南雲ハジメはバリアスーツと共に   作:ウエストモール

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この辺はハジメ君が強いところ以外は原作とあまり変わらないかも。


8話 トラップ

 神の使徒一向は、【オルクス大迷宮】の第1階層を隊列を組んで進んでいた。オルクスの壁には緑光石という鉱物が埋め込まれており、そのぼんやりとした発光によってそれなりの明るさが確保されている。

 

 しばらく進んでたどり着いたのは、ドーム状となっている広間だ。一向が周囲を警戒していると、壁の隙間から複数の灰色の毛玉が湧いて出てきた。その魔獣はラットマンという名であり、名前の通りネズミを二足歩行にした魔獣だ。しかも、上半身がムキムキであり、その腹筋や大胸筋をボディビルダーのように見せつけてくる。

 

 団長の命令により、天之河と雫、坂上、ハジメの4人が前衛として出る。その後ろには、後衛として香織、降霊術師の中村恵里、結界師の谷口鈴が杖を構えて並んだ。

 

 天之河と雫はそれぞれの得物による斬撃によってラットマンを次々と倒し、坂上は見事な拳撃と脚撃で敵を後衛に向かわせない。

 

 ハジメはレイヴンを横薙ぎに振るうと、複数のラットマンを一撃で両断する。槍先には風の刃が纏われており、切れ味は抜群だ。

 

 その直後、詠唱が響き渡る。同時に、4人は魔法の射線上から退避した。

 

「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ──“螺炎”」」」

 

 3人の杖の先から放たれた螺旋状の炎がラットマンの群れを巻き込み、焼き尽くした。その場に残ったのは、灰のみ。完全なオーバーキルであり、本来なら回収すべき魔石が残らなかった。

 

 その後、グループごとに交代で魔獣と戦いながら、階層を下げていく。そして、第20階層に差し掛かった。この階層は、挑む者が一流の冒険者かどうかを分けるとされている。そして、今回の訓練の終着地点であった。

 

 鍾乳洞のような第20階層を、同行している騎士団員がトラップのチェックをしながら進んでいくのだが、突然ハジメ達とメルド団長が足を止めた。

 

「擬態しているぞ!周りをよく注意しておけ!」

 

 団長が忠告する。どうやら、壁に擬態している魔獣がいるようだ。

 

 やがて、壁の一部が変色したかと思うと、そこからゴリラのような魔獣が現れた。その名はロックマウント。豪腕とカメレオンのような擬態能力が特徴だ。ハジメは、まるでガルマン星人のようだと評した。

 

 スペースパイレーツを構成する種族の1つであるガルマン星人は、カメレオン型のエイリアンであり、体の色を変えることで透明化し、奇襲してくる。ハジメは何度かガルマン星人と対峙したことがあった。

 

 ハジメを除いた3人が前に出る。ハジメが前に出ないのは、鍾乳洞のような障害物のある狭い通路では槍は不向きであり、リーチの長さから味方を巻き込む可能性もあるからだ。

 

 坂上が豪腕を弾き返し、天之河と雫が取り囲んで倒そうとする。だが、その地形のせいで上手くいかない。その隙にロックマウントが大きくバックステップをとる。そして、大きく息を吸った直後、強烈な咆哮を発した。

 

「グゥガガガァァァァアアアア!!」

 

 その咆哮を浴びた3人は、体が麻痺してしまう。これは、ロックマウントの固有魔法である“威圧の咆哮”である。

 

 ロックマウントは、硬直した3人を無視して傍らにあった岩を投げつける。綺麗なカーブを描いて3人の上を飛んだ岩は、後衛へと降ってくる。

 

 香織達は迎撃しようとしたのだが、その岩がロックマウントに変わり、両手を広げて飛んできたことで、悲鳴を上げて硬直してしまった。

 

「残念だったな、俺もいるぞ?」

 

 前に出なかったことで咆哮の影響を受けなかったハジメは、香織達を守るためにレイヴンを空中のロックマウントに向けて突き出す。

 

 槍先が届かない高さにいたロックマウントだったが、突然槍の長さが6mに伸びたことによって、その身を貫かれてしまった。

 

「香織、大丈夫か?」

 

「う、うん・・・ありがとう、ハジメ君」

 

 ロックマウントは全て倒された。そのまま、20階層の奥にまでたどり着くのだが、壁に光る何かが埋まっているのを、香織が見つけた。

 

 それは、青白く光るクリスタルだった。その美しさから、クラスの女子達はうっとりとする。

 

「あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

 

 と、メルド団長が説明する。グランツ鉱石は、宝石の原石になる鉱石であり、貴族の女性に人気である。

 

「素敵・・・」

 

 香織は頬を赤く染めて呟く。ハジメは一瞬、グランツ鉱石を香織の為に取ってあげたいと考えたが、罠の可能性を考えてやめた。

 

 だが、動き出した者がいた。

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

 それは、檜山。彼は壁をよじ登り、グランツ鉱石に手を伸ばした。

 

「待て!それは罠だ!」

 

 フェアスコープで鉱石の周りを見た団長が叫ぶ。しかし、檜山は鉱石に触れてしまった。

 

 その瞬間、床に大きな魔方陣が出現し、光り輝く。まるで、召喚されたあの日のように。

 

「くっ、撤退だ!早くこの部屋から出ろ!」

 

 団長の警告は間に合わなかった。いた場所を光が埋め尽くし、一向は浮遊感を感じた。

 

 そして、次の瞬間に一向は地面に叩きつけられた。景色も先ほどと異なる。

 

 先ほどの魔方陣は、転移させるタイプのものであった。ハジメ達は周囲を警戒する。

 

 転移した先は、石造りの大きな橋の中間地点。100mはあるその橋には手すりや柵はなく、その下には闇で埋め尽くされた奈落がある。

 

「お前達、直ぐに立ち上がって、あの階段の場所まで行け。急げ!」

 

 団長は、後方にある階段に行くように叫ぶ。一向は動き出すのだが、魔法陣から出現した骸骨の魔獣、トラウムソルジャーの群れが立ちはだかった。

 

 そして、目の前の大きな魔法陣からは巨大な魔獣が出現した。それを見たメルド団長は呟く。

 

「まさか・・・ベヒモスなのか?」

 

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