【完結】マヤさんは諦めた(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
「拘束とはどういう事ですか!?何が理由で」
「君が知る必要はない。下がりたまえ葛城三佐」
「……彼女は対使徒戦に不可欠な人物です。必ず勝率の低下を招くであろう事を具申致します。……失礼します」
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「……って事があったんだけど、何か知らない? マヤちゃん」
「……あの、そういう話ここでして大丈夫なんですか? 普通の居酒屋みたいですけど」
そう私は今、葛城さんに連れられて居酒屋にいた。
てっきりまた何かの自棄酒にでも付き合わされるのかと思ったら……
「大丈夫よ。どうせ誰も聞いてないし、聞こえないわ」
「なら、いいですけど。……知ってますよ。先輩に私の頼みを聞いてもらった結果です」
「……どういう事?」
「詳細は、その……先輩個人の事情とかもあるので言えませんが、後々問題になってくるダミープラグに関わる設備を破壊してもらったんです。先輩は『ここにいたのは自分だけという事にしなさい』と……」
「……ハァ……それで、大丈夫なんでしょうね」
「葛城さんの言う通り、先輩は現時点では不可欠な人材ですから……それに、もうすぐ解放せざるを得ない状況になります」
「と、いうと?」
「近々アメリカのエヴァ四号機が事故を起こすはずです。その結果、アメリカが参号機を我々に押し付けてくるはずなんです」
「事故? どのくらいの」
「アメリカ支部が丸々消滅します」
「……マジ?」
「ですので、その起動実験とか色々」
「確かに、それは出さざるを得ないわね」
「そこまで知ってなきゃ私がこんなに落ち着いてませんよ」
「それは薄々そう思ったわ。……で、ダミープラグって?」
と、まぁそんな感じに、私は折りを見ては葛城さんと情報共有を進めていた。
加持さんについても『危ない事をしそうだから、計画は阻止するつもりだし情報は教えていいから止めるように』と、注意をしておいた。
先輩には窮屈な思いをさせてしまうけど、しばらくは何も起こらないだろう。
あれ以来は至って平和、なのは、いいんだけど……
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「……ただいまぁ。遅くなってゴ」
「おかえりマヤ姉!!」
猛ダッシュでアスカちゃんが近
ゴフゥ!!
……ほとんどタックルに近いから勘弁してアスカちゃん……
生還して以来ずっと、アスカちゃんはこの様子なのだ。
よほど心配させてしまったらしく、何かと気をかけてくれるし、ベッタリなのよね……
私が検査入院した時点で面会許可が出たらしく、すぐ駆けつけてくれたんだけど……病室のドアを開けてしばらく固まってたのは何だったのかしら?
私が「心配させてゴメンね、ただいま」って声をかけたらハッとしたように『再起動』したけど、「ぅあああああ」って火が付いたように泣きながら走って来られてビクゥってなっちゃったわ……
ドイツ語うろ覚えだし、切れ切れだったから多分だけど『よかった生きてた』とか『帰ってきた』みたいなニュアンスだったと思う。私に抱きついたままワンワン泣いて、そのまま寝ちゃったのよね。
次の日は学校だから、朝は葛城さんに送ってもらう事に。
「スンスン……もしかしてまたミサトに付き合わされてたの? 酒臭いわ」
「あはは、まぁそんなとこ。とりあえずシャワーかな」
「ミサトのモンスター肝臓と違うんだから、マヤ姉の健康が心配よ。今度会ったら抗議してやるわ!」
「大丈夫、自覚してるからそんなに飲まないわよ。でも心配してくれてありがと?」
ここまでの間、くっついたままである……
私が移動する動きを見せてようやく離れるアスカちゃん。
それでも手だけは離さない。
……大丈夫かしら……私の無茶が原因で何かトラウマできてないわよね……いやかわいいけど、かわいいけどね……
むしろ、これでも落ち着いてきた方よね。
最初なんて「頭痛とか目眩とかない? 大丈夫?」とか「ゴルァシンジ! マヤ姉大変だったんだからキリキリ働きなさい!」とか、色々大変だったし。
……まぁ、たぶん大丈夫よね。
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sideアスカ
……ほんとバカ姉は一人で無茶しすぎなんだから。
アタシがしっかり 監 視 してないと。
……もう二度と『失くしたく』なんかないもの。
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それからしばらくして、アメリカで事故は起きた。
人類補完計画を阻止するために数千人の命を、知っていて見殺しにした。
私が。
参号機の移送が決まり、先輩は解放された。
これで、対処を間違えなければ参号機が手に入る。あのシステムの改良もできる。
……私が、がんばらないと。
参号機の悲劇を避けるべく、最終点検と偽り使徒殲滅に向かうマヤ。
しかし、そんな彼女を襲う『恐るべきもの』
松代に、マヤの悲鳴が響く。
次回 第参拾弐話「自分で対処は諦めた」
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