はい、どうもバルクスです。
なんで自分はのわゆを完結させてないのにわすゆを書いたのか自分でも分かりません。
まぁ、観ちゃったから仕方ない(自業自得)
では、今回はヒロインが出るぞぉ!
(∩´。•ω•)⊃ドゾー
丸亀城の改築された勇者用の教室で1人少女は手にゲーム機を持ちながら窓から見える空を眺めていた。
「.......」
ただ今はゲームをせずに空を見てみたかった。
彼女――郡千景は高知県の村で生まれ、両親に祝福された。
最初は何も変哲もない幸せな一般家庭だったが、ある日それは千景の人生は少しづつ崩れ落ちていった。
それは父親が千景の誕生日を祝わず仕事の同僚との飲み会を優先したのだ。
それからして千景の母がそれに対して千景の父と口論となり、毎日毎日それが続いた。
千景の父親は子供をそのまま大人にしたような性格で何をやっても自分優先。
家事も何もしないただのロクでなし。
時が経つにつれ、千景の母が家を出て行ってしまった。
他の男と不倫が発覚したのだ。理由としては父に愛想を尽かしたのだろう。
まだ幼い千景は理解は出来なかったが母親がいなくなるのはとても悲しんだ。
それからして村全体に郡家の噂が広がりそれは千景が通っている小学校にも流れ着いていた。
その日から千景はクラスメイトや村の人々に虐げられ、蔑まれ、罵倒も浴びせられ挙句には自分の私物や服なんかを壊されたり燃やされたり、また自分の身体に消えない傷を残されたりもした。
これから毎日虐めが続く事が当たり前になっていた千景はもう全てがどうでもよくなっていた。
でも唯一千景は自分を外部から守ってくれるのがゲームだった。
自分の耳にイヤホンを挿して音量を上げる。
それだったら誰からの罵詈雑言も聞かなくてすむのだから。
それだけで千景は少し気が楽になった。でもその心は依然、冷えたままだ。辛い――と、心が何回も問いかけてくる。 それでも彼女は自分は辛くもない、何も感じない、何も痛くないと言い聞かせた。
だがそれは数年後に変わり始める。
千景が5年生に上がる頃、このクラスに転校生がやって来た。
でも、それすらどうでもよかった千景は窓から見える景色を眺めていた。
流石に学校ではゲームは出来ないのでそれしか周囲を遮断出来なかった。
しかし、ふと視界に映りこんだのは黒板に名前を書いていく男の子の姿があった。
黒髪で赤い眼を持つ少年。
そして男の子は自分の名前が書き終わると元気よく息を吸って口を開く。
「
そう少年――海斗は言う。
それでも千景自身はどうでも良かった。
千景は海斗を一瞥してまた窓から見える外の景色を見た。
それからして転校生が来たという理由で千景以外のクラスメイトは海斗に興味津々で『何処から来た』とか『黒結君ってあのブラック・コネクト社の人?』
と様々な質問をされた。
香川では黒結家の会社を知らない人は早々いないぐらい有名らしい。
『ブラック・コネクト』 黒結家が経営する運送とオフィス系を主にしている会社。
頼まれた荷物を早急に発送したり、香川の町おこしに色々貢献をしていたりして人気がある。
あまり自社の事は表に出さないのかホームページを見ても平凡。テレビでやっているCMも普通。
それでも人気が高いのは黒結家が一生懸命に世のため人のために働いている頑張りが評価されていたりするのだ。
その御令息である海斗は周りからは会社の息子として見られている。
でも、子供とは常に無知で突拍子な事を言ってくるものだ。
「あ.....その、俺会社の事知らないんだ.....」
海斗は1人のクラスメイトに質問されたことを返していた。
困ったような顔をしながら答えるがクラスメイトは顔を傾げた。
会社の息子だったら会社自体知ってるんじゃないのかと周りはそう思っているのだろう。
「父さんは1度も俺に会社の事を話さなかったんだよね.....だから知らないんだ」
さっきまでうるさかった声が今は聞こえない。何か申し訳なさそうに海斗を囲んでいたクラスメイト達はチャイムが鳴ると自分の机に戻って行った。
「.......」
またそれを千景は無言で海斗を見つめていた。
それに気付かない海斗だが、少し疲れたのか表情は暗くなっていた。
初めての自己紹介で会社の事が出たのは予想済みだが、詳細を知らない海斗はそれに答えることは出来ない。
失敗したのだろうと思っているのだろう。
すると教室から担任の先生が入ってきて授業が始まった。
◇
「やっと、放課後か......」
海斗は夕焼けに照らされている教室を見ながらボソッと呟く。
今日初めてこの学校に転校してきて緊張はしたが、最も彼自身の父が経営する会社の事を聞いてくるのはどうも止めて欲しかった。
会社の息子だからって特別視されても心苦しい。
1人の人間として扱って欲しいのだ。
そして、生徒達が次々と自分の家に帰っていくのに連れて海斗も自身の家に帰宅しようと教室を出た。
長い廊下を歩き続け、階段を使い次の階に降りようとしたら視界に3人の少女達が1人の少女にハサミで髪を切り落としていた。
周りから見ても明らかに可笑しい。
でも、廊下に座っていた少女は微動だにせず、それを受け入れていた。いや、なにをしても意味がないように諦めがついていたような虚ろの表情で待っていた。
しかし、その切られていた髪から何故か赤い液体が付着していた。
そして、またそのハサミで少女の髪を切り落とそうと手が掛かりそうになる。
「――ッ!」
咄嗟に身体が動いた。階段を高く飛び越えて、ハサミを持っていた生徒の前に立ち、右手でハサミの先端を掴む。
「ッ.....」
痛みをグッと堪えてその生徒を睨み付ける。
「お前ら、何してんだよ.......」
それに怯えたのか何も言わずに3人の少女達は一目散に階段を降りて行った。
それを確認すると息を吐いて落ち着く。
海斗は座り込んでいる少女の方に振り向き膝を突いた。
「......大丈夫か?」
「.......」
声を掛けても自分と同じ黒髪を持つ少女は無言のまま下を向いていた。
すると海斗は少女が左耳を抑えていたことに気付いた。
「着いて来て」
海斗は少女の手を握って保健室を目指した。
保健室に着いて扉を開けると誰もいなかった。
どうやら今日は保険の先生はいないらしい。なら、自分が出来ることは目に見えている。
少女を近くにある椅子に座らせた。
少女を座らせた海斗は先に自分の右手を水道で洗い、自分のハンカチで軽い止血をする。
止血し終わると直ぐに医療器具がしまってある引き出しから手当り次第ガーゼや消毒を出して、少女の方に向かう。
「傷見せて」
「......」
少女は言葉を発さない。警戒されているのかはたまた海斗が彼女に対して先程の生徒達と一緒で傷付けてくると思われているのか、両方なのだろう。
「どうして......」
少女が震えながら言葉を発する。
「どうして私を......助けたの?」
「どうしてって言われてもな.......」
海斗は頭をポリポリと掻きながら考える。
「目の前で傷ついている人を見たらそりゃ助けるに決まってんだろ。俺はそんな薄情じゃない」
「......貴方は私の話知らないの?」
「――話?」
少女は自分の家庭について話し始めた。
自分の父が何もしないロクでなし。母はその父親に愛想を尽きて家を出て行ったことを、そしてそれからその話が村中に広まり家に出ても学校に行っても虐げられ、蔑まれた。
「この話を聞いても貴方は私を助けるの?」
少女の目は消えかけていた。光が灯っておらず、何も縋れず、誰も頼れず、ただ一人で乗り越えてきた。それももう限界なのだろう。
少女自身何故海斗に話したのか分からない。しかしそれは彼女自身はもうどうでも良かった。
虐げるなら、蔑むならさっさとやってくれと。
「さっきも言ったけど、傷見せてもらってもいい?」
「は?」
今彼はなんと言った? 罵倒ではなく、催促をした。
「え、ど、どうして?」
「髪と一緒に耳も切られたんだろ?そのままにすると膿ができちゃうぞ」
ほら、早くしろと海斗は少女に言った。少女は素直に従い左耳を海斗の方に見せる。
数分しか経っていないが大分血が固まってそこには膿もでき始めていた。
でも、まだ海斗でも軽い治療は出来る範囲だった。
「染みるかもしれないけど我慢しろよ?」
そう言う海斗はガーゼに消毒を染み込ませて耳の傷に触れる。
少女はビクッと肩を震わせたが、一瞬だけだったので直ぐに治療は終わった。
「これでよし、と」
治療に使った道具はゴミ箱へ捨てた。
少女は不思議そうにガーゼが貼ってある自分の耳に指で触れる。
「後は病院で診てもらうしかないよな.....」
「......」
先程の少女の話を聞いた海斗は彼女の親に頼んだとしても何もせずに放置するだろう。
そしたら自分が連れていくしかない。
「ねぇ......」
「ん?」
少女が口を開く。
「もうやめて......」
「何で?」
「私は無価値な存在よ周りから人として扱われてない。誰も私を見てくれない」
目に雫を溜めながら、弱りながら今にも何処か行きそうな動物のように少女は怯えながら海斗に強く言う。
「もう、私に関わらないで。あなたも関わったら私と同じ事をされる......」
希望を見せないで欲しい。見出して欲しくない。
そんな淡い光に縋って誰かを不幸にさせてなくない。
1人でいいのだ。
だって少女は無価値な人間なのだから――
「え.......?」
いきなり目の前にいた海斗が少女を抱きしめた。
逃がすことを拒むように。
「俺は君の事をよく分からない」
でも、と海斗は強く腕に力を込める。
「君は無価値なんかじゃない!一人の人間として生きてるじゃないか!」
「そんなの.....嘘じゃない」
少女は咄嗟に言葉が出る。
海斗も負けず劣らず口を開く。
「嘘じゃない!」
「嘘よ.....」
「嘘なわけあるか!」
2人しかいない保健室に海斗の声が響き渡る。
それに気圧された少女はビクッと震える。
「.......どうしてそう言えるの?」
恐々聞いて見ると海斗は抱きしめた腕を緩めて少女の肩を掴んで顔を見つめる。
「俺が君の価値を認めているから!この世界でちゃんと生きてるって忘れないからだ!」
そして、海斗は笑う。
「君は一人じゃない!俺が護るから!嫌な事が嫌って言って俺に言ってくれよ!また虐められたらソイツらを俺が何とかしてやる!」
「――!!」
少女は何かが崩れ落ちる音がした。突如に目の奥から熱いものが先程より流れ出ることを感じた。
止めたくても止められない。
自分の壁が壊れていくのが感覚で分かる。
悲しいという感情が喜びに変わっていく。
「うっ.......ひっぐ.......あああ......うわぁぁぁん!」
久しぶりに流した涙は何時だろう?
でもこの涙は悲しい訳では無い、嬉しいのだ。
こんなにも心と身体が暖かくなる。
海斗も少女が泣いた所で抱きしめて頭に手を置いて撫で始める。
優しく、子供をあやす様に。
泣き止んだ少女は先程の表情より瞳にも光が灯っていた。
恥ずかしいのだろうか、海斗から視線を外す。
「さ、さっきはありがとう.......」
頬を赤く染めながら彼女の精一杯のお礼を聞いた海斗は笑みを浮かべる。
「うん、やっぱり君は笑った方が似合ってるよ」
キザっぽい言葉が小学生には似合わないのかそれを聞いた少女はぷっと笑い始めた。
「ふふっ......ゲームでそんなキャラいたわね」
なぁ!?と海斗はガクッと肩を下げた。
「あ、そういや名前聞いてなかったよな」
海斗は少女の前にピシッと立ちながら口を動かす。
「改めて自己紹介だな。黒結海斗です!趣味は読書と料理特技は寝る事かな。宜しくな!」
笑いながら手を少女に差し出す。それに少女も応えた。
「......郡千景よ。趣味と特技はゲーム......宜しく」
その手を千景は手に取った。
その日から海斗と千景は一緒にいる事が多くなった。
海斗にも学校の虐めが出ることになったが、彼自身は自分でそれを消した。
虐めた者は証拠や弱みを見せて黙らせる。
後はこの事を父や母を話すと直ぐに対応してくれて、ある程度は虐めや陰口はなくなった。
それからして千景も少しは人目を気にせず外に出れるようになり、名前も苗字から下の名前呼びになるほど信頼を得ていた。海斗の方は千景の事を『ちーちゃん』と千景の方は下呼びだ。
海斗の家に遊びに行く事が多くなったが、お互いゲームの対戦で盛り上がったり、協力プレイで力を合わせたり、色々楽しんだ。
互いの誕生日も祝ったりとかして一生の思い出を作ったりもした。
そして1年後の7月30日にあの災害が起こる。
その時千景は親がいる家に戻りたくなくて家出をしていた。
この時は海斗が名古屋にいる親戚に会いに行くと言って留守にしていた。
少しだけ寂しかったが、家の事ならしょうがないと割り切っていた。
でも、心の何処かでは行かないで欲しいと願っていた。
なんて罪な女なのだろう。
自分でも苦笑いしてしまう。
そして、7月30日のバーテックス襲来から3年後、千景は勇者として力が目覚めてずっと訓練をしている。
初めはなんで私たちがそんな事をしないといけないのか分からなかった。今この世界の現状は神樹がバーテックスから結界で守っている。
そしてこの四国の恵でもあるのだ。
そのせいで神樹は戦う事が出来ないと神樹を信仰している大社という組織の神官がそう言っていた。
この世界が壊されれば千景達の日常、つまり海斗との幸せな生活が出来なくなること。
それを想像してしまった千景はそんなのはさせないと今まで以上に勇者として訓練や鍛錬に励んだ。
勇者になってから少し経ったある日、いつも通りに丸亀城内部を改築した訓練所で千景と同じく勇者となった少女達と訓練をしていた。
すると大社の方から新たな勇者が見つかったと言われて全員驚いた。
一体誰だろう? そう思いながら訓練所の扉が開く。
それを見た千景は瞳を大きく見開かせる。
そこにいたのは千景の大切な人であり、自分の幼馴染でもあった黒結 海斗がいたのだ。
今の彼は昔の千景と同じだった。
感情が欠落しているのかあの日見せた笑顔はもうないと感じた。
軽く挨拶をした海斗はふと、千景に気付いたのかあの時と同じ笑顔で微笑んだ。そして元の表情に戻り千景達に礼をして後ろを振り向いて訓練所から出て何処かに消えていった。
◇
「.......」
丸亀城の教室で千景は耳にイヤホンを付けながらゲームをしていた。
すると、突然肩を叩かれた。
千景はゲームを止めて振り向くとそこには赤髪をした少女がニコニコと微笑みながら千景に声を掛けてきた。
「ぐんちゃん!そろそろお昼の時間だよ!」
「えぇ.....そうね。ありがとう高嶋さん」
高嶋友奈。千景が海斗以外唯一心を開けた存在。明るくて周囲を励ましてくれる。
海斗も彼女自身に少し対応に困っているのか常に振り回せている気がする。
千景は一段落付いたのでゲーム機をしまい、席を立とうとすると、視界に海斗が映る。
「.......」
千景は声を掛けようか迷っていた。
今の彼は小学生の時みたいな明るい子ではない。
口数も減って今はもう彼自身から話しかけてこない。
また、あの日の笑顔がみたい。また自分と関わって欲しい。
そんな思いを抱きながら日々海斗を見つめる千景。
それを見ていた友奈は海斗の方に向かって声を掛けた。
「
それを聞いた海斗は心底嫌そうな顔で友奈に言う。
「なんで、お前らといかないといけないんだよ。俺は一人で食べた方が楽なんだよ」
「そう言わずに〜ほら、ぐんちゃんも一緒に食べたいって言ってるよ?」
「た、高嶋さん!?」
本当かというような感じで海斗は千景を見る。
オロオロとした千景はコホンと咳払いをして口を開いた。
「私も海斗と一緒に食べたいわ.....昔は良く食べてたじゃない?」
「昔は昔だろ?もうあの頃の俺じゃ――」
海斗が最後まで言おうとしたが、千景が泣きそうな目で海斗に上目遣いをする。
「ダメ.......かしら?」
「.......」
海斗は頭をポリポリ搔いてはぁとため息を吐いた。
「行けば......いいんだろ?」
ぷいっと顔を振って言う。 友奈と千景はパァと笑顔になり、2人は海斗の手を片方ずつ掴んで歩き始めた。
「じゃあ、行こうぐんちゃん!」
「ええ、高嶋さん」
「おい。ちょっと待て、はやすぎるだろ!」
2人に連れてかれ食堂に着いた海斗は結局3人で食べるのではなく、勇者達と巫女一人と食べる派目になった。
食事をしていると海斗の前にいる小柄な少女が彼の天ぷらを奪った。
それを海斗は叫ぶが直ぐに諦めてうどんを啜った。
自然と千景は笑みを浮かばせる。
この時間だけは彼が救われますようにと願うように。
「(海斗、私は貴方のお陰で救われたわ。だから、今度は私が貴方を助ける番よ)」
例え、自分が死んだとしても、彼の心に残り続けるかぎり、忘れないかぎり、自分の想いは不滅なのだから。
彼岸花の花言葉を知っているだろうか?
花言葉は情熱、独立、再会、あきらめ、悲しい思い出、想うはあなた一人。その言葉があるだろう。
一人を想うのは一筋に近い。
それを郡千景は彼を想い続けるだろう。
そして、最後にもうひとつ花言葉がある。
想うはあなた一人という花言葉までが周囲が一番知ってるだろう。
でも、人というのは大切なものがあるとそれが戻ってこないとずっと祈りを繰り返し続ける。
愚かだとは思うだろう。
しかしそれが行動で示すのなら?何をやっても無駄なのか?
だが、それは無意味では無いのだ。
そして、その花の最後の花言葉は―――
千景ちゃんの環境をそこまで詳しく分かってないから独自解釈もいれてるかもしれないけど、虐めだったらこんな感じだろってのは分かってるので何とかそれっぽくしてます。
うん?千景の精神状態は大丈夫なのかって?
それはご想像にお任せします。
さて、次回はやっと本編に入りますかね。
先に言っときますとなんで若葉の方をやった方かと言うと若葉が入ればひなたもいる。
若葉=リーダーで海斗君を考えてくれるから、後はひなたも海斗の事情を大社から聞いてるのでリーダである若葉に少しは関わって欲しいと思ったからですね。
彼は何故千景ちゃんみたいに心を閉ざしているのかは不明です。
それでも何かといい人かもよ?
それでは次回またお会いしましょう。
次回、第3話: 海は結びを解いて武器を取る