AI: ソムニウム ファイル the previous Trigger 作:ボルメテウスさん
闇の巨人からの侵略の脅威が去ってから、既に7年の月日が経った。
あの頃は小学生だったみずきも、現在は成長し、既に卒業を間近に控えている高校生となっていた。
腰まで伸びた三つ編みの美少女と言う事もあってか、街に出ればナンパをされる事はあるが、その高すぎる身体能力を見て、ビビってしまう者は多くいる。
何よりもみずき自身は小学生の頃に約束した恋人である白野の帰りを今も待っている。
「それにしても、これ、本当にどうなるのよ」
そう呟きながら、上を見上げる。
古代からの闇の巨人からの侵略。
それを乗り越えた後に、まるで立て続けに起きるように、新たな脅威であるスフィアが現れる。
その生態系は未だに謎であり、現時点での地球で対抗する勢力は数少ない。
みずきが現在所属している組織であるABISもまた、スフィアの侵略に対抗する為に日々奮闘をしているが、未だにスフィアの目的が見えない。
しかし、このままではいずれ、人類は滅ぶかもしれない。
だからこそ、今は少しでもスフィアの情報を集める必要があった。
だが、それでもまだ足りないのだ。
何よりも白野が目覚めるまで戦う。
それまでに出来る限りの事をしておかなければ。
「……ん?」
そんな時だ。
みずきの持つ携帯から呼び出し音が聞こえる。
その電話が誰なのか、疑問に思い、出る。
「もしもし?」
「みずき、聞こえるかしら?」
聞こえた女性の声。
それはみずきが所属しているABISのボスだった。
本名は未だに聞いていないが、それでもみずきにとっては昔から世話になった相手だった。
そんなボスが何を連絡するのか、疑問に思う。
「先程、スフィアが新しい動きが見られたわ。
奴ら、本格的に侵略を始めるわよ」
「なんですって!」
見上げれば、遠くだが、確かにスフィアの大軍がいた。
おそらくは、それに対抗する為の招集だと思い、すぐに愛用の原付に乗り込む。
「あなたにはすぐに向かって欲しい所があるの」
「向かって欲しい所?」
それに疑問に思い、首を傾げる。
「エタニティコアが隠されている山。
スフィアはそこに向かっているわ」
「エタニティコアっ!」
それを聞くと、みずきは目を見開く。
未だに白野が目覚めない中で、エタニティコアに接触すれば、どうなるのか。
それはみずきでも容易に想像する事ができる。
宇宙開闢と同等のエネルギーを秘めるとされるエタニティコアを取り込めば、スフィアはもうこの地球で勝てる相手はいない。
そして、もしも制御が失敗すれば、この地球が消滅する危険性もある。
「だから、あなたにはエタニティコアを、白野を守る為に向かって欲しいわ」
「分かったよ、ボス!」
ボスからの言葉を聞いたみずきはそのまま電話の電源を切り、そのまま行く先をエタニティコアが封印されている山に向けて、走らせた。
頭上では、ボスの言うようにスフィアがエタニティコアを探すように飛んでいるのが見えた。
(私達が戦っている間、白野を狙うなんて……)
ボスからの電話で白野が狙われている事を知らされた時、みずきの心の中に怒りが込み上げてきた。
それは白野の恋人として当然の事だ。
しかし、今はその感情を押し殺してでも、スフィアを止める為に、エタニティコアがある場所に走らせる。
やがて、エタニティコアがある場所まで来る。
同時に、見ると、エタニティコアがある入り口までスフィアが迫る。
「やらせるか!」
同時にみずきは腰にある銃、GUTSスパークレンスを手に持ち、真っ直ぐとスフィアに向けて引き金を引く。
それと共にGUTSスパークレンスから放たれた光線を真っ直ぐと放った。
放たれた光線で、スフィアは爆散する。
だが、それによって、スフィアの大軍はすぐにみずきに狙いを定める。
「さぁて、暴れますかぁ」
そう言い、GUTSスパークレンスを構えながら言う。
それを合図に、スフィアは次々とみずきに向かって迫る。
「うわっと!?」
その数の多さに驚きながらも、なんとか回避しながら、その銃口を真っ直ぐと放つ。
それによって、何体かスフィアが爆散していく。
すると、スフィア達は一斉に飛びかかる。
だが
『BOOSTUP! TORNADO』
その音声と共に、GUTSスパークレンスから放たれた弾丸。
それはまるで台風を思わせる竜巻を発生させて、みずきに迫っていたスフィア達を吹き飛ばす。
それだけで終わらず、他のスフィアに直撃し爆発四散させる。
そして……
『BOOSTUP!』
再び聞こえてきた音声。
それと同時に、GUTSスパークレンスの銃口が赤く光り輝いた瞬間。
そこから光線を放つと同時に竜巻も発生させて周囲のスフィアを巻き込んでいく。
それにより吹き飛ばされていくスフィア。
「よしっ!」
思わずガッツポーズを取る。
これでスフィアを一掃できたかと思ったのだが……。
「やはり、邪魔をするか」
「っ」
聞こえた声と共に振り返れば、そこにいたのは仮面の男だった。
「あんたは」
「スフィア、いや、新たな救世主だよ」
そう、狂気染みた言葉と共に近づく。
みずきはすぐにその手にあるGUTSスパークレンスを構える。
だが、そんなみずきの行く手を阻むように次々とスフィアが襲い掛かってくる。
「くぅう!?」
咄嵯に回避するが、避けきれずに吹き飛ばされてしまう。
そして、地面に倒れ伏すみずきに向かって容赦なく光弾を放つ。
だが、みずきはすぐにその攻撃を避けるが、仮面の男は既にエタニティコアへと手を伸ばした。
「止めろ!!」
そう、GUTSスパークレンスの銃口を向けて叫ぶも、男は意にも返さずエタニティコアに手を伸ばす。
「……邪魔をするなら容赦しないぞ?」
「くっ! 私はお前達の好きにはさせない!」
「ふん。貴様らがどう足掻こうとも無駄だ。この俺がいる限りなぁあああ!! さぁ、エタニティコアよ、俺に力を!!」
その叫びと共にスフィアが次々とエタニティコアに近づく。
エタニティコアから発する光に対して、スフィアは次々と爆散していくが、着実に力は吸収される。
同時に吸収したスフィアはそのまま仮面の男へと集まり、その姿が変わる。
そこに立っていたのは、トリガーだった。
しかし、白野が変身するトリガーとは違い、目付きは釣り目に見えるよう黒く縁取られているという違いがある。また、普段は青い目をしている。
「悪のトリガー。
イーヴィルトリガーと言った所ね」
「イーヴィルとは酷いじゃないか。
私は、この世界を一つにする為に活動するだけだ」
「一つですって?」
その言葉にみずきは首を傾げる。
「あらゆる人々は一つになる事で、その争いを無くす事ができる。
だからこそ、私達はスフィアで一つになり、永久の平和を手に入れる」
「そんな平和、考えられるか!」
イーヴィルトリガーの言葉に怒りを覚えたみずきはそのままGUTSスパークレンスの引き金を引く。
放たれた弾丸は、イーヴィルトリガーに当たるが、まるでダメージがない様子だ。
「ならば、ここで死ぬが良い」
その言葉と共にイーヴィルトリガーはその右腕から放つ紫色の光弾でみずきに攻撃を行う。
「ぐっ」
その攻撃によって、みずきは吹き飛ばされてしまう。だが、倒れずになんとか踏ん張った。
「どうした? もう終わりか?」
イーヴィルトリガーはそう言うと今度は左腕からも光線を放とうとする。
「白野」
そう、静かに呟く。
それと同時だった。
エタニティコアの光が強くなる。
それと共に、みずきに放とうとしたイーヴィルトリガーに向けて、拳が飛んできたのだ。
それは光輝く手甲を装着した腕であり、その一撃を受けてイーヴィルトリガーは大きく仰け反り、そして吹っ飛んだ。
「ぐぉ!?」
何が起きたのかわからないイーヴィルトリガーはそのまま地面に叩きつけられて倒れる。
そこに追撃をかけようと光の戦士が迫る。
「貴様……!」
その姿を見てイーヴィルトリガーは睨み付ける。
そして、みずきは笑みを浮かべる。
「お待たせ」
そう、現れた光の巨人、トリガーだった。
そして、トリガーから聞こえるのは、みずきにとっては待ち望んでいた人である白野の声だった。
「あんたは本当に、遅いんだから!」
文句を言いながらも、その顔は笑みを浮かべていた。
「トリガーっ、まさかここで復活するとは」
そう、イーヴィルトリガーは構える。
「お前が何者かなんて、関係ない。
今はただ、みずきを傷つけたお前を、許さない!!」
そう、トリガーは駆け出す。