十数年ほど前へFEif世界に拉致られたナニカサレタ男が自分一人の問題からくる戦争に挑むまでの過程とその結末を綴るだけの物語   作:エーブリス

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本作では初代後半において希薄化したFE要素をどうにか拾っていく所存であります。
そんなこんなでナニカサレタ男最最最初期の試みだった視点変更方式を交えていくであります。


手数の多さ

 



 

「…っ」

 

「カムイ、今時そんなものを使うつもりか?」

 

「あ、あぁ…ありがとう、サイラス」

 

火打石で松明に火をつけようとしたカムイに、サイラスは懐中電灯を渡す。

…この世界の元あった姿を思えば余りにも歪んだ光景であると言わざるを得ない。

 

なるようにしかならなかった…世界を救うために。それを皮肉と哀れむか、或いは良き革新として前向きに捉えられるかは主観によって差異が生まれるだろう。

 

 

何であれ、今は夜道のリスクを極端に減らすことが出来たので変化をポジティブに捉えて良いのだろう。

 

「本当にすごいな、異界の技術は。

こんな小さな道具で…」

 

「全くだ。

けど、喜んでばかりも居られない。異界の武器が流れ始めて、賊の強化に繋がってしまっている」

 

「その話は聞いているよ。

銃、正確には一般歩兵の進行に用いられる突撃銃という分類だけれど、その安価なものが流れ始めているって」

 

ここでカムイが語っているのは、先の戦争が原因で流出したAK-47の事である。

元々設計の簡素性に優れたその銃は、其れ故の頑丈さで多くの賊がその火力と共に気に入り、手にしているという事態が頻発している。

 

最早中世ファンタジー然とした世界ではなく、我々の世界のソマリア等の紛争地機の話のような耳ざわりだ。こんなある意味では国家転覆にも繋がりかねない事態が今、それでも下火気味であるのには“例の事件”が関係していた。

 

 

「…正直、こんな事を言うべきではないかもしれないが…あの()()()が無ければ暗夜も白夜も、そして透魔も終わっていたのかもしれない」

 

「…」

 

『大虐殺』、サイラスがそう表したのは今から約3年前の出来事。

白夜王国に暗夜王国…そして透魔王国やその他の諸公国等かなりの広範囲で起きた1か月の大量殺人事件である。

 

余りにも驚異的な事件内容とは裏腹に、未だ実体の見えぬ実行犯への畏怖・恐怖そして憎悪等が限りなく少ないのは…ひとえに被害者が全員極悪人であった事に由来する。

 

 

各地で名を連ねていた賊のグループや指名手配中の殺人鬼、果てには死後多くの非合法商売等(主に麻薬類や奴隷)が発覚した貴族や領主等々。市井が“社会の悪”とするあらゆる者が、後に【審判の季節】と呼ばれる1ヶ月間の間に見るも無惨な死体となり果てた。

 

ついでにこの時、3大国による対ノスフェラトゥ対策部隊へ“匿名の誰か”から大量の寄付金が送られている。

 

「アレから3年も経つというのに、まだ犯人の目星は立っていない。

所謂迷宮入りだね」

 

「ああ…。

あの一連の事件の難解にしているのは――――確か薬莢って言うんだったな、それがどの現場でも同じものが見つかった事だ。それも通常の銃で使われるような物じゃなくて、異界の技術者も口をそろえて珍しいと言う特殊なもの」

 

「単独犯…いや、それだとあの広範囲をどうやって…」

 

「…結局、俺達がどれほど考えても分からないか。

一先ず当初の目的を果たそう、カムイ」

 

「あぁ」

 

二人は闇夜の中、今や賊の一人やノスフェラトゥの一体すら見当たらない廃墟へと進んでいった。

 

 

そこは嘗て、カ・ルーテと呼ばれる新進気鋭の公国が樹立していた土地。

約2年ほど前の「圧制からの解放」を理由としたクーデターにより政権が崩壊し、今は「危険な毒物の流出」を理由に国民全員が国土を追われ、立ち入りも制限されたそこは「陸の孤島」ならぬ「陸の無人島」とも呼ばれている。

 

元々実体すら諸外国には知らされていなかった謎多き公国は、根を断ち切られた草木のように急速に枯れ果てた。まるで元から計画されていたかの様に。

 

 

――――二人の背後を、1つの影が過ぎ去った。

 



 

 

マーシレスとは、二人目。所謂「牙獣の使者」である。

 

 

 



 

話は聞いていたが…。

なんて、ほぼ同じタイミングで二回も似た言葉を使うとは誰が予想できるだろうか。

 

「(サポセンの無人化ぐらい告知しとけよ財団共、お陰で手間取ったじゃねえか!)クソ…。っと」

 

コッチの世界の義体調整施設の仕様変更に対する愚痴をそこそこに、俺はとっとと身を隠した。こちらの“話は聞いていたが”の方が重要だ。

 

 

「(確かに3国首脳会談があるとは前々から聞いちゃいたが…)カムイ…」

 

今や土地を移した透魔王国の国王たる彼が、親友のサイラスとお抱え間者のスズカゼだけを連れてこんなクソ僻地の廃墟まで足を運ぶ理由が見当たらなかった。まさかこんな夜中にピクニックという訳でもあるまい。

 

確かにここはカ・ルーテの跡地だが…お前になんの価値がある?今話題沸騰中の“異界の技術”は全部土の下だ、見つかる訳でも無い。それにお前達にこの国のクーデター(出来レース)にどんな意味がある?

 

…いや、意味や価値などという話では無いのだろう。

彼に、カムイにとっては“導く者”として、ただ過ぎ去りし痛みを知る事。しいて言うならばそれこそ意味であり価値なのだ…きっと。

 

 

だが此方の事情を考えて欲しい、とは筋が通らずとも言いたくもなる。

こんな所で姿を見られては全てがご破算だ…もう彼らの世話になる訳にはいかない。

 

ともかく俺は隠れ場所を探す…訳では無く、一先ずタコ迷彩*1を使ってその場に溶け込み、じっと息を潜めた。

 

経験上、やたら動くと光学迷彩があっても余裕でバレる。

逆に下手な迷彩でも動かなければ何とかなった場合がかなり多い。

 

 

…何やら二人が喋っていたので、俺はそっと聞き耳を立てた。

 

「…意外と綺麗に残っているね。

廃墟と聞いたから、もう少し崩れているものとばかり」

 

「そりゃあ、まだ2年目だからな。

でも…たしかに妙に人の手が入っているようにも見えるな、だが――――」

 

どうも懐かしい声と雰囲気に気が緩みそうになる。

しかし、こいつらがハイテク的な話をしているのはどうも違和感が拭えない…昔、マークスとリョウマに対して、思想を同じくする共通点のない二者によるスタンドアローンコンプレックスの概要を話したことあるがその時も二人が「ネットワーク」とか「インターネット」とか口走る度に脳がバグりそうになった。

 

これが自分の持つバイアスというか、単なる偏見というか…。

 

 

ところで此処でふと思う…身体の調整の際、ふと拾えた情報についてだ。

一応報告書の類なのだが、何故か2つだけ日本語で書いてあった…俺が見るために翻訳したにしても一つだけというのが腑に落ちない。最初から日本語話者が書いたと考えるのが先決だろう。怪しい文章とか無かったし。

 

しかし綴られている内容が怪しくないかと言われれば全くもってそんな事は無い。

片や生命のデチューニングがどうとか語られた妙な論文、片や読み進める度にデータが狂っていく某ホラーサイト染みた何かのログ。財団がタワーから引っ張り出したもの…と言うには扱われている情報がどうも可笑し過ぎる…ような気がする。

 

何であれ、今や財団はあの世界だけで活動している訳では無い。俺の足元にある巨大データセンターが良い例だ…きっと手を伸ばした世界の先々で変なものでも仕入れたのだろう。

 

 

 

「――――…所で、カンナはどうしているんだ?」

 

「ああ、一緒に来ているよ。

今はフェリシアと一緒にいるさ…そういえばゾフィーは?」

 

「今もあちこちを回っててさ…最近きた手紙によると白夜の最北端にいるとか」

 

 

「…?(ゾフィー?………ああ、サイラスの娘か)」

 

ヤツの子とは関わらな過ぎて、一瞬何故光の国の警備隊隊長が?と思ってしまった。

…にしても、スミカは上手くやれているだろうか?今は彼女、国際的な研究機関に身を置いているが。

 

自分が学校生活に馴染めず、クラスで浮いた経験がある故に娘の人間関係がどうも心配になって仕方がない。俺より会話は出来るし、言葉には一々気を付けて浅慮な発言も少ないのできっと大丈夫なのだろうが。

 

 

一度顔を見に行くべきか、そう考える度に“やる事”が頭を過る。

 

 

気が付けば二人は既に何処かへ消え、スズカゼもまた彼らを追って姿を消していた。

 

「全く…アイツら知ったら先ず追っかけるだろうな」

 

そんな愚痴だか何だかみたいな事を呟きつつ、俺は偽装されたセキュリティドアに体内コンピューターを仲介して認証コードを送信。スライドドアのように開いたレンガ造りの壁から内部に入り、螺旋階段を下った。

 

 

義体の調整はほぼオマケ。

本当の目的はこれだ…カ・ルーテで財団が秘密裏に生産していた小型無人兵器の数々。こいつ等を使えば、俺一人でもそこそこの物量戦には対応できるだろう。

 

「まあ、ザコばっかりか…」

 

所詮貧弱な武装と弱いAIしか積んでいないろくでもないポンコツだが、無いよりマシの考えで取り敢えず起用する。

 

ちなみに輸送手段だが一応考えてはある。遠回りにはなるが獣道を歩かせれば目標地点までどうにか目立たずに集められる算段だ。例え見られたとして所詮1人か2人程度。全部寝ぼけた誰かの戯言として人々は処理するだろう。

 

 

きっと、奴が力を付けるまでには十分間に合うはずだ。

 



 

 

 

 

 

「悔やみ続ける者」とは、マーシレスである。

貴方はそれを暴けるはずだ。

 

 

 

 

 

*1
MGS4のオクトカム




初代見返すとカ・ルーテは王国だったわ…まあいっか、公国って事にしとこ。どうせ昔の自分の事だしいくらでも書き換えは出来るか。



あ、いつものアレもあるから見返してね。

ナニカサレタ男のマーシレス周りの人間関係表とか、そういう過去の振り返り的なの欲しい

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