AI: ソムニウム ファイル the previous Trigger 作:ボルメテウスさん
その場所は、アビスの中にある施設にある研究所。
そこにある椅子に伊達は座っていた。
「それで、検査の結果はどうだったのピュータ」
そう言いながら尋ねた1人の女性。
ABISの指揮官を務めている女性。
アビスにいるボスは目の前にいる研究員であるピュータに尋ねる。
「そうですね、極めて正常としか言いませんね」
そう言いながら、ボスからの言葉を答えるようにピュータもまた頷きながら言う。
「それで、伊達君。
本当に、闇の巨人になったのね」
「あぁ、正直言って、俺も困惑しかないが」
それと共に伊達を含めて、全員が先日の事件での戦いを思い出す。
白野が怪獣との戦いに苦戦をしている時に、伊達が所持していた謎のGUTSハイパーキー。
そのGUTSハイパーキーには、かつて白野が変身していた姿であるトリガーダークの力が込められていた。
苦戦し、戦いに負けそうになった白野を助ける為に、伊達は咄嗟にそのトリガーダークのGUTSハイパーキーを使用した事によって、その身をトリガーダークへと変身した。
トリガーダークへと変身し、戦いを終わった後に、その身体に異常はないのか、アビスで詳しい身体検査を行われた。
結果、その身体には異常はなかった。
「アイボゥの方は何か分かったの?」
「戦闘中の記録は一応残っていますけど、観測した所、身体的には何も問題ないようです」
「身体的には?
つまりは、精神的には何か負担があるの?」
ピュータの一言に気になったボスは思わず尋ねてしまう。
「闇の巨人の力に関して、未だに未知な部分が多いです。
だけど、未だにGUTSハイパーキーを使用した者は、その力に強い依存性があると考えて良いでしょう」
「それは、つまり、俺にもその依存があるのか?」
それに気になった伊達はそのままピュータに尋ねる。
「核心を持っては言えません。
けど、このトリガーダークの力は伊達さんに強力な力を与える代わりに巨大な破壊衝動を引き出します。
そして、それがあまりにも強い場合は使用者の精神に大きなダメージを与えます。
だから、このGUTSハイパーキーは使用しない方が良いです」
「確かにな。
変身した時の僅かな間でもな」
そう言いながら伊達は自分に起きた現象を思い出した。
自分が初めて闇の巨人への変身した時、少しの間だけでも正気を失い掛けた事を、そんな状況ではまともに戦えるはずもない。
それを考えるならば、確かに他のGUTSハイパーキーを使うよりも危険性が高いと言えるだろう。
だが、それでも、自分はあの時のような恐怖感を感じてはいなかった。
「どうかしたか、伊達?」
そう言いながら、検査が終わり、迎えに来た白野がいた。
「いいや、なんでもない」
その言葉と共に伊達は不敵に笑みを浮かぶ。
今、自分が使っているトリガーダーク。
その闇は、元々は目の前にいる少年そのものだからだ。
僅かな間だが、伊達は確かに白野の事を息子のように感じていた。
だからこそ、これまでは様々なメカで、白野を支援してきた。
だが、それでも白野を前線で戦い続けさせたのは変わりなかった。
「ピュータ。
これの調整はできないか」
「なっ、何を言っているんですか。
さっきの話を聞いていたんですか!」
そう、トリガーダークキーを再度使えるように、相談する。
「あぁ、暴走する可能性はある。
そんなのは百も承知さ」
「だったら、なんで」
「子供1人で戦わせる訳にはいかないだろ。
俺は、一応はこいつの保護者だからな」
そう、伊達は白野の頭を撫でる。
白野は戸惑いながらも嬉しさがあったのか照れているようであった。
そんな様子を見て、思わず微笑ましく思ってしまうボスとピュータであったが、すぐに表情を引き締め直す。
トリガーダークの力は強力であるが、危険な代物でもあるのだ。
「危険は承知なのね」
「あぁ」
ボスは伊達に再度忠告するように、言うと、それに対して、伊達は大きく首を縦に振る。
もし、再び闇の巨人へとなった場合のリスクを考えれば、確かに危険を伴うであろう。
しかし、それ以上に伊達の気持ちが強くなっていた。
「どうやら、決意は固いようね。
ピュータ、頼めるかしら」
「はぁ、本当に、こういう無茶ばっかり」
そうボスからの言葉を聞き、ピュータは渋々といった様子で調整に入った。
それは、この場での決断と言うよりは、むしろ諦めに近い感情によるものだ。
そんな時だった。
「伊達警部はここにいるか」
「えっ?」
突然、アビスに入って来た人物。
それは、同じく警部だと思われる人物だった。
「何の用かしら?」
「お前に殺人容疑で逮捕する」
「殺人?
それって、どういう事かしら」
ボスはそのまま問いかけるように、警部に話を聞く。
「数時間前、伊達警部だと思われる人物がナイフでの殺人を行っていたのを目撃した」
「ナイフ?
そんなの、俺は持っていないぞ。
第一、俺は数時間前からずっとここで検査を行っていたぞ」
そう伊達はアリバイを話した。
だが
「身内同士で固めている可能性があるからな」
「そこまで言うならば、その証拠を見せてくれるわよね」
「ちっ、これだ」
その言葉と共に、警察官の1人が持っていたタブレットをそのまま渡す。
全員が、それに覗き込むように見る。
そこに映っていたのは、確かに伊達だと思われる人物だった。
ただ違うのは、伊達が浮かべるとは思えないような狂気的な笑みを浮かべながら、その手にはダガーを持っていた。
伊達達からしたら、その人物は
「犀人」
そう、呟いた。
だが、そんな彼らとは違う意見が白野から出た。
「こいつ、ヒュドラムだ」
「ヒュドラム?
それって、あの青い奴か?」
「あぁ、けど、なんで伊達の姿に?」
白野はすぐに首を傾げる。
だが、伊達は同時に納得するように言う。
「あの事件を知っていると言う事か」
「事件?」
何を言っているのか分からず、白野は思わず首を傾げる。
それは、未だに白野が知らない、伊達の過去にまつわる事件を。