華結を繋ぐは勇者である『凍結』   作:バルクス

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どうもバルクスです。銀ちゃんの誕生日に間に合わせようとしましたが、ダメでした\(^o^)/

今回はオリ展開です!
ある程度黒結家について分かるかも?

ではどうぞ〜


第2話: イレギュラーの御役目

 

愛翔達が大赦本部に着くと神官から個室に連れていかれた。

神樹様を管理するからだろうか、大赦本部の建物の中はとても神聖実がある形をしていた。

まるでその中全体が神様の供え物みたいだ。

そして、その一室で愛翔、須美、園子、銀の四人は御役目についてを神官から説明を受けていた。

とはいえ、愛翔以外の三人は元から御役目の話は勇者になる時に聞いていた。

だが、愛翔は勇者やバーテックスについては知らない。

そしてある程度神官から勇者の成り立ちやバーテックス等の説明を聞いた愛翔は手を顎に乗せて考えていた。

 

「それが貴方達ら大赦が語る、お役目の真実か......?」

 

訝しげに愛翔は神官に対して口を動かす。

確かに彼から見れば突然世界が全て樹に変わり、クラスメイトが化け物と戦っているのだ。

その異常性を見れば誰しも疑うのは必然だ。

 

「はい。愛翔様のお言葉通りでございます」

 

仮面で見えないが、そんな愛翔の言葉を想定済みかのように神官は無機質な声で肯定した。

勇者にとっての御役目はこの四国をバーテックスから守るために戦うということ。

だが、勇者になるためには適正値というものが必要となり神樹が神託で決めるらしい。だが疑問が残る。本来勇者になるのは穢れを知らぬ無垢な少女達であり、何故勇者では無い自分――いや、少女では無い(愛翔)が勇者としての力を使えるのか全く分からなかった。

 

「.....あの質問なんですが、何故黒結君は勇者としての力を使えたのでしょうか?」

 

すると今まで何も言わなかった須美が神官に向けて話を掛けてきた。

神官の方も須美の方に顔を向けて語り出す。

 

「それは、私達にも存じ兼ねますが......一つだけ心当たりはあります」

 

神官がそう言うと須美は真剣な眼差しで神官に催促をするように頷いた。

愛翔や園子や銀もその理由が知りたかった。

 

「これは、愛翔様の御先祖が関係していると推測しています」

 

「俺の御先祖が.....ですか?」

 

愛翔は首を傾げる。

御先祖、つまり黒結 海斗が何らかの影響を与えていると神官は言う。

話によると何で勇者になったかは不明だが、愛翔の御先祖は初代勇者との交流がありそれで黒結家が独自で勇者システムを作ったのだとか。

だがそれは憶測の話であって実際は分からない。

 

「そしたら、何で俺の家はその勇者システムを何も言わずに俺のスマホに入れたんですか?」

 

「それは分かりません。ただ、一つ言えることは護身用、または御守り程度として忍ばせていたのかもしれません」

 

自身の両親に疑問を抱く愛翔は神官に聞いてみるもやはり大赦としても流石に黒結家の事は分からない。

どれだけ調べても、どれだけ聞いてもその黒結家は口を割ろうとはしなかった。

また、以前愛翔は父に黒結家と大赦との関係を聞いた事を思い出す。

それは三百年前、大赦が御先祖黒結 海斗にとある事で反感を買い、それから御先祖は大赦に対して協力すらも何もしなかったという。

一体大赦が何をして御先祖を怒らせたのかは不明だがこうして三百年経った今も大赦が管理する勇者システムの技術が黒結家にあるという事は大赦の中に黒結家の分家の者がおり密かに開発したのだろう。

でもそれのお陰で愛翔は勇者になり須美達をバーテックスから助けることが出来たと思えばこれまでの黒結家の歴史なぞ気にならない。

 

「そういえば自分はこれからどうすればいいんです?彼女達と一緒にバーテックスを倒せばいいんですか?」

 

「概ねそうなります。出来ることならこの世界を守って頂きたいと我々はそう願います。たとえイレギュラーな事だとしても、どうか我々に愛翔様の御力添えを」

 

説明を受け愛翔の処遇について聞くと神官は椅子から立ち、愛翔の方に向かって床に頭を下げた。

正直、今もこの話を聞いても理解が出来なかった。

突然樹海化に巻き込まれてこの世界を滅ぼそうとする化け物と戦わされ、挙句の果てにはまだ成人すらもしていない幼い少女達が戦っている。

そして、愛翔も戦わされそうになっている。

断る事なんて簡単だ。今口に出せば神官は素直に下がるだろうと。

ふと、須美達の方をみると彼女達も海斗に気付きこちらに首を横に振ってきた。

『断れ』と言っているのだろう。

だが、それを断ることなんて出来るはずがなかった。

自身の拳を握り愛翔は口を動かす。

 

「......分かりました。俺もその御役目をさせてください」

 

「!?な、何言っているのよ黒結君!」

 

そう言うと今度は須美が目を大きく開かせ愛翔に向かって言葉を掛けてきた。

 

「あなたは自分が言っていることが分かっているの!?これは遊びではないのよ!」

 

「お前がやる必要はないんだぞ!」

 

「そうだよあいっち!」

 

須美に続いて銀と園子も慌てた様子で声を発する。

確かに、彼女達の言う通りかもしれない。

これは本来彼女達がやる御役目だ。

遊びでもまたは冗談でも嘘でもないことも。

真実を聞いていなければ参加もしなかったかもれしれない。

夢だったと自分に言い聞かせてたかもしれない。

だが、あのバーテックスという化け物と戦ってしまっては愛翔は引けなかった。

あんなものに何回も少女達が戦うと考えてしまうと震えが止まらない。

何も知らない所で何も覚えられずただそんな毎日を過ごすなんて嫌だった。

非常で異状で卑劣で不条理で非条理で、そんな世界でしか生きるなんて絶対嫌だ。

こんな儚い少女達が命すら落とす戦いに身を投じてるというのに何もせずにいられる自体が愛翔は容認出来るはずがない。

そんな須美達に顔を向かせて笑みを見せた。

出来る限り心配にならせないようにするために。

 

「これは自分で選んだことなんだ。俺はそれに後悔もしてない.......寧ろ、守りたいんだお前らを」

 

こんなこと、今までなかったはずなのに何故か気持ちが溢れ出てしまう。

誰かを守ることは果たして出来るかと言えば難しいだろう。

まだ、愛翔はほんの少しか持っていない経験と知識を得ただけ。

そんなものでは須美達に到底追いつけないだろう。

でも、それでもと言わなければいけない気がした。決めたんだ、自分の意思でこれだけは曲げられない。

 

「経験も知識もお前らには及ばないが、それでも!俺はお前らが過酷で死ぬかもしれない御役目に黙って明日を生きれるか!」

 

愛翔は自分の気持ちを吐露して叫ぶ。

その気持ちが伝わったのか須美達は目を細めると今度は何故か頬を染めながらため息を吐いてしまう。

 

「......全く、黒結君は頑固ね」

 

「アタシ達を守りたいとか......恥ずかしい言葉なんて言うし」

 

「本当にびっくりしちゃったんよ〜」

 

須美、銀、園子の三人は笑みを浮かべながら愛翔に対して呟く。

こんな真っ直ぐで言われたら恥ずかしいとは思わないのかと考える三人だが、愛翔はそんなことを考えている訳では無く素直に言っているだけなのだ。

それに対して過剰に反応している須美達は逆にもっと恥ずかしくなってくる。

 

「なんとでも言えよ.......俺の気持ちは変わらないぞ」

 

海斗は真っ直ぐ言う。すると地面に頭を下げていた神官はまた深く頭を下げ始めた。

 

「愛翔様の御決断に感謝を」

 

それから愛翔は正式に勇者として認められることになった。

ただの特殊な事もせず先程乗った大赦の車で自分の家に帰ることになった。

 

 

 

 

 

「あの、黒結君」

 

「ん?」

 

自宅の近くで降ろしてもらい、そのまま歩いて行こうとすると須美が愛翔を呼び止めた。

 

「どうした、鷲尾?」

 

「なんで、黒結君はそんなに強くあんな事言えたのかしら?ただあなたは巻き込まれただけなのに」

 

「そうだなぁ......」

 

須美がそう言うと愛翔は頭を搔きながら考える。

それを見ていた銀と園子は何も言わずにただ愛翔を見つめ続ける。

須美は愛翔の真意を知りたかった。

別に疑っているわけではないが、相手は黒結家、大赦の中で三番目の地位のある家柄。

須美が養子に出されている鷲尾家より発言力は高いはず。

だからこそ愛翔が果たして本当にお役目を知らなかったのか分からなかったのだ。

疑いすぎもあるかもしれないが、どうしても聞きたかった。

すると愛翔は須美の方を見ず目を逸らしながら口を動かした。

 

「さっき言った通りなんだが、俺は自分がその真実を知ってお前らが裏でバーテックスと戦っているのにのうのうと一日を過ごしていられるほど非道な人間じゃない」

 

「じゃあどうして、私たちを守りたいとそう言ったの?」

 

「それは、だって――」

 

 

『大切な友達がいるからだ』と愛翔は言葉を発した。

すると須美は固まってしまう。今、黒結君はなんと言った?

大切な友達がいると言ったのか?いや、それはないと須美は心の中で首を横に揺らす。

まだ須美と愛翔は互いの事を少ししか知らないはずのに。

それを彼は彼女の事や銀と園子に言ったのだ。

どうしてあっさりとそんな言葉がすらすら出るのか分からない。

さっきからこっちの気持ちがゆらゆらと乱されていく。

でも、不快感は全くない。

むしろ、喜ばしく思うし、二人(銀と園子)もそうなのだろう。

 

「お、おーい鷲尾?大丈夫か?」

 

「.....はッ!?」

 

愛翔の声が聞こえた。どうやら考えに耽っていたようだ。

 

「あの、正直に言ったつもりなんだが......これでいいのか?」

 

「え?え、えぇ......ありがとう黒結君」

 

まただ。また頬が熱くなっている気づいた時には暑くなるのはなんなのだろうか?

彼といると何故か周囲が乱れる気がする。

銀も園子も愛翔の言葉で須美と同じで顔を真っ赤に染めている。

まぁ、園子の方は笑みを浮かべながらだが。

 

「愛っち〜!」

 

「うおっ!?どうしたんだ園子」

 

「えへへーギュッてしたかっただけ〜」

 

「お、おう?」

 

「すんすん、ふへへ〜愛っちの匂いだー」

 

「俺って臭いのか!?」

 

すると園子は突然愛翔の左腕に抱きついてきて匂いを嗅ぎながら顔を彼の腕に擦り付けた。

「全然いい匂いだよ〜」と園子は言うが、もし臭いとか言われたら心に傷を負ったと思う。

 

「いやぁ随分モテますね〜愛翔さんや」

 

「何言ってんだ銀。早くこいつを引き剥がしてくれ」

 

「ふっ。それは出来ない相談だなマイフレンド」

 

「ふざけんな!とっとと協力しろ!」

 

銀の方は愛翔を揶揄うようににやにやと言葉を発した。

鬱陶しそうに愛翔は言うが、表情は嫌そうにはしていなかった。

 

「――黒結君」

 

「何だ、鷲尾」

 

「これから勇者として私達と一緒に御役目を果たしましょう」

 

「硬すぎだな」

 

「え?そ、そうかしら?」

 

「そうだぞ鷲尾さん!もっと柔らかくいいなって!」

 

「イッツスマイル!須美助〜」

 

確かにこれから三人ではなく、四人で御役目を果たして行くのだ。

もっと柔らかく人に接していけるようにしなくてはならない。

それがこれからの課題だ。

だからこそ、今からやるんだ。

 

「鷲尾」

 

すると愛翔が須美の方に手を差し出した。

 

「え、えぇと......殿方に触れるのは破廉恥――」

 

「じゃねぇからな?そこはセクハラにもならんわアホ」

 

愛翔にツッコまれる須美だが、気持ちを切り替えて、微笑みながら愛翔の腕を握った。

そして握った瞬間に銀も園子も須美と愛翔の腕の上から自身の手を添えた。

暑苦しいが、嫌では無い。寧ろその温もりこそが繋がりを得たという証明になったと感じた。

 

「これから宜しくな三人とも」

 

「「「えぇ!(おう!) (うん!)」」」

 

これから先、何があるかは分からない。

でも、この先何があろうと守ると約束しよう。

世界も大切な友達も。

たとえ自分が死ぬ事になろうとも。

 

 

 





ありゃりゃ?愛翔君もしかしてたらしくんですかね?
誰だァ!こんな事書いたやつ!(作者)

まぁ、後悔はしてない。( •̀ω•́ )✧

次回は二回目の戦闘シーンを書こうかなと思います。
では次回でまたお会いしましょう。さらば!


次回。第3話:指名の先に
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