【完結】マヤさんは諦めた(ハーメルン移植版)   作:ブドウ冷やしんす

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決戦、第壱中学校

 

─sideシンジ─

 

 

……憂鬱だ。

 

 

今日、学校にアスカが来るらしい。

 

 

そして今日、帰ってもアスカがいるらしい。

 

 

……苦手なんだよなぁ。

 

 

マヤ姉さんは『口調は少し強いけどリーダーシップはあるし、ちょっと素直になれないだけで本当はすごくいい子なの。仲良くしてあげてね?』なんて言ってたけど、

 

 

口調が少し強いっていうか、プライドが強いっていうか、勝ち気っていうか、すぐマウントとってくるっていうか……

 

 

今のところ『本当はすごくいい子なの』の部分が見えてこないんだよ……

 

 

いやいや姉さんは『ああ』言ってるし、きっとまだ『見えてきてないだけ』なんだ。

 

 

仲良くできるように、気長に頑張ろう……

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

……と、思ってたんだけど……

 

 

最初は『猫を被って』たのかお嬢様キャラで出てきたアスカだけど、我慢の限界がきたのか早々に……他のクラスの男子生徒を蹴り飛ばして……女王様キャラにクラスチェンジした。

 

 

アスカが怖いんだ、助けてよ姉さん……

 

 

「……どうしたの?碇君」

 

 

顔に出て……るよね、そりゃ。

心配してくれた綾波が(たず)ねてきた。

小声で返す。もしかしたら何かアドバイスを……無理かな。

 

 

「……姉さんから、アスカと仲良くしてねって言われてるけど……どう話しかけていいのか、わからないんだ」

 

 

「……ごめんなさい。こんな時どうすればいいか、わからないの」

 

 

「……笑えばいいと思うよ」

てか笑うしかないんじゃないかな……

 

 

綾波は少し困った風に微笑み返してくれた。

 

 

……最初は言葉のキャッチボールが続かなくて、どう会話していいか悩んだけど、最近はまぁまぁ話せるようになってきたし、何気に気遣(きづか)ってくれて、綾波とは結構いい感じだ。

 

 

……けど、アスカは、なぁ……

 

 

いや、まだ姉さんから預かってる『これ』がある。

 

 

……昼休みに、決着を付けよう。

 

 

そう僕は決意を新たにした。

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

そして、ついに決戦の時。

 

 

や、やぁ、アスカ……

 

 

「何よサード。なんか用?これから購買行くんだから手短にね」

 

 

「……マヤ、さんから『これ』預かってて、よかったら食べてよ、お弁当

 

 

 ……マヤから? ふ、ふぅん、そう。まぁ折角だし? もらってもいいけど……」

 

 

よし!なら次だ!

 

 

「あ、じゃあさ、綾波とかトウジとかも一緒だけど、よかったら一緒にお昼どう、かな……」

 

 

「……まぁ、別にいいけど」

 

 

……頑張った自分を褒めてやりたくなった。

 

 

「よかった!じゃあ行こう?」

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

屋上に着くなりアスカとトウジの睨み合いが発生したものの、なんとか食事は始まった。……トウジも絡まないでよ。

 

 

「……で、アンタたちのもマヤの?」

 

 

と、僕に何故か面白くなさそうに聞いてくるアスカ。

 

 

「いや今日は違うよ。マヤさんの出勤が早い日とかは僕が作ってるんだ」

 

 

そう!

 

 

なんで嬉しそうなのさ……

 

 

「……碇君」

 

 

「何? 綾波」

 

 

 

 

「何故、いつもみたいにマヤ姉さんと呼「あああああああ」いの?」

 

 

 

 

綾波の言葉で僕に視線が集中した。

 

 

 

 

「……シンジ」「イヤーンな感じぃ!」

 

 

「いや! あの」

 

 

サード

 

 

殺気!?

 

 

どういう事になってるのか説明してもらいましょうか。キリキリ吐かないと芦ノ湖に沈めるわ

 

 

「なんでオマエがキレとるねん」

 

 

『ハイライトの消えた凄味のある笑顔ってこういうのなんだな』と他人事のように思いながら僕はアスカに胸倉を掴まれた。

 

 

なななな何か言わなきゃ……というかそもそも

 

 

「綾波、なんでそんな事聞いたのさ……」

 

 

「だって碇君は以前、マヤお姉ちゃんは『姉』と呼んであげると喜ぶって教えてくれたわ」

 

 

 

 

そうだ、あの時、

 

 

 

『 家 で は 』 っ て 言 っ て な い 。

 

 

 

そこは察してよ綾波ぃ!!

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

─sideアスカ─

 

 

マヤを変態ヒゲグラサンから守るため、

あと、なんとなくムカついたからサードに尋問しようとしていたアタシの耳に重要な情報が飛び込んできた。

 

 

「マヤお姉ちゃんは『姉』と呼んであげると喜ぶって教」

 

 

思考が一瞬ニュートラル状態になったアタシは、サードを放り捨ててファーストをガッチリ捕まえて聞いた。

 

 

「……マヤが喜ぶのね?」

 

 

「……えぇ」

 

 

「マジな話ね?」

 

 

「(コックリ)」

 

 

っし!!

 

 

って何でガッツポーズしてんのよ違うわこれは色々と世話になってるマヤに喜んでもらえる手段が見つかったからってだけの事で姉呼びしたいとかそういう他意はないのよ断じて。

 

 

「……そういう事なら仕方ないわね!サード、許可してやるわ」

 

 

「……あ、ありがと、う? ……いやいや何でアスカに許可もらうのさ」

 

 

「そりゃ……」

 

 

アタシはサードを爪先から頭の天辺まで眺めた。

 

 

ふふん!

 

 

「……『弟』の面倒は見なきゃよねぇ?

 

 

「? …………! 何で僕が『弟』なのさ! 後から来たのはアスカじゃないか!」

 

 

「そういう年功序列みたいな事いってるから日本はダメなのよ!」

 

 

「そういう話じゃないだろ!」

 

 

「素質が重要だっていうの! アンタみたいなナヨっちいやつが『兄』なわけないでしょ!」

 

 

こいつ! 『弟』のクセに口答えやめなさいよ!

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

─sideトウジ─

 

 

「のぅ、綾波。どないなっとるんや、アレ」

 

 

「……彼女も一緒に住む事になったの。私も」

 

 

「「なにぃ!?」」

 

 

「シンジのやつぅ、両手に花どころか花に囲まれてるじゃないか!!」

 

 

なんてケンスケは()ぅとるけど、いや、どうなんやろな……

 

 

……姉妹に囲まれ肩身狭くなっとるシンジが見えるんはワシだけやろか……

 

 

あとなぁ……どっちが弟や妹や、てギャアギャア言ぅとるけど、ワシから見たら完全に『ほぼ同時に生まれた末っ子二人の言い争い』やし、綾波は『それを微笑ましく見守る一つ上の姉』やぞ?

 

 

……いつまでやっとんねん末っ子ら。昼終わるで?

 





アスカのデビュー戦で弐号機に同乗した事から検査を受けたマヤだったが、その検査結果から、思わぬ疑惑をリツコに抱かれる。
脳裏を過る自問自答。
自分はヒトか、シトなのか。

次回 第弐拾話「姉の威厳は諦めた」

さぁ! この次もサービス、サービスぅ♪
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