10年ぐらいお世話になったテレビがぶっ壊れて萎えました。
これから三連休でゆゆゆのBluRay全鑑賞するはずだったのに何故だァァァ!
この話は置いといて、今回はゆゆゆ民皆さんが嫌うサソリ型の会です。
では、本編どうぞー
教室で小説を読み耳にイヤホンをしながら曲も一緒に聴いていると球子から話があると言って中断してみるといきなりお花見をしないかと誘われた。
「花見.....?」
「どうだカイトお前もしないか?いや、したいだろっ!」
「いや、そもそも興味ないし.....」
「そこをなんとか!この通り!」
「.......」
先日にひなたから新たな神託が下った。
それによれば、まもなくバーテックスの襲撃があるということ。
敵の数は前回の『丸亀城の戦い』ほど多くはないらしい。
ただし――今までにない事態が起こるだろう、と。
それを聞いた勇者たち皆はここ数日、バーテックスが何時侵攻してくるか分からない状況で不穏な空気と緊張感が流れていた。
正直、この先何が起こるかは全く検討がつかない。
悪ければその戦場で誰かが死んでしまうのではないかと思ってしまう。
だからこそそれをなんとかするべく球子が杏と協力して花見を開催しようと誘ってきたのだ。
確かに最近は気を張りすぎてはいると思っていたので少しは息抜きが必要だと思った。
海斗は息を吐くと口を動かした。
「分かったよ......参加するよ」
「本当か!?」
「本当に決まってるだろ」
「ありがとうなカイト!」
海斗の了承を得ると球子は手を取りブンブンと振った。
そんなに嬉しかったのだろうか。
因みに花見をする話は海斗で最後だったらしい。
とっくに皆は参加する気満々だった。
「次の襲来を切り抜けてから花見をすんの?」
「そうだぞー戦いが終わった後の祝勝会も兼ねたお花見だからなっ!」
それはいいと思った。
戦闘に勝利が出来れば皆気分も晴れるだろう。
だからこそ勝たなければならない。
いや、そもそも勇者には負けは許されないのだから。
ふと海斗は視界に桜の花びらが通り過ぎたのを見た。
その方に顔を向けるとそこには立派な桜の木が花を満開に咲かせていた。
こんなに綺麗ものはあまりない。
「花見、出来ればいいが......」
バーテックスの襲撃さえなんとかすれば皆楽しく宴が出来る。
花の命は短い。
散ってしまう前に見れればそれでいい。
それさえ見えさえすれば後悔はなどしないのだから。
◇
その日の夕方。
勇者たちのスマホから樹海化の警報音が鳴り響いた。
勇者の戦装束になった若葉たちは、植物組織に覆われた四国の地に立っていた。
瀬戸内海の向こう――壁の外から押し寄せるバーテックスたちの姿が見えた。
遠くで見ても数は少ない。
だが油断は禁物だ。
「なんだよ、今までにない事態とか言ってた割には、大したことなさそうだな」
「油断はするなよ、球子。何事も大丈夫だと確信した時の方が、失敗は起こりやすい」
「はいはい、若葉は真面目だな」
肩をすくめ拍子抜けした球子に若葉は厳しく注意をした。
だが球子は余裕を見せながら旋刃盤を持ちながら彼女の話を流した。
友奈は手甲を握り、千景は鎌を構え、海斗は村正を呼び出し肩にかけた。
それぞれが臨戦態勢に入る中、杏が声をあげた。
「あの!皆さん、聞いてください!」
勇者達全員の注目が杏に集まる。
「どうしたの......?」
千景が訝しげな視線を向ける。
すると杏は真剣な表情で答えた。
「今回は切り札を使うことは無しにしましょう」
「それは......なぜ.....?」
千景は納得いかないように杏を見る。
「元々大社からも、精霊の力を使うのはできるだけ控えるように言われましたし......もしかしたら、本当に危険かもしれませんから」
「......状況次第では、使わざるを得ない場合も......あるわ.....」
千景の言葉に杏は反論が出来なかった。
確かに、今までの戦いでは、進化体バーテックスを倒す場合には、精霊の力に頼る場合が多かったのがある。
そして今回、敵が進化体を形成しないという保証はどこにもない以上、果たして本当に『切り札を使わずに戦う』事ができるのだろうか。
すると友奈が割って入って声を発した。
「でもアンちゃんの言う通りだと思う。使わないに越したことはないよ。キミコさんは危うきに近寄らずだね!」
友奈はうんうんと頷くと何故か皆苦笑してしまう。
「それを言うなら、君子危うきに近寄らず、だな」
「あれ、そうだっけ?」
若葉が訂正すると友奈は首を傾げる。
「ともかく、杏の言うことは一理ある。今回はできる限り、切り札の使用は控えよう」
「.......」
若葉と友奈が賛同すると、千景もそれ以上、何も言ってはこなかった。
「杏、お前は皆のために動いていることは知ってる。だから、今回お前は悪いとは思わない」
「海斗さん......」
「そんな顔すんなよ、まだ未知で分からない精霊の力だ。皆が傷ついている所を見たくないから極力控えろてっ事で言ったんだろ?それがお前の優しいところだ。誇っとけ」
「――はい!」
せめてもの杏にフォローをする海斗。
今回、精霊が使えない分苦戦するところはあるだろう。
だが仲間がいる限り何とかなると思った。
守って守られての戦法なら進化体が来ても勝てると。
「カイト!なにやってんだっ!もう敵が来るぞっ!」
球子の言葉に海斗はバーテックスがいる方に向き合った。
若葉達も武器を構え始める。
これから戦いが始まる。
◇
樹海の中、海斗は前線でバーテックスを村正で切ってゆく。
だが切っても、切っても敵は湧いてくる。
「はぁぁぁっ!」
霊力を纏わせ次々と切断していく。
左右から来たとしても村正の力で薙ぎ払い、一体を刺して、こちらに来るバーテックスに投げてお互いに真っ二つにした。
すかさず、またこちらにバーテックスが迫ってくる。
「少しは、休憩とかさせろってのぉ!」
海斗はバーテックスの攻撃を避けてすれ違いざまに切り裂いた。
ある程度ここのエリアは片付けたのでマップで状況を見る。
若葉は相変わらず容赦ない強さでバーテックスたちを駆逐していく。
友奈の方は危うげなく拳で倒している。
千景は今まで以上に敵を殲滅していた。
杏と球子は一緒に行動していて援護をしている。
これならバーテックスは倒して何とか終わるだろう。
これまで何度もバーテックスの大群と戦い、四国を守り通してきたのだ。
たとえ敵が千体いようと、問題ない。
すると遠くから白い光が見えた。
「!寒っ。雪か?」
光が止めば次は周囲が吹雪に変わり始めた。
よく目をこらして見ればその中心に杏がいた。
どうやら切り札を使ったらしい。
「あのバカ.......何使ってんだよ」
自分で切り札を使うなと言っていたくせに使うとはこれ如何にと突っ込むが、そうえば杏は一度も精霊を使ったことは無いことを思い出した。
だからセーフなんだろう。
そしてその猛吹雪はバーテックスを容赦なく凍らせた。
杏が宿したのは氷に纏わる精霊の類いだろう。
これならバーテックスはある程度倒せるはずだ。
だが敵はそう易々と休ませてはくれないらしい。
吹雪が止めば瀬戸内海の方からバーテックスの大群が迫ってきた。
しかし、大群ならもっと良かっただろう。
通常個体から一体だけ異質な巨大な化け物が大群を率いていた。
「なんだ....あれ、サソリか?」
形は先端が尖った大きな尻尾に、不気味な液体を貯蔵していると思われる腹部。
あそこが器官なのならそこには毒がだろう。
そして、まず精霊を宿している杏が攻撃を仕掛けた。
通常個体は凍って砕け散る。
だが、そのサソリ型のバーテックスには何一つ効いていなかった。
攻撃されたバーテックスは尾を展開して杏の方に刺してきた。
杏はどうにか避け、体勢を立て直した。
だが、数分もすれば杏は輪入道と一緒に乗っていた球子と共にサソリ型のバーテックスの攻撃に吹き飛ばされた。
それを見た海斗は杏と球子の方に向かい跳躍して駆け出した。
このままでは全員がやられる。そう脳裏がチラついてしまった。
あのバーテックスは他の奴よりやばいと本能が知らせている。
「ッ!邪魔、何だよっ!」
道を塞いでくる通常個体を倒していく。
しかし数が多すぎて中々合流出来そうになかった。
早く行かなければ危ういというのに。
「そこを.....どけぇぇぇぇ!」
村正の力を最大限引き出して何とかバーテックスを次々蹴散らしていく。
切っていけば切っていくほど、体中は血まみれだった。
すれ違いざまにバーテックスの攻撃で腕と足や腹辺りがかすり傷になる。
それでも海斗は前に進むのを止めなかった。
どうにか抜け出せた海斗は走り続けながら杏と球子を探す。
するとサソリ型バーテックスが尾を使って何かを突いていた。
そこを見ると球子が動けない杏を守ってお互い応戦していた。
だがよく見れば球子の旋刃盤にヒビが入っていることに気付く。
「――ッ!間に合え!」
無我夢中に走った。間に合え、間に合えと心の中で叫びながら走る。
ふと、あの時の事を思い出す。
海斗が救えなかった人達の光景を。
それが重ねってしまったこと。
手を伸ばせ、助けるんだ!
もうあの時の光景は見たくないんだ!
そして、サソリ型の攻撃で球子の旋刃盤が砕けそうになろうとした瞬間。
海斗は球子と杏を押して針の軌道から逸らすように突き飛ばした。
だがその軸に入るのは一体誰か――それは決まっていた。
瞬間、海斗の腹部に激痛が走った。
「――ゴフッ」
口から血を吐き出す。
下を見れば腹部にサソリ型の針が刺さっていた。
両手で引き抜こうとしたが、流石に化け物の力にたとえ神樹の力を持った人間でも引き抜くことさえ出来なかった。
ふと球子と杏の方を見た。
「(――どうにか間に合った......な)」
彼女達の表情は困惑と絶望に満ちた顔になっていた。
「(そんな顔すんなよ.......)」
それはそうだ。
いきなり死角から誰かに押された衝撃を受けてさっきまで自分がいた方向を見れば仲間が刺されているのだ。
状況が理解出来なくてもおかしくはない。
「(声.....でねぇや)」
自分が今何を発しているのか分からない。
でも伝えなきゃいけない。
最後の力を振り絞って口を動かした。
たとえそれが酷になろうとしても。
「――ご.....め......さ.....く.....ぁ」
桜、見れなくてごめんと謝罪をしたが上手く言えたのだろうか?
次の瞬間。サソリ型に針を強く引き抜かれ腹部から血が吹き出し、吐血した。
直立も維持出来ずに海斗は前に倒れた。
誰かの声が聞こえた気がした。
そして他の人の叫び声も聞こえた。
だが何を言っているのか分からない。耳も聞こえなくなってきた。
手足の感覚が無い、視界も霞んできた。
ふと、過去の事が頭の中でフラッシュバックする。
千景と一緒に遊んだこと。
海斗が勇者になって仲間と一緒に戦ったこと、遠征で体験したこと。前にレクリエーションで模擬戦をしたことの色々な思い出が駆け巡る。
これが走馬灯かと理解した。
死にたくはないと思ってしまう。
だが、最後に誰かを助けれて良かったと心の底から思った。
そして瞳を閉じ、海斗の意識は闇に落ちた。
海斗が......死んだ?なぜだァ!(発狂)
まぁ、彼も杏と球子を守れて良かったと思いますよ(真顔)
腹刺されても生き返ると思うから大丈夫っしょ!
約束は必ず守る主義ですしね(震)
では次回またお会いしましょう!
次回。第19話:怒る炎は羽に舞う