AI: ソムニウム ファイル the previous Trigger   作:ボルメテウスさん

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光を継ぐ物

「それで、なんて言ったの?」

 

 そう言いながら、みずきは現状の状況に怒りを隠せないのか、目の前で普段通りの顔をしている義父である伊達に睨み付けている。

 

「いやぁ、だから今日から家族になる白野だ。

 

 弟分だと思って、可愛がってくれ」

 

 そう言いながら、伊達は、隣の席に座っている白野の肩を叩きながら、みずきに向けて言う。

 

 アビスに所属する伊達は、最近まで謎の怪事件を追っていた事、キャバクラやバーで飲みすぎて酔っ払っちゃ状態で家に帰ってくる事が多く、未だに厄介な事ばかり持ち込んでくる事はみずきも既に慣れていた。

 

 だが、まさかいきなり自分と同年代の少年を連れてきて、一緒に住もうというのは、乙女であるみずきにとっては予想外だった。

 

「いきなり帰ってきたと思ったら、また変な事を言って、この馬鹿!」

 

「馬鹿とは失礼な! 

 

 これも一応は仕事の一環だぞ!」

 

「あんたは仕事と言って、いつも飲んで酔っ払って帰ってきたんでしょうが!」

 

 そうやって二人は喧嘩を始めるのだが、それを止めるかのように、二人の前に座っている白野は口を開いた。

 

「何か困った事があるのか?」

 

「あんたの事で言い争っているの! 

 

 というよりも、あんたは何他人事みたいにしているのよ!!」

 

「いや、その、俺もあまりよく分からないから」

 

「よく分からないって」

 

「あぁ、みずき」

 

 白野の様子を見て疑問に思ったのかみずきは首を傾げる。

 

 そんなみずきに対して、伊達は笑みを浮かべると白野について説明を始めた。

 

「実はこいつには記憶がないんだ。

 

 どうも自分の名前以外何も覚えていないらしいんだよ」

 

「え? どういう事なのよ」

 

「まぁ、詳しい事情は、結構やばい所に突っ込むからな。

 

 今は、そういう事で、納得してくれ」

 

 伊達の言葉を聞いて、白野の方を見ると、その表情は未だに現実を直視していないのか、無表情のままであった。

 

 そんな様子にみずきはため息をつくと、改めて白野を見つめる。

 

 そして、しばらく見つめた後。

 

「もう良いわ。

 

 少なくとも伊達よりは素直そうで良いわ」

 

「俺よりも素直って、どういう事だよ」

 

「別に。

 

 という事で、今日からよろしく白野」

 

 そう言い、みずきは手を白野に向ける。

 

 それに白野は首を傾げるが

 

「握手よ、握手。

 

 何、そんな事も分からないの」

 

「それが、人間のルールなのか?」

 

「はぁ?」

 

 白野の言葉にみずきは再び呆れたような声を出す。

 

 だが、すぐに白野の手を掴むと、無理矢理手を握ってしまう。

 

 白野はその行動に疑問を感じたが、特に気にしない事にしたのか、黙ってしまう。

 

 そんな二人の様子を眺めていた伊達だったが、少しすると立ち上がる。

 

「さて、俺はそろそろ仕事に戻るとするか。

 

 後は二人で仲良くしろよ」

 

「ちょっと待ってよ! 私はまだ……」

 

「じゃあな、白野の事頼むぜ」

 

 そう言い残し、伊達はそのまま部屋から出ていく。

 

「たくっ、あいつはぁ! 

 

 もぅ良いわ、とりあえず白野、一緒に買い物に行くわよ」

 

「買い物?」

 

「そう、晩ご飯! 

 

 いや、外食もありか。

 

 今日は伊達の金で美味しいのを食べよう!」

 

「金を勝手に使うのは良くない事じゃないのか?」

 

「どうせ、あんたを放って、どっかに飲みに行ったんでしょ。

 

 だったら、私達も美味しいのを食べないと割に合わないでしょ」

 

「そういうもんなのか」

 

「そういうもん」

 

 みずきはそう言うと、白野を連れて部屋を出て行く。

 

 みずきはそのまま外食という事も兼ねて、この街の事を案内する事にした。

 

 街を案内している間、最初は少し不思議な雰囲気のあった白野に対しては苦手意識はあったが、目に映る物を珍しそうに見る白野に対して、子犬のような可愛さを感じてか、自然と笑みを浮かべた。

 

「ほら、ここがゲームセンターよ」

 

「これが?」

 

 白野は目の前にある大きな建物を見ながら呟く。

 

「ふふん、中々面白い所よ。

 

 色んなゲームがあるから、今度一緒にやってみましょうよ」

 

「……なぁ、みずき」

 

「なに?」

 

「あれは、一体、何をしているんだ?」

 

 そう、白野が指を指した場所。

 

 そこには1人の少年が、集団で虐められている様子だった。

 

「あぁ、あいつら、またぁ!!」

 

 それを見たみずきはそのまま集団の中へと突っ込んでいく。

 

「あんたら、また虐めをしているの!!」

 

「ひっひぃ!!」

 

「あのっみずきだっ」

 

 そのみずきを見た瞬間、恐怖に駆られたのか、その集団は一斉に逃げ出した。

 

「みずき、なんだか怖がられているようだったけど?」

 

 その様子を見ていた白野はそのままみずきに対して問いかける。

 

「んっ、少し前に他に虐めていたからね。

 

 全員の前歯を折った程度よ」

 

「なるほど」

 

 みずきがそう答えた直後、白野は納得したように小さく首を振る。

 

「それで、あんた、また虐められていたの、カコ?」

 

 そう、みずきは虐められていた少年に向けて言う。

 

「うるせぇ、今から、あいつらに復讐をしようとしていたんだよ」

 

「復讐って、どうやってよ」

 

「こいつでだよ」

 

 そう言いながら、カコが取り出したのは、何かの怪獣が描かれたUSBだった。

 

「何よそれ。

 

 そんなので「みずき、離れて」えっ?」

 

 みずきが呆れていると共に白野がみずきを守るように、前に出る。

 

 それに疑問に思っていると

 

【ゴルバー】

 

「これで、俺はぁ!!」

 

 その言葉と共に、ゴルバーという音声が鳴り響いたUSBをそのまま身体に押し込む。

 

 すると、カコと呼ばれた少年の姿が変わっていく。

 

 それは、軽く周りの建物を簡単に壊す事ができる程の巨体へと変わるが、何よりも変化したのはその姿だった。

 

 全身に岩石を彷彿とさせるディティールが見られる硬質的な外観に背中に赤い羽。

 

 それを見ると、まさに怪獣だった。

 

「何よ、これ、どうなっているのよ」

 

 あまりの光景に言葉を失うみずき。

 

 そんなみずきに対して、白野はみずきの手を握る。

 

「みずき、逃げるよ」

 

「えっ、うっうん」

 

 そのまま二人はその場から離れる事にした。

 

 そして、怪獣の姿になったカコは、そのまま周りの建物を破壊始める。

 

 一見、無作為に見える行為だが、その行く先には、みずきは気づいた。

 

「やばいっ、あの方向は」

 

「みずき?」

 

 みずきは何かに気づいたのか、足を止める。

 

「あっちは、さっきの奴らが逃げていった方向だ。

 

 カコの奴、あいつらを殺すつもりだっ」

 

 その狙いに気づいたみずきは慌てて白野を連れて走り出す。

 

 それと同時に、後ろから爆発音が聞こえてくる。

 

 振り向くと、先程まで居たゲームセンターが跡形もなく消えていた。

 

 どうやら、カコはゲームセンターで暴れた後に、さらに街の方にも被害を出す気らしい。

 

「早く行かないと」

 

「けど、今はみずきの安全が先だ」

 

「それがどうしたのっ!」

 

 そう言い、みずきは白野を睨み付けるように言う。

 

「すぐそこで誰かが殺されそうになっているのよ。

 

 それを見捨てたら、私は私を絶対に許さない! 

 

 だから、お願い、白野。

 

 あんたは先に逃げて」

 

「でも」

 

「大丈夫よ、私だったら、すぐにここまで走ってこれるから」

 

 そう言いながら、みずきは勝ち気な笑みを浮かべる。

 

 それを見た白野は

 

「みずき、本当は怖がっている」

 

「こっ怖がっていないわよ」

 

「けど、俺、みずきの事が好きになったみたいだ」

 

「はっはぁ!?」

 

 いきなりの告白にみずきは驚きを隠せずに目を見開く。

 

 そして、その表情を見てか白野は少しだけ微笑む。

 

 その笑みを見た瞬間、みずきは顔を真っ赤にする。

 

 まるで、恋する乙女のように。

 

 それを見た白野は

 

「だから、みずきの為に、戦うよ、俺」

 

「えっ、ちょ」

 

 何を言っているのか、分からず、戸惑っている間にも、白野が取り出したのは、先程のカコが使ったUSBと同じだった。

 

『Ultraman Trigger Multi Type!』

 

「白野っ!」

 

 それに驚きを隠せない中で、白野は懐から取り出したのは銃だった。

 

 SF映画に出てくるような近未来的であり、みずきは首を傾げてしまう。

 

『Boot up! Zeperion!』

 

 そうしている間にも白野はそのまま銃にUSBを挿入する。

 

 すると、銃の形は扇のように開く。

 

「未来を築く、希望の光!!」

 

 右手で持ち、掲げる。

 

「ウルトラマン……トリガーッ!!!」

 

 その叫びと共に、人差し指で変身トリガーを引く。

 

『Ultraman Trigger Multi Type!』

 

 鳴り響く音、それと共に白野の姿は変わっていく。

 

 その大きさは先程のカコのように徐々に巨大になっていくが、その大きさは怪獣と同じ巨大だった。

 

 しかし、その姿はカコのような怪獣ではなかった。

 

 ボディーカラーは銀を基調に赤と紫の2色を配し、胸元の光は菱形だった。

 

 胸部のプロテクターや手足のモールドには、古代の壁画を思わせる複雑な紋様が彫られており、どことなく東南アジアなどの仏像を思わせる雰囲気を漂わせている。

 

 その姿に、みずきは驚きを隠せなかった。

 

「あれって、確か、ニュースで出ていた」

 

 それは最近になって話題になっている巨人。

 

 最近、空想の産物とされていた怪獣と共に、その怪獣から人々を守った巨人。

 

 その名前は、なぜか判明されていた。

 

 その名をゆっくりとみずきの口から呟く。

 

「ウルトラマントリガー」

 

 そう、トリガーは怪獣であるゴルバーに向けて、構える。

 

 ゴルバーもまたトリガーの存在に気づいたのか、雄たけびを上げる。

 

 その声は大気を振るわせるほどの衝撃だった。

 

 しかし、その程度でひるむ事なく、トリガーもゴルバーに向かって走り出す。

 

 お互いがぶつかると同時に、その衝撃波によって周りの建物が吹き飛ばされていく。

 

 その光景を見ながら、みずきはただ呆然と見ていた。

 

 先程まで、自分の隣にいた少年が突然、巨大化して怪獣と戦っているのだ。

 

 あまりにも現実離れした出来事に、思考が追い付かない。

 

 そんな時、彼女の耳に聞こえたのは。

 

「たっ助けてくれ」

 

 それはカコを虐めていた少年の姿だった。

 

 彼は恐怖に怯えながら、必死に逃げていた。

 

 だが、その背後から迫る存在は、彼の命など簡単に奪う事が出来るだろう。

 

 そう思っていると、ゴルバーの拳がカコの背中に迫る。

 

 それに気づいたみずきは思わず叫ぶ。

 

「白野!!」

 

 みずきは同時に少年に向かって走りながら、トリガーに向けて言う。

 

 それに気づいたトリガーはすぐにゴルバーの動きを封じる。

 

 同時にみずきはその超人的な動きで逃げ遅れている少年を抱える。

 

「たっ助かった」

 

「どうでも良い! 

 

 さっさと逃げろ!」

 

「はっはいっ」

 

 みずきの怒声に少年は慌てて逃げ出す。

 

 それを確認した後、みずきはゴルバーを見る。

 

 その瞳は怒りに燃えており、彼女に狙いを変え、襲い掛かる。

 

 しかし、それは戦っている相手であるトリガーに対して大きな隙だった。

 

 トリガーはそのままゴルバーに向けて、回し蹴りを喰らわす。

 

 それによって、よろめいた所をさらに追撃として、連続で殴りつける。

 

 一方的に殴られ続ける事に苛立ったのか、ゴルバーはトリガーの攻撃を腕で防ぐ。

 

 そして、そのまま力任せに押し返す。

 

 その勢いで、トリガーは後ろに大きく跳ぶ。

 

 両腕を前に突き出し交差させてから大きく横に広げてエネルギーを溜める。

 

 すると、体中から赤い光が漏れ出し、やがてそれが両手に集約される。

 

 それを確認してから、一気にL字に構えて放つ。

 

 放たれたその光線は真っ直ぐとゴルバーに直撃する。

 

 光線が当たった箇所が爆発を起こし、それに巻き込まれないように、すぐにその場から離れる。

 

 そして、数秒後にゴルバーは爆散し消滅した。

 

 それと同時にトリガーの変身も解け、白野の姿に戻る。

 

「白野」

 

「みずき、勝てた」

 

「うん、勝てた。

 

 だけど、カコは」

 

 そう先程まで怪獣だったカコを心配する。

 

「大丈夫、あの少年は無事」

 

「えっ?」

 

 そう言い、白野はみずきの手を引いて、歩く。

 

 そこには、爆心地を中心に気絶しているカコがいた。

 

「どういう事」

 

「怪獣に変身しても、残ったエネルギーで、怪獣になった人間を元に戻せる」

 

「あんた、どうして、そんな事を」

 

「それは」

 

「そこからは、俺が話す」

 

 そう言い、みずき達は後ろを見る。

 

 そこには伊達が立っており、ため息を吐いていた。

 

「白野。

 

 みずきにはあまり事情を言うなと言ったはずだろ」

 

「ごめん。

 

 けど、緊急事態だったから」

 

「まぁ、そうかもしれないが」

 

「ちょっと、伊達」

 

 その会話の中である程度分かったみずきはそのまま伊達に近づく。

 

「どういう事か、説明してよね」

 

 みずきの威圧感に少し気圧されながらも、伊達は答える。

 

 その時、遠くの方でパトカーのサイレン音が聞こえてくる。

 

「とりあえず、詳しい話は署でやるぞ」

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