十数年ほど前へFEif世界に拉致られたナニカサレタ男が自分一人の問題からくる戦争に挑むまでの過程とその結末を綴るだけの物語 作:エーブリス
「ここからだな。
飛行型――――いや、今後空を飛ぶようなデーモンが何種も現れる事を見越して“蝶型”と呼ぶべきだな。それとマーシレスが操縦していると思われる、ネクストらしき機体か」
「全く、鴉頭め…コジマだか何だか知らないが、汚物をバラまく等…まだイカれているのか?」
「汚染に関しては問題ないぞ、レオン王子。
調査で近辺でのコジマとやらは確認されていない…そもそも今更滅多に人も来ないがな、無限渓谷など」
「それはそれで余計気に入りませんよ、ヒノカ王女…」
「いや本当にウチのバカ息子がとんだ不敬を…」
ブラウン管テレビに映し出される、先の空中戦。
方や対に現れた、飛行を可能とするデーモン。そしてもう片方はネクストらしき可変機。
マーシレスが搭乗していると思われる後者のそれが、金鵄武者でさえ不可能な(或いは出来たとしてもやらないだろう)曲芸飛行を成した時、スミカの脳裏にはある一つの記憶が過っていた。
自らを“財団――――その代表者或いは代弁者”と名乗ったその声は、耳に付くような笑い声と共に、真実を淡々と述べた。
まるでそれが、さもこの世の普遍的な理であるかのように。
「…つまり、アンタらが父さんを」
『まるで僕を仇敵かのように…心外だな。
彼――――“黒い鳥”の一人息子は、僕らが発見した時には瀕死の重傷だった。奇跡的に生還しても、脳が大きく損傷していたから強烈な後遺症は避けられなかった。恐らく歩く事さえままならなかったハズだろう。
それを私生活には理論上何も問題の無いレベルまで治療したのだから、寧ろ感謝するべきなんじゃないかな?お陰で君という存在があるのだから』
一頻り語った後、財団は『それとも…』と言葉を続け、そして引き攣るような笑いをあげた。
『そのデータの一角に示された、僕らの行為を「残虐だ」と罵るかい?
それもいいとも、果たして狂っているのは何者か…互いにこの残酷さを語り合おう』
「いいえ、この際それはどうでもいいわ。
私は…というか、私達はアンタが一体この世界で何をしたいのかを聞き出したいの」
『それは…学術的な探求の為、では満足しないのかい?』
「当たり前よ、アンタが学者なワケないじゃない。
どっちかって言うと思いっきり商人か政治家…その中間あたりのソレよ。最終的に利益か目的に集約する事が到達点っていう」
『ふーん。まあ確かに学術的探究の果てが僕のゴールじゃない…もっと現実的な部分だ。
しかし…今、君達には“この世界の平和のため”と言っておくとするよ』
あまりにも胡散臭い答えに、スミカは「どの口が…」という歯痒い気持ちをぐっと抑えて、沈黙を貫いた。
…そして彼女と入れ替わる様にレオンが口を開く。
「そうかい、財団とやら」
『ええそうですとも、レオン殿下』
まるで思い出して取って付けた様な敬語に彼は眉を顰めた。
「…それで、お前の本当の目的は何だ?
あれらの所業を何食わぬ表情で行うような奴が、まさか心の底から世界平和などと語るはずも無い」
『ふむ。
…では、平和の定義とは一体何なのでしょう?そしてそれが万人にとって共通…ましてや次元の壁さえ超越した先の知性とも共有し得るものなのでしょうか?』
「それじゃあ…君は何を以て、何を成し遂げて平和だとするんだい?」
今度はカムイが、財団に質問を投げかけた。
――――そこからだった、その声がおかしくなりだしたのは。
『何を、成し遂げる…――――――――アハッ!』
突如として響いた、甲高い笑いが3人の背筋を凍り付かせる…内二人は、それを何処かで聞いた覚えがあった。かなり似通ったものを…!
そして直ぐに思い出した。
今こそ追い求めているが、嘗ては嫌でも身近にいた存在だ…あの男が時折発していた笑いに、よく似ている。
「な、何コイツ…!?」
『アハッ!ギャハハハハハハハハハッ!!アハァ!
クハッ…敢えて、それを“平和”と形容するならばッ!………それは』
やはり財団は笑い続ける。
『人の可能性の…否定、或いは肯定。
――――――――いいや、最早
「――――…失礼します。
相棒からの餞別に、丁度いいモニターがありました。此方の方が画質が良いので切り替えましょう」
「助かる。
…っと、このコード?か?」
「はい、それですね…。
――ほら、大分良くなりました」
この会話で、スミカは
そして映像にまた目を向ける。
「成程、このレーザーブレード…射撃機能もあるんだ」
「容易に切り替えられるわけではないのか?普通は」
「ですね。もしそのような機構を設けるなら…間違いなく多少のサイズアップが伴います。
それにレーザーブレードを無理に射撃兼用にしても、エネルギー弾の性能はたかが知れているので普通出来てもやりたがりません…恐らく、ですが」
「おじいちゃんの言う通りね…相反する機能の両立って、大概技術者の自己満足みたいな所があるの。
基本的にはそういうの実用性のないモノに落ち着くから、結局の所は各々の機能を個別に特化させた方が良いわ」
「全くだ。
けど…コイツには両機能を高水準で両立させる何かがある…」
ジンの一言の後、画面内のネクスト機体は蝶型デーモンを振り切り、上空で人型に変じ…機体各所から角あるいはアンテナらしきパーツを露出して曇天の中に激突していく。その一瞬だけ、アンテナから青い雷が走ったのをモニターを注視する全員が見逃さなかった。
これが答え合わせである。
「成程…それであの落雷か」
彼を追って、蝶型達が曇天の中に潜った直後、それが激しく帯電する。
各地で落雷が発生する中、雨雲の中から酷く焼け焦げた物体が落下し、だがそれが大地に着地する事は無く雷撃による高熱で跡形もなく灰燼と化す。
これで一つの謎が解けた。
「それで、この後の緑色の光…ね。
何をしたのか全く分からないけど、アレのお陰で…今も無限渓谷の底に、おんなじ色の
「ええ…多分ルーナさんの言う通り。
カムイ様とレオン様とで回収した“コレ”にも似た様なのがあったし」
そう言って、スミカが3つほどの外部記憶装置を手に取った。
――――ここで会議の空気感に、疑問と違和感を抱いたカミラが「ちょっと待って」と、会話の進行に制止をかける。
「あの、私はあまり理解が無いのだけれど…コジマ粒子?というのと、この光は別物なの?水と氷のように、違う形態の同じ物質ではなくて?」
「汚染が確認されていない以上はその可能性が在り得るな…私も詳しくは知らんが。
どうだ?マークス王にリョウマ兄さん、そしてカムイ」
ヒノカの問いに「そうだな」と真っ先に応えたのはマークスだった。
「確かにネクストの運用を視野に入れた際、コジマ粒子の概要も調べた。
しかしあのような特性は無かったハズ…いや、しかしカムイ、お前は以前アレに似た機体を見たのだったな?」
「あぁ、確かにアレはマーシレスのアーマードコアだった…けれど以前とは形状が細かく変わっている。いつの間にか改修されたのかな…?」
「…カムイ様。
アレはACにマスタープルフを用いて変化を促したもの…恐らくその粒子というものにも何かしらの“進化”が起きているのかも?」
「ま、マスタープルフ…?」
その場に居た、“当事者”以外の一同がどよめいた。
「ベルカ、何故それを…」
「見ていたの。
画面越し…だけど」
「カムイ様がくる…ちょっと前の話ね。
パルヴァライザーだったかしら?父さん、アレにこてんぱんにやられてたから、起死回生の一手で使ってた。
ね、おじいちゃん」
「ん?あー…そういえばそんな事もあったな」
「え?
あの場にジンさんも居たのかい?」
「はい…入れ違いだったようですが、トウヤが動けん間は私があの機動兵器とドンパチしておりましたな。
まあ結果はこっちも散々なものでしたがね。何なんだよあのバケモン火力」
何はともあれ、この場にいる何人かはマスタープルフというやや身近な物品の底知れぬ力を想像して慄いていた。
…元よりアレは貴重品と言えども、王族でさえソレが何かは詳しく知り得ぬモノだった。
何が何だか分からぬが、兎も角アレは人を次のステップへと進ませる“魔法”がある…それだけの知識を基に、世界の祖の血筋たる王族すら不文律に巻き込んで昔から使い続けられていたのだ。
他のプルフだってそうだ…中には成長と共に、いつの間にか共にあった類のモノまである。
神秘の打倒。それを何気なく行っていた者たちが、ようやく本質と恐怖を覚え始める。
ともあれ、今はそれどころではない。
「…一旦、話を仕切り直そう。
先ず僕たちがやるべき事は…そうだな、先ずスミカとジンさんで“財団”のデータを精査してくれ。何かあったら報告を…そしてヒノカ姉さんは無限渓谷の調査隊と合流…レオンとカミラ姉さんたちは国中の防犯データを集めて、マーシレスの足跡を辿って欲しい。
僕と兄さん達で引き続き、デーモンの掃討を行う」
カムイはマークスとリョウマにアイコンタクトをとった。
「よし。
…それでは全員、とりかかれ!」
続くリョウマの号令と共に、それぞれが役割の元、散り散りに動き始めた。
「というかHDDが3つも必要な研究状況って一体何なんだ?
それ、確か容量も速度も、日本じゃあと数十年待っても出てこないような性能してたと思うんだけど」
「お陰で助かったわ。
――――…って、もう着いたのねガレージ」
数十秒にも満たぬ時間。
それがスミカとジンが歩いただけの時だった、ともあれ近い事に越したことはない。
「そりゃ会議場所がすぐ隣だったし。
…なあ、それと…聞いた話じゃトウヤの事も大分分かったって?」
「うん、父さんの事もあった…ってか容量の7~8割がそれなのよ。
でも量がダントツだからって、他の研究が特に関係無さそうってワケでも無いわ。今の状況を解析するのに有効そうなのはあった」
「まあ…そりゃそうだろうな」
「ええ。でも一番はこの“第13番”ってやつ、つまり父さんのよ。
寧ろコレが大本で、他は13番の情報を補足するためのオマケ、みたいな感じ…ちょっと読んだ程度の感想だけれど」
彼女は会話と同時並行して、実験体初の成功例であるマーシレスを用いた稼働実験記録のページを起こした。
…この記録は、言い換えればマーシレスという人間の半生をかなり客観的かつ無機質的に記したものとも言える。
「全く、プライバシーもあったもんじゃ無いな…。
んでこの量…なんかクサいな、いくらアイツが十四、五年居たからってバカみたいに研究日誌書く羽目になるんか?」
「私も同じ意見よ。
とにかく見ましょ、見れば分かるわ」
スミカは急ぐようにスクロールを下方へと進めていった。
――――そこから“バカみたいな容量”の原因を突き止めるまで5秒、本当に大した時間が掛からなかった。
問題の原因が、余りにも明確だったからだ。
「なにこれ…途中から同じような日時繰り返してない?
バグか何か…?」
「財団だろ?あの菱餅4つ並べた様なマークの…そんなトンチキしでかすか?」
確かに財団側のミスなら全く問題ない…いや問題しか無いがそれはそれでいいのだ。
しかし、財団がどのような組織及び個人であるのかを知るジンにとっては、そのミスが起こり得るとは到底考えられないのだ。唯一、自分たちへの嫌がらせという線が妙に捨てきれないが、流石にこんな無駄な工作をするとはやはり考えられない。狂っているようだが、結局の所合理的な男なのである。
スミカが小刻みに震え出した、何かに気が付いて――――いいや、今まで気が付かないようにしていた事に気付き始めたのだ。それはまるで、塞いでいた五感が、ジワジワと開くように。
それは彼女の特技だった…所謂“知り過ぎる罠”を避けつつ、学びを得られるという天性の才能だった。
しかしそのある種の魔法は、今回ばかりは効かなかった。足を止めてしまったから…ふと浮かんだ、狂気の沙汰を、思わず直視してしまったから。
――――我が父は、真実と正義そして美の化身…或いは、悪魔との契約者である。果たして今もまだ“人”かどうか。
でも、今はその“総て”に恐れてはいけないのだ。
「スミカちゃん…」
「いいの、大丈夫…大丈夫。
一人にしちゃいけない、独りにしちゃ……」
彼女は、その長い長い…あまりにも長すぎる旅の軌跡を辿り始めた。
「――――ッ、だ、誰…だ?」
「お目覚めか。
どうやら長年の務めを果たしたような所に悪いんだが、少し仕事を頼みたい」
「…」
「ほう、以外と狼狽えないのだな。
年の功か?或いはあのイカれ竜からの知識か…そも年も祟って抵抗する気力すら出なくなったか?俺には無い感覚だが」
「黙って要件を言え…」
「…いいのか?
自分で言うのも何だが、こんな怪しさで頭の先から爪の先まで詰まった男の話を、詳細も問わずに聞くのは――――」
「聞くだけだ…受け入れるかどうかは己で決める。
それも出来ぬほど…老い耄れてもおらん」
「…。
――――簡単に言えば、また世界滅亡の危機だ。それを阻止するための、足掛かりになって欲しい。ご老人、残された時間は少ないだろうが…やってくれるか?」
「…」
「…」
「…貴様が幾年生きたか知らぬが、人の齢すら超えておろう者に老人呼ばわりとはな。
いいだろう、老兵の命など使い潰すがいい」
「有難い…その速い決断も」
「生憎、目を付けられて利用される事にはどうにも経験がある。
何よりカムイ様の事もある。騎士として、まだやるべき事があるのなら、おちおち棺桶に収まってもいられん」
「全くだ、棺桶は狭すぎて意識して居られん。
――――立てるか?っと、自分で立ちやがった。それと、一応剣だ…だが相手は一度斬ってどうにかなる敵でも無い」
「その程度なら安いものだ。
して、具体的に何をするのだ?」
「それは――――――――――
プルフの設定ってあったっけ?まあ有っても此方は今回の設定で行けるけど。
なんかクソみてぇな中の人ネタがやりたくて
メルツェル
「テルミドールが、料理?
フッ、何を馬鹿な…出来る訳がないだろう、先ず焦がすに決まっている。そして最後にはタルタルソースで味を誤魔化すだろうさ」
ってのを思いついたけどやめた。
というか諏訪部順一の声で料理下手ってのがまあ想像できないなぁ…IFの諏訪部(つまりジョーカー)も例の如く秀才型の大体完璧キャラだし。
ナニカサレタ男のマーシレス周りの人間関係表とか、そういう過去の振り返り的なの欲しい
-
ほしい
-
いらん
-
ガンイージ(無効票)