オレンジの誓い   作:黒の夢

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第4話 言葉の重み

 大半の三年生の引退後、新チームが始動してから二週間あまりが経ち、様々な課題が現実味のある形として浮き彫りになった。

 

「ハァ⋯⋯」

 

 もう、何度ついたかわからないため息。

 何を置いても、戦力不足が顕著。冬まで残る三年と二年でスターティングメンバーを組める、とはいっても、故障者が出た時の替えが利かない。経験不足かつ、身体が出来ていない新入部員を試合で使わざるを得なくなる。新入部員が更に減ると予想される来年以降を念頭に置くと、今は焦らず、受験で鈍った身体の鍛え直しに専念させたい。

 しかしながら、大会は待ってくれない。次の大きな大会の予選は高校総体終了後とはいえ、練習試合は今のうちから積極的に組んでおかないと、相手側のスケジュールが埋まってしまう。あちらを立てると、こちらは立たず。せめぎ合い、イヤ、選択肢は限られている訳だからどちらにせよ、ジリ貧といっても差し支えない状態。

 

「悩み事は、別のところでしろ。気が散る」

「すまんな。ちなみに?」

「15回」

 

 苦言を呈した中野は、超難関校名の分厚い赤本から目を離さずに答えた。律儀に数えているあたり、中野らしい。水分補給をして、ズレたメガネをかけ直し、再び机に向かった中野が途轍もない速さでノートにペンを走らせる姿勢を見習って、部活用のノートを閉じて、出題された課題に向かう。やや鬱陶しそうな視線を一瞬向けて来たが、今日もここへ来たのはこちらの方が先、期末試験前のため部活動も休止ため、既に他の席は埋まっている。むしろ、場所を提供している立場、文句は言わせない。

 

「そういえば、100人超えたんだってさ。うちの担任のファンクラブ」

「そうか」

 

 表情や態度に特別変化は見受けられない。しかしながら前と同じで、この話題に関してだけは視線意外の反応がある。ひょっとして、ファンクラブに入会しているんじゃないかと疑ったりもするけど、知ったところで意味もないため、わざわざ聞くこともない。

 ペンを置いて、背もたれに寄りかかる。キシっと木の繋ぎ目が軋む。

 

「課題さえ手につかない程の悩みなら、無堂先生に相談したらどうだ。部活動の顧問は、そのためにいる」

「生徒の自主性を一番に重んじる顧問でね。その手の相談は、一切受け付けてくれないんだ」

 

 週間活動の報告へ行っても「僕は、キミを信頼している。責任は僕が負う、好きにやりたまえ」のひと言で終わる、サムズアップと、見慣れた何処かわざとらしさを感じる笑顔付きで。実態は、スケジュール管理は全て丸投げ、練習メニューも、練習試合も、公式戦の時は流石に時間通りに来てくれるけど。

 

「ま、休日返上で部下の相談に乗るくらいだから、新任の先生にとっては良い上司なんだろうけどな」

 

 中野の手が突然、ピタリと止まった。そのままじっと、ノートを見つめている。

 

「どうした?」

「どうもしない。芯が折れただけだ」

 

 その言葉通り、ペンの芯を補充している。チラッと赤本の中身が見えた。

 

「色分けとかしないのか?」

「参考書に無駄なことは載っていない。優先順位はあるが、全て必要だから載っているんだ。見直しが必要な時は――」

 

 筆箱から取り出した付箋にメモを書き込み、ページに貼り付ける。

 

「こうしている。僕はね」

 

 いわれてみれば、中野が使っている赤本には多くの付箋が貼ってある。付箋に書かれたメモの数字は、見直しの回数。一冊を完璧に解けるようになるまで、とことんやり込むタイプ。なるほど、今後の参考にさせて貰おう。

 にしても――。

 

「暑いな⋯⋯」

 

 最近、毎日のように灰色の分厚い積乱雲に覆われていた空も今は、蒼く、そして広く晴れ渡っている。梅雨の晴れ間なのか、はたまた梅雨明けか。どちらにしても、あとひと月もしないうちに夏休み。休み明け間もなく、生徒会選挙がある。

 

「立候補するんだろ?」

「現会長から推薦は受けている。しかし、より良い政策を打ち出す候補者が居るのなら、それで構わない」

「ふーん。で、掲げる公約は?」

「選挙活動期間中じゃない。返答は差し控える」

「常套句だな、真面目か」

 

 反応は返っては来なかった。つまり、この話題は触れるに価しない。気持ちを入れ直し、直近に迫った期末試験に集中すべく、課題を片付けて本腰を入れて、試験勉強へ移る。

 勉強を開始して30分程が過ぎた頃、長髪の金髪と右目の泣き黒子が印象的な女生徒が頭をさすりながらやって来た。どうやらまた、制裁(ゲンコツ)を受けるようなやんちゃをしたらしい。

 

「んだよ、席空いてねーじゃん」

 

 周囲の生徒たちは絡まれないように、一斉に視線を逸らした。不愉快げに鼻を鳴らした下田は、こちらに熱い眼差しを向けて来る、正確には、喧嘩を売るかのようなガン見。中野とはまた、違うベクトルで面倒なやつ。

 

「ったく、察し悪ぃーな」

「座ればいいだろ」

 

 学校主任から校内放送で呼び出しを受けた中野が座っていた席に、やや悪態をつきながら腰を下ろした下田は、不満を口に出す。

 

「困ってる女子には優しく声かけるのが、漢ってもんだろ」

「ガン飛ばすようなヤバいやつに性別は関係ない」

「あ? 喧嘩売ってんのか」

 

 中野を見習って、無視を決め込む。軽く舌打ちをした彼女は、筆記用具を広げた。意外と⋯⋯と言うと失礼だけど、ノートは項目ごとに見やすくまとめられている。やんちゃな見た目とは裏腹に存外、几帳面な一面を垣間見た、が。教科書と参考書が皺になってる。せっかくのノートも意味を為していない。

 

「うぅー⋯⋯」

「期末で出題されるのは、ノートの範囲だぞ」

「わかってる。見返しても意味が判らないから、参考書見てんだよ」

 

 そこから。試験以前の問題、正面でうなられ続けたらたまったものじゃない。中野の気分が若干わかった気がした。席を立ち、目的の本棚から数冊抜いて、席に戻る。

 

「ほら」

「一年の参考書じゃねーか!」

「一年の基礎すらまともに理解出来てないやつが、応用が必要な二年の内容を理解出来るわけないだろ」

「⋯⋯チッ!」

 

 不服そうな不機嫌面で舌打ち。それでも忠告を聞き入れ、一年の教科書を開く、眉をひそめながら。

 

「どうして、そんなに入れ込んでるんだ?」

「試験前だからに決まってんだろ」

 

 ごもっとも。けど、試験の結果を気にするようなタイプじゃない。赤点常連の上杉や坊主頭、やんちゃな女友達と補習を受けることも少なくない。しかし今回は、少々事情が異なるご様子。

 

「補習になりたくねーんだ」

「鉄拳制裁が怖いのか?」

「うっ、そうだけど! それだけじゃねぇ」

 

 手を止めて、理由を話し出した。

 

「自分で言うのもなんだけど、デキ良くないだろ。教師も今まで、お情けで合格にしてくれた。けど、あの先生は、解けるようになるまで教えてくれた、何度も何度も。最初はマジで、鬼かよって。でも、自分ひとりで解けた時、素直に嬉しかったんだよ⋯⋯悪ぃかよ!」

「なにも言ってないだろ」

「え? そんだけ? みてーな顔してた!」

 

 理不尽な八つ当たり、気恥ずかしさを隠そうと必死に取り繕うとしている。

 だけど、ちゃんとした理由だった。

 

           ☆  ☆  ☆

 

「ギリギリまでやってく」と言った下田に別れを告げて、一足先に帰宅。昇降口の前で偶然出会った、吹奏楽部に所属しているクラスメイトの瀬戸と途中まで並んで歩く。まるで透明人間が間に居るかのように、一人分の間を空けて。

 

「吹部は、部活?」

「さすがに、試験前はないよ」

 

 県大会の上、地域大会の代表校になっても例外ではないようだ。

 

「試験勉強してた。図書室で、吹部の子たちと一緒に」

「へぇ」

 

 気がつかなかった。部活の面子となれば四人ないし、六人掛けのテーブル席の方を使っていたとすれば、二人がけの席からは死角の位置。それで、気がつかなかったのだろう。

 

「もう少し自覚した方がいいと思うよ? 目立ってたし」

「見てたのか」

「ええ、見てましたよー、仲よさそうに話してたの」

「談笑してた覚えはないけど」

「ふーん」

「なんだよ?」

「別に~、後輩ってめんどくさいって思ってただけ」

「それは、同感」

 

 前後と話が繋がっていないけど。ひとつ大きく息を吐いた彼女は、クラスで話している時と同じ、勉強のこと、部活のことをイジられたり、いつもの調子に戻った。半歩距離が縮んで、校門付近に差し掛かった時、木陰でしゃがみ込んでいる女子が居た。駆け寄って、声をかける。

 

「大丈夫?」

「あ、うん、ちょっと立ち眩みがしただけだから⋯⋯」

 

 彼女が声をかけた女子は、上杉の彼女。顔色が若干芳しくない。夕方になってもこの茹だるような蒸し暑さ、熱中症の疑いがあるため、彼女の介抱を瀬戸に任せて、スポーツドリンクと水のペットボトルを買って戻り、ベンチに移動した彼女にスポーツドリンクを差し出す。

 

「ありがと」

「いや。どっちか、使ってないハンカチある?」

「ハンドタオルならあるよ。はい」

 

 ペットボトルの冷たい水で濡らしたタオルを絞り、手渡す。首筋や額を冷やすと、顔色も戻った。

 

「保健室、行かなくて平気?」

「平気。タオル、洗って返すね。あと、お金――」

「いいって、そのくらい」

「あたしも。大事にならなくてよかった」

「心配してくれて、ありがとう」

「おーい!」

 

 校舎の方から、上杉の声。

 

「悪ぃ悪ぃ、遅くなっちまった。先公に捕まっちまって⋯⋯って、どうした?」

「体調崩したんだよ」

「――マジか! 大丈夫か!」

「大丈夫だよ。二人が、助けてくれたから」

「そっか。サンキューな!」

 

 白い歯を見せて、礼の言葉を述べる上杉。彼の彼女が、ベンチから立ち上がる。

 

「じゃあ、行こー。映画、始まっちゃう」

「ダメだ。今日は、中止。家まで送ってく」

「もう、平気なのに」

「俺が許さん! 映画なんて、いつでも観れる!」

 

 何はともあれ、大事に至らなくてよかった。

 ただこの時は、本当にそれだけだと思って疑いもしなかった。

 そしてあの放課後以降、上杉の彼女は時折、体調を崩しがちになった。当然心配したし、気にもかけたけど、連日35度に迫る記録的な猛暑、蒸し暑い熱帯夜が続き、体調不良を訴える生徒も少なくなかったこと、あと数日で長期休暇に入ることもあって、周囲も、当の本人も、あまり深刻には捉えてはいなかった。

 それがまさか、あんな思いもよらない事態へと発展するとは、夢にも思わなかった。今思い返すと、あの放課後の出来事は、人生で初めての人命救助だったのかもしれない。

 

           ☆  ☆  ☆

 

「見ろよ、これ! これが私の、実力(ジツリキ)だぜ!」

 

 先の期末試験の結果を、どや顔で掲げる下田。対面に座る中野は無表情を貫き、一切興味を示さない。俺の方も、夏休み中における部活動のスケジュールの最終確認で手一杯。本来なら合宿を張って、県内外の他校と練習試合を組みたいところだけど。

 

「合宿は、顧問の同行が必須だよな」

「当然だ。責任者の同行がなければ、許可は下りない」

「だよな」

 

 教員研修があるとかで去年も、合同練習という体で近隣の学校との練習試合しか組めなかった。その辺りの事情を汲んで、現生徒会長は柔軟に対応してくれていたそうだけど、堅物と名高い次期生徒会長最有力候補殿が着任した暁にはどうなることやら、先行きは見通せない。

 

「ちったぁー興味示せ、この根暗ども!」

 

 下田がキレた。試験結果の用紙を、テーブルに叩きつける。

 突然の物音に周囲はざわつき、中野は「どうにかしろ」と、鬱陶しそうな視線を向けてくる。仕方なしに、下田の試験結果に目を通す。前回の結果は知らないが、全教科赤点回避に加えて、零奈先生が受け持つ教科に至っては平均点に乗せていた。

 

「凄いね」

「そうだろそうだろっ。ちょいと借りるぜ」

 

 隣のテーブルから空いている椅子を拝借して、対面して座る俺達の側面に腰を下ろした下田の得意気な表情が一転、真面目な顔を覗かせる。

 

「ちと、聞きたいことがあってな。上杉(あいつ)の、女のことだ」

「上杉の彼女?」

「僕には、関係のない話しだ。別の場所でしろ。気が散る」

「聞かなかったことにしろ。人前じゃ話しずれーから、ここに来たんだよ」

 

 確かにここは、目の前に座る存在感のある男子の影響で滅多に人は近づかない。ぶっちゃけ、ここで部活動の件を熟考するのも同じ理由かつ、即、意見を伺えるメリットも。

 

「最近、体調悪そうなことがあるだろ、あいつ。去年、同じクラスだったって聞いたからさ」

「ま、そうだけど」

 

 一年前の今頃のことを思い返す。熱中症や夏風邪に罹るクラスメイトは何人か居たけど、あまり記憶にない。ということはやはり、今年が特別と考える方が自然な訳で――。

 

「中野」

「僕に、振るな」

「そういうな。医学部目指してるんだろ」

「マジかっ!」

 

 驚きの声を上げた下田とは対照的に中野は、煩わしそうに眉間にシワを寄せ、小さくため息を漏らす。

 

「素人の中途半端な知識ほど厄介なものはない。専門機関で受診すべき案件だ。言えることがあるとすれば、それだけだ」

「俺も、それがいいと思う。甘く見て、もし深刻なことだったら取り返しがつかない」

「まあ、そうだよな。昨日もまた、急にへたれ込んじまったし」

 

 ――急に。その言葉が引っかかった。

 実体験から、熱中症や風邪の類の体調不良ならある種、何かしらの前兆がある。同様の違和感を拾った中野は、参考書から目を離し、顔を上げた。

 

「早期に検査を受けるべきだ。持病がないのなら尚更」

「おっかねぇ顔で言うなよ。オメーが言うと、シャレに聞こえねー」

「もう一度だけ言う。検査を受けるべきだ」

「はぁ、わーたよ、邪魔したな」

 

 椅子を引いて立ち上がった下田が去った図書室には、通常通りの静けさが戻った。スケジュール表に目を戻して、先程の件をそれとなく尋ねる。

 

「僕はただ、一般論で語ったにすぎない。それ以前に、プライバシーに関わる事案だ。好奇心で話すような事柄でも、突っ込んで聞くような間柄でもない」

「ごもっとも」

「理解したのなら、静かにしろ。自習の妨げになる。しかし、なぜ分かった?」

「理系の科目に貼られた付箋が、次に多い英語の科目と比べても明らかに多い。今も、理系の科目を開いている。必須科目は、理系と英語。それにその赤本の大学は、医学部が名門として名が売れてる」

「⋯⋯大した観察力だね」

 

 中野はそう、賞賛してくれた。しかしこれらは、丸投げされた部活動の賜物。暑さが厳しいこの夏場の練習は特に、周囲に気を配り続けなければならない。それこそ、ほんの僅かな変化も見落とせない。僅かな変化の見落としが、大ケガ、病に繋がりかねない。

 上杉の彼女の体調不良の原因が、ただの夏風邪でも、異常な暑さから来る熱中症でもなかったことを知ることになったのは、学校が夏休みに入って、月をひとつ跨いだ八月中旬、世間が盆休みに入ろうかという時期のことだった。

 

           ☆  ☆  ☆

 

「あんなマネ、俺には出来ない。当然、中野にもな」

「ガッハッハ! 褒めんなよ、テレるじゃねーか」

「褒めちゃいない」

 

 数年ぶりに会った旧友との思い出話にふけている間に、すっかり温くなってしまったコーヒー。カップを置いて、窓の外へ顔を向ける。色づいた街路樹の葉が、風に吹かれて宙を舞う。今年も長い残暑が続く中、徐々にではあるが、季節は確実に歩みを進めている。

 季節が巡る街を見ていると、秋らしい服装の目立ってきた商店街をひとり闊歩するスーツ姿の女性と、店のガラス越しに目が合った。一瞬、珍獣でも見つけたかのように目を丸くした彼女は歯を見せてほくそ笑み、早足で店に入ってきた。

 

「珍しい組み合わせじゃねーか、いつ以来だ?」

 

 断りもなく上杉の隣に座った女性――下田から問われた。

 

「さあ、どうだったかな」

「コイツも、マルオも、自分からは誘わねぇからなー」

「私らだって似たようなもんだろ? 去年は偶然、会う機会が増えてたってだけで。それより、見たぜ。都心環状線のニュース!」

「今まさに、そのことではなしてたんだ。ほらよ」

 

 偶然居合わせた上杉が撮影した救助現場の写真を見て、下田は声を大きくして、写真を一枚の手に取る。

 

「おお! スゲー迫力、まるで映画のワンシーンだな。これ、結構デカい事故だったんだろ?」

「まあな。けど俺は、現場で指揮を執ってただけ。現場で救助活動するのはもう、殆ど若手だ」

 

 そろそろ一線から退く年齢、今後を担う若手たちへ次のバトンを渡す時期も近い。

 

「いらっしゃい。今日は、M・A・Y(メイ)様は一緒じゃないの?」

「お嬢ちゃんは今日、家庭教師のバイトだ」

「なんだ。試作品用意して損した」

 

 俺たちに出したパンケーキを下げようとした店長を、下田が引き留める。

 

「低評価爆撃するぞ!」

「営業妨害で訴えるよ。飲み物は?」

「コーヒー」

「俺も、新しいの貰えるか?」

「了解。用意するから、少し待ってて」

 

 カウンターの奥へ下がり、下田を加えた三人での会話。学生時代の話しをしていたことを知った彼女は懐かしむように、あの頃からは想像出来ない程穏やかな表情を浮かべ、口に運びかけた試作品をそっと皿に置く。

 

「あの頃か、懐かしいな。先生が居なかったら、どうなってたんだろうな?」

 

 少なくとも今、俺は、この場に居ないだろう。

 人命救助の道へ進むことを決意したきっかけを、命の大切さを、重さを、儚さを、脆さを、尊さを、その全てを教えてくれたのは、零奈先生。

 ――命の尊さを軽んじる方に、人にものを教える資格はありません。

 あの言葉は今も、深く記憶の中に刻み込まれている。

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