華結を繋ぐは勇者である『凍結』   作:バルクス

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どうもバルクスです。
最近身内と創作雑談してるんですが、話が重すぎてやばいです。
なんで君達そんな事書くの?(建前)
もっと流行れ(本音)

では本編どうぞ〜


第21話:伸ばすものは落ちてゆく

 

季節はもう五月中旬。海斗が入院してから既に一ヶ月近くが経とうとしていた。

両手に巻かれていた包帯は外れて、足の方は歩けるようにはなって今はリハビリに専念している。

 

「よっ、ほっ、と........」

 

病院にいたためか筋力と体力が著しく衰えており、これではバーテックスとの戦闘で支障を来すと思い、毎日病院の施設の中にある機能訓練室で感覚を取り戻そうとしている。

手すりに掴まりながらゆっくり、またゆっくりと足を前に出して歩く。

 

「ふぅ......これで目標クリアっと」

 

それを三周に懸けて動き続ける。

そして目標が終わった海斗は付近に置いてあるスポーツドリンクを手に取りそれを開けて口の中に流す。

額から頬に懸けて汗を垂らし床の一部に染みを作る。

 

「んくっ......ごくっ......ぷはぁっ......生き返るぅ〜」

 

運動をすればさらに美味くなる。

それに酸味と甘さが均等になって飲みやすいし気付けば全部飲み干していたぐらいだ。

海斗は飲み干したスポーツドリンクを近場のゴミ箱に入れ、汗をかいた体を病室から一緒に持ってきたタオルで拭き取る。

 

「そろそろ......退院、出来っかな」

 

前に球子と杏はサソリ型の攻撃で怪我を負ったのだが、軽度で済んで今は普段通りに授業と勇者の訓練をしている。

海斗が入院してから体力を元に戻すために毎日通っているが、今日まで一度も医師からも退院通知が来ていない。

ただやけに多いのは検査の方だ。

その姿を見た海斗は肩を震わせてどうすればいいかと考えるが、何も案が浮かばなかった。

すると、機能訓練室の入口から誰かが来る気配がしたのでその方向を見ると案の定、誰かが扉を開けて入ってきた。

 

「邪魔するぞ海斗」

 

「失礼しますね」

 

扉から出てきたのは制服を着た若葉とひなただった。

 

「ん、よう若葉、ひなた」

 

海斗はタオルを首に掛けると二人の声に返事をした。

 

「どうした?この時間帯に来るなんて。まだお前ら授業中だろ?」

 

「そこは問題ない。今日は早めに切り上げて貰ったからな」

 

「ふーん......」

 

時計を見ると午後の十二時半を回ったぐらいだった。

丸亀城からこの病院までの距離はそんなない。

海斗は若葉の言葉を興味なさげに聞いているとひなたが口を開いた。

 

「今日ここに訪れたのは海斗さんの退院が決まった事を伝えに来たんです」

 

「本当か!」

 

それを聞けば海斗はひなたの方に向き驚いた顔をして声を発した。

 

「退院日はいつなんだ?」

 

「今日だ」

 

「は?今日なのか?」

 

「ああ。本来は一週間後だったんだが、状況が変わってな......」

 

自身の退院出来る日にちを聞いたが若葉は苦い表情した。

ひなたの方も見ると彼女も暗くなっていた。

何かあったのは明白だ。

そしたらいきなり間を開けずに退院する許可なんて普通はないのだから。

 

「――何があったか聞かせてくれ」

 

海斗は若葉に事情を聞いた。

 

 

 

海斗が退院して、学校に登校出来るようになってから三日経った頃。

大社から一つの任務が勇者たちに言い渡される。

瀬戸内海上で形成されつつある進化体バーテックスを討て、というものだった。

これが、海斗が退院前に若葉に聞いた話の内容だった。

今、若葉、友奈、千景、海斗が勇者装束の姿に変身して、瀬戸大橋の上に立っている。

 

「こういう任務って珍しいね。今までは四国に入ってきた敵を倒せってだけだったのに」

 

「そうだなー。タマもいきなり外にいるやつを倒すってのはぶっタマげたぞ」

 

「確かにそうですね......でもバーテックスがいる以上、やるしかないですよね」

 

「そうね......敵は早く倒した方が早いわ。あの時の二の舞には.......なって欲しくないもの」

 

「ちーちゃん、その目で見ないでくれ。俺も好きにやられたいと思った訳じゃないから......」

 

友奈が怪訝そうに言ってそれに球子が同調し、杏は下を向きながら言い、千景は海斗を見て表情が暗くなりながら言う。

それを海斗は宥めつつ突っ込みを入れる。

 

「はぁ......病み上がりの奴をこき使う大社様は一体何なのやら」

 

海斗はため息を吐きながら愚痴を零す。

 

「本当にすまない.......本当ならお前はまだ療養するはずだったのに.......」

 

「気にすんなよ。悪いのはお前じゃないし悪いのは大社の方なんだから」

 

苦い顔をする若葉に海斗は首を振り、微笑みながら言う。

本来なら海斗は万全では無い状態はずなのに大社からの指示で無理矢理退院させたのだ。

今回の御役目でも人手には今いる人数でも事足りるはずなのに。

余っ程海斗の事を高く評価してるのか、はたまた何かあるのかはその真意が分からない。

けど、良くないと感じるのは若葉にも分かった。

 

「んじゃ、行くか若葉。さっさと終わらせてうどんでも食いに行くぞ」

 

「あぁ。無事に帰るぞ」

 

進化体バーテックスが形成されてる場所は、瀬戸大橋付近の壁の外にいると大社は言っていた。

しかし今、橋の上から壁の方を見る限り、敵の姿は見えなかった。

前回現れたサソリ型バーテックスほどの大きさがあれば、既に壁の向こう側にその姿が見えているはずなのに、何故か見えない。

だが、何故大社は急に方針を変えて、結界に入って来てもいないバーテックスを討てと命じたのか意味が分からなかった。

それを不思議に思いながらも、勇者たちは瀬戸大橋を渡って進んで行き、壁の外へ出た。

 

「――!?」

 

「な、なに......これ?」

 

「嘘......だろ......?」

 

「これは一体.......」

 

「.......」

 

「......そういうことか」

 

その瞬間、勇者達の視界に異様なものが映る。

壁の外――そのすぐ間際に確かに大橋付近の海上に、バーテックスがいた。

ダがそれは以前のサソリ型バーテックス以上の大きさを誇るものだった。

まだ完成していないのか、通常個体のバーテックスが次々に集まって融合を続けている。

だが勇者達は二つの事に驚愕していた。

一つは今までのバーテックスよりそれより大型のバーテックスが形成されようとしていること。

そしてもう一つは、壁の外を超えるまでそのバーテックスの姿が見えなかったことだ。

これ程の巨体であれば、壁の内側からでも見えるはず。

ふと若葉が何かを思いつき、瀬戸大橋を戻って、壁の内側へ入った。

それに続いて残りの勇者達もついていく。

そこから壁の外へ目を向けるがやはり見えているはずのバーテックスが見えなかった。

それを壁の内と外を行き来して、その異常に気付いた。

 

「......海斗」

 

「あぁ......これは確実に隠されてる(・・・・・)な」

 

若葉の言葉に返答した海斗は眉をひそめる。

これも神樹が作る結界の効力の一部だろうか。

結界の内側からは外の異常は見えず、あくまで結界内と変わらない平和な光景しか人の目にしか映らない。

でも、中にはバーテックスを見ただけで発狂する者がいる。

『天空恐怖症候群』を患ってる人達だ。

結界外の大型の姿を見えれば四国の人々は平常ではいられないだろう。

ただでさえ天恐で苦しんでる人がいるというのだから。

だからこそ、こうやって隠されていることは、神樹が人類を守ろうとしているのを表している。

しかし、隠蔽されている事実に不安が過ぎってしまう。

だが、今は目標のバーテックスを倒すことが先だ。

結界に関して海斗達に出来ることはない。

思考を切り替えて海斗は村正を構え始める。

とにかく早急にあの巨大バーテックスを処理する事が最優先だ。

 

「まずはあのバーテックスを片付けてからだ。行くぞ!」

 

若葉が指示を出すと勇者達は再び壁の外に出て、形成途中のバーテックスの姿を見る。

未完成の今の段階でも、勇者達を苦しめたサソリ型バーテックス以上の大きさ。

これが完成し、四国へ攻め込んできた際には――勇者の力で止めることができるのか。

否、今の状態でも奴を倒すことができるのか。

 

「(さて......どうするか)」

 

あの時、サソリ型バーテックスには、勇者の通常攻撃はほとんど効かなかった。

禁忌指定された精霊の力じゃなければろくにダメージを与えられなかった。

海斗は迷っていた。

今は体が全快になっていない状態。自身が使う精霊の『孔雀』を使えばその宿したデメリットとして身体負担でまた意識を失ってしまう。

病院に再入院されるのは免れない。

 

「迷うな.......誰も死なせないように戦うのが先決だろ!」

 

「待て、海斗!」

 

海斗は迷いを振り切り、切り札を使おうとした。

だが、使用とした瞬間に若葉の声が聞こえ止められた。

 

「何で止めるんだ若葉!」

 

「お前の精霊は友奈が使う切り札と同じなんだ!次使ったらはお前は死ぬかもしれないんだぞ!」

 

「なら、このまま黙って見てろって言うのかよ!」

 

「それでもだ!」

 

ここまで若葉が叫ぶのは珍しかった。

その瞳は揺れていて失うのを恐れているものだった。

若葉以外の勇者達を見れば皆海斗を見て首を振った。

絶対使うなと言われてる感じだった。

 

「海斗........頼む」

 

「俺は.......」

 

若葉は真っ直ぐ見て海斗に言う。

その瞳は依然揺れているが、そこには強い意志があった。

海斗はそれを――拒否した。

 

「........断る」

 

「海斗!!」

 

「ごめん......」

 

「待て!海斗行くな!!」

 

そう言うと海斗は謝罪をして若葉の制止を無視して一人でバーテックスの方に駆け出した。

 

 

「はぁぁぁぁッ!」

 

未完成のバーテックスに接近して村正で斬る。

だがその断片には傷跡すらもなかった。

 

「ちっ、やっぱりか.......」

 

海斗は距離を取ってバーテックスを睨み付ける。

やはり通常の攻撃ではダメージは与えられないようだ。

たとえ村正の力を解放した力でも無理だろう。

 

「使うしかないよな........」

 

覚悟を決めた海斗は目を閉じて意識を集中させる。

そして孔雀を体に宿した。

 

「ぐっ、あぁぁぁぁぁ!」

 

孔雀を宿した瞬間に海斗の顔が苦痛に歪む。

精霊を宿したが、今まで体験した事なのない激痛が全身を襲った。

 

「こん......な、痛.......み.......なん......てッ!」

 

頭が壊れそうに痛い。体の内側が熱くなる。

まるで炎に焼かれている気分だった。

しかし海斗は痛みに堪え、まだ不完全だが変身している途中の間でも脚に力を入れ飛躍した。

村正を両手で持ち精霊の力と一緒に振りかざす。

 

「うぉぉぉぉぉっ!」

 

その一撃はバーテックスに当たり、そこに跡を残す。

 

「もう......一撃ッ!」

 

もう一振を振ろうとしたが突如、海斗口から血を吐き出しその瞬間に視界も揺れ始める。

 

「かはッ........く.......そ、これで......終り......か......よ」

 

まだ終わってないというのに体がいうことを聞いてくれない。

こいつをここで倒さなければ何れ完全体として現れ手がつけられなくなる。

それは駄目だ。

そんなことは絶対させないと心を奮い立たせるが、やはり体だけは動作さえ受け付けなかった。

 

「(やべ.......意識が―――)」

 

何も出来なかった無力差に恨みながらもバーテックスを睨みつけるが、やがて海斗の意識は闇に落ちた。

 

 

 

 





ごめんなさい本当にごめんなさい.......海斗君を虐めたいんです。
ごめんなさい。

オリ主がボロボロになる姿をみるのが好きなので(執筆者権限)

さて次回はオリ会です。
これだけは言っとく、死にほど痛いぞ。

では次回またお会いしましょう!


次回。第22話:抗う者は止まらない
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