【完結】マヤさんは諦めた(ハーメルン移植版)   作:ブドウ冷やしんす

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「問題は、安易にわかりやすい解決と結末をよそに求める君の根性の無さだ。
それが世にイマジネーターのはこびる最大の理由だ。
終わりなど人間一人一人が勝手に決めてしまえばいいのだ。
そうでなければ、いつまで経っても何も始めることができない。」
───霧間 誠一



それでも、明日はやってくる

 

「……こうして、家族はいつまでも幸せに暮らしました。めでたしめでたし。……おやすみ」

 

 

 

 

「………………ウチのお姫様は夢の中か?」

 

 

「えぇ、グッスリよん♪」

 

 

「それにしても……フッ」

 

 

「なによ急に笑って、気持ち悪いわね」

 

 

「いやなに、お前と二人、夫婦になって単なるスイカ農家をやってるってのが、なんか、な……」

 

 

「現実感がない?」

 

 

「まぁ、な……ネルフ解散、国際技術監視財団ヴィレの創設、エヴァの解体、ユイ博士やキョウコ博士のサルベージ。

 

あと、元司令が生きてたのは驚いた。

 

……色々あったはずなんだが、いまだにシックリこなくてね」

 

 

「現実なんてそんなもんよ。悪い夢より、ずっとマシだわ」

 

 

「ま、それもそうだな。悪い夢か……ゼーレってのは、その悪い夢に取り憑かれた病人みたいなもんだったのかも知れんな」

 

 

「ゼーレ、ね。マヤちゃんもガツンと言ってくれたわよね。戦いの後アスカには正座で説教食らってたけど」

 

 

   ┄┄┄

 

 

「さて、通告通り阻止させてもらったけど、今の気分はどうだい?」

 

 

「……これからどうするつもりだ。補完計画だけが人類にとって唯一の希望であったというのに」

 

 

「それはあなた方の勝手な言い分じゃないですか!」

 

 

「では他に希望があるというのか伊吹マヤ」

 

 

「閉塞? 罪? 絶望?

 

それが何だって言うんですか!

 

それでも明日は来るんです。

来てしまうんですよ。

 

そんな暗闇を恐れていたら、最初から生きてなんていられませんよ。

 

だって、人生そのものが先なんて見えない『お先真っ暗』じゃないですか。

 

そこを踏み出さなきゃ、何も始める事なんかできません。

 

希望?

 

今、生きている事が希望なんです。

 

生きている事を、希望に変えるために知恵があるんじゃないですか!」

 

 

「彼女は言いたいんだよ。『君らは根性が足りない』とね」

 

 

「……生き足掻(あが)きが、()らぬというのか」

 

 

「解決が難しい問題はあるでしょう。だけど、過去も、未来も、絶望も希望も、自身が生み出した『世界』ですよ。

 

人間が作ったものは、人間が壊せるはずです。

 

私たちが、あなた方を止めたように」

 

 

「できるというのか、人間が、人間の力のみで」

 

 

「世界を築いたのは人間の意思です。なら、人間の意思一つで変えられます」

 

 

   ┄┄┄

 

 

「……ところで、あれはキョウコ博士って事でいいんだよな? まぁ、いいけど」

 

 

「一応、死んだ事になってたし、夫とか結婚関係に未練はないって、戸籍は新しくでっち上げたみたいだけどね。

 

マヤちゃんがダイブした時も、ユイ博士と違ってアッサリ戻ってきたし、サッパリした性格……に、なったって事なんでしょ。

 

『魂からの再形成』とか、よくわかんない事言ってたけど。

 

本人曰く『アスカの母にしてアスカの子』らしいわ」

 

 

「初号機の時は大変だったよな。いつまでも戻って来ないから、アスカが気を()んで、(なだ)めるのが骨だった」

 

 

「ユイ博士が言ってたわ。『行き着いた結論が違うだけで、似た者同士だったの』って。だから白熱して長引いたのね。母親になって、何となくわかったわ」

 

 

「……リリスは太陽へ。世界は平和になった。けど、良かったのか? ゼーレは納得したが、未だ『ゼーレ派』の連中と散発的にやり合ってる」

 

 

「リツコは『自分なりの責任の取り方だから』って残っただけよ。私たちのするべき事は終わったわ」

 

 

「今や秘密は全て世の知るところに……そうだな」

 

 

「世の中から問題がなくなる事なんてない。それでも、明日はやって来る。ヒトは、生きていくんだわ」

 

 

「……ところで急に話は変わるが、この村の連中のネーミングセンスはどうにかならんかね」

 

 

「どーして?」

 

 

「第3新東京市畑宿村……略して第3村ってのは、正直どうなんだ」

 

 

「村民のほとんどが元ネルフ職員だからねー。なんでも番号で呼ぶクセついてるんじゃない?」

 

 

「職業病って、事なのか……」

 

 

「まぁ、いい場所じゃない。今じゃふるさとよ」

 

 

「……帰る場所、か」

 

 

「そうだ、今度マヤちゃんが帰ってきたら、またスイカ送ってあげなきゃ」

 

 

「彼女、今どこに?」

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

「強襲揚陸、準備よし! 接岸用意!」

 

 

「月の裏側に隠し拠点なんて、そんなカネまだあったのね」

 

 

「未だ『悪しき夢』から覚めない人は多いって事なんでしょうね、先輩」

 

 

「まぁ、それもココを潰せば終わりよ」

 

 

〈 ちょっと! いつになったら始まるのよ!〉

 

 

〈 さっさと終わらせて、帰って結婚式したいからって姫の気が立ってるにゃ~〉

 

 

〈 なななな何言ってんのよマリ! そんなんじゃないわ!〉

 

 

「……あなたのご家族は元気ね? 艦長さん?」

 

 

「……あはは、スミマセン、それについては諦めてます……さ、始めましょう!」

 

 

───end───





ここまでの間、私の駄文にお付き合い下さり、ありがとうございました。

これにて本編は完結です。

エヴァ原作に対して私が思ったのは「どいつもこいつも根性なしがぁ!子供達に押し付けんなゴルァ!」でした。

まぁ、大人だって『子供から大人になる』わけで、育つ環境によっては仕方ない部分もあるのでしょう。
けど、それなら無駄に何かに縋り付くのでなく、どこかで諦めた上で前に進んでほしかった。

そんな思いを込めた作品でした。

以降はIF展開やギャグなどの番外編となっております。

気が向いたら読んでやって下さいませ。

m(_ _)m
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