華結を繋ぐは勇者である『凍結』   作:バルクス

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どうもバルクスです。
投稿するのに一週間掛けちゃったぜ
まぁ、仕事が忙しすぎて全く手がつけれなかったてっのもあるし、やはりモチベが......でも、頑張ります!

今回は日常会(?)です。
ではどうぞ〜


第11話:自分が出来ること

 

暗い空間に海斗は気付いたらそこに立っていた。

自分は今何をしているのだろうか?

こんな暗い闇の中で、ただ何もせずこの空間を見つめながらに居座り続ける。

何もしたくない......何もやりたくない。

どうして自分はここにいるのだろうか?

ふと、視界が光に包まれた。光が止むとそこは海斗が知っている場所だった。

 

「これは......」

 

突如後ろから誰かの悲鳴が聞こえ後ろを振り向く。

だがその光景は悲惨なものだった。

それは過去に海斗が体験したものだった。まるで録画したものを流し続けて追体験させるかのように場面が切り替わっていく。

最初は唯誰かを救えると思っていた。

だが、現実は醜いものばかりを突きつけてくる。

白い化け物に襲われてから人類は変わってしまった。

片や食糧難で争い、または意見の対立で争う。

そしてそれに巻き込まれるのは力を持たぬ子供や老人、病人も含まれ、それら人に全て切り捨てられ殺される。

集団行動したとしても結局内部で暴走すれば破局するのは必然だ。

恐怖に支配され動けずそのまま死んでしまう人々。その知人や身内を亡くしたショックで自ら自害する人々にそれぞれ別れる。

それを見てきた海斗は自分が一体何の為に力を手に入れたか分からなくなった。

この時、人間があの白い化け物より一番なによりも怪物になれるんだと思った。

それから先は覚えていない。

残ったのは海斗を最後まで想ってくれていた巫女だけ。

だがその巫女も道中に襲われ、海斗を化物から庇い瀕死の重傷を負ってしまう。

だが彼女は自身の怪我ではなく、最後の最後まで海斗の身を案じながら想いを告げて息を引いた。

その頬を触れた時、巫女の体温は失われ冷たかった。あれまで暖かった人が今は冷えた物になった。

あんなにも元気で明るく、海斗の心を保たせてくれた彼女は呆気なく死んだ。

こうも人は簡単に死ぬんだと認識してしまう。

 

 

『......ふざけんなよ』

 

と、過去の自分(海斗)が巫女の死体を腕の中で抱きしめながら声を押し殺して言葉を呟く。

肩は震えながら人だったものを見る。

その顔は優しい笑みをしながら幸せそうに眠っていた。

 

『なにが、人を救うだ......』

 

その表情を見れば見る程、自分に苛立つ。

懺悔のように小さい声で言う過去の海斗。それは憎悪を身に纏っているかのような声で呪詛を撒き散らすように呟く。

 

『救われてたのは.....俺だけだったんじゃねぇかよ......』

 

自分の行いに意味がなかった。ただの茶番劇だった。

まるで道化師を演じていたのだろうか?

いや、実際そうなのだ。

 

『返せよ.......返してくれよ.......俺の大事な人を......うわぁぁぁぁぁぁぁッ!』

 

この言葉は今でも覚えている。自分が何も出来ずに誰かを救えなかった苦い記憶。

そして最後に何かに縋る様に感情をさらけ出した瞬間だった。

この時から海斗は一人になった。

バーテックスに復讐をするために。

だが、そんな復讐を誓った海斗は勇者達と出会ってその行いが間違いだと気付く。

本当にこれが正しいのか。はたして過去に散っていった人達に報いているのかどうか、そして海斗を想っていてくれた巫女からの最後の言葉を思い出す。

 

『生き.......てください.......愛しています.......』

 

今でも覚えている、忘れるわけが無い。

彼女の言葉で海斗は今もこうして生きている。大切な仲間と出会っている。

大切な幼馴染がいる、大切な家族がいる、大切な仲間がいる。

彼女は海斗に復讐を誓わせた訳ではなく、『生きて』とただ一言を贈った。

どれだけカッコ悪くても、何も成せなくても、生きて――生き続ければ彼女は幸せだったのだ。

やっと、わかった。

簡単だったものを難しく考え過ぎていた。考えすぎて大事なことを忘れていたのだ。

なら、そろそろ目覚めないといけない。

今自分が何をすればいいのか、今自分が出来ることはなんだろうか、それは――

 

「生きて、大切な人を守るために決まってるだろ!」

 

手を伸ばしながらそう言うと辺りが光だした。

光が止み終ると声が聞こえる。誰かが隣で泣いてる声で呼び掛け続けている。

それに海斗は声を発して応えた。

早く目を開けろと自分に言い聞かせながら海斗は瞼を開けてその存在を確認する。

それは彼が一番大切で大事な幼馴染だった。

しかしその目元は赤くなっていた。泣いていたのだろう。

彼女に合うのはこんな表情じゃない。

すると彼女が海斗を抱きしめた。海斗は彼女の髪に触れて優しく撫でた。

声がまだ出せないが、自分の言いたいことを少しでも伝えられるように弱くても口を動かした。

彼女が少しでも笑ってくれるように、少しでも――幸せにになってくれるように。

 

 

 

 

 

 

千景は大社が管理する病院に訪れていた。

あの日、過去最大規模のバーテックスの侵攻後、勇者達は治療と身体検査のために入院することになった。

千景含めて全員が戦いで傷を負い、勇者の力を長時間使っていた影響を調べる必要もあったからだ。

幸い勇者達は軽傷ですんで今は退院している。ただ一人を除いては。

 

「......」

 

千景はとある病室に入りそこに設置されてある丸椅子に座りながらゲーム機を出した。

ベットに寝ているのは海斗だった。

心電図がピッ、ピッ、とリズミカルに音を鳴らしている。

何もない空間だからか、不安感に駆られてしまう。

バーテックスの侵攻から海斗は若葉を助けるべく一人でバーテックスの大群を相手にした。そのせいで彼はやむを得ず自身に精霊を降ろしたのだ。

バーテックスを撃退した時には既に海斗は意識を失い、それを見た千景は血の気が引いてしまった。

千景は海斗が大社の病院に運ばれたのをずっと見続けていた。

それを思い出しながら千景は海斗が寝ている病室で今も尚眠り続けている彼の顔を見る。

運ばれてからは一刻も許さない感じだったが、今は呼吸も安定している。

それを見ながら自身の後悔を思い出す。何も出来なかった自分が憎い。千景が海斗の方に行けば少しは変わったのだろうか。

だが、二人で行けば今度は神樹の防衛が疎かになってしまう。

だから何も出来ず決断を鈍らせた千景はやり場の無い怒りを若葉にぶつけてしまう。

悪いと思っても大切な人が目の前で無惨な姿になって冷静などいられるはずがない。

千景が若葉に怒りをぶつけても周囲は誰も止めなかった。

海斗が病院に運ばれた翌日、千景は若葉に対して本心を述べた。

これで彼女が変わってくれたらどれ程いいかと思いながら千景はずっと海斗がいる特別治療室の窓ガラス越しに彼を見ていた。

そして海斗が目覚めぬまま八日が経った。

海斗が負った傷は塞がり、今は一般病棟に移され面会も出来るようになった。

 

「海斗......うるさいと思うけど、ゆるしてね」

 

申し訳なさそうに千景言いイヤホンはせずに周囲に聞こえるように音を流した。

少しでも彼が目覚めるようにと。

千景はゲームをやりつつ眠っている海斗に聞こえるように話し出した。

あれから色々あった。

一つは若葉が自身の行いに気付き前を向こうとしている。

以前千景の部屋に訪れてゲームで協力プレイをした。

彼女もやっと周りを見るようになって良かったと心の中で安堵した事、自分でも言いすぎたんじゃないかと心配した事。

そして、今の勇者達のことも。

だが彼が目覚めないかぎり、千景の心は冷えきったままだった。

話が終わってもゲームをしながら海斗の顔を見る。

まるで安らかに眠っているようでこのまま起きないんじゃないかと悪い方向に思考が傾く。

そして一瞥し終わると再び画面の方へ戻る。

ここまでゲームを楽しめないのは何時以来だろうか。

幾ら敵を倒そうが、幾らステータスを上げようが、何も満たされなかった。

 

「......」

 

これまで海斗がいたから彼女は今までやってこれた。彼がいたから自分が自分でいられた。

なのに......なのに。

ゲーム機の画面に小さな雫がポロリと落ちる。

 

 

「いや......いやよ.....」

 

千景は泣いていた。これまで抑えていた感情が、耐えきれなかった。

彼がこの先目覚めなかったら千景は耐えられない。

またあの頃の一人の時に戻ってしまう。

前に千景は海斗のことを守ると誓った。だが、その誓いは果たされず今の現状が成り立っている。

なんで、どうしてと心の中で呟く。

あの時彼を行かせなければこんな事にならなかったんじゃないのかと後悔が巡るばかり。だが、それは結果論だ。実際起きた事はどうしようもない。

千景は瞳を濡らしながら不安な表情で海斗を見る。

 

 

「私と何時も一緒にいるって言ったじゃない!支えてくれるって言ったじゃない!」

 

彼女が溜まりに溜まった本心や不安を今も眠り続けている海斗にぶつけた。

 

「私は......貴方がいない日常なんて耐えられないッ!だから、だから早く起きてよぉ.....海斗ぉ......!」

 

そして千景はゲーム機を地面に落ちるのもを気にもとめず、ベットで泣き崩れる。

こんなことしても彼は戻ってこないというのは千景も分かっている。

だが、そうするしか出来なかった。

何を話しても何をしても彼は微動だにせず、ただ体を上下に揺らすだけ。

世界は何時だって理不尽を押し付けてくる。

こんな理不尽に慣れるのは絶対に不可能だ。

そして千景が蹲りながら涙を流していると彼の声が聞こえた気がした。

 

「ち.....ぃーちゃ......ん」

 

か細い声で彼女の愛称を呼ぶ。

その声に気付いた千景は顔を即上げた。

早く彼の顔が見たくて早く抱きしめて仕方がなかった。

海斗の表情を見た千景は目元に溜まった涙でまた頬を濡らした。

そしてそのまま彼を抱きしめる。

 

「.....あぁ....海斗......かいとぉ!」

 

言葉にならないほど千景は泣いた。

海斗も彼女の行動に少しは驚いたが、右手で千景の髪を優しく撫でた。

 

「......声、聞こえたよ.......届いてた.....よ」

 

ぽつり、ぽつりと海斗は千景に言う。

その言葉に千景は抱きしめていた腕を痛くないように強くする。

もう離さない。離したくない。離れたくない。

これからもずっと、ずぅと一緒にいたい。

そんなことを心の中で呟く千景。

彼にはまだ言わなくていい。

何時かお役目が終わった時に彼女は告げるだろう。

今は自分が出来ることを最善にやることだけだ。

 

 

「(今度は絶対守る.....今度こそ、絶対にッ!)」

 

 

 

翌日。

検査を終えた海斗は病室で本を読んでいた。

体もある程度は回復してリハビリも必要せず今は退院する期間が来るまで待っていた。

時間は昼過ぎ。

因みに今日は誰一人も来ていない。

この時間帯はいつも千景が来る筈だが、今回だけは見舞いにも来なかった。

やはり昨日の事について恥ずかしくて海斗に顔を合わせずらいのだろう。

少し寂しいが仕方ないと心の中で納得させる。

すると50ページを読み終えた辺りから病院のドアからノック音が聞こえた。

 

「どうぞー」

 

海斗は小説を閉じながら短く返事をして入出許可を出すと扉の中から現れたのは若葉だった。

 

「おっ、若葉久しぶり。どうしたこんな昼過ぎに」

 

「目が覚めたと昨日、大社から聞いてな。身体の調子はどうだ、海斗」

 

若葉の言葉に海斗は腕を上げ軽く振り回す。

 

「見ての通りこんな感じだ。後は退院する期間を待ってるって状況」

 

「そ、そうか......あまり無理はするな。まだ体が本調子じゃないんだ」

 

腕を振り回しながら応える海斗に若葉は苦笑しながら心配そうに言う。

 

「んで、本当は単に見舞いだけじゃないんだろ?」

 

 

そう軽く話すと海斗は本題に入ろうとした。

何故若葉だけ病院に来たのかは分からない。普段だったら彼女の隣にひなたがいるはずなのに今日はいなかった。

その話をしたら若葉は肩を一瞬震わせ目を逸らす。

そして、覚悟が決まったのかいきなり若葉は腰を折って頭を下げた。

 

「.....海斗、あの時はすまなかった!私のせいでお前に怪我を負わせ。ましては......切り札(精霊)を使って......」

 

あの凛々しく根気強い若葉が弱々しくなっている。

バーテックスの大群を撃退してから今日で九日。昨日千景にある程度状況を聞いてはいたが、これはこれで何かむず痒い。

 

「......あれは気にすんな、とは言わねぇけど」

 

 

海斗は頭に手を置きながら海斗は口を動かす。

何かを言おうと考えながら振り絞る。

 

「確かにお前がやったことは褒められたことじゃない。けどな、それを反省しているんだったらそれでいいんだよ」

 

「だ、だが......それでは......」

 

 

海斗から見て乃木若葉は女子に言ってはいけないが、現代の武士だと思っている。義理堅く、頑固というのが海斗のイメージだ。

歯切りが悪かったのだろう、若葉は海斗の言葉に納得しなかった。

ため息を吐きながら海斗は口を開いた。

 

「なら、俺が寝ている間お前が何をしていたのかを教えてくれよ。それを聞いてから決めてやる」

 

 

海斗が言うと若葉は頷いた。そこから彼女は語り始めた。

自分が過去にバーテックスから友達を奪われ奴らに報いという名の復讐に取り憑かれていたと。

若葉の家訓は『何事にも報いを』をしていてそのせいで若葉はバーテックスに怒りで我を忘れて一人で突出する行為を行ったのだ。

海斗の目覚めていない期間にそれは勇者達との交流やこの四国に生きている人々との交流で周囲にも気を配り、過去(死者)を背負うのではなく、(生者)の人々の想いに応えて守り抜くと決意したらしい。

その話をしている若葉はもう吹っ切れたと思えるぐらい純粋な笑顔で満ち溢れていた。

 

「.....ということだ。どうだ?」

 

真剣に話しすぎた若葉は恥ずかしくなったのかモジモジしている。

この話を聞いたのならもう答えは出ている。

彼女も海斗と一緒で過去の人に縛り続けられていた。

その想いを背負って今までバーテックスを倒していた。

だが二人も仲間のおかげで変われた。

だったら海斗が言うことはこれしかない。

 

「......確か、『何事にも報いを』......だったか?」

 

「ああそうだ、それが乃木の生き様だ」

 

「それじゃあ、俺がお前に報いを受けさせてやる」

 

「.......頼む」

 

海斗が間を開けて息を吸った。そして、若葉に言い渡す。

 

「これから先お前は仲間を守るのとリーダーとしてちゃんと勇者達を纏めていくことだ」

 

「......え?」

 

海斗の言葉に若葉は素っ頓狂な声を発してしまった。

もっと厳しいことを言われるかと覚悟していたというのに、この男はどうしてそこまで罪を軽くするのだと、若葉は心の中で思ってしまう。

 

「.....何か文句あるか?」

 

「い、いや全くないが......そんなことでいいのか?」

 

「それでいいんだよ。反省してるやつにそんな酷なことなんてするかよ」

 

「そ、そうか......ありがとう」

 

手をヒラヒラと揺らして若葉に言い聞かせる。

緊張していたのか若葉は肩を脱力して姿勢を少し崩す。

お互い似ているもの同士か引かない時は引かない。

だからこそ海斗と若葉はここまで気軽に話せた。

そして若葉が最後に海斗に聞きたいことを話す。

 

「......なぁ海斗」

 

「うん?」

 

「私はリーダーとして向いているか?」

 

真剣な眼差しで海斗に向ける若葉。それを聞いた海斗は首を捻りながら手に持っていた小説を読み始めた。

 

「......しらね。そもそもそれを決めるのはお前だ何をしたいかは自分で見つけろ」

 

「ふっ、......それもそうだな」

 

素っ気なく返す海斗に若葉は何時もの海斗らしいと思い浮ながら笑った。

だが、その病室から続く廊下に丁度やってきた千景が海斗と若葉の話をこっそりと聞いていた。

 

 

「ふふっ.....良かった。あの時の海斗に戻ってきた」

 

 

 

笑みを浮かべながら小さく呟く。

勇者の仲間達との交流で海斗は段々と変わりつつある。

それを見るのが堪らなく嬉しかった。でも何故だろうか、海斗が若葉と楽しく話しているのを見たら胸がズキズキと痛くなるのを感じた。

仲間なのに何故か敵意を覚えてしまう。

奪わないで――盗らないで。

ふと、心の中で何かが呟いた気がした。

自身の胸に手を当てると暖かいが、冷たく感じる。

そして再び海斗と若葉を見るとまだ楽しく会話していた。それを微笑ましく思えば何故か羨ましく思うのだ。

 

「(......もしかして私......乃木さんに嫉妬してる......?)」

 

それを自覚した千景は若葉をみる。

何であんな楽しく私の大切な人と喋っているの?

どうして私じゃなくて貴方がそこにいるの?

赦さない。

 

「.......馬鹿みたい」

 

自身の本心を聞いた千景は呆れるようにため息を吐く。

これじゃあ、いつか海斗に愛想つかれてしまう。

それだけはダメだ。

 

「.......もっと、強くならなきゃ誰よりも........海斗を守るために!」

 

千景は拳を握りながら決意した。

海斗を守るために、何者にも負けない力を付けるために。

それが、今自分に出来ることだと思ったからなのだから。

 

 

 

 

 

 





ここからどんどんシリアスになっていくのかな?
やはり千景ちゃんは優しい子ですね、大切な人に涙を流せるのはいい事だ(´ー`*)ウンウン(何様だよ)

因みに千景が泣くシーンはゆゆゆ第12話をオマージュさせて頂きました。

実際千景の意思は東郷さんが引き継いでるだろ(生まれ変わりかもしれない)

まぁ、そんなことは置いといて、次回は丸亀城の戦いまで書こうかな考えております。

前編と後編分けようか迷うけどもし、前、後、出してたら察してくださいw

ではまた次回でお会いしましょう。さなら!

PS.何か指摘や言いたいことがあったらコメントしてもどうぞ〜(少し欲しい)


次回。第12話:勇者の連携

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