今の所、推し候補が樹ちゃんと東郷さんぽいんですよね〜。
いやぁ、これから曇る顔を想像するとニコニコが止まりませんねぇ.......グヘヘヘ
今回は遂に最終決戦です。
では、本編どうぞ〜!
樹海に覆われた四国の中で勇者達は丸亀城本丸城郭に立ち、遠く壁の方から迫ってくる複数の進化体バーテックスを見据える。
数は六体。一人で一体を倒せばいいのだろうが、それでは神樹を守る者がいなくなる。
そこで杏と球子が神樹を守りつつ援護する形なり、進化体を相手にするのは若葉、友奈、千景、海斗の四人で二人がかりですることになる。
それとよく見れば異様にバーテックスの進行速度が速く感じる。
それを若葉が代弁するように口を開く。
「壁が強固になると分かっていて、焦っているようだ」
「六体だから......二人で三体相手すれば言い訳だな」
「よしっ!私とうみくんが硬そうなやつを相手にすればオッケーだね!」
「.......そうなると私と乃木さんが残りの三体を片付ければいいのね」
「タマとあんずは、神樹様を守りつつ何かあった時は守るから安心しろよ!」
「後ろからの援護は任せて下さい!」
全員の士気は万全だ。
これが最後の戦い。酷く苦しい戦いにはなるだろう。
早速樹海に腐食が現れ始めている。
だが、これさえ乗り切ればバーテックスは四国に手出し出来なくなる。
一切の出し惜しみはしないしする余裕もない。
「これが最後の戦いになるが、油断はするな。――行くぞっ!」
「うん!」
「あぁ!」
「......えぇ!」
「おうっ!」
「はい!」
若葉の言葉に全員は声を発して頷いた。
そして若葉、友奈、千景、海斗の四人は意識を集中させた。
自分の内に宿る勇者の力を遡り、神樹の持つ概念的記録にアクセス。
そこから精霊の力を引き出し、自らの身に宿す。
「出し惜しみはなしだ。降りよ――大天狗!!」
「全力全開!来い――酒呑童子!!」
「力を貸して――玉藻前!!」
「行くぞ――孔雀!!」
若葉が身に宿すは、神にも比肩する大妖、魔縁の王、とある伝承に寄れば天上世界を一夜にして灰燼と帰したという『大天狗』。
若葉の勇者装束が変化し、背中から漆黒の巨大な翼が生える。
刀も形が変わり、少し大きくなる。
友奈が見に宿すは、比類なき力の権化、鬼の王、『酒呑童子』。
これまでの戦いで大型のバーテックスに実績を残した妖怪。
友奈の勇者装束が変化し、彼女の持つ手甲が巨大化していく。
千景が見に宿すは、自身の美貌や妖術活かして地位のある人を魅了したという『玉藻前』。千景の勇者装束が変化して頭には狐の耳と臀部には九本の狐の尻尾が生えた。
鎌も変化して刃が二つに増える。
海斗が身に宿したのは自身の憎悪で身を焦がし自分と世界すらも憎んだという異類な鳥『孔雀』。
海斗の勇者装束が変化し、全身に紫の炎が生え揺らぐ。
大剣が変化して大型になる。
大天狗、酒呑童子、玉藻前、孔雀――四つの人の身に余る力を宿した男女達は、人の世界を滅ぼさんとする天敵たちを見据えた。
一方球子と杏は輪入道と雪女郎を身に宿す。
「じゃあ、俺と友奈は面倒臭いやつを倒しに行ってくる。若葉とちーちゃんは残りのバーテックスを頼んだ!」
「あぁ、任せろ!」
「えぇ。鏖殺してあげるわ!」
「行くぞ、友奈!」
「うん!」
友奈と海斗はバーテックスの方に向かって跳躍した。
あちらも丁度三体ずつ別れて行動しているので好都合だった。
ここからは二手に別れてバーテックスを向かい打った。
何としても生きて守り抜く。
そんな気持ちが勇者全員にあった。
◇
海斗と友奈は三体に別れたバーテックス待ち伏せる。
するとその数秒後に三体が神樹に向かって移動していた。
そしてその一体は地中を潜りながら移動している。
まるで魚のような形をしたバーテックスだ。
あまり地中に潜られたら対処するのが面倒だ。
先にそいつを片付けた方が良いだろう。
すかさず友奈が魚型が進行するところの前に着地して構えた。
「ここから先は行かせない!」
人より巨大な化け物を精霊の力で受け止める。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!ッはぁっ!」
その力で地中に潜って移動する魚型は動きが止まった。
そして友奈は魚型を地中に潜らせないように上に持ち上げて足で空中に蹴り上げた。
瞬間にそのまま高く跳躍して魚型に一撃を入れる。
「勇者ぁ......パァァァァァ――っ!?」
だがそれは蟹型をしたバーテックスが反射板が目の前に現れたことで防がれた。
そしてそのハサミで友奈を挟もうとしたが、今の彼女の前ではそれは効かない。
「ぐっうぅぅぅ!ッ!!」
ハサミの形をしたものを巨大化した手甲で砕き、攻勢に徹する。
ハサミの攻撃を避けながら友奈は蟹型を吹き飛ばし、その後を追う。
そしてまたもや盾の役割をするかのように反射板が層ごとに形成されていく。
だがそのまま気にせず友奈は前へと進んだ。
すると友奈の前に一人の影が現れた。
それは大剣を持ちながら力一杯、反射板に振るう。
「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」
そして反射板のそれらは全て海斗が真っ二つに切り伏せて道を作る。
「行けっ!友奈!」
「ありがとう、うみくん!このぉぉぉ!!」
仲間の援護のお陰で道が出来た友奈はそのまま突っ切り蟹型のバーテックスに拳を振るう。
そして蟹型はその一撃で塵と化した。
「かはっ......!」
「友奈!大丈夫か!」
たった一撃を入れただけなのに吐血をした友奈。
海斗は近くに寄って声を掛ける。
「大丈夫だよ.......全然.......いけるから!」
「だが.......」
「うみくん、今は.......バーテックスが優先だよ」
友奈は首を振って言う。
自身の事は二の次にして今はバーテックスの事を優先したのだ。
今も倒れそうなのに。
「次は俺が倒すからお前は俺のカバーをするか休んでろ。いいな?」
「うん......ありがとう」
海斗の言葉に友奈は了承した。
せめて彼女が負荷を最小限で抑えられるように次は上手く立ち回ろうと決めた。
そして次の目標へと二人は移動した。
先程蟹型のバーテックスに邪魔をされたが、今はもういない。
「友奈、あれは俺が行く。少し休んでろ!」
「私も行くよ!」
「さっき言ったろ!少しは体力を温存させろこの馬鹿!」
「っ.......分かった。........気を付けてね!」
「はなからこっちは臨戦態勢だよっ!」
海斗は魚型に向かい、村正を振ろうと構える。
「化け物如きが、上から見下ろしてんじゃねぇぇぇぇぇ!!」
叫びながら村正を振ろうとした瞬間に、魚型から黒色のガスが放出された。
そのガスのせいで視界は真っ暗になり何も見えない。
しかし海斗は気にも留めなかった。
「そんなの.......気配と殺気で――分かるんだよ!」
そのまま真っ直ぐガスの中を通り過ぎ、視界に魚型を捉える。
「はぁぁぁぁぁっ!!」
海斗は勢いよく村正を振り下ろし、魚型を切り倒した。
その横を通り過ぎて敵から距離を取ると海斗は口元を抑えた。
「がふっ......!」
肉体が精霊の力についていかず吐血する。
精霊のデメリットとして肉体への過度な負担がある事。
それに海斗が身に宿した孔雀は常に身体中が燃えるような痛みと破壊衝動と殺戮衝動が襲ってくる。
それに理性で耐えており、今も精神が削れていく。
立ち止まっている時間は無い。
一刻にバーテックスを殲滅して世界に被害がないようにしたいのだ。
すると友奈がこちらに向かって来たことに気付く。
「うみくん!」
「友奈!よそ見をするな!やつはまだ――」
海斗が友奈に言おうと声を発しようとする瞬間、先程倒した魚型から通常個体のバーテックスが溢れ返ってきた。
それは百体は軽く超えている。
海斗と友奈は互いに頷き通常個体の殲滅に対応する。
「ふっ!はっ!はぁ!」
霊力を解放して刃を延長する。
それを横凪にして振るった。
それに当たった通常個体は一瞬にして塵と化して消えた。
だがそれだけでは終わらない。何回も同じことを繰り返して迎撃するが、その数はとめどなかった。
「数が多い!」
「クソっ!これじゃあ神樹が破壊される!」
通常個体を倒していく中、突如海斗の目の前に雷が降り注いだ。
「ぐうっ!雷......!?」
咄嗟に村正で防御をして雷が向かってきた方向へと視線を向ける。
そこには蛇みたいな形をしたバーテックスがこちらに接近していた。
最後の一体だ。
どうやら通常個体を援護する形で立ち向かってきた。
そして次の瞬間、先程とは比較にならない程の威力の雷が海斗を襲った。
「ぐっ、あぁぁぁぁ!」
村正で必死に攻撃を防ぐが防戦一方だ。
友奈は通常個体を少しずつだが倒してくれている。だが数が多く一人では手に負えない。
このままでは通常個体が神樹に到達してしまう。
そんな少しな焦りが不安を掻き立てる。
早くコイツを殺さなきゃ――殺せ、殺せ、殺せ!!
と、そんな心の内が叫ぶ。
すると通常個体を倒していた友奈が電撃を出すバーテックスに直進していた。
それに気付いたバーテックスは友奈にも電撃を食らわす。
友奈はそれを巨大化した手甲で防御する。
「負けるかぁぁぁぁぁぁ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
叫びながら声を大きく発し、高く飛び上がる。
そしてバーテックスに向かって友奈は右足を斜めにして重心を偏らせる。
「思い知れっ!勇者ぁ、キーーーーーーックっ!!」
友奈の重い一撃の余波が通常個体すらも巻き込み、大型バーテックスが電撃を放ったとしても止まることはない。
そして雷すら貫くその攻撃が大型バーテックスに当たる。
その衝撃で大型の外皮がひび割れて、そのまま貫通してバーテックスは塵と化した。
溢れた通常個体も全部一掃が完了する。
「うっ......はぁ、はぁ......がはっ.....!」
「友奈っ!!」
地面に両膝と両腕を付けた友奈は息を荒くする。
すると突如吐血した友奈は勇者システムの変身が解けて地面に仰向けの状態で倒れてしまう。
その様子を見た海斗は叫んでしまう。
直ぐさま合流して友奈に声を掛ける。
「友奈!友奈!おい、しっかりしろ!」
「うみ......くん.......?」
微かに友奈は海斗の声に友奈は反応した。
だが彼女の状態を良く見れば酷かった。
酒呑童子の反動で両腕、両足、そして頭部や腹部の至る所が出血しており、そこから夥しい血が彼女から流れて地面に血溜まりを作る。
「え、へへ.......ごめん.......無茶、しちゃったかも.....」
「待ってろ、今止血するから!」
友奈がか細い声で喋る。
海斗は自身の勇者装束の一部を切り取って友奈を救おうと重要な箇所だけを止血する。
だがそれでも血は止まらなかった。
「クソ......クソっクソっクソっクソっ!!止まれ、止まれよッ!」
手で出血してる箇所を抑えても止まらなかった。
自身の手が赤く鉄臭くなっていくのを感じながら海斗は抑える手を止めなかった。
彼もわかっているのだ、彼女はもう助からないと。
初めからわかっているはずなのにこうも必死に否定して諦めずに無駄な事をしている。
「――もう......いいよ。うみくん」
友奈がぽつりと海斗に語り掛ける。
彼女の目を見れば自身の死を受け入れているかのように優しい微笑みを浮かべている。
海斗は唇を震わせながらも何も言わない。
「.......今は、私の事なんか......構わずに......バーテックスを......倒して」
こうしている間にも残った通常個体が融合を始めている。
そしてその中心には壁の外にいた大型バーテックスもいた。
まだ完成していないのか神樹の方へと移動しながら構築をしている。
友奈は自身の今の状態になっても後回しにして目的を優先させようと海斗に言う。
「どうして......お前は、そんな事になってるのに.....自分の事を、後回しに......するんだよ!」
友奈の言葉に海斗は声を荒らげた。
すると友奈は弱々しく右手を上げ、海斗の頬に触れた。
その手は暖かいはずなのに徐々に冷たくなっていると感じてしまう。
「......そんな顔しないで。最善策を.......取った、だけだよ」
友奈は微笑みながら言う。
「だから......お願い......」
「.......」
海斗は迷っていた。
今ここで仲間の命を賭けるか世界の命運を賭けるかをの選択を強いられる。
出来れば両方をしたいと偽善的な事を思い浮かべるが、現実は常に残酷なものだ。
こうして友奈は瀕死で生きているさえやっとの状態。
今更助けた所で意味はあるのだろうか。
そしたら世界の滅びを避ける方を選んだ方が合理的に良い。
でも友奈がこのまま何も言わずにいたのなら彼女を見捨てずにこのまま止血に専念していただろう。
だが海斗は彼女の願いを聞き入れた。
せめてへの手向けとして。
止血をしている手を離してそのまま海斗は立ち上がって口を動かす。
「.......見ていてくれ友奈。俺が全て終わらせてくる瞬間を」
「.......うん........ちゃんとみてる。.......頑張ってね」
微笑みながら友奈は言う。
そして最後に友奈を一瞥しながら海斗はそのまま大型バーテックスの方へと跳躍して向かった。
海斗の後ろ姿を見ながら友奈は心の中で呟く。
「(......神樹様、お願いします。どうか、うみくんを助けてください)」
せめて彼の無事が神に届くと願った次の瞬間、友奈の体に異変が起こる。
まるで何かと溶け合っていくような感覚に襲われた。
でも何故か不快感は一切感じなかった。
そして友奈は気付いた。
「(神樹......様......?私.......神樹様の中に.......入っていってる.......?)」
恐怖もなく優しい温もりが友奈を包む。
「(うみくん、皆......一人でも欠けることがないようにって約束したのに......ごめんね、できそうにないや.......)」
後悔はある。皆ともう少しいたかったと、もう少し海斗と話したかったと。
幾らかとその思考が湧いてくる。
だけどせめて彼とまだ隣で一緒に笑って歩いて行きたかった。
すると友奈はこの気持ちに気付いた。
「(.......そっか、私.....うみくんに恋を.......してたんだ)」
今更気付いたところでもう遅いと言うのになんともタイミングが悪い。
早く気付いていて千景よりも先に告白していれば付き合えたのだろうかとそんな妄想が思い浮かぶ。
だけど彼がここにいなくて良かったと思った。
もしここにいたら友奈は気持ちを言ってしまうだろう。
だから良いのだ。
でも少し切なかった。
「(うみくん.......いつか生まれ変わったら......その時は、私と――)」
それを最後に友奈の意識は光に飲み込まれた。
◇
海斗は神樹に向かうバーテックスを追う。樹海化した建物を足場にし、跳躍する。
そしてバーテックスの近くに接近するが距離が近付いたとしても大型バーテックスは海斗を無視した。
とっくに人が感知できるぐらいにはいるというのに。
「やはり狙いは神樹か!」
大型は海斗に目もくれずにそのまま直進していく。その目の前には人類の源として世界の現存を維持してくれている樹。
「させるかぁ!!」
神樹が殺されれば人類は確実に明日を生きれずに絶滅し、滅ぶだろう。
「こっち見ろっ!この、化け物がぁ!」
海斗は村正を持ち、大型バーテックスに振り上げる。
跳躍した加速力と精霊の力も相まってその威力は大型バーテックスの外皮に傷を付けるのには充分だった。
そしてその攻撃で大型バーテックスは動きを止め海斗の方に振り向く。
それはまるで太陽みたいだった。
何もかも飲み込みそうな異様のした化け物。
今までのバーテックスより大きい先程こいつが他の進化体を使って勇者達を来させないように指示をしたのだろう。
それでなければ何故今まで現れなかったのか分からない。
だが今は考えるのは後だ。
海斗が思考をやめようとすると大型バーテックスが臨戦態勢に入り、炎の球体の形を形成していた。
それは大きくでかくなっていき、やがてその球体は海斗の方へ放たれた。
「ぐっ、ぁぁぁぁぁぁ!!」
咄嗟に村正で防御をするが、あまりにも巨大差故に受け止めることが出来ずに海斗は後ろに大きく吹き飛ばされた。
その攻撃をモロに受けてしまい皮膚は焼け爛れ、全身は出血しているため血が溢れ出す。
そして勇者システムも解除され海斗は体を地面に強く打ち、勢いよく転がり回る。
仰向けになって立ち上がろうとしても孔雀の負荷をも受けている状態で激痛が走り、思うように動かない。
「(クソッ......体が、動か.......ない......ッ!)」
動かしたいと思っても手足が思うようにいうことを効いてはくれない。
「(......動け.....動け.....動けよ.......!)」
今もこうしている間にも海斗に興味を無くした大型バーテックスは再び神樹がいる方に方向を変えて移動を開始した。
それでも体は何をしてもぴくりとも動かなかった。
「(.......何で俺はこんなこと......してるんだろ)」
ふと思ってしまう。
どうして自分はこんな事をしているのだろうかと。
勝てるはずもない敵に挑んで無駄に犠牲者を増やしているだけなはずなのにどうして戦っているのだろうか。
そもそも勇者なんてただ痛いだけで、苦しいだけで、辛いだけで、なんの意味があるのだろうか。
世界の命運を子供に背負わせておいて大人達は何もせずに、ただの罵詈雑言ばかり言ってくる。
「(もう.......どうでも.......いいや......)」
それだったらもう世界とか勇者なんて消えてしまえばいいと思ってしまう。
滅びを受け入れてしまえば辛くならなくなるのだから。
だが、どうしてそんな事を思えるのに海斗はここまで戦い続けたのだろうか?
敵わないと知っていても何故足掻き続けているのか。
「(......なんの......ために......)」
思い出す。
それは大切だった人と交わした約束。
そして、思い出せ――
「(.......誰も失わないように.......今度こそ......守れるように――」
ここで諦めたら今までの何もかもが全て無駄になる。
挫折や後悔も、絶望も何回も味わった。
死にたい時もやり直したい時も何千何万回思った。
けど結果は常にお釣りのように残る。
だがその残った釣りで積み重ねたものが力になる。
「(動け.......動け........)」
だからこそ進まなければいけない。
想いを背負え。誰かを救え。そして武器を持て。
理不尽に打ちのめされようとも己の不甲斐なさに失望しようともそれを全部糧にして持ち歩け。
「(動けぇぇぇぇッ!!)」
引きずってても、這ってでも、前へと。
悪魔でも怨霊でも妖魔でもましてや神様でも何でもいい。
たとえ大きな代償があったとしても、今手が届くなら伸ばせ。
大事な人達と大切な日常という名の世界を守り通す為に。
そのためなら自分の命だって賭けれるのだから。
「(孔雀......俺がどうなってもいい。アイツを倒すためならちーちゃんや皆を守れるならそれ以外、何もいらない.......だから......もう一度.......俺に力を.......貸してくれっ!!)」
瞬間に体がぴくりと動く感覚がした。
そして仰向けになった体を起こすために海斗は腕力を使い立ち上がる。
「ぐっ......うっ.......はぁ......はぁ.......うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
全ての感情をぶつけるかのように海斗は叫び、体の内から精霊孔雀を宿す。
その一部を使って片足で強く蹴り、跳躍する。
今度こそ。大切なものを守れる勇ましい者――勇者になるために。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
その加速力で海斗は大型バーテックスに一直線で向かう。
すると先程生身の状態だった海斗は一瞬で勇者装束に変わる。
すると海斗の接近に気付いた大型バーテックスが迎撃態勢に入り、太陽の火の球を作り始める。
それを守るかのように通常個体が立ちはだかる。
「そんなので俺を止められると.......思うなぁぁぁぁぁぁぁ!!」
海斗は村正を呼び出して安全装置を解除し、そのまま直進し切り伏せる。
「なぁバーテックス!!知ってるか!!」
海斗は大きな声で聞こえるはずも無いことを化け物に問う。
「何でお前達と戦ってるんだと思う!!」
人は弱く、脆く、そして悪意に堕ちやすい。
だが、どんな絶望でもどんな災厄だろうとも諦めず立ち上がり続け歴史を繋いで来た。
だがそれが―――
「これこそが人間.......だからだよっ!!」
海斗が叫んだ瞬間に大型バーテックスが攻撃を火の球を放つ。
「俺は......勇者!黒結 海斗ッ!皆を.......大事な人を.......大切な世界を――守りたいんだぁぁぁぁぁ!」
海斗は叫びながら村正を前に出してその中を通り過ぎる。
「根性を.......魅せてやるよッ!!」
過ぎた後に近くまで接近ができ、大型バーテックスに一撃を入れる。
そのまま続けて海斗は左手に孔雀の力で炎の剣を生成させる。
それを使い村正と併用しバーテックスにダメージを与える。
「ウォォォォォァァァァァァ!!」
連続で外皮も形すらも削っていく。
そして大型バーテックスに亀裂が入ると海斗は高く跳躍する。
その時に足がひしゃげた音がするが、そんなの海斗には関係なかった。
そのまま重心で村正と炎の剣を大型バーテックスに振り下げた。
「これで........終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その一撃を入れると鈍い音が響き渡ると大型が塵と化して消えた。
「.......守れた.....のか......?」
海斗は意識が朦朧としていく中、バーテックスが消えるの見つつ言う。
そして僅かに動く右手で塵と化している大型バーテックスに向けて拳を向けた。
「......ちーちゃん、友奈、皆.......守れたよ.......」
絶対を掴んだ勝利、泥臭く、貪欲に食らいつき、
本来は敗北を決したと運命に抗った奇跡の産物。
それでも的は獲た。
これが人間がだけが
そして海斗は微笑みながらそのまま瞳を閉じ、意識を闇に落とした。
海斗くん、お前はよく頑張ったよ.......もう眠れ(フラグ)
後二話でくかゆも完結かぁ......短かったなぁ。
でも、これでええんや......後悔はしない!
次回で戦闘会は終わりです!
ではまたお会いしましょう!さらば!
次回。第29話:諦めない心の強さに絶望を