華結を繋ぐは勇者である『凍結』   作:バルクス

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どうもバルクスです。
三週間も投稿をせずに出来なくてすいませんでした。
これからも更新頑張って行きますのでお許しを!
では後半どうぞー

ps.秋葉のホビー天国でわすゆグッズを買いました〜最高だぜ!


第12話:勇者の連携 (後編)

 

あれから何分経ったのだろうか。

徐々に周りにいるバーテックスの数を減らしつつ周りを見回した。

他の勇者達は表情に少しの疲労見せながら敵を倒していた。

 

「はぁ.....はぁ......」

 

息を整えながら村正を地面に刺しながらスマホを見る。

どうやら最初にいた大群は約半分まで減っていた。

このままいけばこちらに勝機がある。

後は海斗達勇者の体力があればの話だ。

たがこっちには二人の勇者が待機している。

焦る必要は無い。

そろそろ戦闘を開始してから半時間ぐらい過ぎた頃だろう。

前線を張っている若葉と友奈が待機している珠子と千景に交代する頃合だ。

しかし、最低二人は交代できるが残りの一人はそのまま戦闘を継続しないといけなくなる。

一番体力がある人じゃなければ務まらないだろう。

指揮を執っている杏が前線に出たとしてもきついだろう、そのまま後方で援護をした方がいい。

そして海斗はその役目を引き受けた。

指揮を執っている杏や他の仲間には何か言われるかもしれないが、命令違反はしているが今は目を瞑ってもらえたいところだ。

一通りスマホで敵の数を確認し終わると腰に着いているスマホ入れにしまう。

体力は存分にある。バーテックスが来ない間ある程度は休めた。

なら――

 

「......まだ、やれる」

 

村正を手に取って再びこちらにバーテックスが進行しているのが見えた。

霊力の刃を展開して間髪も入れずに跳躍して敵を斬る。

そして亡骸の一つを村正を突き刺して向かってくるバーテックスに投げつけてその隙を見逃さずに残りの亡骸を土台にして接近して斜めに薙ぎ払うように斬る。

そのまま地面に着地して、透かさずその場にいるバーテックスに向けて村正を振り続ける。

しかし、海斗の背後に回ってきたバーテックスは海斗の後ろを確実に捉え、口を開けながら接近してくる。

それに気付いた海斗は左足で回し蹴りを食らわした。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

死角から来る敵は過去の経験から分かる。

四国に来るまではずっと奴らと戦ってきたのだ。この程度では負けることなんてない。

海斗はバーテックスを蹴り上げた後に村正で真っ二つに斬る。

バーテックスは塵のように消滅した。

 

「さぁ......全然こっちは元気だぞ!殺したいなら全力で殺してみやがれ!」

 

化け物に挑発は効くかどうかは分からないが、海斗は声を発した。

その効果が効いたのかバーテックスが勢いよくこちらに迫ってきたのを確認してから素早く空中に跳んで回避する。

お陰で攻撃が単調で避けることができて真上から下にいるバーテックスに村正を突き刺し消滅させる。

すると星屑は周囲に集まり始めて融合を始めた。

 

「ちっ、こんな時に進化体か......」

 

バーテックス側からすれば本格的に海斗を殺しに掛かりに来た様だ。それを判断した上で進化体になり始めようとした。

それを妨害されないように小規模ながら星屑が周りを囲んで防衛線を張っていた。

簡単には抜けられそうにはない。

 

「カイト無事か!?」

 

丸亀城付近から球子が飛躍してやってきた。

どうやら杏の指示で来たのだろう。

海斗が珠子の方に振り向きながら口を動かした。

 

「球子。来て早々悪いが、あいつをさっさと倒す。手を貸してくれ」

 

「おう!最初からその為に来たんだからな!」

 

隣同士に並び融合を始めているバーテックスを睨む。

流石に悠長に話している時間もない。

交代する番だが、今はそれをやっている暇もないことは理解している。

 

「俺があの進化体の懐に飛び込む。星屑の掃討は任せたぞ」

 

「あぁ。思う存分暴れて来い!後ろはタマに任せタマえ!」

 

そう言うと二人はお互い村正と旋刃盤を構えて駆け出す。

その同時に星屑の大群が海斗の方へ雪崩のように迫ってくる。

本来なら防御しながら進むが、自分が自衛しなくても後ろから盾が回転して目の前いた敵を薙ぎ払って道を作ってくれる。

これ程仲間がいれば心強いというものだ。

 

「ははっ!最高にいいタイミングだ、球子!」

 

援護してくれる珠子に感謝をしつつ、盾が戻ってくる頃には海斗は村正で旋刃盤で倒し損ねた星屑を斬り伏せる。

敵が消滅した瞬間に強く地面を跳躍した。

後ろにいる球子は、旋刃盤を回収した後にバーテックスから距離を取る。

そして海斗は跳躍した勢いで自身に向かってくる星屑を次々と斬り払った。

斬ったそれを踏み台として宙を翔る。

球子もそれに続いて地上から敵の攻撃を捌きながら適度に海斗の援護をする。

それのお陰でなんなりと敵の防衛戦を突破して懐に潜り込めた。

 

「喰らいやがれ!」

 

村正を振るう。だが、その攻撃は表面状だけしか傷を付けれなかった。

非常に表面が固く、村正の刃が通らなかった。

 

「クソっ!」

 

一旦距離を取り、体制を立て直す。

地面に着地して球子と合流する。

 

「どうするんだカイト、あんな硬いやつなんて並の武器じゃ通用しないぞ!」

 

球子も進化体の強靭な硬さを目の当たりにし、海斗に言う。

バーテックスは知性があると大社に言われており、奴らも幾度の侵攻で勇者達に対して学習していってる。

そして後々の事を考えてみる。撃退出来たとしても、奴らに経験値を与えているということ、そしたら自分たちが使っている神器も通用しなくなるのではないかと考えてしまう。

だがもし、これ以上やり続ければ果たして海斗達は勝てるのだろうか?

いや、そんな事は頭の片隅に置いといておこう。

今は目の前にいる進化体になりかけているバーテックスをなんとかして攻撃を与えることを考えるべきだ。

通常の攻撃が効かないとなると、やはり『切り札』を使うしかあるまい。

指揮を執っている杏からはあまり使うなと釘を刺されてはいるが、今はそんな事を言っているほど時間も余裕もない。

 

「......球子今から俺は『切り札』を使う」

 

海斗は球子に伝えた。それを球子は苦汁を飲まされるような表情して唇を震わせた。

 

「ダメだカイト.....それで倒れたりとかしたらタマは嫌だぞ!」

 

球子は以前の海斗が切り札を使った時彼は意識を失い怪我もした事を思い出す。

そして今度は二度と目覚めないのではないかと思ってしまったのだ。

すると海斗は笑みを浮かばせながら球子の方を見た。

 

「大丈夫だよ球子。俺は倒れないさ」

 

「だけど......」

 

球子は悲しい声をしながら口を動かす。その声を聞いた海斗は鼻で笑い珠子の頭を乱雑に撫で回した。

 

「そんな顔すんなって、あんなやつすぐ倒してやるよ。でも――」

 

海斗は彼女の頭を撫で終わると進化体になりつつあるバーテックスの方に振り向き村正を構えた。

そして海斗はふとある事を思い出した。

切り札を使わずとも勝てる方法が、あったことを。

 

「......そういや、切り札を使わずにこの状況を打破する方法が一つだけあったわ」

 

「何するつもりなんだ?さっきタマがお前にタマたちの攻撃は通じないっていったじゃないか!」

 

確かに球子の言う通り、通常の攻撃は通らないのは先程実証済みだ。

だが、村正だけは他の神器とは違うものがある。

 

「コイツにはまだ使ってない機能があるんだ。けど、それを一度使うと暫くは村正が機能不全に陥って鈍器にしかならなくなる」

 

「なら、タマが『切り札』を使えばいいだけの話じゃなのか?」

 

確かに球子が輪入道を使えばあの進化体を倒せるかもしれない。

しかし、球子にそれをさせれば一気にこちらの戦力が大幅に下がってしまう。

それだけは避けたい。

 

「俺がここでアイツを倒せばお前はまだ継続戦闘はできるんだ。それが終わりゃ俺はその休んでいる間で村正を使えるようにする」

 

そっちの方がいいだろ?と海斗は首だけ球子の方に向かせて言う。

球子もわかっているはずだ、ここで自分が『切り札』を使えば戦力は危うくなると。

それに本来海斗は休むはずだった時間はとっくに過ぎている。

でもまだ戦える。

 

「その間、援護頼めるか?」

 

「分かった......それで勝てるんだったらタマはカイトを信じるぞ」

 

球子も渋々了承してくれた。

なら、後は行動に移すだけだった。

ここから先は時間との勝負、一度きりの作戦。失敗は許されない。

 

「......じゃあ、行くぞ珠子!」

 

海斗は村正を肩に構えて霊力の刃を大剣に纏わせる。

意識を集中させ、(呪い)を溜める。

この間だけは海斗は無防備だ。それをカバーするのは盾を持っている球子である。

珠子は進化体から来る攻撃を旋刃盤を使って投擲で迎撃して、星屑の方はすぐさま、旋刃盤を回収して海斗を守る。

それから2分が経とうとしていた。

たった数分でもバーテックスの猛攻は続く。それを必死に球子は耐え続けた。

 

「ぐうっ!カイト!まだかっ!?タマもそろそろ限界だ!」

 

旋刃盤で盾を形成しながら星屑から海斗を守っている球子は叫ぶ。

たとえ神樹の力を持っている勇者でも体力には限界はある。

彼女はさっきから敵の攻撃を何回も受け止めたり流しているのだ。

次かその後に喰らえば終わりだ。

だが、もうそれはない。

海斗は笑みを浮かばせながら視線だけ球子の方に向かせて口を動かす。

 

「悪いな球子。もう大丈夫だ!」

 

そう言うと村正が強く光だし、霊力の刃が荒れるように煌めきだす。

その剣は周囲の空気を余波で揺らし照らす。

 

「待たせたな化け物(バーテックス)。今度はこっちの番だ!」

 

海斗はそう言うと大剣は構えながら全速力で駆け出し目の前にいた球子と入れ違うように進化体の方へ向かう。

道中、星屑の迎撃を受けるが、その攻撃を避け続けそれを踏み台にしながら進む。

そして、最後の攻撃を躱した。

後は、これ(村正)を奴にぶつければいいだけ。

進化体の間合いを詰めて肩に村正を両手で持ち、思いっきり上に掲げる。

 

「そぉぉらぁぁぁぁッッ!」

 

村正を進化体に振り下げ力を込めながら斬りつけた。

だがまだ足りなかった。

進化体は予想以上に固く、刃が寸前の所までで止まってしまう。

 

「――くっ!」

 

舌打ちをしながら次の事を頭の中で考える。しかし、もう最善の策はもう出尽くした。

万事休すとはこういうことを言うらしい。

けど、ここで諦めたら世界が終わる。ここで倒さなかったら次は若葉達の方へコイツが向かい、確実に殺しに行くだろう。

 

「結局ダメだったか.......」

 

気付かずに負の感情が溜まりつつある。もう諦めたらと何処からそう囁いてくる。そこに寄り添りたくなる。

ふと、千景のことが過ぎった気がした。

そしてまた何かが過ぎる。それは友奈だった。

次々と海斗がこれまで関わってきた人達が過ぎる。そして、意識を現実に戻す。

ここで海斗が諦めたら次は大切な人達がそれに巻き込まれてしまう。

それだけはダメだと心の中で叫ぶ。考えろ、考えるんだ。考えてこの瞬間で感じて掴み取れ必勝法を。

作戦が出尽くしたのなら今作ればいい。たとえ抜け穴だらけでも、少しの勝利があるならそれに賭ける。

だったらやるだけだ。

海斗は村正握りしめ力を込める。

 

「うぉぉぉぉぉァァァァ!」

 

言葉にならない程に叫ぶ。

すると止まっていた刃が奥へ、奥へとくい込んでいく。

 

「(行ける、これなら!)」

 

そう思っていると後ろから星屑が向かってくるが、その直後に球子が操る旋刃盤が迎撃してくれた。

 

「行けぇ!カイトォォッ!」

 

球子が叫びながら言う。

彼女のお陰でもう星屑はいない。ならこのチャンスは絶対に逃さない。

 

「なぁ、頂点様よ......お前達には分からないだろ」

 

今まで人間が幾度と過酷な状況下に置かれてもどうしてこの時代まで生き抜いてこれているか。それは諦めず、同じ人同士で乗り越えてきたからだ。

だったらこの状況もそれと同じこと。

海斗は村正を抜いて進化体の体を切り刻む。

そして今度は進化体の頭上へ跳躍して両手で構え掲げる。

 

「これこそが人間様の.......絆の力ってやつよぉぉぉぉぉッ!」」

 

そう言うと海斗は村正を振り下げ一太刀で進化体を両断した。

今の攻撃で完全の進化体になろうとしたバーテックスは消滅した。

 

「やったよ.......皆。後は頼む」

 

左手で空を掴みながら海斗はバーテックスが消滅するのを地面に落ちながらそれを見続けていたのだった。

その後に誰かの声が複数人聞こえたがそこで彼の意識は完全に途切れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「.......知ってる天井だ」

 

 

目が覚めるとそこは病院だった。

まさか村正を使ってあそこまで体力も持っていかれるとは思わなかった。

結局球子の約束は守れなかったなとため息を吐く。

今度、何かいいアウトドアグッズでも買いに行こうと思った。

そしてあれから一体何があったのかは定かではないが、一先ず状況を理解するために周囲を見渡した。

するとそこには千景がゲームをしていた。

千景も海斗が目覚めたことに気が付きコマンドを打つ指を止めてこちらに顔を向いてきた。

 

「.......目が覚めて良かった」

 

千景が言うと何故か悪寒を感じるには入れなかった。

こんなにも優しい言葉のはずなのに恐怖を感じた。

この際なので震えながら聞いてみた。

 

「ちーちゃん、何か怒ってる?」

 

変哲そうな声で言ってしまうが、千景は何も言わずに海斗の右手を握った。

 

「海斗......どうしてか答えてみなさい?」

 

「え?」

 

「......私が、どうして貴方に対して怒ってるように見えるか」

 

遠回しだがやはり千景は怒っていた。

普段怒らない彼女がこれほど露わにするとは思わなかった。

 

「えっと......俺が村正を使って一人で進化体を倒したから?」

 

要領を得ない言葉に対して海斗はそう答えたが、千景はため息を吐いてしまう。

どうやら違かったらしい。

すると千景はその答えを正すかのように口を動かす。

 

「.......私が怒っているのは、貴方が......また無茶をしたことよ」

 

「.......」

 

「確かに......一人で戦うのはいいわ。でも、倒れるまで戦えとは言ってない.......」

 

悲しい表情をしながら千景は言う。

それから彼女から自分が気を失った後を聞いた。

海斗が進化体を倒した後、若葉達の方もバーテックス融合を始めて進化体になろうとしていたらしい。

それから球子が気絶した海斗を運びながら若葉達と合流して彼を安全な場所に置いて進化体を撃退したらしい。

結局、『切り札』は使用され結果は勇者達の勝利で終わった。

バーテックスの戦いが終わった後、海斗は病院に搬送。

そして海斗が目覚めたのはそれから三日経った後だった。

何も言えなかった。以前の侵攻の時に海斗は精霊を下ろして肉体に多大なダメージを受けていたばかりだった。

それから一ヶ月も経っていないのだ。

それで今度は球子の援護があったとしても結果的に一人で進化体を倒してしまったのだ。

もっと冷静に考えて安定した勝ち方を選んだ方が良かったのだろうか?だが、それは結果論に過ぎない。

その後は自分でも意識していなくて自身の体力も底を尽いてしまったことを忘れていたのだ。

これじゃあ本末転倒だ。

千景に不安を与えてしまっても仕方がない。

ただ、彼女に言えるのはこれしか思いつかなかった。

 

「ごめん.......」

 

「......それを言われても何も思わない」

 

即答で返されてしまう。やはり、相当御立腹のようだ。

どうすればいいか考えていると、千景は海斗の頬を触れてきた。

突然の事でびくっと震えてしまうが受け入れた。

 

「......前に乃木さんに同じ事で言葉ではなく、行動で示しなさいと言ったことはあるわ」

 

千景は真っ直ぐ海斗の目を見ながら言う。海斗はその茶色の瞳に目を奪われてしまう。

 

「海斗、貴方はどうして私たちを頼ってくれないの......?

私は......あなたが一人で無茶して戦って死ぬのは嫌よ......!」

 

千景の顔を見れば涙を貯めながら言う。

心というのはどんな心境でも動かされてしまう。

やっと確信した。

自分も若葉の事を言えないと苦笑してしまう。

本質は違くても根元は同じだった。

海斗は自身で全てを背負い込もうとした。

無意識にそれをやるのは質が悪い。

千景はそれを指摘したのだろう。

 

「ちーちゃん......俺はもう一人で解決することは止めるよ」

 

「......信じていいのね?」

 

震える瞳で海斗を見る。

怖いのだろう、また彼が無茶をするのが。

 

「大丈夫だよ」

 

少し身体は痛むが海斗は起き上がって彼女の手から自身の手を離して背中に手を回して千景を抱きしめた。

彼女は頬を赤く染めて、びくっと肩を震わせた。だが、直ぐに受け入れた。

その温もりは暖かった。

こうしたら何故だか安心できる。

 

「.......確証はあるの?」

 

ふと、千景は呟く。それに対して海斗はキッパリと応える。

 

「ない」

 

「――じゃあ何でそう言えるのかしら.......?」

 

そんなの決まってる。自分はもう復讐者じゃない。

今は大切な人を守るための存在なのだから。

海斗はゆっくり息を吐きながら口を動かす。

 

「......俺が君を頼るから」

 

この言葉には海斗自身のけじめでもある。

もう一人で抱え込まず、誰かと協力するということ。

 

「.......じゃあ今から証明して」

 

安心したのか千景は先程の悲しそうな表情から嬉しい笑みを浮かべていた。

だが、その裏には何故だろうか、悪戯心がある気がした。

若干笑っているようにも見える。

何ともまぁ、鬼畜な事をするものだなと自身の幼馴染を心の中で苦笑いをした。

そして丁度小腹が空いていたので近くのテーブルに果物入れがあり、その中から林檎が微かに見えた。

 

「そうだなぁ......あ、じゃあリンゴ食べたいかな」

 

「えぇ。分かったわ」

 

千景を抱きしめていた海斗は彼女から離れ、ベットに背中を付けた。

あまり動かない体にどうも力は入らない。これじゃあ林檎の皮も剥けない。

それに対して千景に林檎の皮剥きを頼んだ。

これが勇者になって初めての頼み事だ。

前は海斗が熱を出した時にこうして彼女が看病をしてくれていたことを思い出した。

彼女に皮剥きを教えて良かったと思う。

千景はスラスラと皮を剥き、林檎を半分にカットして皿に乗せ、爪楊枝で林檎刺した。

ここまではいい、ここまでは――

 

「.......はい、海斗。あーん」

 

「え.....?」

 

カットした林檎を皿に乗せた千景は皿を持って海斗の方に持っていきそれを爪楊枝で刺して彼の口の方へ持っていった。

 

「ちちち、ちーちゃん!?別にそんな事しなくてもいいだろ!?」

 

「あら......誰かさんが頼ってくれるって言ってくれたからやっているのだけれど......?」

 

どうにもこれは遊ばれているようだ。千景の顔を見れば即分かってしまう。

自分の言葉に二言はないが、これは流石に恥ずかしかった。

 

「さぁ海斗。食べてくれるわよね......?」

 

「うっ.......」

 

千景の催促が来てしまう。どうやら覚悟を決めないといけない。

意を決して海斗は口を開けた。

 

「あー......あむ.......美味しい」

 

「そう、......良かった」

 

出来れば穴があったら入りたいが、千景の表情を見れば彼女は嬉しそうだった。

海斗自身もこの笑顔を見ればさっきの事を許せてしまう気がした。現金なやつだと心底心の中で笑ってしまう。

 

「まだあるけど......食べる?」

 

「......ん、頼むわ」

 

海斗は身を任せた。このまま羞恥心で殺されるより、何も考えずにこの場をやり過ごすことに全力を尽くしたのだった。

これから先何が起こるかは分からない。でも海斗は仲間を頼ってそれを乗り越える。

それが、海斗の新たな目標になった。

だが、その後に待ち受けるのは果たして幸か不幸か誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 




戦闘描写キツいっすw
でも頑張ります!
やはり千景ちゃんは可愛いですねぇ〜
次回は遠征編まで書きます。

ではまた次回にお会いしましょう!さよなら〜

次回。第13話:遠征
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