【完結】マヤさんは諦めた(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
なんとか検査をクリアして解放された私ではあったけど、新たな危機を迎えていた。
帰ったらアスカちゃんが ご 機 嫌 斜 め である。
原因は言うまでもなく、参号機の件……いや
と説得してみたものの、また私が無茶をやらかしたように思われてしまっていて、全然
結果、アスカちゃんは 私 の ベ ッ ド に潜り込んだままこっちを
……
とはいっても、私も言葉通りの意味には受け取ってはいない。
きっと、どこかでまだ寂しいんだよね。
お母さんの悲惨な最後を目の当たりにした彼女のトラウマは根深いだろうし……
だから、ここは私が折れるべきだろう。
それで少しでもアスカちゃんの心を癒せるなら。
せっかくだし、色んな話をする事にした。
今までの事。これからの事。
「……だから私、思ったの。アスカちゃんの頑張り、お母さんもきっと見ててくれてるんじゃないかって」
「……何よそれ。科学者のクセに非科学的な事言うのね?」
「確かに、世の中のほとんどは科学的な事で片付くけど、それだけじゃないと思うの」
「例えば?」
「うーん、どうしても外せない勝負での『奇跡』とか?
もちろん奇跡を呼び寄せる努力も必要だし、
確かに確率論、結果論かも知れないけど……
全ての努力が報われるとは限らないし、
確率なんて人間が調整できる話じゃないでしょ?
という事は『考えても仕方ない部分』なんだし、あとは気持ちの問題だと思うの」
「気持ちの問題、ねぇ?」
「日本の古い迷信に付喪神っていう話があるんだけど」
「ツクモ?」
「大切にしてた物には、魂が宿るって話。
弐号機はアスカちゃんのお母さんが一生懸命作って、アスカちゃんが誇りを持って乗るエヴァでしょ?
そんな弐号機を通して、お母さんが見ててくれるかも、なんてね」
「……オカルトは、信じてないわ。
けど、嫌いじゃないファンタジーね……」
そう言って、少し、照れくさそうな微笑みを浮かべた。
┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄
sideシンジ
今夜はアスカが「マヤ姉を監視する!」とか何とか言って、マヤ姉さんの部屋に突撃して行った。
……いつも僕の事「イジケてる」みたいに言うクセに、自分だって本当は寂しいんじゃないか。
……と、とはいえ姉さんに甘えたいなんて言うわけいかないし!
なんて思いながら、モヤモヤを振り切るように寝返りを打った。
目の前には綾波の赤い瞳が
んんんんんんんんんんんんんんんんん!?
……危うくS-DATを握り潰すところだった。
叫び声を上げなかった自分を誉めたい。
よくがんばった。感動した。
「あ、あや、な、な、なんで」
てかいつの間に……全然気づかなかった……
「……碇君が寒そうだったから」
??? さ、寒い?
え、むしろ暑いっていうか心臓バクバクっていうか、いや確かに『この状況をマヤ姉さんに見られたら』と思うと寒気はしてくるけど
「……マヤお姉ちゃんが言ってたの。寂しくなると、心が寒くなるって」
……ぁ
「……誰かに、そばにいてほしくなるって、言ってたの」
「……」
なんて、言ったらいいんだろう……
「……あなたは孤独じゃないわ。私がいるもの」
「……ありがとう……綾波」
そう言ったら、何故か悲しげな表情……え、なんで?
「……何故、私だけ名前で呼んでくれないの?」
あぁ……そっか……
「それも、そうだよね……ゴメン、あと、僕の事もシンジって呼んでよ。……ありがとう、レイ」
この時の笑顔、きっと一生忘れられないや……
ついに現れた『最強の拒絶』
いくつもの張り巡らした策は、次々と容易く破られてゆく。
最後に残された切り札は、マヤたちに勝利をもたらすのか。
次回 第参拾四話「正攻法は諦めよう」