どうもバルクスです。
今回は短いですが許して下さい。
では本編どうぞ〜!
海斗は千景が入院している病室にいた。
ここ毎日見舞いに来ているため指で数えるのを止めた。
通いすぎてナースにも顔を覚えられたぐらいだ。
だが最近海斗と千景の関係は変わった。
友達から恋人になったのだ。
海斗が千景に告白してから彼女はよりスキンシップが多くなったのは言われるまでもない。
ハグやキスも当たり前......でも何れ成長したらそれ以上な事もするのだろう。
海斗は千景の姿を見つつ話しをする。
ゲームの話、最近の流行、世間に対しての事。
それ等色々を時間があるだけ話し尽くす。
「ちーちゃん体の方はどう?」
「......大丈夫よ。海斗がいるだけで頗る調子がいいもの」
「それは大袈裟すぎだろ」
千景の容態を聞きながら海斗は苦笑しながらじゃれつく。
これも慣れたものだ。
毎日同じ事を聞くが、これがとてもなんとも楽しいと思ってしまう。
今まで出来なかった事が一歩進んだだけでこんなにも変わるものなのか不思議である。
するとノック音が聞こえ病室の扉が開かれると若葉が現れた。
「やはりここにいたか」
「お、若葉か。ちーちゃんに何か用か?」
「いや、少しお前に話があってな」
「話.......?」
若葉の表情である程度何かあると察した。
何やらの事情があるようだ。
「千景すまないが、海斗を借りても大丈夫か?」
「えぇ。丁度、面会時間も近い頃だし構わないわ」
若葉は海斗を借りようと許可を貰うが、千景は潔く頷いて許可してくれた。
反対するかと思ったが、千景はそんなことはしなかった。
そろそろ面会出来る時間が近づいてきているので丁度良かった。
「ありがとう。じゃあ早速悪いが、海斗こっちに来てくれ」
「うぃー。んじゃちーちゃん、また来るから」
「うん........また。明日も楽しみにしてるわ」
千景に手を振って海斗は若葉に着いて行って病室を後にした。
◇
「ここなら、大丈夫だろう」
病室からある程度歩くと、若葉は人寄りが少ない場所で立ち止まった。
「それで、俺に話ってなに?」
「それは私がお話します」
すると若葉の後ろから黒髪にリボンを結んだ少女。上里ひなたが現れた。
何故態々こんな所まで連れて来たのか益々疑問を抱いた。
「ひなた?何でこんな所に?」
「海斗さんに大事な話があって来ました」
「それは......大社からの口か?」
「いえ、私の意志で来ました」
彼女は大社に行っていたのは知っていたが、ここで遭遇するとは思わなかった。
余程大社では何かが起こっているのが分かってしまう。
ひなたは息を吐くと真剣な表情になって海斗に向ける。
「......海斗さん、落ち着いて聞いてください」
「話してくれ」
「千景さんについてです。大社は彼女の勇者としての記録を全て抹消するつもりです」
「は.......?」
ひなたの言葉に頭が真っ白になった。
大社が千景の全記録を抹消?冗談かと思った。
たが、ひなたのは真実を言っている。
「ちーちゃんが勇者だった記録を消すだって........?なんでだよ!!」
「千景さんは地元で起こした事件。そして、樹海化の中での若葉ちゃんへの凶行。この二つが大社として彼女を勇者として称えることも出来ない状態なんです」
「じゃあ、ちーちゃんは.......」
「勇者として復帰は出来るように神樹様にお願いしたのでそこは大丈夫ですが........これからは彼女の功績を公に明かす事はまずないと言っていいでしょう」
千景が起こした行為はSNS経由で四国全体に流れてしまっている。
勇者に復帰出来たとしても誰も認知されず、誰にも顔を向けられない。
そして、死んだとしてもその名前や存在が無かったことにされる。
あまりにも理不尽だ。大社側からしては穏便に済ませたいと思ってやっているのだろうがこれは度が過ぎている。
「.......ッ」
巫山戯るな.......そんな事を心の中で言う。
都合が悪くなったら切り捨てる。
そんな思考を持つ奴らを海斗は嫌悪した。
大社は四国の人々の為に動いている。だが、まだ成人もしていない子供に対する仕打ちではない。
これが人間のやる事かと怒りが溢れてくる。
そして海斗は一つだけ強硬な手段を思いついた。
「ひなた......一つ提案があるんだが、いいか」
「何でしょうか.......?」
「ちーちゃんの変わりに.......俺の勇者の記録を全部抹消しろと大社に言え。従わない場合――『神樹と四国に住む人々を殺す』と」
「なっ......!?」
「........」
海斗の言葉に今まで黙っていた若葉も声が漏れひなたはそれを静かに見つめる。
彼の言葉は脅しだ。たった一人の少女の為に世界を敵に回しても守ろうとする。
「それと、ちーちゃんの親権は現時点を持って黒結家が貰う。有無は言わせない、それも大社に伝えておけ」
あまりにも無謀だというのに海斗は揺らがなかった。
今の時代、神を崇めている組織に敵対するという事は異端
者になる。
決して存在もそこにあったことも無になるだろう。
それでも海斗は良いと思った。
あんなに優しく化け物にも臆せず立ち向かったのだ。
その事実をなかったことはしたくない。
その為だったらこの世界の敵にでもなってやる。
すると海斗の要求を聞いたひなたは溜息を吐いて口を開く。
「.......分かりました。大社からはこちらで伝えときます。ですが、本当に宜しいんですか?それをすれば貴方は.......」
ひなたの言うことは分かる。
今までいた知人が世界から消えるのだ。
そんなの許容なんて出来るはずがない。
しかし海斗は首を振った。もう決めているかのように。
「もう、嫌なんだ......手が届きそうなのに何も出来ずにその場で居座る自分自身が.......」
自身の右手を見つめて言う。
あの日に救えなかった後悔や無念。
そしてふと思い出す。かつて救えなかった多くの人の屍がこちらを見つめながら問いかけるのだ。今度は誰を犠牲にして生き延びるんだ、と。
「.......だけど、今は違う。今伸ばせば手が届く。それだけは離したくないんだ。それに、約束したんだ。ちーちゃんだけは絶対に......守るって。だから――」
拳を強く握って自分の思いを吐露する。
例えなんとも言われても何をされようとも彼女だけは絶対に傷付けさせない......必ず守るんだと。
そして決意する。
「これは......俺の戦いだっ!」
どんな事を使っても千景の記録抹消は阻止する。
その人柱として海斗が入ればいいだけなのだ。
「貴方の決意に評して私も出来る限り協力します。私も千景さんの処遇に納得いってないんですから」
「正直、海斗がこんなにも過激な事をするとは思わなかった。だが......仲間の為なら私も全力で協力する」
「ありがとうな.......二人とも」
ひなたと若葉も協力する事になり翌日に大社に乗り込んだ。
結果は海斗が優勢になり、反発した者は海斗が潰した。
そして千景の記録抹消は阻止され。海斗がその役割を担う事になった。
この事を千景に言ったが彼女は泣いて海斗に抱き着いてきた。自分の事や海斗の事で複雑な感情になった。だが後悔はしていない。
これで彼女が後世に語り継げられるのだから。
後は時間が掛かるが、それは些細な事だ。猶予は沢山ある。
その中で潰せばいいだけなのだから。
大社に乗り込む海斗君怖すぎるやろ.......愛する人のためならどんな事でもする男.......最高だな。
さて、これで海斗君は確実に記録から消されることが確定しましたね。
どうか少しは残ってて欲しいものですが(フラグ)
次回は日常会です!
ではまたお会いしましょう!さらば!
次回。第27話:夢語り