はい、どうもバルクスです!
今回は戦闘初の戦闘会ですね!
では、本編どうぞー!
勇者装束に変身した海斗は村正の霊力を止めて大剣に戻し、地面に突き立てながら隣にいる若葉と神樹が作った壁の奥を見つめていた。
「.......」
今更だが、この戦闘が勇者としての初陣。
敵が依然こないがそれでも警戒は解かない。
若葉の方を見ていると彼女もまた瞳に情熱の炎を灯していた。
果たして、その瞳は復讐かまたは、人々を守ろうと尽力を尽くすものだろうか。
海斗には分からないが、後者で合っていてほしい。
あの
「若葉ちゃーん!うみくーん!」
すると後ろから声が聞こえ若葉と同時に振り返ると、友奈と千景が草木を払いながらこちらに掛けていた。
よく見ると友奈は手甲を、千景の方は死神を思わせる大鎌を持っている。
海斗の大剣と若葉の刀同様、神器のはずだが勇者達の武器は形と性質がそれぞれ違う。
「はぁ、はぁ......急に時間が停まっちゃって、周りはでかい蔦みたいなのが出てきてぐわーっとなるし、びっくりしちゃったよ!」
「よく、俺と乃木の場所がわかったな」
「スマホの地図のおかげで、みんなの居場所が表示されてたからね。見つかって良かった......!」
海斗は質問をするが友奈は息を切らせながら、スマホの画面に表示されたマップを海斗と若葉に見せた。
勇者達の位置とバーテックスの今いる位置が、それぞれ光点で示されている。
「というか若葉ちゃんとうみくん、もう変身してる!?」
二人の姿を見て驚いた。今気付いたらしい。
そりゃ息を切らせながらきたのだから、周りを見ることも難しいだろう。
「常在戦場。刀といつも持参しているのも、すぐ戦えるようにするためだからな」
「そういう真面目さと責任感の強さ、若葉ちゃんらしいね......私も見習わないと!」
友奈が拳を握りしめ、まっすぐに感心の視線を若葉に向ける。
「高嶋さんは......今のままでいいと思う.....」
「これ以上、堅物を増やされたらこっちも面倒臭いからやめろ」
千景は独り言のような声を小さく呟き、海斗は友奈に向けて警告をした。
それを聞いた友奈は非常に残念そうにしていたが、知らん。
「それにしても......これが樹海化ね......」
千景が眉をひそめ、周囲を見回しながら呟く。
よく見れば四国土地全体が、壁と同質の植物組織に覆われている。
樹海化が起こると、四国の内部は時が停止し、生物も植物に覆われ同化してしまう。
僅かに原形を残しているのは、丸亀城や瀬戸大橋、送電鉄塔や高層ビルなどの、大型建築物ばかりだ。
樹海に呑まれて同化した生物達は、バーテックスからの攻撃で被害を受けることがなくなる。そして勇者だけが樹海化の中で本来の形を保ち、動くことができる。
海斗も大社から訓練の一環としての授業を受けて知識を植え付けられたが、話で聞くのと実際に見るものとは迫力が違った。
その光景を見つめながら険しい表情を浮かべた。
現実味がないほどの変貌。
まるでSFだ。異界に入った漫画とアニメの主人公の気持ちがよく分かる。
実際に体感してみてあまり好むものでは無いことはよく理解した。
友奈達もこの樹海化を不思議そうに周囲を見回して巨大な蔦に触れていた。
因みに樹海化は神樹による人類守護の緊急手段だそうだ。
四国を守る壁と結界は、まだ未完成と言われている。
バーテックスが一群となって四国へ侵攻した際、神樹は敢えて結界の一部を弱め、奴らを内部に通す。
バーテックスの侵攻を防ぐために結界を強化し続ければ、神樹が霊力を浪費してしまうからだ。
もし枯渇すれば、四国の人々は生活が出来なくなる。
今も四国があるのは神樹が、エネルギーや物資などを自給自足できているのは、神樹の霊力による恵みなのだから。
そのため、四国内へ通されたバーテックスの撃退は、勇者の御役目となる。
そしてバーテックスが侵入している間、神樹は人々を守るため、樹海化を行う。
だが、樹海化の防御も絶対ではない。
いくら強固だとしても、樹海の一部がバーテックスの攻撃で損傷したりすると、その傷は現実世界に自然災害や原因不明の事故としてフィードバックされる仕組みなのだ。
くわえて、樹海化も長時間続けていれば、神樹の力も消費してしまう。
そして、樹海の中で動ける勇者達はできる限り迅速にバーテックスを殲滅、撃退しなければならない。
すると友奈と千景が来た所とは違う方から声が聞こえた。
「おぉ〜いっ!みんなー!」
振り返ってみると大きな声とともに球子が走ってくる。その後ろには、球子に手を引かれた杏もいた。
「悪い、遅くなったっ!」
球子は鋭い刃がついた円形の盤――旋刃盤を、杏は連射式クロスボウの金弓箭を持っていた。
「全員、揃ったな。......これが私たちの初陣だ。我々の手でバーテックスどもを打ち倒す」
「それはいいけど......乃木さん。当然、あなたが先頭で戦うのよね......?あのバケモノたちと。リーダーなのだから......」
仲間の勇者たち五人に若葉が告げると、同時に千景が若葉を試すような言葉と視線を向けて呟いた。
場の空気が濁っていくような険悪さを帯びる。
するとそれを呆れたような口調で球子は反論した。
「誰が先頭じゃなくて全員で戦えばいいでしょ。それがチームワークってもんですよ」
「チームワーク......ね」
千景は球子が言った言葉を呟き、その目線を杏に向けた。
杏の方を見てみると、彼女は体を小刻みに震わせてた。
どうも、顔色も悪い。
これはどうみても怯えている。
「伊予島さんは......戦えるのかしら?」
「......」
千景の言葉に杏はうつむき、何も答えなかった。答える事ができなかった。
「土居さんたちがここへ来るのが遅れたのも......伊予島さんが萎縮して動けなくなっていたからでは......?そんなあなた達がチームワークなんて.....口にするものじゃ――」
千景が次を言おうとした瞬間に若葉が止めようとするが、それを先に海斗が彼女の肩を掴み止めた。
何も言わない海斗だが、その目は千景には理解出来た。
それ以上言うな――と。
「.....ごめんなさい。失言だったわ」
「い、いえ。私が戦えないのが悪いんですし.....」
目を逸らしながら杏に謝った。杏は自分の非を認めながら俯いた。
でも、それを見ていた彼女自身は面白くなさそうな表情をしながら気晴らしに海斗の方に向き彼の制服の袖を弄り始めた。
「郡さん!もうあんずを貶すのはいいだろ」
球子が杏を守るように、千景の間に立つ。
そんな球子と杏を見ながら千景は皮肉げに若葉に言葉を放つ。
「.......チームで行動する筈なのに、これじゃあ.......この先バーテックスにも勝てるのかしら。あなたにリーダーの資質が足りてないかもしれないわね、乃木さん?」
「......!」
千景の皮肉に若葉は痛い部分を突かれた。
はたして自分はリーダーに向いているのだろうか?
今も千景が杏に対して言おうとしたのを止めようと声を掛ける前に海斗が千景を静止させた。
そのあとに場をどうにかしようと考えるが、若葉にはそのような周りを和ませることなど、難しい事なのだ。
やはりリーダーの役目にふさわしいのか――若葉自身は確信が持てていない。
勇者達が覆う空気は、ますます淀みを増す。
そしてその空気を吹き飛ばすように友奈が声をあげた。
「みんな、仲良しなのはいいけど、話し合いは後にしようよ!」
「「「「仲良し???」」」
若葉、球子、千景の声が重なり、友奈の方を見る。
「うん、ケンカするほど仲が良いって言うよね?」
「「「いや、それは違う(わ)」」」
三人が同時に友奈へツッコミを入れた。
「即答で返された!」
ショックを受ける友奈だが――
「えっと、あの、友奈さん......私も違うと思います」
「どこをどう見ればそう見えるんだよ......」
「アンちゃんとうみくんまで!?」
杏と海斗の追い討ちがさらに友奈を襲った。
「うぅ.....」
総ツッコミのダメージを友奈は受けつつ項垂れるが、気を取り直して力強く言う。
「――でも。みんながケンカする原因を作ったバーテックスが、すぐそこまで来てる。怒るにしてもケンカするにしても、相手はあいつらだよ」
友奈の言葉に海斗以外の勇者達はハッとする。
ここで、仲間を責めるのも、咎めるのも、お門違い。
それらは全て、この状況を作り出したのは奴らだ。
その苛立ちと怒りは奴らにぶつければいいのだ。
すると先程争った球子と千景も気まずそうに互いに顔を見合わせる。
「ま、確かにそうだな」
「.....えぇ。高嶋さんの言う通り......ね」
「そうだな。伊予島が戦えないなら、その分私が戦えばいい。そのためのリーダー役だ」
三人も決意が固まり、一気統合する。
「よし、じゃあタマたちもそろそろ気合い入れっか!」
若葉と海斗以外の四人は携帯を取り出し、アプリをタップする。
「みんなで仲良く勇者になーる!」
友奈の声を合図とするかのように、それぞれの纏う服装が変化していく。
友奈の戦装束は、山桜を思わせる桃色――
千景の戦装束は、彼岸花を思わせる紅――
球子の戦装束は、姫百合を思わせる橙――
しかし杏だけは変化が起きず、スマホを両手で握りしめながら五人を見ていた。
「......ご、ごめんなさい......私.....」
勇者の力は精神面に大きく左右される。戦う意志と覚悟を固めなければ、勇者装束を纏うことは出来ない。
涙を浮かべる杏の肩を、球子が元気つけるように叩く。
「気にすんなってのっ!タマたちだけで全部倒してくるから」
「......うん......」
杏は悲しげに頷く。
若葉はスマホのマップで、バーテックスの数と動きを確認していた。
結界内にしてきたのは50体前後といったところだろう。
すると海斗が地面に刺していた村正を肩に持ちながら若葉達の前を通り抜け、バーテックスがいる方向へ歩いていた。
それが気になり若葉は声を掛けた。
「黒結、何をしている?」
「俺は先に行ってるぞ」
海斗は若葉にそう告げて勇者の力を使って脚に力を入れて全力で跳んだ。
そのままバーテックスの大群がいる方に高速で向かって行った。
「待て、黒結!!」
「な、カイトのやつ!一人で行きやがった!」
「うみくん!!」
「海斗.......」
「海斗さん.....」
その後ろ姿を見た勇者五人は同時に声を発した。
海斗は何故先に一人で行ったのだろうか?
若葉はその行動が分からなかった。
先程の言い合いにより痺れを切らしたのか、または本当に一人で奴らと戦うつもりなのだろう。
だが、それは若葉は我慢ならなかった。
誰かが戦うのなら自分自身が戦って奴らに報いをうけさせる。
それは海斗がやるべきことでは無い。
ならば次は何をすればいいのかは決まっている。
「......仕方ない」
若葉は息を吸って口を開いた。
「みんな、聞いてくれ。私は勇者のリーダーだ」
しかしと言って続けた。
「私はリーダーの素質があるのか分からない。だが、それに見合うように行動で示したいと思う」
そう言うと若葉は刀を持って跳躍した。
海斗の後を追っていくように若葉も海斗に続いて行った。
◇
先に若葉達から離れた海斗はバーテックスがいる方へ向かっていた。
自分でも一人で戦うのは無謀だと思う。
けど、それじゃあ自分の役目が果たせなくなる。
これはケジメなのだ。
誰も頼らない、誰も縋らない。
自分一人で背負えばいいんだ何もかもを。
それが黒結 海斗が許されたたった一つの答えなのだから。
「.......とっ」
近くまで来た海斗は跳躍をやめ、樹海で出来た樹木に足をついて着地をする。
視界で確認出来るバーテックスの数は大体50体程度。
これなら1人でも余裕にいける。
そう思い海斗は村正を軽く振ると左右から14個空いている穴からの霊力が溢れ出る。
「さぁ.....行こうかぁ!」
海斗は村正を構えて再び高く飛ぶ。その速度で近くにいたバーテックス――『星屑』を一振で数体両断した。
それを次々に移動しながら素早く片付ける。
死骸が消滅する前にそれを踏み台として使い飛距離を伸ばす。
休まずに縦、横、斜めと順に連続で振り続ける。
すると一体の星屑が猛スピードで海斗の方へ突撃してきた。
3年前の自分より今の自分の方が奴らと対等に戦える。
肉体的成長、神樹の力を使える勇者装束。
これさえ、あれば――
「これぐらいで俺がやれると思うのかぁ!」
絶対に倒れることは無い。
星屑の特攻を村正を横にして防いで受け流した。
その後ろを見逃さず村正を突き刺し、内部を14個の霊力で出来た刃で破壊する。
「爆ぜろ」
そう言うと星屑は風船のように消滅して行った。
樹木に着地した海斗は携帯を取り出す。
ここはある程度片付いた。後は、残りを片付ければ終わる。
海斗はスマホのマップを見ながら次のポイントに向かおうとする。
しかし、生き残っていた星屑が後ろから海斗に不意打ちを仕掛けてきて、それに海斗は早く反応できなかった。
「しまった――」
運悪かったらこのまま死ぬ。生き残ったとしても腕か足が負傷するだろう。
だが、そんなことを考えていると星屑の動きが止まり、その瞬間に破裂した。
何が起こったのか分からなかった海斗だが、その星屑が破裂した後ろから刀を抜刀していた若葉がいた。
「無事か、黒結」
「まぁな」
そっけない態度をとるが、感謝を伝えたいのに自分のプライドが邪魔してきた。
まぁ、別に直そうとは思わないが。
「全く、せっかく助けに来てやったのにその態度は感心しないな」
「しらねぇよ、お前が勝手に来ただけだろ」
いつまでも変わらない海斗の言葉に刀を納刀しながら若葉は苦笑した。
でも、たまには素直に言っても良いかもしれない。海斗は口を開いた。
「......さっきは助かったよ、サンキューな」
「あぁ」
二人は隣に並びながら互いに刀と大剣を構える。
「行くぞ黒結。遅れるな」
「お前が俺に遅れるんじゃねぇぞ」
二人は別々の所に駆け出し、数々のバーテックスを葬った。
その後周囲を見回した海斗は他の四人の勇者達を見つけた。
球子の方は旋刃盤で盾を形成しながら、隙をついて星屑に旋刃盤を投擲する。
それをフォローするのは先程勇者に変身出来なかった杏が勇者装束をその身に纏いバーテックスから球子に指一本触れさせなかった。
どうやら球子が危険と感じて起動したのだろう。
海斗から見て彼女は肉体的では誰よりも貧弱だろう。
だが、その頭の回転の速さは随一だ。
決して弱くない。
そして、それを支え合うのは球子だ。
杏が出来ないことは球子が、球子が出来ないことは杏がやる。
「良かったな、伊予島。頑張れよ」
海斗はふと自分の口から言葉を零す。
でも、悪い気は1ミリもしなかった。
そしてバーテックスを村正で切り伏せながら進んでいると、友奈と千景が一緒に戦っていた。
それぞれ拳と鎌で星屑を倒しながら次の標的に向かっていく。
その二人の連携は的確だった。
友奈は前衛で千景は友奈が取りこぼした星屑を処理するのだ。
本来は全部、自分一人でやりたかった。
大切な人が戦いに参加しているのだ。とても正気を保てそうにない。
だが、一人でバーテックスを相手にしたとしても果たして勝てるのか?1回勝ったとしても次は楽な勝利で終わるのか?
否――それは不可能だ。
1人に対して他の行動をしたとしても限界がある。
だからこそのチームワークなのだろう。
だけど海斗はそれをしようとはしなかった。
守れなかった自分が誰かの隣にいていいはずがない。
さっきの若葉との会話も本当はしたくはなかった。
でも、自分の心が拒絶すらもせず、受け入れてしまった。
一時の感情に流された自分が情けない。
「けど、一人は孤独だよな.....」
口が勝手に開き独り言が響く。
自分でも分かっている。けど、これはケジメなのだ。
自分が3年前のことを忘れずにする戒め。
なんのために力をつけたのか、なんのためにバーテックスを倒すのか。
そんなの分かりきってる。
そんなの――
「
目の前に向かってきた星屑を村正の先端を霊力の刃で纏わせて思いっきり振りかざす。真っ二つになった星屑は消滅した。
忘れない。
「――ふッ、はぁぁぁぁ!」
次々に増援として溢れるように出てくる星屑。
それでも海斗には関係ない。
標的自体がこちらに向かってくるのなら喜んで身体を切り刻んであげよう。
そして、10体の星屑をあらゆる方向から村正を使って斬る。
「ここも、終わりだな」
後は若葉達がいる方でバーテックスの処理は終わりそうだ。
急いでそこに向かった海斗は勇者装束で強化された視力を使いながら奥にいるバーテックス達を発見する。
しかし、その星屑は異様な動きをしていた。
それは何体かのバーテックスが1箇所に集まり『進化』を始めたのだ。
3年前のバーテックス襲撃の際も同じ個体が数々確認出来た。
このままじゃ勝てないと判断したバーテックスは複数の個体を融合させてより協力な個体を生み出す。
そうやって生まれるのが『進化体』なのだ。
今の進化体は巨大な棒状の一個体だ。
今まで以上に攻撃力が強化されて最悪の場合――死ぬ事も有り得る。
試しに杏が金弓箭で攻撃を入れる。しかし、棒状のバーテックスから赤く透明な板状の形をしたものが展開され、それが杏の放った矢にぶつかり、全て軌道を反転して返ってきた。
すぐさま球子が杏を守ったため、無事にすんだ。
どうやらあれは反射板らしい。
だったら――やる事は決まっている。
「妖刀の力......ここで見せてやるよ!」
海斗はそのまま地面に着いた瞬間にまた脚に力を入れて跳躍する。
そしてバーテックスの方に一目散に突撃した。
海斗の村正は他の
だからこそ、その呪いをバーテックスに振りかざす。
それに続いて友奈が拳一つで突っ込んで行く。
バーテックスに拳をぶつけるが、それでも効果はない。
「一回で効かないなら......十回、百回、千回だって叩き続ければいい!」
そして友奈の姿が変わり始める。
勇者の存在は神樹に繋がっている。
神樹には地上のあらゆるものが概念的記録として蓄積されている。
その記録にアクセスし、抽出し、力を自らの体に具現させる――今、友奈が無数の記録の中から選び出すは『一目連』。
暴風を具像化した精霊だ。
一目連を身体に憑依しながら友奈の勇者装束にも変化が起こる。
「千回ぃぃ.....連続勇者パ―――――チィィ!」
友奈が叫ぶと拳を連続にバーテックスに放つ。
それは建造物さえ破壊するほどの猛風が十数分も吹き続ければその威力は核兵器に匹敵するという。
竜巻の勢いを得た友奈の拳が、絶え間なく板状組織に撃ち込まれる。
その数が八百発を超えたところで板状組織に亀裂が走り、九百発で全体に広がり、千発目を突破したが、まだ足りない。
友奈の体力が尽きそうになった時、上から村正を持った海斗が降ってきた。
「うみくん!?」
「待たせたな高嶋!後は、俺にやらせろぉぉぉ!」
その瞬間に友奈は若葉達の方に下がり海斗が後を継ぐ。
「村正、
村正が淡い光を放ち、大剣についている全ての刃が大きくなる。
「――これで、ぶっ壊れろぉぉぉぉ!」
全体重を乗せた一撃は進化体の身体を両断した。
真っ二つになった進化体は消滅していった。
「(白鳥......諏訪の人達.....お前らの繋いだものはしっかりと糧にして勝ってみせるよ)」
進化体を倒し終わった海斗は樹海化が終わるまでずっと空を見続けていた。
これからもこの戦いが続く。
それが、どんな事でも、諦めなければ大抵何とかなるものだ。
「若葉ちゃん!変なものを食べちゃダメでしょう!」
バーテックスを掃討し、戦いが終わった後。
樹海化も解けてから大変だった。
なにも若葉が星屑を食べたらしく、それをひなたに言ったらひなたが怒り、若葉を正座させていた。
「だが.....ひなた....」
「だがじゃありません!」
「奴らは昔、私の友達を食らったんだ。だからその仕返しをだな......何事にも報いをというのが.......」
「お腹を壊したらどうするんですか!」
「う........むぅ......」
弁解をした若葉だが、言い返さなくなってしまう。
その様子を周りで見ている友奈、球子、杏、千景、海斗。
「鬼のように強かった若葉さんが......」
「一番怖いのは、ひなただったか......」
率直に言わせてもらおう。
「何コレ?」
それしか言えなかったのだった。
◇
その夜はとても賑やかに過ごしていた。
食堂で皆で飯を食べながら初陣で生き残ったことを祝いながら騒いでいた。
その話の中に若葉のリーダーとしての話も入ってきたが、それは穏便に収まった。
というか、周りも話し合って「やっぱ若葉がリーダーやってるのが一番いい」と決まったらしい。
皆それには賛成して頷いた。
その後に球子から若葉にこれからは下の名前で呼べと強制されたが、若葉はそれを受け入れた。
そしてそれを祝してひなたが全員で集合写真を撮ろうとスマホを出した時は驚いたが、勇者達全員はそれを拒否することなく、仲良く写真に収まった。
よく見れば全員いい笑顔で笑っていた。
「........」
寄宿舎の自室で海斗は窓ガラス越しに空を見ていた。
その空には星が何万もある。
星座というのは時期によって形と場所も変わるとか何とか言っていたが、あまり詳しくない海斗は分からなかった。
でも、その一つ一つの星が綺麗だというのは変わらない。
それぞれの星には名前もありその由来もある。
「......寝るか」
空を見るのをやめ、カーテンを閉めた。
携帯を充電しながらスマホを見る。
そこには先程撮った写真が画面に写っていた。
良い笑顔ではしゃぎながら撮られている。
この日常が一秒でも続くように願う。
だが、それを守るのが勇者だ。
何にも負けてはいけない。
これは一瞬でも敗れてはいけないのだ。
「――守り通してみせるよ......」
独り言を呟きながらスマホの画面を落として枕の近くに置いた。
このまま寝れると思いながら瞼を閉じる。
これから人類の反撃が始まる。
何事にも屈しないように海斗達勇者は足掻き続けるだろう。
「........ん?」
何か下から違和感がある。まるで人が布団の中でもぞもぞと動いている。
ゆっくり布団を捲るとそこには黒髪の少女がいた。
「......あ、海斗......起こしてしまったかしら?」
お互いに目が合ってしまい先に声を発したのは千景の方だった。
「ちーちゃん何をしているんだ?」
「.......何って、海斗と一緒に寝ているだけよ?」
頭の中に?がついているのか千景は海斗の問いに首を傾げた。
「いや、答えを求めている訳では無いんだよ。ここは男子の部屋だぞ!!」
「.......別にいいじゃない。私達は昔一緒に寝てたんだし」
「それに関しては小学生の頃だろ。今は中学生だ、お互いの成長もあるだろ!」
海斗は千景にツッコミを入れるが千景は気にする必要がないように今度は海斗の身体を抱き締めてきた。
「――!?」
「......ふふ、これで逃げられないわ」
先読みされたのか千景は離れないようにぎゅっと強く抱き締めてくる。
そのせいで千景の......育ち盛りの胸が海斗の胴体に当たる。
何とも破壊力はある、と思う。
しかし海斗はそれについては疎いが実際されるといくら疎くても反応してしまう。
「......ねぇ、海斗。今夜だけ一緒に寝ましょ?」
「......」
上目遣いをしながら海斗に視線を当ててくる。
それをされると流石に断れるわけが無い。
「はぁ......今日だけな」
「......♪」
そう言うと千景は海斗の胸にグリグリと頭を擦り付け始めた。
猫かとツッコミたくなるが、これも昔からしてきたので慣れてしまった。
一体千景が何をしたいのか分からない。
でも、彼女が幸せそうならこれも受け入れるべきと自分に言いつけた。
「......おやすみ海斗」
「お休み.....ちーちゃん」
そして、互いに一個のベットで布団を掛け合って互いの温もりを感じながら眠りについたのだった―――
その翌日に若葉が突然部屋を訪れて盛大に怒られたのはまた、別の話。
というか、勝手に無言で入ってくんなよ.......
うん。やっぱり、戦闘シーンを書くのは苦手ですわw
どうしても長くなっちゃうw
因みに身内にも『最近長く書きすぎてるから区切ったら』と言われましたねw
そこはマジで申し訳ないと思う。
これからは少し区切って投稿しようと考えます。
というか、海斗君ウブなのかな?
そしてオリ主のバーテックス無双。
星屑だったら一瞬で殺せそうだな!
進化体は一人で勝てるのかな?そこは頑張って欲しい所ではある!
とまぁ、次回は多分千景ちゃんの話になるかも?
次回。第5話: 自分の価値と存在