AI: ソムニウム ファイル the previous Trigger 作:ボルメテウスさん
朝倉陸が、この世界に来てから1週間。
その間、彼らはほとんどをウルトラマンを見る事に費やしていた。
その事に関して、みずきは思わずジト目で見る。
「これ、本当にパワーアップに繋がるんですか?」
「さぁ?」
そう言いながらみずきは、この家で居候をしているムジナに話しかける。
「正直、陸は暴走している事があるからね」
「本当に、その様子だけど。
でも、本当に学んでいるの?」
そうしながら、白野は、何かを関心していた。
「そうか、力の側面をそこしか見ていなかった。
だからこそ、考えるべきなのは」
「えっと、白野?」」
そうしていると、何か聞こえた。
その地響きと共に見つめた先には赤い闇の巨人ダーゴンだった。
「あれは、ダーラム!
いや、この世界で言う所のダーゴンか」
『我が友よ。
今こそ、決着をつける時だ』
「ダーゴンが、呼んでいる。
決着をつける為に」
「……だったら、学んだ事を活かせるか?」
その言葉に、白野は頷く。
同時に白野は、その手にグリッタートリガーエタニティキーを取り出す。
『Glitter Trigger Eternity! Boot up! Glitter Zeperion!』
「宇宙を照らす、超古代の光!! ウルトラマン……トリガアァァーッ!!!」
『Glitter Trigger Eternity!』
ウルトラマントリガーへと変身した白野はゆっくりと深呼吸を行いながら、自身の力を見つめる。
黄金の、宇宙を作り替える程の力を秘めているエタニティコアの力。
その一部とはいえ、所有している事で発揮されるグリッタートリガー。
その力をこれまで使いこなす事ができなかった。
エタニティコアの強力な力に振り回されるような感覚。
その力は今でも残っている。
だが、その強力な力に対して、白野は今、一つの理解を得ていた。
「……そうか」
それは先程の戦いの中で得たもの。
あの時、白野はグリッタートリガーの力を振るうと同時にある事を思っていた。
──この力で、皆を守りたい。
自分の大切な仲間達を、自分の居場所を守るために、グリッタートリガーの力で。
その思いと共に朝倉陸が、ウルトラマンを通して教えてくれた。
強大な力を持つ力には責任が伴うと。
だからこそ、グリッタートリガーという強大な力に飲み込まれないよう気を付けなければならない。
そして何より、今の白野は理解していた。
「グリッタートリガーは僕自身なんだって」
グリッタートリガーは確かに凄まじい。
だが、それをずっとエタニティコアの力という面しか見ていなかった。
だから、エタニティコアの力を引き出せなかった。
けれど、違うのだ。
グリッタートリガーもエタニティコアの一部なのだから。
「ほぅ、良い目をしたな、我がライバル」
そう、目の前にいるダーゴンが白野に言う。
「裏切り、光へとなり、どのように変わったのか、この豪腕の前に見せてみろ」
そうダーゴンは身体から暴れ出る闇と共にこちらに向ける。
それに対して、白野もまた、身体から黄金の光を出しながら構える。
力を完全にコントロールし、そして使う。
それができるまで、グリッタートリガーで戦う。
「いくよ、友よ」
そう白野は静かに呟くとダーゴンはどこか笑った気がした。
次の瞬間、大地を響かせながら、二人は激突する。
『ゴォアァッ!!』
まず最初に動いたのは、白野だった。
今までのよう力任せではないが、確かな全力で放つ拳を放つ。
それに対し、ダーゴンはその巨大な右腕を振り上げ、迎え撃つ。
両者の攻撃がぶつかり合い、周囲に衝撃波が生まれる。
だが、それだけでは終わらない。
互いに互いの攻撃を弾き飛ばすようにしながら、両者は間髪入れずに動き出す。
ダーゴンの右拳による一撃に対し、白野は左腕を振るう。
白野の腕に纏われた金色の光が刃となって放たれた斬撃となる。
それにダーゴンは拳で対抗しようとする。
しかし、斬撃に対して拳をぶつけるのは危険だと判断したのか、ダーゴンは即座に回避行動を取る。
それを見た白野は追撃を行うべく、地面を踏み抜く。
まるで爆発が起きたかのような衝撃を生み出し、それと同時に白野は一気に加速すると、そのままダーゴンへと迫る。
しかし、ダーゴンは地面を大きく両手で叩く。
その衝撃で地面は大きな土の壁を生み出す。
白野はそれを見て止まる事無く跳躍を行い、壁を乗り越えると、その勢いのまま蹴りを放った。
「ぐっ!?」
流石にこれは予想外だったのか、ダーゴンは苦悶の声を上げる。
吹き飛ばされそうになるものの、両足で踏み止まり、耐え切る。そんな彼の様子に白野は着地してすぐに、再び走り出した。
──もっと速く!! その想いと共に駆け抜ける白野はさらに速度を上げて、突き進む。
ダーゴンもそれに応じるかのように拳を放ち始めた。
次々と繰り出される拳に対し、白野は全てを捌き、時には受け流す。
そして、カウンターとして拳や足を叩き込む。
そこから更に戦いの流れが変わった。
互角の戦いを繰り広げていた二人だったが、徐々にではあるが白野の動きについていけなくなったダーゴンは徐々に押され始める。
「面白いぞ!
あの頃よりも、この時代に蘇った時よりも、強くなっているぞ、我が友よ!」
ダーゴンは楽しげな声を上げながらも、白野の攻撃を防ぐ。
けれど、それは段々と余裕がなくなり始めていた。
「そうだ、それでいい!!」
ダーゴンは声をあげつつ、拳を構えて、振り下ろす。
それにより生み出された衝撃波と衝撃波がぶつかり合う事で周囲を覆う。
それと共に互いに大きく離れる。
同時にダーゴンは、両腕でエネルギーを発生させたのち、右腕を炎の衝撃波を真っ直ぐと白野に向けて放つ。
『Power Photon!』
それと共に、白野もまたグリッターブレードを回転させ、赤いクリスタルを合わせて発動する技。
思い切り地面を踏み込んで跳躍し、グリッターブレードの刀身に赤いエネルギーをまとわせた刺突を放つ。
互いの攻撃はぶつかり合う。
「「はああああぁぁ!!!」」
互いの必殺技であり、その競り合いに負ければ、勝負が決する。
だからこそ、二人は譲れないのだ。
そこで両者は気づく。目の前にいる相手と戦う事に楽しさを感じている事を。
だからだろう、先程までの拮抗した状態が崩れたのは。
白野は鍔迫り合いの状態になりつつも、僅かに身体を前に出すと、少しずつだが押し始めていく。
そして、ついに、白野の一撃は、ダーゴンの衝撃波を切り裂く。
「ふっ、さすがだ」
ダーゴンはその一言と共に、白野の一撃を受け止める。
光に包まれながらも、ダーゴンが最後に感じたのは、戦士として敗北した事による喜びだった。
そして、その一撃に包まれたダーゴンは光の中へと消えていった。
「……」
光となり、ダーゴンは、空へと消えていく。
その瞬間を見ていた白野は、見届けるように、空を見つめていく。