華結を繋ぐは勇者である『凍結』   作:バルクス

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はい、バルクスです。
とうとう自分はやらかしました。
のわゆの方が全然終わってないのにわすゆの方を書いてしまいました。
でも、決して矛盾点がないように同時並行して書こうと思います。
ですが、基本のわゆを優先にしてのわゆを書くのに疲れたらわすゆを書いたりその先のゆゆゆを書いたりとかします。
何やってんだろ俺w
とりあえず、わすゆ編どうぞ〜


鷲尾須美の章
第1話: 黒結の時代は巡る


 

 

 

神樹に選ばれた、と聞いた時は驚いてしまった。

とても凄いことなんだろうけど、具体的には何が凄いのか、あまり実感が湧かなかったのだ。

ただ、この四国にやってくる敵が、世界を壊す存在なのだと聞いた以上、戦わないといけないと思った。

最初は、右も左も分からず、無我夢中に自分を入れて4人の勇者と共に戦った。

でも、一つ疑問が残る。

何故()の自分が神に選ばれたのか、いつだって神に見初められるのは無垢なる少女なのだ。

けど、そんな少女達が戦っている中、自分だけその裏側を知らずにのうのうと平和を満喫する事なんて虫唾が走る。

だから、例えイレギュラーな事だとしても、直ぐに受け入れた。

でも、この時は 、―――を――して戦っていくとは思いもしなかった。

 

 

勇者御記二九八年 四月二十五日

 

大赦書史部・巫女様

検閲済

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.......」

 

神樹館にある6年2組の教室の窓から見える景色をぼぅと眺めていた。

別にロマンチックに浸っているわけではなく、ただする事がないのと、まだ朝礼が始まっていないのでその暇潰しに見ていた。

そろそろ外の景色を見るのが飽きてしまったので周囲を見てみるとまだ生徒が席についておらず、友達と仲良く喋っていたり、本を読んでいたり、机に置いた教科書を整理していたり、色々な事をしている。

すると教室から一人少女がやってきた。

黒髪を纏めて肩に背負っているランドセルの持ち手を両手で握りながら、次々とクラスメイトに丁寧な挨拶をしている。

ふと、こちらを見るとクラスメイトと同じ挨拶をしてきた。

 

「おはようございます。黒結君」

 

「ん、おはよ、鷲尾」

 

鷲尾須美。 彼女は鷲尾家の少女で大赦の中で地位が強い家柄だ。

そこまで愛翔は知らないが、なんでもこの少女は養女として鷲尾家に来たそうな。

詳しくは分からないが彼女らが持つ御役目が関係しているらしい。

先に挨拶をしてきた須美に対して素っ気ない言い方をしたが、これが黒結 愛翔の返し方なのだ。

そして須美は自分の席がある所に向かい、ランドセルを机に置いて教科書を出そうとしようとするが、その少女から見て左側の席から可愛い寝息が聞こえた。

須美はそれに反応して振り向いてみると、そこには机に突っ伏して鼻ちょうちんを作りながら眠っている金髪の少女がいた。

そしてすぴー、すぴー、とリズム良く寝息を立てていると彼女が作った鼻ちょうちんが割れて勢いよく目が覚めた。

 

「あわわっ、お母さんごめんなさい!」

 

そんなことを叫びながら言い、突っ伏した上半身を起こして手を合わせて謝った。

夢の中から現実に戻された少女は当たりを一通り教室を見渡した。

 

「......はれぇ?家じゃない〜......?」

 

寝ぼけながらの独り言を呟く。

 

「乃木さんここは教室で、朝の学活前よ」

 

須美は乃木と言われた少女に冷静な突っ込みをいれた。

するとクラスメイト皆が笑いに満ちて爆笑を貰った少女は照れながらにっこりと笑い須美に挨拶をした。

 

「てへへ〜鷲尾さんおはよう〜」

 

「おはようございます」

 

彼女は乃木園子。普段はおっとりとした感じだが、これでもこの国のトップである乃木家の御令嬢。この四国の中に存在する組織、大赦で大きな発言力があると聞いている。

そして園子は自分の席から後ろを向くとそこには愛翔がいた。

 

「愛っちもおはよ〜」

 

「おう、おはよ」

 

少し戸惑ったが、こんな純粋な笑顔を向けられると流石の愛翔も返せざるおえない。

 

「ねぇー愛っち〜」

 

「うん?どした園子(・・)

 

園子が愛翔を呼んだ。だが、これは何時ものことなので愛翔は口を緩ませる。

 

「今日は用事とかあるの〜?」

 

「いや、別にないけど」

「じゃあ、今日私の家に来てよ〜」

 

「いいけど、なにするんだよ」

 

「な、なななな!」

 

愛翔と園子の会話は誰から見ても普通の話し合いにしか見えない。しかし、何も知らない須美からして見れば海斗と園子の関係が不潔にしか見えなかった。

 

「の、乃木さん!ダメよそんな!女の子が男子を家に誘うだなんて、不潔すぎるわ!」

 

顔を赤めながら須美は言う。 海斗はため息をつきながら園子の方を見てから須美に振り向く。

 

「あー勘違いしてると思うけど、俺と園子は家柄状、交流があるからな」

 

「そ、そうなの?」

 

「そうなんよ〜」

 

「(やっぱりか......)」

 

須美は目を点にしながら言う。

海斗は苦笑いを浮かべながら話を続ける。

 

「お前も俺の家は知ってるんだろ?」

 

「えぇ、一通りだけど.....」

 

黒結家。 黒い結びと書いて黒結と読む。

この家は西暦から神世紀まで続いていて、大赦のトップである上里家、乃木家と同じぐらいの発言力はある。

だが、事実上2つの家柄の方が特権が強いため黒結家は影に隠れやすい。

それでも、この家は西暦の頃から上里家と乃木家がトップになる前から存在しているのは確かだ。

昔の原文はあまりないが、初代当主 黒結 海斗。

経歴、人物像、その他不明だが、とても偉い人だと、愛翔は思う。

そして、何故黒結家があの2つの家の影に隠れているのか、それは黒結 海斗が大きな大罪を犯したのだ。

詳しくは大赦で働いている父に話をしても聞けなかったが、とてもやばい事は両親の表情からでも感じとれた。

 

「まぁ、俺と園子はその関係上。偶に交流をさせられるからその時にな」

 

「それで、仲良くなったんよ〜」

 

愛翔はそう言うと園子が愛翔に向けて頭を差し出した。それを察した愛翔は自身の左手を園子の頭に乗せ、撫で始めた。

それを気持ち良さそうにしている園子は犬みたいだった。

 

「なるほど......ごめんなさい。私が、変な事を考え過ぎたばかりに......」

 

「いや、仕方ないさ。誰だってそんな反応はする」

 

「大丈夫なんよ〜」

 

そして丁度良く教室の扉が開くとそこから担任の先生が現れる。

担任の名前は安芸先生。通称ピーマンアンチマン(愛翔命名)

すぐさま生徒は席に着いて姿勢を整える。

 

「皆さん、おはようございます」

 

にこやかに微笑む安芸先生は出席簿を持って教室の真ん中にある教卓に向かい朝の学活を始めようとするが、廊下から少女が教室に駆け込んできた。

 

「はざーっす!ま、間に合った!」

 

「間に合ってませんよ三ノ輪さん」

 

安芸先生が後からやってきた少女、三ノ輪銀に出席簿で軽く頭を叩いた。

 

「痛ったぁ!先生痛ったぁ!」

 

「本当に気をつけて下さいね」

 

「あはは......すんません」

 

銀が安芸先生に注意されとクラスメイト全員は笑った。

当然愛翔は笑ったが、またかと少し苦笑いしていた。

 

「よっ、銀」

 

「うっす、愛翔!」

 

愛翔は軽く銀に軽い挨拶をした。それに銀も反応して返してきた。

 

「また、アレか?本当に6年生になっても災難だな」

 

「まぁ、仕方ないよトラブル体質てっのもあるけど私も好きでやってるわけだしね」

 

「まぁ銀らしくていいんじゃね?俺はそこの所は好きだぞ」

 

「うぇ!?ちょ、おま、それを言うか!」

 

銀の体質について労ったつもりだったが、少し変だっただろうか?

銀の方を見ると頬を赤くしているので何かしたのは明白だ。

すると今度は愛翔が安芸の鉄拳を食らってしまう。

 

「ごふっ」

 

「黒結君、もう朝の学活ですよ?私語は控えるように」

 

「はい、すいませんでした」

 

担任に謝罪をしつつ銀の方へ向くとまだ顔は赤いが、いつの間にか席に付いており、ランドセルから教科書を取り出そうとしていた。

 

「あ.....教科書.....忘れた......」

 

後ろから見ても分かるが、ガクリと頭を下に俯いた。どうやら教科書を入れるのを忘れてしまったらしい。無念である。

愛翔はやれやれと肩を上に動かした。

次の授業で銀に教科書を貸そうと思った愛翔だが、ふと園子の方を見るとこちらに顔を膨らませて何か言おうとしている。

 

「愛っちって、たらしさんだよね〜」

 

「は?いきなりなんだよ」

 

「それは私も時々思うわ乃木さん」

 

「鷲尾まで!?」

 

園子の次に須美まで参戦してきた。もう何が何やら分からない。

すると担任が教卓に出席簿を開けて口を開く。

 

「それじゃあ、今日日直の人」

 

「はい!」

 

担任が言うと須美が席から立ち上がり号令を掛けた。

 

「起立」

 

生徒達が立つ。

 

「礼」

 

生徒達が礼をする。

そして教室にある神棚の所の方に向いた。

 

「拝」

 

生徒達が、礼をしたまま手を合わせた。

 

『神樹様のおかげで今日の私達が在ります』

 

感謝の言葉を神樹様に捧げる。

 

「神棚に礼」

 

手を合わせ終わると最後に神棚に礼をする。

 

「着席」

 

生徒が朝礼を終えようと席に座ろうとした瞬間、須美、園子、銀以外の人達が止まった。

 

「っ!」

 

「これって......」

 

「――?」

 

 

動ける少女3人はこの現象を知っている。

そう、これは――

 

チリンチリン――

 

どこからか鈴のような音が聞こえてきた。

そして、音が鳴り止まずその後に外から何かの亀裂が現れる。

 

「来たんだ.......私達が御役目をする時が!」

 

「は?御役目?何を言って......」

 

「「「え?」」」

 

そう須美が園子と銀に言うと後ろから声が聞こえて全員振り向く。 そこには時間が止まっているのにも関わらず動いている愛翔がいた。

 

「何で黒結君が.......」

 

「愛っちが動いてる〜?」

 

「え、何で!?」

 

突如窓から来た強い光が彼女達を呑み込んだ。

 

 

 

 

 

初めは分からなかった。朝礼が終わり席に座ろうとした瞬間、須美、園子、銀、愛翔以外止まったのだ。

この現象を知らない愛翔は困惑してしまう。しかし、愛翔以外にもこの時が止まった時間中を動ける少女達がいた。

それだけでも愛翔は安心出来た。

声を掛けようとするが、須美からある言葉が飛んでくる。

御役目(・・・)をする時が来たと。

正直何が何だか、さっぱり分からない。

それを聞こうと愛翔は口を開いた。

 

「は?御役目?何を言って......」

 

そう愛翔は言うと須美、園子、銀の3人はビクッと方を揺らしてこちらに振り向いた。

だが、その表情は本来そこにはいてはいけないような顔をしていた。

 

「何で黒結君が.......」

 

「愛っちが動いてる〜?」

 

「え、何で!?」

 

彼女達も予想外らしい。でも、時間は止まってもそれを待ってくれないものはあるらしい。

突如鈴のような音が聞こえ、その後に窓から光が教室を呑み込んだ。

 

「うわっ.....!」

 

愛翔は反射で光から目を瞑った。

そして再び目を開ける。その眼前に広がった景色は、ただ一言に尽きる。

それはおとぎの国とも呼べるような異質の空間だった。

 

「なんだよ......これ」

 

愛翔が見たのは人も、建物もほとんどのものが樹木に変わっていた。

自分が住んでいる地域はここまで樹に覆われているわけではない。

そもそも限度がある。

そして、決めつけるは、この異様な景色。

先程いた学校とは全然違う場所。

まるでテレポートしたような感じだ。

 

「一体、どうなって.....」

 

咄嗟にポケットからスマホを取り出して電波が繋がってるか確認をする。

 

「.......繋がってない!」

 

そして辺りを見渡し気付いた。

 

「そういや、鷲尾達は?」

 

教室で一緒に光に呑まれた3人は何処に行ったのだろうか?

そう思ってくまなく周辺を見ると奥に何かいた。

 

「あれは......」

 

目を凝らして見ると奥には巨大物体が浮いていた。

それは生物なのか機械なのか判別出来ないほど異形なシルエットをしていた。

左右には水球のようなものが付いていてそれを何かに発射していた。

それを目で追ってみるとそこには――

 

「――!?うそだろ」

 

先程教室にいた須美達の姿がいた。

服装は変わってはいるが、武器を持ちあの巨大生物と戦っていた。

それを遠くから見て分かるようにどうも苦戦を強いられている。

 

「なんとかしないと.......」

 

咄嗟に言葉が出た。

 

なんとかする?一体何を? 分かりきっている。自分には助ける力が無いことを。今の状態で行ったとしても死ぬだけだ。

 

「どうすれば......」

 

思い悩んでいると突如愛翔が持つスマホの画面が光り出す。

 

「な、なんだ?」

 

画面を見るとそこには花の形をしたアイコンが真ん中にあった。

 

「花の......アイコン?」

 

理解が出来なかった。まるで愛翔の気持ちに応えてくれたかのようにスマホが光りだしたのだ。

戦う意志を見せたように淡い光を点滅しながら押されるのを待っている。

 

「.......」

 

正直この現象を愛翔は何も知らない。でも、あの化け物と戦っている少女達を黙って見てる程そんな冷酷ではない。

だからこそ愛翔は覚悟を決める。

 

「じっとしてても、どうにもならねぇだろ!」

 

その言葉を自分に言い聞かせる。

ふと、愛翔はある言葉を思い出した。

これは黒結家が西暦から神世紀の時代からも引き継いでいる言葉がある。それは初代当主黒結 海斗がよく、自分のやる気を出す時や誰かを守る為に自分を奮い立たせて使っていた言葉だ。

それは――『根性を見せる』と言う言葉。

もはや家訓に近いその言葉は代々受け継いできた。だが愛翔は初代とは違う言い方で言い直した。

自分でも誰かを守るために――

 

「根性を見せろよぉぉ!」

 

そう愛翔が言うと指でスマホをタップした。

すると愛翔の周りから花びらが舞い、包み込んだ。

一瞬だったが自分の服装を見てみた。

 

「これは.......」

 

服装が神樹館の制服から絵本に出てきそうな服装だった。

腕にはガントレットの形をした折りたたみ式のメリケンサック、両足にはナイフがしまってあり、腰には古来の海賊が使っていた斬馬刀の形をした物と古風の小型マスケット銃があった。

そして肩には黒いマントを羽織っていた。

衣装の色は白を基調としたものらしい。

 

「これでやっとあの化け物と戦えるてっわけか」

 

何故だろうか、初めて見たはずなのにこんなにもすぐに受け入れてしまう。

 

「まぁ、考えても仕方ないよな.....だから今は!」

 

腰から右手で剣を抜く。

 

「アイツらを助けないとなぁ!」

 

愛翔は全速力で化け物がいる方に駆け出した。

 

 

 

 

 

「くっ.......」

 

須美は顔を歪ませていた。

勇者になっての初めての御役目、それがこのバーテックスを撃退すること。

自身の訓練はしていたが、他の2人、銀と園子との合同訓練はまだだったのだ。

正直どうすれば良いのか分からない。

このバーテックスは水を使って攻撃してくるのだ。

そして須美が使っている武器の弓も矢を放ったとしても水球に閉じ込められて威力を無効化される。

そして銀が使っている斧は接近型、到底今のバーテックスに近付けない。

園子の槍は盾には出来るが、数分しか持たない。

 

「どうすれば......」

 

「鷲尾さん!危ない!」

 

「......え?」

 

考え老けていてバーテックスが放った水球がこちらに来たのを気づいていなかった。

園子が言うがもう遅いと思った。

 

「危ない!」

 

すると銀が須美を押し倒して水球を回避した。

 

「鷲尾さん、動かなきゃ危な――」

 

銀が須美に注意喚起を促そうと言葉を発しようするが刹那、水球が銀の頭に直撃して頭だけは閉じ込めた。

 

「三ノ輪さん!」

 

「ミノさん!」

 

悶える銀を何とかして水球から剥がそうとするが、弾力ありすぎて取れない。

 

「これ、弾力が!」

 

しかし、いきなり銀が目を開け口を大きく開くとその瞬間に水球を飲み干した。

それを見た須美は若干引いたような感じでそれを見ていた。

 

「ぷはぁ!はぁ.....はぁ.....」

 

「全部、飲んだ......」

 

「ミノさん大丈夫〜?」

 

2人は心配そうに銀を見つめていると息を整え終えた銀は口を開いた。

 

「神の力を得た勇者にとって、水を飲み干すなど造作もないのだ!」

 

そう強く言った銀だが、その後に口を抑えた。

 

「うぷ、気持ち悪い.......」

 

味を聞いてみたが最初はサイダーの味で途中から烏龍茶に変化したとの事。

そんなことしていたらバーテックスが大橋を渡りきりそうだった。

だが、本来真っ先に神樹の方に向かうはずのバーテックスが神樹の方に向かいながらこちらに水圧で固めた水を放ってきた。

 

「しまっ!――」

 

「やべッ!」

 

「きゃあ!」

 

もう防御も回避も出来ない。食らうのを覚悟した3人は目を瞑った。

しかし、食らったのにも関わらず、痛みがなかったのだ。

恐々目をゆっくり開けるとそこには色は違うが須美達と同じ勇者の装束を纏っていた。

左手に装備していた四角い盾を斜めに展開して水を跳ね返していた。

照射が終わり盾を小さくして左手に折りたたまれた。

白い勇者がこちらに向く。

すると3人は目を大きく開いた。

 

「無事か?3人とも」

 

それは勇者装束を纏った黒結 愛翔だった。

 

 

 

 

 

 

 

「無事か?3人とも」

 

合流できそうな時に丁度バーテックスが3人に向かって水圧カッター並の照射を始めたので愛翔は全力で3人の元に向かい、咄嗟に左のメリケンサックを大きくして四角状の盾を作り前に出た。

どうにか間に合った。

照射が終わったのを確認してから盾を元の大きさに戻して自動で折りたたまれた。

自然に3人の状態を見た。結構打撲や擦り傷が多い。

 

「黒結君、どうしてここにいるの?」

 

「愛っち何で?」

 

「愛翔、お前.....」

 

須美達は困惑した。本来神に見初められるのはいつだって無垢なる少女なのだ。

そして勇者になるのもそれが条件である。

それを考えていた3人は愛翔の表情に気付いた。

悲しそうな目で彼女達を見つめている。

そして今彼女達が負った怪我をみて口を開く。

 

「ごめん、もっと早く来たら怪我しなかったのに.....」

 

愛翔は自分の無力差を悔いて3人に謝った。

それをみた3人の少女達はお互い笑みを浮かべ首を振る。

 

「黒結君。貴方が気にしなくてもいいわ」

 

「そうだよ愛っち〜」

 

「おう、お陰であの攻撃を食らってたらこれよりも酷い事になってたからな!」

 

なんと優しんだろうか、愛翔は笑った。そして、決意する。

何としても彼女達を守ろうと。

 

「それより話は後よ今はバーテックスを何とかしないと」

 

感傷に浸っている訳にもいかない、敵は待ってくれないのだ。

 

「そうだね、まずはなんとかしないとだね!」

 

「だな、アイツはやばい!でも、水球あるのにどうするんだ?」

 

園子は頷くが銀はどうやって近づくのか考えた。

 

「まずい、もう橋からの出口が近いわ!」

 

須美は大橋の位置を確認すると大分進行している事が分かった。

あの後須美達を倒したと思って神樹の方に向かったのだろう。

このままでは世界が終わってしまう。

それは何とかして阻止しなくてはならない。

だが、現状それを打破する案が浮かばない――そう、思った時園子がピカーンと頭に電球が付いたように閃いた。

 

「3人共、ピッカーンと閃いたよ!」

 

園子は3人に自分の案を聞かせた。

 

「なるほど......それならいけるわね」

 

「だな、流石だ乃木さん!」

 

「成功させてやるよ絶対にな」

 

4人は頷いた。 そして即時作戦に移る。

まず須美が弓でバーテックスに矢を当て気付かせる。

矢が当たったバーテックスはこちらの存在に気付き大橋から勇者の方に敵意を向ける。

 

「気が付いた!」

 

「こっち向いたよ〜」

 

樹海になってから結構時間は経ってはいる。

これ以上戦闘が続いたらバーテックスが樹海を侵食して現実にも悪影響を及ぼす。

何とかして撃退しなければいけない。

 

「ッ!来るぞ!」

 

銀が言うとバーテックスは水球を飛ばし始めた。

 

「行くぞ園子!」

 

「うん!愛っち!」

 

愛翔と園子は同時に叫ぶ。

 

「「展開!」」

 

愛翔のメリケンサックが四角い盾を形成。園子の方は槍が傘状になって形成を始めた。

そしてそれも束の間、水球がこちらにやってきた。

それを愛翔と園子は展開した盾で水球を防ぐ。

 

「よし、このまま前進するぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

愛翔が盾を構えながら3人に指示を出し、それを聞いた3人は頷いた。

そして、バーテックスとの距離が半分位になると相手も学習したのか今度は水球ではなく、先程食らった水

の照射を盾に集中攻撃してきた。

その威力は今までより桁にならない。

でも、諦めない。ここで諦めたら世界が終わる。

それは絶対にさせない。

 

「乃木さん、黒結君大丈夫!?」

 

「なんとかな!」

 

「大丈夫だよぉ〜!」

 

「よっしゃその意気だ!勇者は根性!押し返せぇ!」

 

そのままOS、OS、OS、と掛け声を上げ前に進む。

そして遂にバーテックスの元にたどり着いた。

そのタイミングで照射も終わりバーテックスの攻撃に隙が出来た。

 

「今!」

 

「行くぞ!」

 

「「突撃ィィ!」」

 

勇者の力で地面を蹴り、空を跳ぶ。

そしてバーテックスも水球の弾幕を張り巡らせ4人の進行を防ごうと迎撃する。

そして園子が須美に向かって声を掛けた。

 

「鷲尾さん!」

 

「狙いずらい!」

 

須美は弓で水球を射抜いて進行にあるものを無くす。

そして最後は、園子の槍を掴んだ銀と愛翔が盾を戻し剣を構えていた。

 

「ミノさん、振り回すよ!」

 

「やっちゃえぇぇ!」

 

「分かった! うんとこしょぉぉぉぉ!」

 

園子は銀を槍で投げ飛ばし、バーテックスの方に向かわせる。

 

「愛っちも〜!」

 

「任された!」

 

再び槍を前に向きわせでそこに愛翔を乗せた。

 

「行ってらしゃいぃぃー!」

 

「あいよぉぉぉぉ!」

 

自身の足の脚力を使って園子の盾を蹴った。そして銀と続いて剣を大きく構えた。

 

「三ノ輪さん!」

 

水球を全て撃ち抜いた須美は叫ぶ。

 

「愛っちー!」

 

園子も愛翔に叫ぶ。

 

それを応えるように2人の武器は光り始める。

銀の斧は炎を纏わせ、愛翔の斬馬刀はピンクの斬撃を纏わせた。

 

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」

 

2人はバーテックスに武器を振りかざしまずは左右に付いている水を生成している器官を互いに分けて破壊する。

そして、地面に付いた2人は再び飛び上がり、バーテックス本体を切り刻んだ。

先に銀が地面に落ちてしまい後は愛翔だけだが、最後は粘った。

腰から1本だけあるチェーンを出してそれを剣に巻き付かせそれを遠心力で豪快に振り回す。

 

「これで、終わりだァァァァ!」

 

最後の器官を破壊し、地面に落ちた。

それでもバーテックスに目を離さなかった。

すると、樹海全体が白く輝き始めた。

 

「これって.....」

 

「鎮華の義?」

 

「始まったんだ!」

 

少女3人は白くなった樹海の空を見上げながら見ると、大量の花びらが空から降り注いできた。

するとそこにいたバーテックスはいつの間にか消えた。

 

「静まった.......」

 

「撃退出来たんだよな?」

 

「それって......」

 

少女3人は同時に互いを見て、笑顔になった。

 

「「「やった―――!!!」」」

 

嬉しさのあまり抱き合う3人。

バーテックスの撃退に成功した。

勝ったのだ。

初めての実戦で初撃退。

こんなに嬉しいことは無いだろう。

 

「痛ぁ.....地面に落ちるだけでこんなにも身体が悲鳴をあげるのか」

 

3人の前から腕を縦に回しながら愛翔が帰ってきた。

 

「愛っち、大丈夫〜?」

 

「ん?ああ、全然大丈夫だぞー」

 

園子が2人から離れて愛翔の方に駆け寄る。

愛翔はその意志返しに園子の頭を撫でた。

 

「――♪」

 

園子は気持ちよさそうに愛翔の手を受け入れていた。

それを見ていた銀が園子に牙を向いた。

 

「あー!乃木さんずるいって!愛翔!私も私も!」

 

「え、まぁ......いいけど」

 

別に拒否する理由もないし撫でることなら別に大丈夫だろう。

そう言うと愛翔は片方が空いてる手で銀の頭を撫でた。

 

「あ......ふふ」

 

ピクっとした銀だがすぐに受け入れてニコニコと笑みを浮かばせた。

 

「随分モテるわね黒結君」

 

須美が嫌味っぽく愛翔に言うが気にしてないのか苦笑いを浮かべながら口を動かす。

 

「これでモテるとか感性を疑うね」

 

「ふっ、そうね」

 

お互い笑いながら済ませると、今度は樹海が光包まれた。

光が収まるといつの間にか現実に戻っていた。

いつの間にか愛翔が纏っていた装束と須美達もその装束姿から神樹館の制服に戻っていた。

 

「戻ってこれた.....」

 

「そっかー学校に戻ったわけじゃないんだ〜」

 

「あ、そうだ樹海を撮ったんだった!」

 

2人を撫でるのを終えた愛翔は現実にある大橋とその近くにある公園に4人はいた。

 

「あれ?樹海じゃなくなってる.......!」

 

「写らないんだねぇ〜」

 

「そんなの撮ってたのかよ......」

 

銀は戦いが始まる前にスマホに樹海の写真を撮ったのだが、流石に神の力が宿るスマホでも樹海の写真だけは撮れなかったらしい。

それが撮れなかった銀はうむむ......と唸りながら次々撮った写真の中から樹海化した写真を探し始めていた。

これにも愛翔はまたもや苦笑いをしてしまう。

 

「あ、そうだ」

 

愛翔はある事を思い出した。3人の少女達に聞かなければならない。

 

「なぁ、鷲尾達って何であんな所にいたんだ?」

 

「それは......」

 

須美はそれを応えようと渋るがその直後に白い格好をした人が2人は現れる。

 

「.......大赦」

 

それは仮面にこの国の組織のマークが記されていた。

大赦の神官達だった。

 

「黒結 愛翔様ですね?」

 

「はい、そうですけど?」

 

1人の神官が愛翔の手を強引に掴む。

 

「え、何するんですか!?」

 

「我々と直ちに大赦本部に来て頂きたい」

 

「はぁ!?」

 

神官はそれっきり何も言わずに愛翔を見つめる。

 

「おい!愛翔が嫌がってるだろ、放してやれよ!」

 

「愛っちに何するの!」

 

銀と園子が愛翔に駆け寄り神官を睨み付ける。

 

「乃木園子様、三ノ輪銀様、我々大赦は黒結愛翔様を決して乱暴にするつもりはございません。ただ、彼に用がございまして.....」

 

「そしたらなんで腕を強く握ってるんだよ!」

 

「そうだよ!愛っちに酷いことしないで!」

 

大赦は何も言わず、再び愛翔を引っ張る。

 

「うわっちょ、ちょい!」

 

「愛翔!」

 

「愛っちー!」

 

そして、大赦が使う車に押し込まれそうになった瞬間、今まで黙っていた須美が叫ぶ。

 

「待ってください!」

 

つかつかと足を鳴らして大赦の神官を見つめながら口を動かす。

 

「それは私達がいても大丈夫な事ですよね?」

 

「そうですが――」

 

「なら私達3人も連れて行って下さい!」

 

神官は表情は見えないが少し驚いた顔をしたような気がした。少し考える素振りを見せるとこちらに目線を合わせた。

 

「分かりました。神樹館にいる安芸に伝えときます」

 

神官は愛翔の腕を離して車に戻って行った。

 

「鷲尾......」

 

「ごめんなさい黒結君」

 

「いや、俺はいいんだけど.....」

 

愛翔は申し訳なさそうに銀と園子を見ながら言う。

 

「私は鷲尾さんに感謝してるんだぞ?」

 

「私もなんよ〜」

 

「一応、私からも2人を巻き込んでごめんなさい」

 

2人は須美に気にしないでと首を横に振った。

 

「それに、私達も愛翔に世話になってるからな」

 

「私もいつも家にきて遊んでくれるからね〜」

 

「私もよ.....まぁ、貴方は覚えていないけれど」

 

「三人とも......」

 

愛翔は3人に感謝した。こんな良い娘達があの化け物と戦うのだ。

護りたい。この3人を絶対に。例え、自分がどうなろうと。

 

 

「んじゃ、俺が言うのもなんだけど行こうか」

 

「「「えぇ(うん)(おう!)」」」

 

愛翔が言うと3人は笑顔で頷き、大赦の車まで向かった。

この先愛翔はどうなるか分からない。でも――決して危険な事じゃないだろう。

 

 

 

これは、四人の勇者の物語。

神に選ばれた少女達と偶然神に選ばれた少年のおとぎ話。

いつだって、神に見初められるのは無垢なる少女である。

だが、偶然神に見初めされたイレギュラーな少年も無垢である事は変わらない。

そして、多くの場合、その結末は―――。

 

 

 

 





小説とアニメ版が重視で書いてます。
というかわすゆが何かと登場人物少ないから書きやすてのもあるかもしれないw
でも、その代わりにあのシーンをどうするかですが、僕はもう決まってますのでw
正規エンドの方は申し訳ない。
俺は銀ちゃんを死なせたくないんだ!
ま、そしたらタグ(入れきれなかったけど)に1部原作キャラ生存はいれてないですからね!(汗)

それでは次回も更新出来るように頑張ります!


次回。 第2話:イレギュラーの御役目
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