Fate/Happylife~刃の下に心あり~ 作:ブラックサレナ
君がこの手紙を読んでいる頃には私は居ないだろう。まあこれは当然の結果でもあるんだけどね、しかし君もこの地に戻ってきたと言うことならば真実を知っておくべきだと思う。君も気付いているかも知れないが、君の父、神崎審はある依頼のためあの時この地に下りていたのだがその時と言うのが第四次聖杯戦争だ、彼は聖杯戦争には関わっていない、正確に言えばマスターとしては参加していなかったと言うべきだ。
「父さんの依頼は戦争ではない?」
文章はまだ続く。
しかし、彼もこの地に居たというのなら何かしらに聖杯に関わっていたのかもしれない。だからこそ君にはこれを渡しておこう。あの書物は私とそして妻、助手が集めたものだ、これ自体、なにが書いてあるかは私もしらない所があるだろうが、これを贈る。だから、頼みがある
「頼み?あのおっちゃんが俺に?」
最後の文脈にこう書いてあった。
――――君なら出来る。今度こそ“大聖杯”を破壊するんだ
大聖杯?忍の頭のなかには意味の分からないことが書かれていた。聖杯が大がつくと言うことは小もあるだろうと、模索していた。
「分からない、あとはこれだけか」
ダンボールの中にある、書物。数としては七冊、これが全ての鍵となると思い忍は手をかけて開く。そしてそこには
「……これは、アインツベルンの記録?」
聖杯戦争についての説明、理念、そして目的が書いてあった。
「彼らは、魔法を取り戻すためにこれを出したのか?」
彼は部屋の中にあった、机に書物を置いて読みふけることにした。
――――――――――
朝とは、生きるもの誰しもが訪れるものである。凛もまた、今日ということを確認する。今日は土曜日である。学校も休みで普段ならば寝ているだろう時間、しかし忍が来たおかげで規則正しい生活になっていた。
「ふわぁ~、ねむい」
凛が朝に弱い。そして起きるには牛乳を飲むのが恒例だ、そして彼に注がれるという前とは違う得点があったはずだが、しかしそこに忍の姿はなかった。と、言うよりも料理もなかったのだ。
「一日だけ?」
凛は少し寂しいような、しかしこれのほうが自然だとも思っていた。しかし妙なことでもある、忍が自分よりも遅いことに対してだ。
「寝ているのかしら?なら」
凛はすぐに上に向かい、部屋にあがる。理由がもしかして……寝顔をみたいとか、そんなふしだらじゃない事を「ふしだらじゃないわ!正当な行為よ」……地の文にツ込みを入れるのは辞めてほしいものだ。そして凛は忍の部屋の前で息を整える、一応まだそれぐらいのつつしみはもっていたようだ。
「忍、おきてる?」
凛は扉越しに言うが反応がない。凛は笑うとそのまま扉を開けて中に入る
「あれ?凛どうしたの?」
「うきゃっ!」
寝ていると思っていた忍の声が急に聞こえてきたため、凛は驚いてしまった。いや、正確には違う理由だろうが
「起きていたのね忍、おはよう」
「おはよう?……うわ、もうこんな時間か。すまないすぐに朝食を作るから、ちょっと待っていてくれ」
「あ、いいの。それよりも一体?それって何?」
「ああ、これな。あとで話すよ、着替えるからすまないが」
「分かったわ、それじゃあ先に待っているから」
凛はそういうとそのまま下にいくのであった。忍は自分がこの書物に睡眠を使ってしまっているのは問題だった。しかし、忍の顔には少しすっきりしていたことがある
「これで師匠の言うことが分かってきた。穢れているね、まったくこれとあとは、凛の協力か。まあその前に朝食だな」
忍は下に降りる、そこには凄い光景があった。
「あら、忍。おはよう、さっきも言ったけどね、どう、似合う?」
凛がエプロン姿で朝食を作っていた。メニューはパンに玉子焼き、さらに俺にはコーヒーであり凛は紅茶を入れていた。
「ふふ、あら私が料理できないなんて言ったかしら?これでも得意なのよ……中華」
「中華って。まあそれはそれであとで聞こう、それじゃあこれ運んでおくからな。早くたべよう」
「そうね」
忍は料理を運び、朝食が始まる。
「今日は遅いとおもっていたんだけど、まさか徹夜とはね。一体あの本、どうしたの?」
「うん?もちろん、あれが昨日運んでいたダンボールの中身だよ。それで今日は土曜だろう?すまないが、工房の本貸してくれないか」
「聖杯戦争のこと?」
「そうだ、凛も一緒にな」
「いいけど、一体どうしたの?」
「ちょっとな、これであとはマキリさえ分かれば、いいんだけど。さすがにないだろうし」
「って!その前に、今日は忍の日本で必要なものを買いに行かないとダメでしょう?」
「あ、そうだった。服と魔術は全て明日か、それだと歯ブラシとかな」
「そうよ。それにあと新都の説明もでしょ、一応ここの地理も私が今一度教えてあげるから」
「すまないな」
「ここが戦場になるんですもの。それぐらい当然よ」
二人はそんな風に話しながら朝食を楽しんでいた。
朝食が終わると二人は出かける準備に入った。本についても帰ってからと凛はいい、忍もそこまで焦ることではないと思い準備を始めた。
「ふむ、これぐらいだな」
忍の服装は黒いコートに、黒いジーンズと完全に黒尽くしである。しかしちゃんと装飾として首にはペンダント、ブレスレッドをしている。ちなみに銃ももちろん持ち出している
「忍、お待たせ」
対する凛の服装は、赤いコートにスカート。二人並べば確かにお似合いなのかもしれない、いや理想的な色合いといえるだろう。
「うん、綺麗だね凛」
「そっちもね、かっこいいわよ忍」
「と、いっても俺の場合はほぼ最初に会ったときと一緒だけどな」
「それじゃあ、ちゃんと言ってあげるわね。いつもかっこいいわよ忍は」
忍は真っ赤にそまった凛の言葉に、微笑して
「ありがとう、チュッ」
ほっぺにキスをする、凛は一瞬なにをされたのか分からなかったがすぐに理解して、さらに紅くなりながらも
「そ、それじゃあエスコートよろしくね、忍/////」
玄関前で手を差し出した凛、それを握る忍。二人とも恥ずかしがっているがそれでも握った手は固かった。
「それにしても、あそこまで簡単にキスされるとはね~忍、もしかして慣れている?」
「んなわけないだろう。これでも恥ずかしかったんだぞ、だけどそれよりもさっきの凛は可愛かったからな。それで凛、どこに行くんだ新都って」
「まあ新都って言っても先の聖杯戦争で破壊されて修復された都市って感じかしら。駅前とかビル郡とかかしら。それと冬木大橋かしら?」
「ああ、あの橋な。船が沈んである、へんなアートみたいになっているやつな。教会に行く際に通ったでかい橋だよな」
「そう。まあ駅前には日用雑貨が一杯あるから」
「そうだな、それじゃあいくとするか」
ちなみにこの二人、歩くと周りの人物が振り返っていることに気付いていない。二人とも二人しか見ていないからだ、しかしこの二人世間で言うところの美男美女に相当する。それが二人手を繋ぎながら歩いていればそうもなるだろう。
「さて、ここね」
凛の案内でついたのは駅前だ。
「左にデパートあるからそっち行きましょう」
「そうだな……あれも買いたいしな」
「あれ?」
忍の言葉に凛はなにかと思っていたが、エスカレーターに乗ると目的地に到着した
「げっ」
凛が苦笑した、と言うか普通に拒否反応を見せた。
「凛、もしかして機械苦手?」
「う、うん。づどうもね」
「だからか」
忍が買おうとしていたのはテレビだ。凛の家にはテレビもない、エアコンもないのだからしょうがない。
「つう訳でテレビを買うぞ」
「う、分かったわよ。けど、必要かしら?」
「買ってから文句なら聞いてやるよ。どの道、金は俺持ち出しな。と、言うよりもあそこの家には家電が少なすぎる」
忍の意見に凛は少し恥ずかしかった。ようは自分は遅れていると思われてるのかもしれないと思っているからだ。しかし忍はこう言った
「まあ
「ねえそう思えば聞いていなかったわ。忍は魔術師殺しも受け継いでいるの?」
「うん?ああ、微妙だなその意見には」
「微妙?」
「そう、元人間の魔術師ならば殺したよ」
「元人間ってそれじゃあ」
「そう、封印指定とか、死徒とか、一応人間は殺さないよ、人に害をなさない限りね」
「ふう~ん。ねえ今度私と少し組み手してみない?一応私も師匠というかなんていうかであの綺礼に八極拳教わっていたから」
「いいけど。あまり近距離はな、それよりもさきにテレビだ、テレビ」
「そうね。だけどこれはそっちに任せるから」
忍と凛はそのままテレビのコーナーに向かっていった。しかしここにまさか、凛のクラスの生徒達がいるとは、二人は気付いていなかった
「あれってまさか、遠坂さん?」
「ですわね、それではあのお隣の人は」
「見ないわね。けど・・・」
「「「かっこいい!」」」
色めき立つ女子生徒たち、そしてもう片方の視点では
「あれは」
「そんな馬鹿な!」
「神は死んだ!」
「「「俺らじゃ無理だ!」」」
忍は知らないうちに有名人になっていたのは、言うまでもなかった
「それで忍?これでお仕舞いかしら」
「ああ、俺のは。あとは歯ブラシだろ、それにあと……今日の食事だ。凛の得意って言っていた中華、頼むぞ」
「ええ、あなたのために腕を振るってあげるわよ」
傍から見れば夫婦の会話に近い。しかしながら背が問題だろう、雰囲気ならば大人顔負けなのだが、ルックスで中学生だと分かるだろう。
―――――――――――
教会では一人の神父が手続きをしていた。その書類は書いてあることは、簡単だ。聖堂教会での調査だ。
「ふむ、あの少年。神崎忍についての考察……か」
書類上では彼の同行をさぐれだが
「慎重をようすると書いてある。しかも期限はほぼ無限か…………これは、実に興味深いな」
「ふん、雑種のたわごとだ」
急なる声に綺礼は振り向く、しかしすぐに書類に眼を向けなおす。
「しかし、これは面白そうだな」
綺礼はいつにもまして楽しそうな顔をしていたのは言うまでもない。
――――――――――
「ふむ、今日は結構買ったな」
「結構ね~それだけで済むかしら今日の金額」
凛は少し驚いていた、忍のカードは世に言うブラックだ。テレビを一括払いとは今の凛には無理だろう。宝石を使う魔術、少し考え直す必要があるかもしれない。
「絶対にいや!」
「急にどうしたんだ、凛」
「え、あ、い、いやなんでもないわ。それよりもちゃんと握ってよね」
「はいはい」
二人とも今日一日で随分と仲良くなったのだろう。その象徴として手の握り方が恋人つなぎに変わっていたからだ。
家につくと、そのまま工房に向かう二人。今度は魔術師としての二人だ
「それじゃあまず、この書物と、それと凛の聖杯戦争に関する書物ってどれだ」
「これと、これね。片方は昔からのだけど、こっちはたぶん父様のだと思うわ。聖杯戦争、特にここの霊脈については古い書物の方に書いてあるけど令呪や、サーヴァントについてはこっちに書いてあるから。忍も分かるわよね、令呪にサーヴァント」
「ああ、こっちでだけどな。今までのはただ単に選ばれたものが聖杯を奪い合うものだと思っていたが、これを読む限りそれ以上だな。サーヴァント、それは生きた英雄ってことか」
「そう、それを使い魔のように使役して最後まで残ったものに聖杯は与えられる。この書物どおりならばね、だけど忍が指摘したとおり確かに可笑しい部分もあるのよね。それでその分厚い書物のほうには?」
「アインツベルン、これについての詳細だな。なあ、遠坂の家系は元々、聖杯に何を願ったんだ?やはり根源の到達」
「もちろんね。魔術師にとってはある意味それがゴール、いえ一族のゴールですもの。それが?」
「ここには、さらにアインツベルンの目的も書いてある。こいつらは聖杯を完成させて第三魔法を取り戻すことらしいぞ」
「第三魔法」
この世に存在する魔法は、第一から第五まであるといわれている。第一魔法はもっとも古い魔法と言われているが謎が多い、第二も同じだ。第三魔法と言うのは魂の物質化という事だ。第四魔法もまた第一と同じで詳細は不明。そして第五の魔法は忍の師匠のことだ
「そう、魂の物質化による不老不死の完成なんだとさ。まあこの書物の書いてあることだけどな。まあだけどこれは信頼できるよ」
「そう、私は忍を信じるから。それで、他には」
「ああ、それとこれにはもう一つ書いてあることがあった。それはこの聖杯戦争の歴史だ」
「歴史?」
「ああ、第三次聖杯戦争からだが。このときから聖堂教会が介入し監視するようになったんだ。そしてここに生まれた、この世の全ての悪だ」
「この世の全ての悪?」
「アンリマユ。それが聖杯を汚した“張本人”だ、まあこの世の全ての悪じゃあな」
「え?それじゃあ、忍の調査は本当に」
「ああ、これのこの文って読めるか凛?」
「ええ、一応英語は大丈夫ぐらいよ。一番はドイツ語なんだけどね」
「そうか、ここだ。アインツベルンはどうしても、聖杯を完成させるべく本来は存在してはならない“サーヴァント”を呼び出したのだ、とね。それがこれ
「アヴェンジャー……復讐者のクラス。だけど、なぜ完成しなかったの。この世の全ての悪なんでしょ?普通に考えたなら誰にも負けないでしょ、古来から悪はずっと存在してきたのだから」
「そうだね。だけどここには四日しか保って居ないと書いてある、と言うことは偽者の可能性があるんだ」
「偽者?」
「そう。例えば、犯人でもないひとを犯人としたて挙げる。そうすればその人は世間から犯人とされてしまう場合があるだろう?」
「ええ、そうね。だけど、それじゃあ!」
凛も気付いたのだろう。忍は読みながら気付いたが、切嗣も同じだったのだろう。全員が同じ答えが導かれた
「そう、たぶんこれはそう言われてしまった人を呼び覚ましてしまったのだろうと俺は思ってる」
「それじゃあただの人間を呼び出したの」
「そう。まあそんな風に言われると言うことはそれぐらいの力はあったのかもしれないが、しかしそれだけだ。人間でしかなかったものには刻なんだろうさ。なんていったって、サーヴァントは英雄を出すのだろう」
「そうね、だけどそれならなんで聖杯まで?偽者なんでしょ」
「人が偽者でも、理念がもし本物ならば?どうだろうか」
「……そう言うこと」
「そう言うことです。まあ、今読んで分かっているのはこれぐらいだけどね。それ以上はまだ、だけど。それで、凛。君はどう思う?」
「もし、そうだとしたら本当に聖杯があんなことになるのなら私はこの冬木の管理者として、聖杯を破壊するわ」
「そうだな。だけど、まだ」
「分かっているわ。慎重にことは運ぶわ、これは私と忍だけのことでね」
「元からそのつもりだ」
ここに来て、初めて二人は今後の聖杯についての方針をきめるのであった。
「だけど、忍……本当に私と同年代?」
「もちろんだ」
確認する、二人はまだ14歳だ。
あれですよね、魔術師は大体大人びていますよね……とくに士郎!