はないと思う。それに、もしもの時は俺が守る」

 

「ハジメ君…」

 

 香織は顔を赤らめる。

 

「だったら、私はハジメ君が怪我をした時は癒してあげるね。ハジメ君が怪我してる姿は想像できないけど…」

 

 

 

 その後、しばらく雑談して2人は別れた。香織は自分の部屋に戻っていくのだが、その様子を酷く歪んだ表情で見つめていた者の存在に、香織もハジメも気付かなかった。

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