十数年ほど前へFEif世界に拉致られたナニカサレタ男が自分一人の問題からくる戦争に挑むまでの過程とその結末を綴るだけの物語 作:エーブリス
通い慣れた路、と言うのは恐ろしいものだ。
気が付けば既にそれを辿っている。
さっき、気を抜いたら我が家に帰りそうになっていた…まだその時じゃないのに。どうにもウチで唯一マトモな料理として作られるコテージパイが懐かしくなってきたようだ。匂いもしたので、きっとベルカがまた作っていたのだろう。うっかり俺の分まで作っていないだろうか?
“やる事”についてはもう殆ど終わった。現在の時点でも既に諸般の問題に目を瞑れば勝機はある…本当に、その問題さえなければ、だが。
現在地はいつもの暗夜王国、まあいつもいつも白夜王国に用が無いのは…単純に荒事に関する俺自身のリソースが白夜に無い事が一番かつ唯一の理由だが。なので個人的に一番の天敵である忍衆を相手する事もない…それだけは良かった。まあ悪い事も大して思いつかないが。
…話を戻すと、今は暗夜貧民街のセーフハウスで引き籠っている。貧民街とは言っても最近は戦争も終わった為にか、治安も大分良くなっており路上で寝ても財布をスられる確率が以前の半分程落ちた。どうやって試したか?ブービートラップ入りの財布を表に出して、そのまま狸寝入りしてアンケートを実施しただけだ。奴らも生活に困っているのだろうが…まあ気の毒だが3人ほど吹っ飛ばさせてもらったよ。
……また話を戻すのだが、俺が貧民街にいる理由は、此処を通過して最短距離を通ってデーモンフォールにまで直行するためだ。俺の走力ならば途中で黒竜砦を経由せずとも一晩のうちに着くだろうが…それでは余計に疲れるので、ここのはずれ付近の小屋に隠した“足”を調達する。
そういえば、財団のデータベースにアクセスした時…確かデーモンフォールから溢れる石油をどうこうって計画があったらしいのを見かけた。まあ音沙汰が無くなっているあたり、最終的にはとん挫したのだろう。俺はあの世界での化石燃料の価値は知らないが、正直ジェネレータとかいう(正直由来不明の)エネルギー源が出回っている手前、化石燃料がそこまでして手に入れたい資源だとは思えない(ジェネレータが化石燃料で動いていたら別だが…)。
………本当に話が脱線してばかりだ。どうも諸般の問題が結構自分の中でキていたみたいで、お陰で親指の爪が大分短くなっている。
そろそろ諸般の問題にも言及するとして、どうにも自分をイライラさせてる問題は大小二つある。まず小さい方だが、自分がこれから通過する地点が、あのゼロが指揮している情報戦部隊のホームグラウンドらしい。
この事実は、試験的運用が始まっている3大国のデータベースのうち暗夜のモノに不正アクセスし、そこからかき集めた情報から間接的に分かったモノだ。
正直この世界で、ネットワーク上での情報戦は絶対に負けないと自負しちゃいるが…リアルの情報戦となると、現状組織力のあるゼロの方に軍配が上がるかもしれん。
もし少しでもここで奴らの情報網に引っかかれば直ぐに元締めのゼロが俺の帰還を察するだろう。そうなれば3大国王族、特にカムイの耳に入るのはもう火を見るより明らかだ。バレて俺に不幸が降りかかる…なんてことは無い。しかし何度も言う様に俺一人の問題だ、奴らを巻き込む訳にはいかん。
「…まだ終わらねえか」
そこでこの、外付け熱光学迷彩装置…横文字で言うとクローキングデバイスだ。要は透明になって屋根上でも走ろうって話である。もっとミーハー…というか俗な言い方をするとプレデターか攻殻機動隊のマネをするって訳。正直色々と面倒くさいのでやりたくなかったが。
しかしこのデバイス、充電をすっかり忘れていたようで現在セーフハウスのジェネレータを叩き起こして充電中である。更に言うとコレ、稼働時間より充電時間の方が長い…数字的には稼働が30分、充電が1時間15分である。クソが。
果たして貧民街を30分で駆け抜けられるのだろうか…今になって不安になってきた。
さて、次に大きな方の問題だが…“奴”の動きが想像以上に速かったことか。
発端は数日前、暗夜の近郊周辺あたりの山道に奴の尖兵が一匹急に現れた事で、緊急的に暗夜地上街の一角で休息状態にあった無武装のスカヴェンジャーを向かわせた…が、なんと尖兵はスカヴェンジャーを難なく撃破。自立モードで向かわせてしまった事もそうだが、先ず尖兵が小型とは言えスカヴェンジャーの装甲をぶち抜いてくるとは思わなんだ。
事後の調査で尖兵は捕食によりスカヴェンジャーを取り込んでいた事が判明…スカヴェンジャーを軽くノックアウトできるだけでも脅威だと言うのに、あろう事に機械まで食ってその能力をものに出来るとなっては厄介極まりない。
それ以降に出現した尖兵はちゃんと遠隔操作で、ちゃんと武装したスカヴェンジャー系列機を複数派遣して対処に当たったが…もし“アレ”の性質を引き継いでいるのなら、その内奴も対策してくるだろう。その時、どんな力を付けた尖兵を送って来るのか…全く分かったものじゃない。
これでは当分、進撃の予定を遅らせてでも防衛に徹する他ないのだろうか…時間があまり残されていないかもしれないというのに。
「!、ようやくか」
たった今、熱光学迷彩の充電が完了し、俺は立ち上がってそれを腰部に装着。
今一度、ネットワークに接続して地図を呼び出し目的地までのルートを再確認。それを終えた後に俺は窓を開け、遂に熱光学迷彩を起動した。部屋の中で2歩、3歩と後ろに下がり、助走をつけ待つ事6秒間…筋肉のバネを解放して窓から飛び出し、その勢いで対面の古ぼけた民家の屋根に上る。
タイムアタック開始だ。
瓦礫を踏み抜いたり、足を踏み外したり等、俺の存在がバレるような真似をしないように細心の注意を払いながら、最高速度で貧民街の屋根から屋根を飛び越え、その身を風と化して行く。
…途中、ゼロの配下と思しき偵察員を屋根上にて発見、どうやらあの情報は本当だったようだ。
予定変更だ。屋根を滑り、そのまま空きっぱなしの窓から廃家に侵入、家屋内を突っ切って反対側の窓から跳躍…そのまま前面の民家をウォールダッシュし通過。その後の跳躍で再び屋根上に復帰した。
そして疾走中、辺りをレーダー越しに確認すると再び偵察員を発見した。しかも多い。
「っ…!」
「おい、今何か…」
「確認しよう」「ああ」
今時何を警戒しているんだか。
仕方がないので、事前に集めておいた投げナイフを使い遠方に投擲。その着弾音で振りむいた偵察員の視界外を突き進み、今度は屋根上から降りてウォールダッシュに次ぐウォールダッシュで屋根上と地上の間を征く。
何時ぞやの時…まだマーシレスとしての活動が短かった時期、忍衆との戦闘で身に付けた脚力による森林立体機動戦術を思い出す。まさか市外戦でもこれほど役に立つとは思いもしなかった。
「…?」
「どうかしたのか新人」
「いえ…少し立ち眩みをしたらしくて」
「ちゃんと飯食ってるか?
適度に体調管理をしないと持たんぞ」
「すみません…」
ふと会話が聞こえたが、どうやら熱光学迷彩の効能はあったようだ…何せ嘗ての透魔兵といった前例がある為に、透明な存在にはある程度の対策が練られている可能性も捨てきれなかった。
俺はこの無味無臭のデジタルという利点をここまでも、そしてここからもフル活用し、奴らの目をすり抜けるように屋根を…壁を。そして地を空を走った。
何時もの様に、昔の様に。
今の俺は例え意思が無くてもいい、たった一つの飛来物…矢のように静かでなくとも、暗器のように利便でなくともよい。ただ破壊の力だけを乗せて飛ぶ600ニトロエキスプレス弾…今の俺はそれでいい。
本当に可笑しなものだ…これが自分の証明を追求し続けた男の言葉だとは。
目的地まで後僅か…!思っていたより15分も速かった!
そのまま腰部グラップルテンタクルズを両側面の壁目掛けて射出、着弾後の巻き取りの勢いで自分をパチンコの弾のように射出。のこりの距離をこの滑空で決着をつける事にした。
宙を舞う間、数多の偵察員の影が見えた。
その中に混じって、地上で何かを待つように佇む人影が見えた…あのシルエット、あの顔、あのしいたけみたいな眼帯。間違いない、ゼロだ。何故ここにいる?まさかもう俺を嗅ぎ付けたというのか?いや、流石に情報の伝達が速すぎる…きっと偶然だろう。
危なかった。
そう口にしそうになりながらも、着地する頃には貧民街を脱出。そのまま残りを地に足つけて走り、目的地まで向かった。
で、結局“足”とは何なのか?ここで多分、今までのモダンっぷりにバイクとでも答えられそうだが事実は全く違う。というかせっかく隠密で行動しているのに、この世界で全くもって普及していないバイクなんざ乗った日には、今までの隠蔽工作の全てがご破算となり得る。それに道路整備がされていない分、車輪を回して走る自動車は
…小屋の扉を開き、その奥にいる存在に声をかけた。
「おーい、おーい!
トレントー?いるかー?」
俺の呼び声に応え、物陰から一つ…いや、一頭の馬が出てくる。
“トレント”と名付けられたその軍馬は何故の理由があってか、財団がカットアウトを通して購入していたらしい。競馬界に進出する気でもあるまいし…。
ついでに俺の身体を使って得た生体改造技術で他のサラブレッドの倍近い耐久性と運動能力を与えられた。元が身体の強い生物だった故に人ベースの強化体以上のスペックらしく、俺でも多分タイマンしたら勝てない。
…コイツをサイラスやゾフィーに見せたら一体どんな反応をするだろうか。個体の強さに驚くか?生命への冒涜に哀しみ、怒るのか?まあいい、そんな事。
幸いなのは、ある種の洗脳か…或いは単なる調教によるものか、そもそもサラブレッドの割に大人しい個体であったのか?俺に対して十分懐いている様子を見せている事だ。
動物に懐かれた経験のない俺にとっては少々新鮮に感じられた。
何であれコイツは見た目普通の馬なのでバイクなんかと違って悪目立ちする事もないだろう…何なら俺を知るような奴らは俺が乗馬するイメージも無い訳で、更なるカモフラージュ効果が期待できるだろう…手前の黒外套で、すっぽりと姿を隠せば。
「ほら、食べ食べ。
これから暑いトコ行くから…バテないようにな」
トレント用の皿に、ドライレーズン入りニンニク味噌(よく食えるな…)を盛り付けると、彼女は待ってましたと言わんばかりにソレへと食いついた。
「おいおい、よく噛めよ。
ホントよく食うなぁ」
喰っているモノもそうだが、量も中々だ。
鯨飲馬食…なんていう言葉が出来る程には馬は大食いだと聞くが、流石にこの量は生命的に危険な域ではないのか?マニュアル通りの分量とは言えどうも不安になる。俺より基礎能力が高い分、燃費が悪いのか?
何にせよ、追尾の危険性や全体的な時間の有限性という観点からトレントの食事が終わり次第、さっさと此処を出なければならない。例え俺の精神が、休息を求めていたのだとしても。
放たれた弾丸は、何かにぶつかるか強大な運動エネルギーを消費し切るまで、真っ直ぐに…ほとんどの場合で軌道を変える事無く空を飛び続ける。
やがて力尽き、時にはその身を大きく拉げ、そして野ざらしとなる。誰にも見向きされなくなる、それまでに…弾丸は、何かを破壊しなければならないのだ。
だから俺は…1発の弾丸でいい。
現在、未確認生命体の[削除済み]襲撃から[削除済み]時間が経過。
襲撃地点が[解読不能]においてかなり辺境にある地方都市である事と、直前の[解読不能]という2つの要因によって[解読不能]の派遣が現状大幅に遅れている模様。
またこの未確認生命体は世界各地で発生しており、中には首都を襲撃されている国もあるとの事で海外への応援要請は断念。
死者は現状[削除済み]に及ぶと予測される。生存者は町の有力者及び治安維持機関によって都市部を脱出。住宅街の住人と共に郊外の施設へと避難。避難先では衣食住全ての物資が不足しており一刻も早く支援物資が到達される事が望まれている。
[解読不能]は[解読不能]を使い空中投下で避難所に物資を届ける作戦を決行したが、飛行型の未確認生命体により輸送機が攻撃される。[削除済み]分後、[解読不能]は避難が完了していない住宅街へと墜落した。これによる死傷者数は[削除済み]。
「ハァ。
ほんっと。本当に………」
「ねえねえ、ため息なんかついてどう――――って、うわっ!スミカ?」
「うわっ、って何よ失礼な。
…久しぶり、ソレイユ」
ここは暗夜王国の城下町地上部。
嘗ては国の貧しさ故にか殆ど人気のなかったこの場所は現在、異界技術の解析及びに実用試験を目的とした“学園都市”としての発展を見せている。
そこで研究員として活動するスミカは――――或いは彼女もまた、憂鬱を感じていた。
とある事件以降、
今では彼女が限界を感じた事で捜索活動を断念、やり切れない思いだけが残る形となった。
「久しぶり。
技術研究の方はどうしたの?」
「今は休み。書類作成も一通り終わったし。
…ソッチこそ、何でこんな所に?ここの女なんてナンパしても引っかけられないでしょうに」
「うん、そうみたい…だから今の所成果ナシ」
「そう。
なら私でどう?今丁度、何もかも忘れるぐらい滅茶苦茶になりたかった所なの」
「うん、遠慮しとく。
スミカを誘ったら…逆に食べられちゃうよ」
「えー…食べさせてあげてるのに」
因みにスミカはどっちでもイケる口である…少なくとも、自分の願望を十分に満たし得る相手ならば。
それはともかく、ナンパの受諾に扮した逆ナンに失敗した彼女は「残念」と言わんばかりに肩を竦め、また憂鬱そうな表情に戻った。
「…本当にどうしたの?
研究とか勉強が大変、って訳じゃなさそうだけれど」
「ええ、そうね…どっちかって言うと、きわめて個人的な事情?」
「それは…やっぱり、マーシレスさんのこと?」
ソレイユの問いに、スミカはただ黙した。
ずっと…景色の果てを見つめたまま。
「3年前の事件…やっぱりマーシレスさんなのかな?」
「きっと、ね。
単独犯である限りはその可能性は高いわ…能力も、そして動機もあるし」
「動機?」
再びソレイユが投げかけた問いに、しかし今度はただ黙するだけでなくスミカは何かを迷う様子を見せた。
「話す方がいいか…それとも…」
「あまり話しづらいようだったら話さなくて大丈夫だよ?」
「…やっぱ話しておく。
じゃないと私…そろそろ破裂してダメになると思う」
スミカはその重い口をどうにか開くようにして、3年前に人知れず起きた事件について語った。
それは、かの【審判の季節】と呼ばれる大量殺人の前日譚。
ある時マーシレスらが住む家に、数十人ほどの武装集団が押し入った。
当時その家にいたのはベルカと、たまたま訪れていたスミカの二人。どちらも戦士として優秀ではあったが、圧倒的な物量の前にあえなく制圧される。二人は拘束され、人質として家の一角に囚われた。
実行犯の詳細こそ最後まで分からなかったが、目的は“鴉頭”への挑戦及びに復讐…つまり連中は何処で聞き及んだのか、あの都市伝説の正体について知っていたのだ。
――――結果的に、武装集団はかなりあっけなく掃討された。
事件発生から1時間後…熱光学迷彩を用いたマーシレスの不意打ちによって家屋内の敵は20秒以内に制圧。リーダー格の男は人質を特に有効活用することなく無力化され、地に伏した。
その間、外で警備に当たっていた他の傭兵は謎の機銃掃射*1によりほとんど壊滅、リーダー格含めた少ない生き残りも巨大な手*2によって残らずすり潰された。
客観的に見ればただただ軍勢がお約束のように返り討ちに遭ったようにしか見ない事件。しかし、スミカの目はしっかりと見ていた…己が父の目が、顔が、深い絶望と虚無に染まり切っていたあの瞬間を。
「その日から…週に1回くらいは母さんの元には行くようにしてる。
気にしてないって感じに見せてたけど、多分…すごい気にしてるから。一昨日もパイを三人分焼いていたし」
一頻りの話を終えた時、二人の間には暫く沈黙が場を支配した。
「それは…その、大変………だった、ね」
先のスミカの様に、ソレイユも場の空気で重くなった口を漸く開き、詰まらせていた言葉をどうにか発した。
対して「えぇ…」と答えるスミカの表情は、やはり暗かった。
ソレイユは得意の笑顔すら見せれなかった…こんな話をされれば、笑顔など酷なものだと誰にだって判断できる。
「それっきり…家に、父さんが帰らなくなったのは。
思えば、前々から様子はおかしかったけれど」
「そうだよね。
カムイさんの所にいた時から…凄くやつれてたし」
マーシレスの疲労は、誰の目に見ても明らかだったようだ。
「多分だけれど…あの事件はきっかけだったのよ。
前々から何かと戦っていた、それは何かは分からないけど」
当時の話を聞いたスミカは事件以前の事を思い出しながら、更に遠い景色を見つめた。
「何かと戦っていた…ね。
何だろう――――こんな時に言うべきじゃないんだけれど、いつか聞いた話を思い出しちゃうな」
「どんな話?」
今度はソレイユが語り出した。
――――ある時、二人の子供がいた。
二人は…いつの日も同じ公園で遊ぶ程には仲が良かった。
しかしある日…片方が事故で死んでしまった。二人が遊び終えて、公園からそれぞれの帰り道を辿っていた時の事だった。
残されたその子供は悲しみに明け暮れ、友の葬式が終わった後にいつもの公園へと向かった。
すると…不思議な事が起きた。時間が戻ったのだ…友を最後に見た、あの時の時間に。
やがて子供は何が起きたのかを理解すると、直ぐに目の前に居る彼の死を遠ざけるための行動を開始した。
しかし、運命は変わらなかった…全く違う場所、全く違う事故で友は再び死んでしまったのだ。
そして…時間はまたあの日の別れ際に戻った。
その子供は、何度も何度も…あらゆる手を尽くして友が死んでしまう運命を変えようと行動を起こしたのだ。
しかしどんな手を使っても、いや、手を尽くそうと過去に戻る度…友の死因は惨いモノになってゆく。
子供は深く絶望した、そして強く憔悴した。何をすればいい…何が原因なんだ、と。
「それで、最後はどうなっちゃったの?」
「結局…その子供は運命を受け入れちゃったんだって。
友達の死に方が惨くなっていくのと、それに友達の家族まで巻き込まれていく事に…耐えられなくなって。だから…」
せめて、より静かで優しい最期を。
そうして友は…最初と同じ事故で死んだ。
「…そうよね。
大切な人が、何度も死ぬだなんて…想像するだけでも恐ろしいのに」
「うん…でも、その時聞いて思ったんだ。
もしかすると…どうにか出来たんじゃなかったのかなって」
「それって…」
「もしも、友達が更に酷い死に方をして…世界まで滅んじゃうような事になっても…運命を変えようと進み続けたその先に、望み続けた希望があるんじゃないかな…って」
奇しくも、ソレイユの言葉は嘗て彼女の父が成そうとしていた事柄であった。
絶望の未来からの脱却…それを実際に成し遂げたのは、しかしただ望んだからではなかった。
「…でも、それは狂気の沙汰よ。
誰か同じ志の仲間がいるのなら兎も角、一人きりじゃ…どんな未来を求めても届かないわ」
スミカはただ、残酷にそう締めくくった。
「――――ありがとう、ソレイユ。
話してたら少し気が楽になったわ…あんた、やっぱりそういう所凄いわよね」
「え、えへ…そ、そう褒められるとちょっとだけ、恥ずかしいなぁ」
「何恥ずかしがってるのよ。
人前で全裸になっても平気なくせに」
「全く話が違うよそれは!
…というよりも、そろそろ戻らないとダメじゃない?」
ソレイユの指摘に、スミカは「あっ」と、研究施設のある方角を振り返った。
「そうだ、今日は前の未確認生物の解剖あったわ。
…まあ急ぎの用って訳でも無いし、いいか」
そう言って彼女は足元の荷物をまとめた。
「それじゃあね、また会いましょ…次もナンパしてもいいから」
「やめとく!
それじゃあ!」
二人はそれぞれの道を歩み、分かれた。
さて、もしもその狂気の沙汰を見事成し遂げた時…達成者は人のままで居られるのだろうか?
それは悪魔との契約者か…或いは真実と正義、そして美の化身なのだろうか。
スミカの話でソレイユ出したの、最初はナンパネタ目的だったのに…。
ナニカサレタ男のマーシレス周りの人間関係表とか、そういう過去の振り返り的なの欲しい
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ほしい
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いらん
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ガンイージ(無効票)