【完結】マヤさんは諦めた(ハーメルン移植版) 作:ブドウ冷やしんす
今日は葛城さんがシンジ君を連れて来てくれる予定になっている。
それまでに部屋を空けなくてはならない。
私の住居は単身者向けとは言え、空ければ部屋はある。
伊達に潔癖性ではないので整頓は最初からしてあって片付け自体は簡単、なのだけど……
今は使ってないけど形とか気に入ってて残してある古いPCや周辺機器、ほとんど読み返していない漫画やラノベ、最近ではお世話になる事がない学術書、ゲーム本体やゲームソフト……
要するに『なかなか手放せないもの』で占拠されている。
いやいや、そんな事ではいけない。きれい好きなのに一部屋が埋まっているという自己矛盾に向き合う時が来たのだ。すぐにでも一切合切を処分……
………………PlayStage2と3本体とソフトだけは勘弁してもらいたい。
それ以外は
……とはいえ捨てるのは勿体ないから、せめて買い取り業者に……ネットオークション……いやいやそんな時間はないじゃない自分で決めた事でしょ覚悟を決めて業者に電話するのよ伊吹マヤさぁスマホを! 手に! とって! 番号を
《2時間後》
やって来た業者は何故かオドオドしていた。
無理もない、たぶん私は『
……ゲーム類の置き場所を考えなきゃ。
《さらに1時間後》
なつかしい、こんなのやってたっけ。
チップの配置とか数値の微調整にハマって結局シナリオ自体は1ルートしか攻略してな
違ぁぁぁぁぁぁぁぁう!
もうすぐシンジ君来ちゃうんだから早く片付けて食材の買い出しとかもしな「ピンポーン」ああああああああああああああああ
《5分後》
「すみませんお待たせしましたぁ!」
息を切らして玄関を開けた。
葛城さんが少し引いた様子でこちらを見ている。
「……えーと、マヤちゃん大丈夫?」
「はい! すみません片付けに少し手間取って!」
「あー、わかる。わかるわー。そーよね、大変よね。大丈夫、気にしないで?」
葛城さんが想像してるような状況では 絶 対 に ありませんから。
と、言ってやりたかったけど待たせてしまった手前、曖昧に笑って誤魔化す。
「と、ともかく今日はわざわざありがとうございました」
「いーのよ! 困ってる時は協力しなきゃ。あ、マヤちゃん車ないわよね? もしシンジ君の事で足が必要な時は気軽に言ってね?」
……時間にルーズで怖い運転の葛城さんに頼るような事がないようスケジュールには気を付けなきゃ。
「はい、その時はよろしくお願いします。それじゃ、あとはこちらで」
「えぇ、それじゃ。シンジ君、マヤちゃんの言う事よーく聞くのよ?」
「はい、ありがとうございました」
葛城さんを見送り、シンジ君に向き合う。
「お待たせシンジ君。あら? 荷物それだけ?」
「あ、はい、元々あんまり持ってないですから……」
「必要なものあったら気軽に言ってね?」
「……はい」
明らかに遠慮してる。うーん……
まぁ少しずつ、かな。
「さ、シンジ君。今日からここが、あなたの家よ? 入って入って」
「お、お邪魔します……」
……ここは葛城さんに倣おう。
できるだけ優しく、目線を合わせて……
「シンジ君、『あなたの家』なの。自分の家に帰ってきたら『お邪魔します』じゃ、ないよね?」
「……た、ただいま」
「うん、おかえり!」
家族としてシンジを迎え入れたマヤ。
互いに温もりを求め、同時に他者との距離に怯える二人。
シンジの孤独に気付く時、マヤは彼の心へと一歩を踏み出す。
第七話「ゲームするのは諦めた」
さぁ! 次回もサービス、サービスぅ♪