十数年ほど前へFEif世界に拉致られたナニカサレタ男が自分一人の問題からくる戦争に挑むまでの過程とその結末を綴るだけの物語   作:エーブリス

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正直、活動初期の自分のコメント返答とか見るとタイムスリップしてでも自分の顔面にマルス133をぶち込みたくなる今日この頃。

それと、そろそろこの小説もチラ裏くらいに格上げしてみようかしら。


キャッチインザアッシュヒル

 


灰の丘を、ただ突き進む男がいた。マーシレスはソレが誰なのか分からない…見た事もないやや壮年気味の、しかし何処か若作りしているような男というだけだった。この、何もない土地で…まるで目的でもあるかのように振る舞う様、それもまた奇妙に思えた。

 

あの男には迷いというモノが無いのだろうか?ならばマーシレスは是非ともあの男の話を聞きたいとも考えた…この足が、動くのであればだが。


 

 

 

 

 

 

 

 

切断とはまた違う、四肢が崩れ落ちる感覚。

それが現実でないのだとしても…脆くなった手足が荷重に負け、ボロリとへし折れる感覚を俺は良く知り、そして忘れる事は無いだろう。

 

…というよりも、元より地を歩む脚など既に無い。

今や猛禽のような義足で駆け跳び回るだけの欠陥品だ…高度なカスタマイズ性と対応能力を手に入れた、等と言えば聞こえが良いだろうが、やはり普段使いでは不便のみが目立つ。

ソレが俺の中で、やがて全てを失い、滑り落ちていくヴィジョンという己の無力さの象徴となるのだろう。

 

しかし、今でもその光景の詳細は掴み損ねていく。

概念や現象という強大な敵に対する、己の存在の卑小さへの絶望か…或いは戦いに疲れて来た俺の、もう進みたくないという泣き言なのか。

 

後者であった場合、幾つかの工具を使って武器の調整をしている今であってもそう言えるのか?

もしかしたら今やっている全てが自分の弱さと結び付けられるのかもしれない…8ゲージマグナムに火薬とワッズそしてバックショットまたはバードショットを詰める行為だって、もしかすると「火力の増強」という合理的理由以外に感情的なそれがあるのだろう。

 

…本当の所、いつまでも下向きでいる自分にもいい加減嫌気が差してくる。

だからと言って上を向く事は出来ない。出来るものか、何もかもを重く引きずった俺の身体で。

 

 

これ以上自分の事を考えたくなくなってきた。

気を紛らわそうと止まっていた作業を再開させた、その時――――電話の着信音が響いた。

 

しょうがないので作業をしながら応答する事にした。

 

「はい、もしもし。

…メイソンさん?うん、ああ…え?家賃?ちゃんと振り込んだって口座に。え?変えた?口座を…いや、聞いてない。ちょっと待って、今見る」

 

作業を止めて、今度はノートパソコンを開いた。

 

「…いや、全く通知来てないけど。

うん、うん…とりあえず口座番号だけ教えて?はい、はい…うん、登録した。ついでに振り込み直すから――――え?そっちで今月分移してくれるの?ありがとうメイソンさん。今度何か奢る、それじゃ」

 

家主との業務連絡も終え、最後のショットシェルを仕上げて扉の向こうへと渡った。

 

 

――――ここはデーモンフォール。油…おそらく石油の混ざった河が引火し、さながら各地の宗教的伝承で語られるような地獄の様相となった場所で、その灼熱の温度はどんな生き物も原則近寄らせない。

 

俺がいるのは、正確にはそこに隠された財団の用途不明の拠点だ。何となく設備の特徴から精油施設だった事は検討がつくものの、稼働していた形跡はなく、かといって廃棄された様子もない。なんだか宙ぶらりんになっているような感じだ。

 

 

それはともかく、俺の目的はこの拠点にあるハズのものを回収する事にあった。

今まで頭数を稼ぐためにAI兵器をひたすら集めていたが…今回は全く訳が違う、此処にあるとされているモノは正真正銘の主力兵器――――いいや、寧ろ最終兵器とも言える代物だ。

 

炎の台座を除けば…いや、アレはそれすらも超越する潜在能力を秘めているだろう。

やる気は無いが、単独による世界征服ですら夢ではないシロモノだ。

 

 

しかし…。

 

「何処だよ…クソ…」

 

見当たらない、格納庫のどこを見てもそれらしい姿が見えない。

地下施設とだけあって中々暗いが、暗視デバイスを積んでいる俺の身体には関係のない話…いくらアレが黒色だと言っても、こんなに見つからない訳がないのだ。

 

 

何せ、アレは今単体でも20m程はあるハズである。

そんなデカブツ、視界に入れるなといっても何かの拍子で入ってしまうような物なのだが…。

 

仕方ないので、近場のコンピュータからこの基地の運用情報にアクセスする事にした…この世界では実は珍しい事でも無いが、どうやらスタンドアロンのコンピュータらしい。

 

財団の施設なら態々ハッキングをかけなくとも俺のライセンスで大概の情報は閲覧出来るハズだ…こう見えて俺は所持している権限は大きい。

 

「ええと…搬入記録、と。

うわ、流石に多いな…ワード検索、ワード検索…」

 

数多の記録から、絞り込みを行って欲しい情報以外を排除した。すると欲しかったものは簡単に手に入った…それが望んだものであるかは別として。

 

 

「何…?搬出された?

一週間前に…」

 

ソレのデーモンフォール基地における最後の記録は、どうやら1週間ほど前に此処から偽装船を用いて“現・透魔王国”まで持って行かれたという事だった。

…なんて面倒な。何故透魔に送る必要があった?そもそも透魔のどこに財団施設があると言うんだ!

 

「クソッ…………は?

王都、地下…?」

 

…ばかげている。

 

何て所に作りやがったんだ、なんて所に!

確かに出来ない事は無いだろう…なんたってあの街はできたてホヤホヤの新都だ、奴らなら上手いこと施工に関わる事など訳ないハズ。しかし、だからって…何故王都地下なんかに!

 

 

奴らの目的が何であれ、俺が面倒くさい事には変わりない。

先ほど、この拠点に入ってきた時のドアを見た――――完全に閉じてしまっている。確かあそこに入って数分しか経っていない。もう少し待つ必要があるだろう…これならば徒歩ならいざ知らず、トレントがいる今なら其方を使って移動した方が速い。

 

俺は先程拠点内の中央保管庫で見つけた歩兵用のプラズマライフルを持ち出して、再びトレントの元へと急いだ。

ここでの収穫はコレ含む幾つかの歩兵用熱エネルギー兵器だ、運動エネルギーによる武装しか無かった俺には有難い。

 

 

「さあ、いくぞトレント。

また…地獄渡りだ」

 

手綱を引き、トレントを走らせ…俺はデーモンフォール地上に飛び出た!

 

 

 

 

 

 

 

 


姿を消した彼を、追いかける私達が掴もうとしているのは彼の尻尾(TAIL)か、それとも物語(TALE)か。


 

 

 

 

 

 

 

 

どんどんどん、どんどんどん…と、やかましいノック音が響く。

まだ声はしないが彼女は来訪者が誰であるのか大体予想が付いていた…何せ、自分と親しい仲の人間に、ああいうタイプの者は主に一人しかいない。

 

「ベルカー!いるんでしょー!

出てきなさいよー」

 

来訪者の声が轟く頃には彼女――――ベルカは身だしなみを整えて、ドアノブに手を掛けていた。

 

 

「…ルーナ。

久しぶりね…どうしたの?」

 

「どうって、あんたの様子見に来ただけよ!

あんたが…その、ええと…」

 

「…ふふっ。

ありがとう。変わらないわね…ルーナは」

 

「お互い様…って言いたいけれど、あんたは大分変ったわね」

 

ベルカは手を招き、立ち話もなんだからと来訪者――――ルーナを家の中に招き入れた。

 

「丁度良かった…今、お腹空いてる?」

 

「お腹?まあ、そろそろお昼時だし、そうね。

――――この匂い、パイ焼いたの?」

 

「ええ…ジャガイモとひき肉の。

でも、多く作り過ぎてしまって…」

 

台所からベルカが持ってきたパイは、確かに一人で食べるには少し多い量だ。

 

「…本当に多いわね。

誰か来る予定だったの?」

 

「いいえ、ただ…もしかすると、と思って」

 

彼女の言う“もしかすると”が、自分自身の事では無い事をルーナは既に察していた。

何せ、彼女がベルカの元を訪れた理由がそこにあるから。

 

 

…一先ず、二人とも切り分けられたコテージパイを口に運んだ。

 

「…中々ね。

本当にあんたが作ったの?」

 

「他に誰も居ないわ。

―――これは、皆で作り方を勉強したの」

 

「皆?って、その…スミカと――――」

 

「それとマーシィと、一緒に」

 

ルーナは先程から言い淀んでいた“その名前”が簡単に出てしまった事に、自分の気遣いが無駄に終わって損したと…ほんの少しばかりだけ感じた。

そしてベルカはその気遣いを察してか、笑顔で「気にしなくていいわ」と言った。

 

「大丈夫、って。

んな訳ないじゃない!どう見たって明らかに元気が無いわよ…!」

 

「暗く見えるのは昔から…」

 

「そういう話じゃないっての!」

 

勢い余って、ルーナが立ち上がる。

直ぐに彼女はハッとなって、また椅子に座ったのだが。

 

 

「もうあたし達、友達として長いわ…感情の差異なんて、お互い少し見れば分かるでしょ…!」

 

「…ええ。

そうね、人と関わっていると…どんなに小さくても、そういうのはよく見えてくる」

 

ベルカは空になった皿にフォークを置いた。

 

「覚えている?

昔――――互いに、一人じゃ何もできないって罵り合った事」

 

「え、ええ…覚えているわ。

すぐに二人して謝ったわね」

 

「…それから、マーシィと出会って。思って…そして実感する様になった事があるの。

人は、人間は…実は皆弱いって」

 

「…」

 

「どんなに力が強くても、何かしら弱点があって、限界がある。

だから…きっと弱い。だから一緒になって、だから…守ろうって、気持ちになる。それが普通だって」

 

話をしながら、ベルカは自分の指輪を見た。

蒼い宝石の目を持つ銀猫の指輪だ…。

 

「だから…――――一人でも、その人の痛みを知っていなきゃいけない。

最近、そう思えるようになってきた」

 

「――――あんたにとって、その“痛みを知る”ってのは、ここに居続ける事なの?」

 

「ええ。

だって、マーシィは…私以上に、一人になってしまうから」

 

彼女は、本当は知っていたのだ…彼が、孤独だけを強さにしなければならぬ運命にあった事を。

 

 

「そっ、か…。

でも、それはあんたも一緒だから。何かあったら私とか、カミラ様に言いなさいよ!絶対」

 

「ルーナ…ありがとう、本当に」

 

二人は、止まった時間を動かすように食事を再開した。

何せ…パイは多めに焼いてしまっていたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっぱり前回書き過ぎたな。
そしてプロットがちゃんとできれば、次回は物語的に大きく動く…ハズ。

ナニカサレタ男のマーシレス周りの人間関係表とか、そういう過去の振り返り的なの欲しい

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