戦姫絶唱シンフォギア 悪魔の力と正義の心   作:オルター

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この小説の時系列は原典側がXV最終回後、XD側がLOST SONG編の後になります。
既に響と奏達は別世界のサンジェルマンやキャロル達錬金術師協会の面々と知り合っており、IF響はエレクライトを使って並行世界を渡る旅をしています。


響き合う邂逅、雑音包囲網!?

 

 ”ギャラルホルン”。それは、カラフルな法螺貝の見た目をした完全聖遺物の名称である。

 

 その世界に本来あるべき歴史。その歴史から零れ落ちた”もしも”の可能性。そこから生まれたIFの世界、所謂”並行世界”と本来の世界を繋げる役割を持つ。

 

 並行世界側で異変が生じたときのみアラートの発生という形で異常を伝え、完全聖遺物でありながら一切の制御も干渉も受け付けない。

 

 そんなギャラルホルンの本体が存在する世界。それこそが本来の歴史を紡いできた世界、言わば”原作世界”。1人の歌姫の誕生をきっかけに、何人もの歌姫達が手を取り合い、日本に迫る危機を救ってきた世界。

 

 出会いや別れ、裏切り、衝突を繰り返し、強くなっていった7人の歌姫。彼女達が介入したことで救われた世界も少なからず存在する。

 

 そして今…彼女達の知らない所で、新たなる戦士が既に産声を上げていた…。

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 ー片翼世界ー

 

 

 ここは、人々を守る為に日夜戦い続けている組織、特異災害対策機動部二課の司令室。たとえノイズが出現していなくとも、彼等は常に予期せぬ災害にも対応出来るよう、万全の体制で備えている。

 

 職員達が仕事に臨んでいる中、司令室のドアが開いて2人の少女が入ってきた。

 短めの金髪に、前髪に×型の髪飾りを付けた少女は”暁 切歌”。黒い髪を、ピンクの髪飾りでツインテールに結んだ少女は”月読 調”。彼女達の正体は、ギャラルホルンのゲートを通じて並行世界から来たシンフォギア装者である。

 

「こんにちはデース!」

 

「ご無沙汰しております」

 

 司令室に入って早々、彼女達は挨拶をする。二課代表として、赤いスーツを来た屈強な司令官”風鳴 弦十郎”が彼女達を出迎えた。

 

「君達か。並行世界を跨いでの定期報告、いつも感謝する」

 

「今回は貴方達が来たのね」

 

 白衣を着て眼鏡をかけた茶髪の女性”櫻井 了子”も、2人を出迎える。

 

「翼さんは歌手活動が忙しくて来れないので、今回はアタシ達が来たデス!」

 

「これをどうぞ。私達の世界の風鳴司令から預かったUSBです」

 

「ああ、確かに受け取った」

 

 調からUSBを受け取った風鳴司令は、早速二課のコンピュータにデータを保存する。

 

「それにしても、偶然って凄いわね!今日は、奏ちゃんも歌手としての活動があるのよ!」

 

「そうなんデスか!?」

 

「奏さんも頑張っているんですね」

 

「ええ。彼女が変わったのも、貴方達のお陰よ♪」

 

 この世界に存在する、唯一のシンフォギア装者”天羽 奏”。かつての彼女はノイズに対して強い憎しみを抱いており、装者としての使命を全うする為に歌手活動も辞めていた。

 しかし並行世界のシンフォギア装者達と出会った事で、奏は変わった。ノイズへの恨みは鳴りを潜め、1人のシンフォギア装者として、そして歌手としても歌う事か出来るようになったのだ。

 

「奏はもうすぐ戻って来る予定だが…もし急ぎの用事が無ければ、君達も外に出てゆっくりして行くといい。奏も君達の顔を見れば、さぞ喜ぶことだろう」

 

「でしたら、お言葉に甘えていただきます」

 

「早速行って来るのデース!」

 

「ちょっと待って!念の為、通信機も持っててちょうだい。ノイズが出現した時に、此方からもすぐに指示を出せるようになるわ」

 

「ありがとうございます」

 

 切歌と調は通信機を受け取ると、司令室から出ていった。

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 ―同時刻―

 

 

「変わらないな…この街も。俺が旅に出た時と、殆ど同じだ」

 

 街の噴水広場にあるベンチに、リュックを横に置いて座っている人物がいた。

 白いシャツの上から、赤いラインが入った青のカーディガンを羽織っており、ベージュ色のズボンを履いた少年は、他でもないこの世界の”立花 響”である。

 

 二年前に家を出た彼は、沢山の人を助ける為に色々な場所への旅をしていて、ノイズが出現した時は密かに仮面ライダーとして、誰も知らない所で戦っていた。

 そして彼は今、生まれ故郷とも言える自分の街に帰って来ていた。

 

「もう少し休んだら、母さん達に顔を見せようかな…けどまずは、腹ごしらえでもしよう…」

 

 響がいるこの広場には、数時間前からクレープ屋の屋台トラックが止まっていた。今も丁度、自慢のクレープを売っている最中である。

 

「そういや最近、スイーツっぽい食べ物なんて口にしてなかったな…久々にクレープ、食べてみるか!」

 

 響はクレープの屋台を見て考えるなり、すぐさま買いに走った。

 

「「すみません!クレープ1つ(2つ)下さい(デス)!…………あっ」」

 

 響が店員の女性に話しかけると同時に、別の方向から来ていた少女も店員に話しかけていた。

 

「えっと…こちらの君が1つで、そちらの貴方が2つね?ごめんなさい、今残ってるクレープは2つしか無くて…作ろうにも、材料がもう無いの…」

 

 店員の女性は申し訳なさそうに話す。響は隣にいる少女に目を合わせるが、少女の方は響の顔を気にするように見つめていた。

 

「うん?俺の顔に何か付いてるのか?」

 

「いえ!何でもないデス…アタシは、友達の分のクレープも買いに来たんデスけど…」

 

「ああ、だから2つなのか…」

 

「本当にごめんね…明日もこの広場に来るから、その時にまた来てくれたら…」

 

 響は顎に右手を当てて、少しの間考える。考えた結果、彼は少女に話しかけた。

 

「俺は今回、いいのにしておくよ。店員さん、そっちの彼女に2つお願いします」

 

「いいんデスか?貴方も食べたかったんじゃ…」

 

「俺は我慢するから、君と友達で1つずつ食べなよ。流石にクレープを半分こに分けるのは難しいしさ…」

 

「お気遣いありがとうございますデース!クレープ2つ、お願いしますデス!」

 

 少女の様子を見た響は少しだけ微笑むと、ベンチに置いたリュックを背負って広場を出ていった。少女は両手にクレープを持ちながら、響の後ろ姿を見ていた。

 

 

「あの人の顔…誰かに似てるデス…」

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 ―数十分後―

 

 

 街中に、ノイズ出現のサイレンが鳴り始めた。民間人が避難を終えた後、2人のシンフォギア装者が現場に到着した。”イガリマ”を纏った切歌と、”シュルシャガナ”を纏った調である。

 

「現場に着きました」

 

『今回はいつも以上に数が多い。奏を向かわせているから、それまで可能な限り持ち堪えてくれ』

 

「了解デース!」

 

 通信機を通じて風鳴司令の指示を受けた2人は、それぞれのアームドギアを出現させる。それと同時に、ノイズの大群が襲いかかった。

 

「数が多くても、私達のコンビネーションなら!」

 

「負ける気がしないデス!」

 

 2人の息の合った絶妙な連携プレーが、ノイズの数を大きく減らしていく。このままなら押し切れると思った2人だが、そうはいかなかった。

 

『この反応は…カルマノイズだ!君達のすぐ周辺にいるぞ!』

 

 風鳴司令の発言が2人の耳に届く。すると切歌の背後から、大群に紛れて1体の黒いノイズ”カルマノイズ”がジャンプして姿を見せる。

 

「切ちゃん後ろ!」

 

「えっ!?」

 

 調の発言で、切歌は漸くカルマノイズの存在に気付いた。しかしカルマノイズは、切歌目掛けて飛びかかろうとしていた。

 

「まっ…間に合わなっ…!」

 

「切ちゃん!!」

 

 終わりかと思われた2人だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…がその時!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッ!!」

 

 

 突然横方向から飛んできた衝撃波が、カルマノイズを吹き飛ばして電柱に激突させた。ダメージを受けた感覚が無かった切歌は、不思議そうに周囲を見回す。

 

「あ…あれ?カルマノイズは?一体何処に行ったデスか?」

 

「切ちゃん、あそこ…」

 

 調が指さした先に切歌は目線を向ける。そこには、彼女達が今まで見た事の無いような、仮面の戦士が立っていた。戦士は、前方に翳していた右腕をそっと下ろした。

 

「誰デスかね?カブトムシみたいな見た目をしてるデスけど…」

 

「切ちゃん、私見たの。その人が、さっきカルマノイズを吹き飛ばした所を…」

 

「何デスと!?」

 

 

 

 

「…戦士に休息は無い、か…」

 

 

 

 

 カブトムシの戦士…仮面ライダーベイルこと響は、仮面の中でそっと呟く。

 その瞬間、黄色い複眼が妖しく瞬いた…。

 

 




※おまけ
もしもシチュエーション:響をフェニックスに勧誘する赤石長官。

ギガデモス(赤石)「ベイルドライバーの予約が開始されて、五十嵐元太が脚光を浴びている今がチャンスだぞ響君。君もフェニックスで自分の力をアピールして、流行りに乗っかりたまえ響君」
仮面ライダーベイル(響)「馴れ馴れしく触んな肩を組むな。とっと離れろ加齢臭が伝染るんだよこのおっさん悪魔」
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