華結を繋ぐは勇者である『凍結』   作:バルクス

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どうもバルクスです!
いよいよ合宿編ですよー!

ではどうぞ〜



第4話:纏める個性

 

土曜日になり愛翔は神樹館貸し切りのバスの座席で座っていた。

今日は前に安芸先生が言っていた合宿の日であり愛翔、須美、園子、銀の四人は大赦が経営する旅館へと行こうとしていた。

だが、一人だけまだ時間内に来ていないのだ。

それに愛翔の肩には園子が寄っかかっており、鼻ちょうちんを作り、嬉しそうな表情をしながら寝ている。起こそうとは思うが些か気持ち良く寝ている子を無理やり起こすのは気が引ける。

だからそのまま放置にした。重いけど。

それに今は園子の方より愛翔の隣にいる須美がうむむ......と唸りながら眉をピクピクと歪ませていた。

どうやら相当御立腹のようだ。

 

「遅い!三ノ輪さん遅い!」

 

「あはは......」

 

須美がこの場にいない彼女に対して不満を漏らす。

朝早く来た彼女からしてみれば遅れることがそもそも良くない。

時間内に来るのも勇者の務めとか思っているのだろう。

だが須美は銀が遅れている理由を知らない。愛翔はそれを説明しようか迷ってしまう。

でも果たして納得してくれるのだろうか?

愛翔は苦笑しながら須美の話を聞きそのままバスの中で銀の到着を待つ。

すると噂をすればバスの自動ドアが開きそこから銀が急いで入ってきた。

 

「悪い悪い!遅くなっちゃって.......」

 

「遅い!あれだけ張り切っていたのに十分遅刻よ。どういうことかしら!」

 

「......色々あって.......あ、いや悪いのは自分だけど、とにかくごめんよ須美」

 

「この際だから注意させてもらうけど.......三ノ輪さんは普段の生活が少しだらしないと思うわ!勇者として選ばれた自覚を.......」

 

須美が銀に注意を促していると鼻ちょうちんが割れて園子が眠りから目覚めた。

 

「あれぇ〜?お父さん、ここ何処ー?」

 

「お、園子おはよう。ここはバスの中だぞ」

 

「そうなんだ〜。じゃあ、まだねれ.......」

 

「あ、おい園子!?あーもう!」

 

まだ眠そうに目を擦りながら言う園子に愛翔は慣れた感じで挨拶をした。

すると頭を愛翔の肩に寄りかっていた園子だが、今度は彼の膝の方に寝転がる感じでまた睡眠を始めた。

また気持ち良さそうに寝てるので、起こす気にはなれなかった。

園子、恐ろしい子。と愛翔は心の中で呟いた。

そのまま愛翔の膝で寝ている園子の頭を優しく撫でた。

流石名家の家系、髪のツヤも肌の色も相まってまるで人形みたいだ。

擽ったいのか今度は園子が体勢を変えて愛翔の腹に顔をグリグリと押し付けるようにした。

それを見ていた須美と銀は困惑してしまう。

本当は起きてるんじゃないかと思うがこれでも園子は寝ているのだ。

やはり、恐ろしい。

何ともマイペースだが、彼女のお陰でギクシャクにならずにすんで良かった。

銀は着替えが入っている荷物を空いている席に置いて須美の隣に座った。

そしてバスは大赦が経営する旅館へと向かった。

 

 

 

「お役目が本格的に始まったことにより、大赦は全面的に貴方たち勇者をバックアップします」

 

旅館に着き荷物を部屋に置いて、合宿先である訓練場(最早ビーチ場なのだが)に向かい愛翔達は勇者装束に変身し、安芸の話を聞いていた。

だがバックアップとは言っているが、大人や普通の人では樹海化の中を動けない。

ので、今から行う連携の基礎を学ばせるのだ。

少なくとも勇者が生き残れるように。

 

「家族の事や学校の事は心配せず、頑張って」

 

『はい!!』

 

四人の首を縦に振ると安芸は頷くと口を開く。

 

「準備はいい?この訓練のルールは至ってシンプル。あそこに止まっているバスに三ノ輪さんを無事に到着させること。お互いの役割を忘れないで!」

 

この連携のルールはビーチの端にある所からスタートして道路の麓に止まっているバスに銀を届ける簡単な事だ。

だが、その行先には敵の攻撃に模したボールを飛ばす投射機が幾つもあった。

それを三人で役割を分担して銀を守る。

これには互いの息を合わせてやらなけれは絶対に成功しない。

まず海岸沿いに須美が弓矢を持って遠くからボールを射抜いて援護射撃をする。

そして園子が射出されてくるボールから銀を盾で守りつつ近付いて愛翔がボールを銀に当たらないように切って活路を開く。

その連携で行う。

 

「じゃあ、行くよー!」

 

「上手く守ってくれよ〜」

 

「任せろ。必ず守ってやる」

 

「私はここから動いちゃダメなんですかー!」

 

「ダメよー!」

 

安芸はそう言うと手を叩いて合図を促した。

 

「はいスタート!」

 

そして連携のゴングは鳴り響いた。

スタートの合図と同時に園子と愛翔は盾を展開し銀と一緒に走り出した。

目的地に走っていく中、投射機が銀の方に目掛けてボールを飛ばしてくる。

それを盾を展開している二人は防御してその後ろで須美は飛ばしてくるボールを的確に射抜いて落としていく。

 

 

「なぁ愛翔、ここからジャンプしちゃダメなのかー?」

 

「馬鹿言え。例えボールでも、もしこれがバーテックスの攻撃だったらお前は怪我をするか、もしくはそれに当たって死ぬかもしれないんだぞ?」

 

「そうだよミノさん。ずるはだめだよー」

 

「うぅ.....それもそっか」

 

防御して走りながら銀がそう言うと愛翔は真剣に捉えてもしもの話を彼女に聞かせる。

愛翔に続いて園子も銀に言う。

銀は唸るが、納得はしてくれた。

そして次々とボールが飛んできておりガードや相殺をしてやっとゴールが見えてきた。

このまま行けると確信した銀は二対の斧を構える。

 

「よし!楽しょ......うがっ!」

 

「銀!大丈夫か!?」

 

だがその瞬間に突如銀の頭上からボールが降ってきてそれに当たってしまった。

安芸が「アウトー!」と言うと投射機が止まり再装填が行われた。

愛翔は直ぐに銀に駆け寄り状態を見るが、銀はふらふらとしているが意識はあった。

それを遠くから見ていた須美は声を大きくして銀に謝罪をする。

 

「あ......ごめんなさい三ノ輪さん!」

 

「どんまいだよわっしー!」

 

「呼び方も硬いんだよ、銀でいいぞ銀で」

 

「私の事はそのっちでー。はい、呼んでみてー!」

 

「まぁ、焦るなよ鷲尾!」

 

「うっ......」

 

頭を抑えながら須美の方へ見て言う三人。

愛翔は落ち着けさせるように言う。

銀と園子は須美に下で呼んで欲しいと言うが、須美は笑みを引きつって目を逸らす。

それから数時間連携の訓練は続いた。

だがこの日は成功する事はなく、愛翔達は大赦が経営する旅館に戻った。

 

 

「はぁ〜.......」

 

愛翔は大赦が経営する旅館の温泉の湯船に浸かっていた。

今日の疲れが洗い流されるかのように癒され自然に息が漏れていく。

まぁ、先に頭と体を洗うのが先だったのだが。

やはり温泉というのはいいなと思う。

愛翔の家にある風呂も温泉で露天風呂付きだが、旅館のと比べれば広さや景色が違う。

それも楽しむのもまた良いものだ。

 

「流石に今日で連携は確立しないよな.......」

 

あれから夕方になるまで訓練はしたが結果は惨敗。

それもそのはず、一日で出来たら訓練なぞ必要ない。

まだ始まったばかりだ。

合宿の期間は今日入れて四日。

残り三日で完璧にしなければならない。

今日の動きで愛翔は須美、銀、園子の三人の動きは分かった。

須美は射撃性は優れてはいるが、取り残しには弱いと見える。

後は物事を深く捉え過ぎる場面があるが、それは自分でも分かっているようで銀や園子達が場を和ませてくれればあとは時間が解決してくれるだろう。

銀は気が早すぎて直ぐに出たがる性格をしているが、ちゃんと指示を仰げば従ってくれる。

それ以外は彼女の適応力で何とかなるだろう。

園子はやはり柔軟かつ目の前の現状に即座に対応出来る能力を持っている。

防御係として体力は付けねばならないが、そこは訓練か自主練で鍛えてくしかないだろう。

そして自分(愛翔)は園子と同じで防御係として銀を守っているが、前線も行けるオールラウンダーな立ち位置だ。

基本的にはガントレットに付いている盾を展開しながら攻撃を受け流し、その隙を斬馬刀で切り伏せるという戦法だ。

だが愛翔は他の勇者の三人より訓練や基礎は全く素人に近い。

知識も経験も浅すぎる。だからこの合宿で色んなことを覚え切るのだ。

背中を石に寄りかかせる。

 

「四ではなく、十にする......か」

 

今日の朝に安芸が言っていた。

この訓練は基本的には四人で行動すること勿論風呂は除くが。

その時に彼女は言っていた1+1+1+1を4ではなく、10にするのだと。

正にその通りだ。

四の力ではなく、十――つまり、レベルMAXの状態で連携して敵に挑めばリスクを犯せず必ず勝利は掴めるということ。

だから明日か明後日には絶対に成功させる。

皆で生きてまた帰るために笑って日常を過ごせるようにと頭の中で想像する。

愛翔は天井に手を伸ばした。湯気を掴むようにぎゅっと。

 

「守ってみせる........絶対に」

 

自身に誓いを立て、愛翔は立ち上がり湯船から出て脱衣所に向かった。

出来ればこの合宿で何かが変われば良いと彼は願ったのだった。

そして寝室に戻った愛翔だが、脂汗をかいてしまう。

それは愛翔以外の勇者三人には女の子だ。

流石に小学高学年になって一緒の部屋で寝るのは教育上ダメだ。

安芸先生は考えなかったのかそれともこれも連携のために用意した苦肉の策なのか。

果たしてその真相は分からない。

それで愛翔は自分がここで寝ても大丈夫なのかと聞いてみる。

 

「あいっちと一緒に寝れるの久しぶりだから嬉しんよ〜寧ろウェルカムなんだぜぇー!」

 

「あ、アタシは.......あ、愛翔だったら、い、い、いいゾ......?」

 

「別に黒結君は他のクラスメイトとは違くて私の体の事を変な目で見てこないから全然いいわよ......でも、男性と一緒の部屋で寝るのは初めてだから、恥ずかしいわ......」

 

だが須美達は心置き無く受け入れてくれた。

寧ろ園子は訳分からんこと言っているが笑顔で歓迎してくれて、銀は何故か顔を真っ赤にしてこちらをきょろきょろと視線を行き来させ、須美に至っては信用と信頼を混ぜた表情をしている。でも少しだが彼女も頬だけ赤くなっている。それに最後に何を言ったか分からなかったが、まぁ良いだろう。

これには愛翔も引いてしまう。

信頼と信用をしてくれるのは嬉しいが、流石に愛翔でも刺激が強すぎる。

ただでさえ三人は愛翔から見ても美人で可愛いに入るのだから。

果たして寝れるのだろうか。愛翔は頭を悩ました。

だが、そのまま普通に寝たら何も無かったので良かったと心の中でほっとしたのは別の話。

 





本来異性同士で寝る事はないと思うけど、法は変わるように時代も変わるもんなのですよ!(震)


さて次回は次のバーテックスの戦闘シーンまで書こうと思います!
では次回にまたお会いしましょう!さらば!

次回。第5話:変わるもの
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