Fate/Happylife~刃の下に心あり~ 作:ブラックサレナ
人の噂は七十五日というがそれは物のたとえであって、本質的意味は人が飽きるまでということらしい。と、いうわけで昨日の出来事がそう簡単に消えるわけではない。新聞部の大きな見出し、それは『わが学校の姫遠坂凛、一人の騎士に守られる』これであった。もちろんこれは物のたとえだが実際にその場にいた者には神崎忍という男が遠坂凛をナイフから守ったのは紛れもない事実だ。そしてそのあとの遠坂凛の今までにないような行動、これでほぼ決まりだ。して、こんな風になっているせいでもあり、そして学校からの髪飾という問題もあり学校は少し浮いていた。
「……まったく」
浮いていないのは、ある意味浮いてしまっているからとは誰かがうまいこともいったものだ。その一人は柳洞一成だ、彼は現在心配と、そして不安でいっぱいだった。まずは心配のほうは忍の他ない。
「今日は二人ともまだ来てないわよね」
誰がそういうがしかし忍の場合は誰もが当然だと思うだろう。なんせ手を貫通されているのだから。しかしここにさらに凛が居ないことが問題なのだ、してそんなことを考える生徒が多くなったところで、真打の登場である。
「あら。皆さんどうかなさいましたか?」
優雅にいつものどおりの遠坂凛の登場である。ここでならいつもクラスの全員があいさつなりなにかがあるはずなのだが、今回のここではそれはない。全員が全員彼女を見ているだけだった。しかし一成は違った。
「神崎は大丈夫だったようだな」
「ええ、大丈夫そうよ。なんでも運が良かったらしいわ、血の止血もすぐだったようでね血管がやられて少しは不自由な生活になるそうだえけど、明日にはこれるそうよ。よかったわね柳洞君?お友達が元気で」
「……それはそのままお前に返してやろう」
この時だけクラス全員が一成を尊敬したであろう。なんせ今のクラス全員が聞きたいことでもあるのだから。
「ええ、本当によかったわ。これで安心して今日は普通にいられるもの、まあ“忍”のことだから大丈夫でしょうけど」
「…………は!?」
今クラスの全員が遠坂凛に注目している。今回は彼女のことだけじゃない、神崎忍のこと共々だ。
「き、き、ききき貴様。今、神崎のことを忍と!?」
「あら、親しい間からなんだから当然そう呼ぶのが正当じゃないかしら、柳洞君?」
ここで柳洞は完全に再起不能になった。して周りからもざわめきが起きたのはもうすでに凛にとってもわかりきっているのだ。今回のことを踏まえ、もう凛は我慢することをやめたのだ。
「それでは失礼しますわ」
いつもの通り丁重な言い方をして席につく凛の顔は、未来赤い悪魔と言われる片鱗だったのは言うまでもない。
「みなさ~ん、おはようございます」
担任の登場であるがしかし、返すのは誰もいない。さっきのあのインパクトにおいて現状から言えば全員がアップアップ状態であり誰も正気には戻っていない。先生がいるのにさっきの凛の言葉を考えている生徒しかいないのだ。
「み、みんな~」
担任の情けない声によってHRは始まったのである。
―――――――――――
忍は昨日いた病院から退院していた。まあ片方の手に完全な穴が開いているのだからしょうがないといえばしょうがない。凛が昨日過保護以上の過保護のおかげで昨日はほぼ動いていないのだ。そして今日はまあ通院するかどうかだったのだが、傷も深くないし安静にしていれば大丈夫であろうという医者の判断で結局すぐに退院となったのである。
「凛のあれはすごいな」
昨日の過保護はそれはそれは凄まじいものであったのは言うまでなく、たぶん凛のことだから学校でもなんらかのアクションを出していると忍は思っていた(←大正解)
「しかし、あれは」
忍はそこで今回の事件?について少し考察する。髪飾という少年が今回凛を刺そうとしたのは事実だし、これは間違いないであろうという推測。だが忍の中には不信感のそれしかなかったのだ。若干中学生にしてあそこまで過激な行動に出れるものだろうか、と。中学生で殺人、殺戮をするものは数多くいるがしかしそれは何かが理由で欠落しているものである。しかし髪飾は忍が来るまでは普通の人間だったはず、なのに急なあの行動。
「……まさかな」
忍は何かを思いつつ、教会足を運んだのだ。今日はミサがあったようで教会から人がちらほらと出て行っている。
「ほお、ちゃんとした教会だったんだな、ここ」
「……随分とした言う方ではないか、神崎忍」
そして構えるように、いや正確には待っていたかのように外にいたここの神父。この言峰綺礼。
「ああ、それはすまない。教会といえどただの飾りだと思っていたのでね、ここまでちゃんと教会をしているのは意外だったので」
「うむ、確かに教会においてもそこまでその中身は重要視しないこともあるしな、しかもこれは聖杯戦争の監督のためだ。して今日はどのような要件だ神崎忍よ」
「凛が同級生にさされそうになった……これを言えば貴方ならわかるな」
「ふむ、すでに確認済みだ。髪飾正太郎、この冬木でもなかなかな名家の出身であり性格としては少し曲がっていたそうだ」
性格についてはさすがに綺礼には言われたくないだろうと思う忍だった。
「そして昨日、彼が急な行動にでた。まあそれは幸いにも君によって防がれたわけだが、それがどうかしたのか?まさか慰謝料でもほしいのか」
「いるかそんなもの。それよりも髪飾についてはそれだけか?」
「それはどういうことだ?」
「やつの精神状態を聞きたいと言っているんだ?」
「ん?それはどういう意味だ神崎?私が調べた中にはそんなことはなかったが、警察の方も聴取ではそれぐらいだぞ」
「……そうか、ならいいか。いやすまない、気にしないでくれ、それじゃあな言峰」
「……ふむ、そうだ神崎言い忘れていたが。凛の代わりをしてもらったすまないな」
「当然のことだ」
そして神崎は家に帰ることにした。して教会から帰る際にスーツの人にぶつかってしまった。
「あ、すいません」
「いえ、こちらこそ」
忍はその時一瞬、彼の言葉に翻弄されそうになった気がしたが、気のせいだろうと思いそのまま通り過ぎたが
「なるほど私の暗示は軽くはねのけますか、さすがは彼が気になる存在ですね」
スーツの男がそんなことをしゃべっていたことを忍は知らない。
―――――――――――
学校では現在髪飾のこととそして凛の彼氏について話が持ちきりだった。してその両方の渦にいる遠坂なのだが彼女自身は平然な態度をとっていた。
「……マジかよ!あの神崎かよ」
「けどあいつってあの髪飾から遠坂さんを守ったんだろ?」
「ナイフで襲ってくる相手によ、普通によ」
これが男子の会話、そして女子の会話は
「うっそ、遠坂さんってあのサッカー部の先輩と付き合っているもんと思っていたのに」
「なに言っているのよそんなの前の前よ、しかも遠坂さんが振っていたし」
「え!?先輩を振ったの、さすがは遠坂さんだわ。けど神崎君って?」
「あ、そうかあんたは知らないのか、実は」
と、女子では神崎の外見についての感想やらなんやらだ。凛としてみればうれしさとそしてこれからの準備に頭を働かせていた。まずは自分のこのキャラを崩さずにと考えたところで忍のキャラが非常に私のキャラと似合っているのに気付いた。
「問題ないじゃない」
「あのう……遠坂さん」
「あら、なにかしら?」
凛がそんなことを考えているとそこにはクラスメートの女子からだった。
「そ、その神崎君と付き合っているって言ったけど、そ、そのどれぐらいなのかな、その付き合って」
「ふふ、そうね……まだ一週間ぐらいかしら」
「あ、そうだよね神崎君は海外にいたわけだし「だけど」……え?」
「……ある意味小学生のころから待ったのだからそれを換算すれば十年ぐらいかしらね」
その時の遠坂凛という女の顔は、それこそ艶美でありながらも堂々とした女性の顔をしていた。
「あ、そうなんだ……そうなん…だ」
そしてクラスメートは引き下がっていく。これでさらに教室は騒がしくなる、しかも完全に今度は神崎のことについてと焦点が変わる。
「まじかよ、しかも小学生のころってえ?」
「ありえん……だがあの遠坂さんならばそんなことがあっても」
「ねぇ、すごくロマンチックじゃない?」
「だよね、小学生の頃だって。普通それだったらほかの人でも好きになっていたりするのに」
「しかも神崎君もそこは一緒だったってことでしょう」
「赤い糸って信じたくなったわ」
そんな中、一人凛に接近する男子がいた。
「ふむ、その話聞かせてほしいものだな遠坂」
「あら、あなたがこんなことに興味がわくだなんて、もしかして明日は雪でもふらせてくれるのかしら、柳洞君?」
「神崎との関係について聞きたいのだが、俺は」
「あら、先ほどクラスの皆様に伝えたとおりですがそれだけでは説明不足でしたか柳洞君?それとももしかして、あなたに文句を言われないといけないとでも」
「いや、そういうことではない。神崎のことだ、あいつはあいつなりの考えでお前と付き合っているということぐらいな」
「一週間もしないうちに随分と私の忍ことをお知りになったのね」
「あいつは随分と人がいい印象あるからな。まあそこではない、先ほどすぐにでも退院と言っていたが学校にトラウマが残らないといいと思ってな。今日にでも会いにでも行こうと思ってな、大丈夫か遠坂」
「あら、本当に柳洞君は律儀ですのね。忍も喜ぶと思うわ、ありがとう。だけど彼は今日病院で精密検査を受けているから、まあ明日には戻ってくるから大丈夫よ、それに私の彼氏なんだからあれぐらい大丈夫よ」
「……ふむ、それもそうだなお前などと付き合えるなどいつものミーハーなやつらと思っていたがあやつのことだ、随分と肝が据わっているようだ。これは失礼」
「……柳洞君って喧嘩を売るのが上手ですのね、買いますわよ?」
また、教室がピリピリしだしたのだが、しかしやはりここでもこの環境で余裕の食事をしていた神崎のことを尊敬する連中がふえたのは言うまでもない。
――――――――――
結局家に帰ってもやることが魔術の研究だった忍。現在はこの前少し魔術加工をしていたワルサーPPKを解体して必要なパーツだけを投影できるようにしていた。
「やっぱり、慣れたのとは違う魔術だと通りが悪いか。もう少しぐらいは通しをよくしないといけないな……
銃とは案外簡単な設計をしているが、その使い込んでいる年月やその意図など様々は要因をすべて投影するとなるとこれもこれで骨が折れる。忍は銃を一つパーツごとに生み出して、そしてそれを組み立てて、次に投影するのは
「
投影の魔術系統の一つの強化。しかも忍の魔術刻印のほうだ、これをしないと投影したものがすぐに散布してしまうからだ。そして投影した代物とは
「……ナイフ一本投影するのはやはり慣れないな、これなら黒鍵のほうがつかいやすいかもしれないな。ま、これはこれで使いやすいか」
と、忍はナイフをふるう。その動きはすべてが無駄がないどこかの殺人貴と同じぐらいだ、かれにとってはナイフはただの護身術なのだが
「起源弾の生成はさすがに一年越しだな……また血がいっぱい必要じゃないか、骨から生成させる場合もあるって聞くけどあれはまだ俺にはつらいな、もう少し身長ほしいし」
と、そこで忍は一つ思い出すことがあった、それは凛だ。凛は今日一人で学校に行っているがまあ、話題の中心はいつものことだから大丈夫だろうが、髪飾は結局なんだったのかと思う忍であったが
「なるようになるか……だけどさすがに学校に行ってまだ全然なのに結構な事件だな、あの
そして忍は聖杯戦争に関する本をとりだす、今回の戦争で何を召喚するかも重要なことだが何を媒体にするかがもんだいがったがそれは忍には簡単だった。
「ルーンが使えて、この魔眼……いるんだよな、一人」
それはもちろん予想だけでほんとうは確証はない、だけどたぶん間違いなく償還されるであろう、光の御子が。
「凛がそろそろ帰ってくるから下にでもいるかな」
そして忍は下におりるのであった。
師匠「もういやだぁぁぁ、バカップルなんてやだぁぁぁ」
弟子「し、しょうぉぉぉぉぉぉおぉ!?」
???「いったいなにがあったのか?
それでは次回、戻る日常、進級する二人。そして生徒会の勧誘
刃の下に心あり、世界から逸脱した存在を」
サレナ「バカップルとはこれ、独り身に毒でしかない」
???「……悲しいですね」