AI: ソムニウム ファイル the previous Trigger 作:ボルメテウスさん
その巨人は、一見、闇の巨人と変わらなかった。
鮮やかな青色に染まっている光るつり上がった目を見て、味方だと思う者は少なかった。
だが、そんな巨人は、既に力がほとんど残っていない白野の前に立っていた。
それは彼を倒す為ではなく、守る為に。
目の前にいる怪獣、デマゴーグから。
「キシャアアァァァ!」
同時にデマゴーグは起き上がる。
先程の巨人から受けた一撃は既に回復しているのか、再び向かって行く。
「ハアアァァ!」
それに対して、巨人は対抗するように走り出す。
互いに建物を大きく超える巨体。
それによって、走る度に地面はまるで地震を思わせる地響きが起きる。
そんな巨大な存在はやがてぶつかり合う。
体格では、デマゴーグの方が圧倒的に大きく、力が強い。
それを見た多くは、デマゴーグが勝ると思っていただろう。
だが
「ジュワァ!」
巨人はデマゴーグを軽く吹き飛ばした。
体格差など、まるで関係ないというように。
その光景に誰もが驚愕した。
そうしている間にも、巨人は既に次の行動に移していた。
その手には金棒状の武器があった。
まるで自分の手足のように、振り回しながら、再度デマゴーグに襲い掛かる。
しかし、それを喰らったデマゴーグも負けてはいない。
今度は爪を立てて、巨人の身体を引っ掻く。
巨人はそれを受け止めると、逆に押し返す。
そのままデマゴーグを蹴り飛ばす。
それでもすぐに立ち上がり、巨人に向かっていく。
「ムジナ!」
「えぇ」
だが、それよりも早く、巨人から声が聞こえる。
それは、同じくトリガーに変身していた白野しか聞こえなかった。
その声の主は、目の前にいる巨人からだった。
『レイキュバス! モンスロード!』
鳴り響く音声と共にデマゴーグに向けて、巨人は武器を向けた。
同時に武器からは光の玉が現れる。
それと共に光の玉はやがて形が現れる。
エビとカニを合成したような外見で、前脚はシオマネキのような左右非対称の大きさのハサミ。
そう、巨人が召喚したのは、怪獣だった。
「かっ怪獣!?」
驚きを隠せない中で、レイキュバスと呼ばれた怪獣はそのままデマゴーグに目を向けた。
同時にその口から炎を放った。
「ジュワァ!」
それに反応して、巨人は飛び上がり、デマゴーグに命中する。
その威力は凄まじかったようで、爆発に巻き込まれたデマゴーグはそのまま地面に倒れた。
だが、まだ完全に倒れている訳ではないらしく、立ち上がろうとしている。
しかし
『レイキュバス! モンスアタック!』
鳴り響く音声と共に、巨人の右腕にレイキュバスが纏う。
巨大なハサミとなったそれを真っ直ぐとデマゴーグに向けながら
「「レイキュバスシザーズバスター」」
巨人の、その叫び声と共に、炎と冷気が入り交じった一撃を真っ直ぐとデマゴーグに放たれる。
放たれた一撃にデマゴーグは耐えきれず、そのまま倒れる。
そして、その姿のまま消えていく。
同時に巨人の姿もまた、消えるようにいなくなった。
後に残ったのは、静寂だけだった。
「あれって、一体なんなんだ?」
そう言いながら、白野はトリガーから、元の姿へと戻る。
同時に
「白野!」
「あっうっ」
姿が戻った事で、みずきが近づいていた。
「あんた、また無茶をして!」
「ごっごめんなさい」
みずきからの怒りの声に思わず白野は小さくなってしまう。
「とにかく、無事で良かった。
だけど」
「さっきの巨人は一体」
そう、白野もまた疑問に思った。
「あっいたいた。
君だね」
そうして、後ろから声が聞こえ、振り返る。
そこには、白野が知らない人物だった。
その青年は一言で言えば、どこにでもいる普通の青年だった。
衣服なども変わった所はない。
だが、その声はどこか聞き覚えがあった。
「この子が、ウルトラマン」
それと共に青年の後ろにいたのは白い軍服を身に纏った女性だった。
容姿端麗な見た目をしており、それにはみずきも驚きを隠せなかった。
同時に白野も首を傾げる。
「えっと、どこかで?」
「さっき会ったばかりだからね」
その一言に、一瞬、首を傾げる。
だが、驚きに目を見開く。
「もしかして」
「そう、俺がさっき戦った巨人。
ウルトラマンジードこと、朝倉陸。
それでこっちは俺の相棒で、その恋人の」
「ムジナ。
よろしく」
「ウルトラマン?」
「ジード?」
その言葉に、白野もみずきも首を傾げる。