【完結】マヤさんは諦めた(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
対シャムシエル戦は問題の発生なく進んでいた。
警務部に監視強化を要請したり、施設部にダクトとかの警報器を拡充してもらったり。
『降ってきた初号機の近く』なんて、死ぬ確率の方が高いんだから阻止しないわけないじゃない……
斉射を命令されたものの、見えなくなるほどの煙が出る前に射撃を中断して距離をとったシンジ君。
えらい!
苦労してシミュレーターのアプデに励んだかいがあったわ。
ただ、先程から射撃を繰り返してるけど、効果が薄そうなのよね……
順調、というより
前に先輩へ「ライフル、
人類を守る前に余計な事が多すぎよね……
ネルフの仕事が全人類で最も重要なのは事実なんだから、それに合わせて世の中のお金なんて増やしてくれたらいいのに……無理よね。
わかってます。
企業じゃないものね。
せっかく技術開発部なんてあっても一般に出せない機密ばかりだものね。
軍隊ってつらいわ……
何にせよ決定打に欠ける以上、ナイフで行くしかないわよね……危ない事はさせたくないんだけど……
「葛城一尉、効果が見られない以上は近接戦闘しかないかと。周辺の兵装ビルで後ろに注意を反らし接近してもらうのはどうでしょう」
「……それしかないか……シンジ君! これから囮としてビルから攻撃を行います。敵が背を向けたら一気に接近、ナイフで決めて! ライフルは放棄! いいわね?」
〈は、はい!〉
葛城さんが開始の号令をかけると同時、使徒の背後から兵装ビルが火を噴き始める。
辛うじてフィールドが中和されているからか、攻撃も接近もしてこない初号機よりビルからの砲撃を煙たがったらしく背後のビルを光の
けど振り返るのが早い!
鞭の攻撃範囲が広いからビルが鎮圧されるのはアッという間だった。
振り返り様に振るわれる鞭を、初号機は辛うじて姿勢を低くして回避、懐に入るもケーブルを切断されてしまった。
表示が内部電源に切り替わる。
しかし
初号機はコアにナイフを突き立てた。
苦し紛れか使徒は鞭で刺突するも狙いが定まらず、
だけどフィードバックダメージは容赦がない……
〈うっ! づぅ! く、クソぉぉぉぉっ!!〉
それでもナイフを押し込む手を止めないシンジ君に、私は胸を締め付けられながら祈る他なかった。
やがて鞭とコアから輝きが失われ、戦闘は終了。
……冷静に仕事をしていられた『史実』の私は、やはり関係性が薄かったからなのだろう。
現金な事だと自嘲してしまったが、それだけ思ってあげられてるという事でもあるわけで……
支えになってあげるくらいしか、あの子たちにしてやれる事なんて私にはないのだから。
……今日は徹夜だろうし、シンジ君は念の為で一日入院だろうか。
ならいっそレイちゃんには、帰らずに本部で一泊してもらった方が食事の心配なくていいかな。
一緒に食事は……タイミング難しいか。
……本当なら一刻も早くシンジ君の元に駆けつけたいけど、あのくらいの被害なら「担当者に任せて仕事しなさい」だろうし……はぁ……軽症を祈るしかないか……運が悪ければ後遺症だってあり得るのに……
せめてもの気持ちで通信越しに小声で告げた。
「……シンジ君、お疲れ様!」
順調に進む状況に反し、自らの欲求故に空回りするミサトに対し、リツコは頭を痛める。
無自覚に反感を買い、マヤに言葉のナイフで刺されたミサト。
ミサト、マヤ、そして自分。
事情を抱える者ばかりのネルフに、リツコは煙と共に溜め息を吐く。
次回 第拾四話「酒、逃げ出した後」
さぁ! この次もサービス、サービスぅ♪