華結を繋ぐは勇者である『凍結』   作:バルクス

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どうも最近ちょっとだけモチベが上がっているバルクスです。
今回はオリ会です。
多分自分は何回海斗君を入院させれば気が済むのでしょうか?
では本編どうぞー


Twitterもやってるので良かったら仲良くしてください。

@Taru124


これをコピペしたくださいな。



第22話:抗う者は止まらない

 

「.......」

 

目覚めると海斗はベットで寝ていた。

それによく見ればここは病院だった。

 

「はぁ......またか――ん?」

 

だが、確かにそこは病院なのだが、海斗は一つ違和感を覚えた。

体が動かないのだ。下をよく見れば胴体から脚に懸けてゴム製のバンドが海斗を厳重に縛っていた。

まるで猛獣を捕縛しているような状態だった。

 

「これじゃ、動けねぇな」

 

幾ら揺すってもビクともしなかった。

でも自力で抜け出す事も出来なくは無いが、今抜け出したとしても面倒臭いことが起きそうなのでじっとした。

すると、病室にある扉が開かれるとそこからひなたが現れた。

後ろに大社の神官を一緒に連れてだが。

 

「目が覚めたんですね海斗さん」

 

「ついさっきだけどな」

 

ひなたは目が覚めた海斗を見ると途端に「彼と二人で話をしたい」と後ろに引き連れていた神官たちを言い、外に出させた。

 

「ふぅー.......これで気軽なくお話できますね」

 

ため息を吐くとさっきの凛々しいものとは裏腹にいつもの言葉でひなたは海斗に言葉を発した。

どうやら神官がいたから気を張っていたのだろうか。

 

「取り敢えずこれ外してくんね?キツくて話出来そうにないんだが」

 

「ごめんなさい......それは無理です」

 

「ですよねー」

 

海斗はこの繋がれているバンドを解くようにひなたに言うが即答で答える。

分かっていたことだが、そう簡単に解放はしてくれないようだ。

 

「聞いていいか?」

 

「はい、どうぞ」

 

「何で俺はこんな厳重に縛られてるんだ?」

 

本題を聞こうと海斗はひなたに今の状況の説明を求めた。

ひなたは近くに置いてあった丸椅子に座ってから口を動かした。

 

「.......大社の方から、海斗さんの行動を暫く阻害し、監視をせよ。と、伝えられました」

 

「......俺が独断専行をしたからか?」

 

「........」

 

ひなたは何も言わずに首を縦に振った。

それをひなたは答えた。

海斗が孔雀を宿し未完成のバーテックスに攻撃を入れた時に意識を失った時に若葉達が駆けつけて海斗を回収したとの事。

だが、その途中で友奈が囮になってバーテックスと相手をするが、相手との強さに止むを得ず『酒呑童子』を発動。

何とか撃退には成功するが、その時に精霊の負荷で友奈も倒れてしまい入院を余儀なくされた。

それから今の状態では未完成のバーテックスに攻撃を与えられないため、機会を待つ事になった。

そして今現在。海斗は病院で再入院させられることになった。

だが、身体機能的には問題ないが念の為の事。

その時の状況をひなたは淡々と苦虫を噛み潰したような顔で話し続ける。

 

「.....その時は今でも本当に覚えています。若葉ちゃんが海斗さんを背負って医療班を呼ぶあの顔を」

 

「そうだったのか........」

 

「あなたが万全の状態にも拘わらず精霊を使って倒れたと聞いた時に私も若葉ちゃん達も血の気が引きましたよ......」

 

「.......ごめん」

 

「........あなたは頑張りすぎです。ましてや自分の命を顧みない戦い方をする.......」

 

「俺は――」

 

「大事な人を守りたいからって言ったら幾ら私でも今回は許しませんよ。ましては今回、貴方は結果的に友奈さんを巻き込んだのですから」

 

「っ......すまん」

 

海斗が口を挟もうとするように声を発しようとするが、ひなたがそこで割って入って相殺される。

その声音でも彼女は怒っているのは明白だ。

大切な人を巻き込んで、大事な友達すらも仲間も危険に晒したのだ。

怒りを表さないのは可笑しい。

 

「もう......やめてください」

 

するとひなたの瞳が揺れている事に気付く。

体が震えながらも海斗に言った。

その静止はまさに彼女の善意から出た言葉だった。

だが海斗はそれを拒否する。

 

「ひなた......すまない。俺はここで止まりたくないんだ」

 

「どうして.......ですか?」

 

「こうしている間にも壁の外にいるバーテックスがいつ攻めてくるとも分からない。

今でも対策や打開策を練って奴を倒さなくちゃならない」

 

「あなたはその状態でも行くんですか!!少しは他の人達より自分の事を考えてください!」

 

「バーテックスを滅ぼさない限り、その度に大切な人が傷付いて死んでいくのを見るのは嫌なんだ。それだけは絶対に」

 

海斗は真っ直ぐひなたを見て自身の意志を示す。

説得力も信用もないが、近くや遠くで大切な人達が死にそうな状況で何もせずにしないのはそんなの耐えられない。

するとひなたは息を吐くと口を開いた。

 

「そうですか........分かりました。あなたがそこまで曲げないのならば私にも考えがあります」

 

ひなたは胸ポケットから紙を取り出し、海斗に見せる。

 

「これは.......」

 

「まだ、これは伝えるつもりはありませんでしたが......」

 

「.......本当なのか?」

 

ひなたが海斗に見せた紙は海斗の身体についてのカルテだった。

その情報を見るとその内容に海斗は目を開かせた。

ひなたは海斗の言葉を肯定するように首を縦に振る。

 

「......これを見てもあなたはまだ、若葉ちゃん達と一緒にバーテックスと戦うのですか?」

 

自分の今の状態を知って驚愕する。本来ならここで怖気ついて止めるはずだと誰しも思うだろう。

けど、ここで止まってとしてもやがてそれは彼にとって幸福だというのだろうか。

笑って明日を生きれるのだろうか。

否、それはただの現実逃避だ。

そんなのに任せたらそんなの勇者でも、人間でもない。

(幸せ)明日(未来)も何もいらない。

これを天国で見守っている彼女(綾華)に言えばひなたと同じで止めるかもしれない。

けど、許してくれはするだろう。

彼女の約束を蔑ろにするつもりは毛頭ない。だがここで止まってしまえば海斗は自分自身を許せない。

だからこそ生きて、生き抜いて、最後まで抗いたい。

だってここで諦めたりしたらその先に自分が目指した未来はないのだから。

 

「俺は......行くよ。どんな事になっても、どんな絶望に打ちのめされようとも――」

 

海斗は息を整えるとその瞳に覚悟と決意の眼差しを日向に向けた。

 

「『それでも』と言い(抗い)続けるよ」

 

深紅に近いその瞳はひなたの瞳に深く写った。

その者の目は強固だと。彼女は知っていた。

だってそれは一番大切な幼馴染の若葉がしているものだったのだから。

そして観念したのかひなたはため息吐いて、にこやかに笑みを浮かべた。

 

「全く.....若葉ちゃんと同じであなたも頑固な人ですね」

 

「あいつよりは固くないだろ」

 

「いいえ。一緒ですよ!」

 

「えぇ.......」

 

海斗の頑固さを指摘するひなた。

何処に若葉のような堅物さがあるかは分からなかったが、別にそこまでだと自負はしているつもりだ。

そしてひなたの顔を見ればいつの間にか先程のような悲しい表情はなかった。

 

「そういや、肝心な事を聞いてなかったわ。俺はまた再入院か?」

 

海斗が言うとひなたはコホンと咳払いをして口を開いた。

 

「そうですね。今のところは大社側としてはこのまま大人しく入院していただくとの事なので、このままでお願いします」

 

ひなた経由の大社からの返答を聞く。彼女の言葉には嘘はないが、どうにも大社は海斗を隔離しようとしている節がある。確証はないが、念の為こちらも探った方がいいのかもしれない。

 

「あぁ。わかった」

 

流石にここで考えてもひなたに心配を掛けてしまうので海斗は考えるのをやめて頷いた。

 

「それと、辛いと思いますが海斗さんは体が回復するまでの間は暫く戦闘には参加出来ないと思ってください」

 

「.....非常事態でもか?」

 

「はい」

 

ひなたから御役目について参加出来ないと聞かされた。

否定しようと思ったが、既に体は悲鳴を上げていて今も全身が痺れて痛い。

ひなたの目には慈悲と同情が混ざったものになっている。

彼女だって辛いはずだ。他の皆は樹海の中で戦ってその帰りを一人だけで取り残された場所で待つのだ。

不安も心配も入り混じるのも無理もない。

するとひなたはポケットからスマホを出し、近くに置いてある棚に置いた。

 

「これは......俺のスマホか?」

 

「はい。私の独断で勝手に持ち出しただけですけどね」

 

「どうしてだ?お前の巫女の立場的には大社にバレたら終わりだろ!」

 

「念の為です。それに、ここは誰も入ってきませんし、入ってきたとしても病院の人にはバレないようにこの棚の中に閉まっときますので」

 

勇者アプリが入ったスマホを海斗に見せるとひなたはこれを秘密裏に持ってきたのだ。

念の為と言うがこれがバレればひなたは大社に何されるか分からない。

用意周到でこちらとしては助かるが、出来れば極力やめて欲しいものである。

理由を話したひなたは海斗のスマホを棚の見つかりにくい場所の中に入れて閉まった。

 

「これで、何かあった時は貴方の判断に任せます。使ってもよし、使わなくてもよしですからね」

 

ひなたは笑みを浮かべながら言うが海斗はこれ程心が強い女性はそうそういないと思ってしまう。

 

「ありがとな、ひなた」

 

「いえ、私にはこれしか出来ることはありませんから」

 

「それでもだよ。本当に助かる」

 

「.......そう言って貰えるだけでなによりです」

 

その後は少し雑談をして時間を潰した。

ついでに拘束具も特別に解かせてもらい身体の自由を取り戻した。

いつの間にか日が暮れそうになるところでひなたは病室から若葉達がいる丸亀城に戻った。

 

「.......」

 

ふと、病室の窓から見える夕焼けを眺めていた。

考えてみれば勇者がバーテックスに敗北したらこの世界も壁の外のようになるのだろうか。

そんなことを頭の中で想像してしまう。

日々日々強くなってきているバーテックスにこれ以上勇者達は耐えれるのだろうか?

あの完成前のバーテックスの時だって、サソリ型の時もだ。

何れ滅びは避けられない。

それを考えれば考えるほど思考が暗くなっていく。

海斗は首を振ってそれを掻き消した。

今は勇者がバーテックスに勝てることを考えろと自分に言い聞かせる。

それに人類はまだ負けていない。

だがその世界の理を担っている大社はまだ信用できない。

ニュースの隠蔽、遠征での改変する。

そして、今の海斗が隔離されてのもそうだ。

疑問点を上げればキリがない。

これではたとえ勇者達が病院に来ても面会謝絶がオチだろう。

なら何故こんなに厳重にさせるのか分からなかった。

海斗の予測では二つある。

一つは男の勇者のデータがなく、貴重性に溢れているから。

もう一つは勇者達の戦力と精神柱を担っているからなのか。

これがもしそうなら両方とも取れなくはない。

 

「.......ちょっと頼んでみるか」

 

そして海斗はひなたに渡された勇者アプリが入ったスマホとは違う別のスマホをポケットから取り出してある家に電話を掛けた。

何故海斗がこれを持っているかというと、ひなたが帰る前についでにと渡されたのだ。

ダミー的な役割だと思うが、本物を持ってくるとは誰も思わないだろう。

けど、これで棚の中にしまってあるスマホを使わずにすんだ。

すると二回コール音が鳴るとその通話先から声が聞こえた。

 

「こんな時間に掛けてすまない、少し力を......貸してくれ。少し、調べたいことがある」

 

そう言うと海斗は通話先の人に話を始めるのだった。

少しでもこの世界が嘘で塗れないようにするために。

そして、海斗が再入院してから一ヶ月後。

ある程度リハビリもしつつ前線で戦っている若葉達と電話でやり取りして情報を共有してもらってるが、どうやらバーテックスの侵攻が止まないとの事。

未だに完成体は目撃していないが、それでも通常個体の数が尋常ではなく多いとのこと。

そのせいで切り札も使わずを得ない羽目になってしまう。

それに病院での検査が多くなったとも聞かされた。

どうやら大社から精神的に不安定になっている兆しがありと言われて戦闘が終わった際には直ぐに受けているそうだ。

そして海斗の面会謝絶が解除され勇者達が面会しに来るようになった。ただその中に千景の姿はなかった。

その数日後に医師に退院のことを伝えられて一週間後に迫った頃。

知り合いから海斗のスマホに一通のメールと電話が届いた。

それは海斗にとって衝撃的なことだった。

 

『勇者、郡千景が精神的に不安定でケアのため、高知の村に帰省させた』

 

との通知だった。

何やら胸騒ぎがして海斗は棚にしまってある勇者アプリのスマホを取り出して窓から飛び降りて変身した。

そのまま高知の村に全力で駆け出した。

せめて何も起こらないことを祈りながら。

 

 

 

 

 

 





いやぁ......今回は珍しく海斗君とひなたの会話ですねぇ〜
ちょっと書くの楽しかったので文句はなし!

では次回は千景の暴走シーンですねぇ.....ぐへへ

では次回にまたお会いしましょう!

次回。第23話:心が叫ぶ
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