【完結】マヤさんは諦めた(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
「この前やった検査の結果だけど」
「はい」
「あなた使徒とかじゃないわよね」
「……え?」
ニコリともしない真顔で先輩は言った。
光の反射で眼鏡の奥の感情は見えない。
えええええええええええええええええ
いやいや先輩確かに頭打って変な夢見るようにはなりましたけど私は人間で……あれ? 夢よね? 一回パシャって人間じゃなくなってからやり直してるわけじゃないわよね? 今まで考えた事なかったけどどっちなのかしら私……
で、でも! コギトエルゴスムっていうくらいだから私は人間だと思ってるから人間よね!
というか私が何かオカシイってバレたの!?
ヤバいヤバい何か弁明を
「せせせ先輩! 何言ってるんですか私は」
プフッという音を立てた先輩は口元を押さえた。
「じ、冗談よ、マヤ、く、ふふ、そんな必死な反応するくらい私の演技力は上等だったかしら」
肩を揺らしながら笑いをこらえて言う。
ビ ッ ク リ し た …
何かがバレたのかと思うじゃないですか……心臓に悪いんで勘弁して下さいよ先輩……
「でもまぁ、そのくらいワケがわからないという事よマヤ。アスカと同乗したにも拘らずシンクロ率はユーロでのテスト時から下がるどころか僅かながら微増。その後の検査でも高止まったままというのは……本当に心当たりないのよね?」
「ありませんよぅ……何にも……」
せいぜい不安のあまり神頼みしたくらいだろうか。
まぁそんな事でどうにかなったりはしないだろうし、無関係よね。
「まぁ仕方ないわね。その他についても異常なし。他に試してみたい事ができたら、また頼むわ。折角の貴重な『実戦経験ある』エンジニアだものね」
……どうか、お手柔らかにお願いします。
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「……と、敵の攻撃が苛烈だった場合、仕切り直しに撤退する際にはN2の使用も最初から視野に入れておいた方がいいと思うんです」
先輩との話が終わり今日の仕事を片付けた私は、今後の布石を打つために葛城さんと話をしに来ました。
「……なるほどね……」
「まぁ地形が変わるほどの威力なので『煙幕代わり』に、というのも言い出し難いところではありますけど」
「マヤちゃん」
「は、はい……何でしょうか」
「……作戦部に来る気はない?」
「………………ぇえ!? な、何でですか!」
「いやぁ色々いいアイデア持ってきてくれるじゃない? だからいっそウチに」
「いえいえ私あくまでエンジニアですから! それにヤシマ作戦の時の犠牲者で責任の重さは思い知りましたよ! 無理、無理です! あと先輩も黙ってませんよ」と思いたい……
「……何なら兼任で」
「 死 ん で し ま い ま す 」
あわてて逃げ出すように葛城さんのところを後にした私は、帰って引っ越し業者を待つのであった。
あ、危なかった……
幸せな家族生活のためにも死ぬわけにはいかない!
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荷物の受け入れを終えた私は、みんなが帰ってくるのをソワソワしながら待っていた。
清掃についても、あらかじめ専門の業者に依頼して済ませておいた。ネルフ職員の収入をなめてはいけない。
荷ほどきもあるし今日の夕食は簡単な内容だけど、手料理にはしたかったから仕上げを残して準備万端。
ついに、この時が……
玄関から外を伺う私は不審に見られそうな気もしたが、どうしても気になってしまう。
「……何してるの?マヤ姉さん」
落ち着かなくて 反 対 側 見てたわ。
「おおおかえりなさいシンジ君!」
角部屋じゃないとよくある事よねって誰に言い訳してるのかしら恥ずかしい……
「……ただいま、マヤ姉さん」
あぁ、ちょっと呆れ顔……ソワソワしてたのバレたのね、きっと……うぅ。
「……ただいま、マヤお姉ちゃん」
「レイちゃんも、おかえりなさい」
被害妄想なんだろうけどレイちゃんが暖かい微笑みを浮かべている気がして精神的に『くる』……
あら、アスカちゃんは? ……と、見ると少し離れたところに。
動きがぎこちない。顔も少し赤い気がする……緊張してるのかしら。
私の方から歩み寄って「おかえり」を言ってあげよう。
「アスカちゃん、おかえりなさい」
「……た、ただいま、『マヤ姉』」
こ れ が イ ン パ ク ト ね (違う)
鼻からLCLが!?
以前交わした約束を果たすため、トウジの妹、サクラを訪ねるマヤ。
その真っ直ぐな思いに心打たれるマヤに、新たな使徒の到来が知らされる。
第弐拾壱話「勘違いは諦めた」
さぁ! 次回もサービス、サービスぅ♪