AI: ソムニウム ファイル the previous Trigger 作:ボルメテウスさん
「ここが、私の行きつけの店よ!」
そう言いながら、みずきが白野の手を引きながら、連れてきたのは、一つの店だった。
そんな白野は小さな隠れ家を思わせる喫茶店であり、その雰囲気に首を傾げる。
「どういう店?」
「ここのケーキはね、とっても美味しいのよ!
最近開店した店で、シャルモンというの」
それと共にみずきはそのまま店の中へと入っていった。
「いらっしゃい!
あら、みずきちゃんじゃない。
そっちの坊やは初めてね」
そう言いながら、店の中に入ると共に、白野を出迎えたのは、鍛えられた体格とスキンヘッドという出で立ちながらもバサバサのつけまつ毛を付け、やや上品なオネエ口調で喋る人物だった。
「初めまして、白野です。
みずきのお世話になっています」
「まぁ、もしかして、みずきの彼氏!
見てみると、なかなかに良い男じゃない」
「凰蓮さん。
白野は私の所の居候よ。
別に彼氏じゃないんだから」
「あら、そうなの。
けど、ワタクシの目から見ても、とっても良い子だと思うわよ。
白野君、みずきの事をこれからもよろしくね」
「はい」
それと共に凰蓮と呼ばれた男性(?)が指先を向けると、そのままテーブル席まで案内される。
だが、みずきの方はやや不満げな表情を浮かべていた。
「まったく、凰蓮さんはそういう所があるから」
「ねぇ、みずき」
「何よ」
「彼氏って、どういう意味」
「あぁ」
それと共に白野の質問を聞くと、みずきは少し呆れたような声を出す。
「もしかして、そこまで知らないの。
彼氏って言うのは、恋人の事を言うのよ」
「じゃあ、みずきは僕の事が好き?」
「ちょっと、いきなり何を言ってんのよ!」
唐突な発言に対し、慌てるみずきを見て、白野は首を傾げた。
「違うの? 僕はみずきと一緒にいて楽しいし、好きだけど」
「いや、それは私も同じだけれど、そういう意味じゃないから。
あぁ、もぅややこしい!!」
天然な言動が目立つ白野に対し、みずきは頭を掻きむしりたくなる衝動を抑え込むと、大きく深呼吸をした。
そして、白野の隣へと座ると真剣な目つきとなる。
それを不思議そうに見つめている白野に対して、みずきは呆れていると。
「お待たせ、さぁ今日はワタクシからのサービスよ!」
その言葉と共に運ばれたケーキとドリンク。
だが、それは普通のではなく、まるでカップル専用を彷彿させる物であった。
「ちょっ、凰蓮さん!!」
「それでは、ワタクシはここで」
「待て、オカマ!!」
みずきの言葉を無視し、ウインクすると凰蓮はそそくさと奥の部屋へと消えていく。
その様子を見て、唖然とするみずきを余所に
「これがケーキ。
うん、美味しい」
白野は運ばれてきたショートケーキを口に運ぶ。
すると、口の中で溶けるような食感に驚きながらも、幸せそうな笑みを浮かべた。
その姿を見た瞬間、みずきの顔が呆れてしまった。
「あんたねぇ」
「みずきも食べてみたら」
その言葉と共に白野は自分のケーキをみずきに渡した。
「えっちょ」
その天然な行動に戸惑うも、目の前の光景を見て、苦笑いをしながら受け取ると。
そのままフォークを使って口に運んだ。
「どう?」
「おっおっ美味しいわっ」
一口食べると、みずきは思わず感嘆の声を上げる。
「……みずき」
「えっ白野」
そんなケーキの感想をしている間に、白野はみずきの顔に近づいていた。
その突然の行動に驚きを隠せなかった。
ゆっくりと、目の前に迫っている白野に視線を向ける。
その瞳は何かを訴えるように、ジッと見つめていた。
そのまま頬に手を当てると、顔を引き寄せて
「あれ、なんだか怪しくない」
「へっ?」
その言葉と共に白野はみずきの顔を変えて、窓の外を見せた。
そこには地味な格好をしている学生があり、その様子は明らかに可笑しかった。
「もしかしたら、GUTSハイパーキーを持っているかも。
みずき、一緒に、みずき?」
「っ」
一瞬、キスをすると思っていた事もあったのか、慌てて顔を背ける。
その姿を見て、白野がキョトンとした顔で見つめていた。
それを見ると恥ずかしくなったのか、赤面した表情を見せると。
みずきは大きく咳払いをして、誤魔化す様に言った。
「えっと、それで、あいつね?」
そう言いながら、白野に誤魔化すようにみずきは窓から見える人物の事を訊ねる。
すると、白野が静かに窓の方を見つめる。
そこに映っている人物はオレンジ髪の人物であり、その手には確かにGUTSハイパーキーがあった。
「行くわよ、白野!」
「うん。
えっと、料金料金」
そう言いながら、白野は懐から金を出して、そのまま店kら出て行く。
そのオレンジ髪の人物を尾行するように、2人は足を進めた。
そして、数分後、少年が辿り着いたのは、どこかの会社だった。
「父さんも母さんも、認めてくれないならば、ここで潰してやるっ」
そう言うと同時に、少年は扉を開いて中に入っていった。
それを見て、2人も社内へと侵入していこうとした。
「行こう」
「えっうん」
白野の声に答えるように、ミズキも共に室内へと入っていく。
「アジサイ、なんでここに」
そこにはオレンジ色の髪をした青年、アジサイの父親だと思われる人物が向き合っていた。
見れば、どこにでもいる普通のサラリーマンであり、アジサイが来る事は予想外だった。
「父さん、俺、前にも言っただろ。
もっとファッションとして、ピアスやタトゥーを認めて欲しいって。
それがどうして分からないんだよ」
「何度言われても、それはダメだ」
そう言うと、アジサイは悔しそうな表情となる。
だが、父親である男性は溜息を吐くと、諭すような声音で言う。
「そんな事をすれば、お母さんが悲しむだろう。
それぐらい、お前だって分かっているはずだ」
「分からねぇよ!
なんで、いけないんだよ、最高にクールだろうが!」
「そんな一時の感情で、身体を怪我したらどうするんだ」
そう言っている間にも、アジサイは怒りを抑えられずに叫んだ。それはまるで、自分の思い通りにいかず、駄々っ子のようにも見えた。
「だったら、無理矢理でも、認めさせてよる!」
その言葉と共に、GUTSハイパーキーを取り出した。
【ムカデンダー】
鳴り響く音声と共に、アジサイはそのまま自身の身体にGUTSハイパーキーを差し込む。
同時にアジサイの身体は光ると共に、徐々に巨大化していく。
「あぁ、もぅ!」
それを見たみずきは懐にあるGUTSハイパーキーを取り出し、ガッツスパークレンスに挿入する。
【ブーストアップ! クトゥーラ】
「やるんだったら、外でやりなさいよねぇ!!」
その言葉と共に徐々に巨大化しそうになっているアジサイの身体は銃口から出たエネルギーの触手に掴まれ、そのまま外へと投げ飛ばす。
「白野!」
「うん」
みずきの言葉に合わせるように、同時に白野はそのまま外へと飛び出す。
『Ultraman Trigger Multi Type!』
『Boot up! Zeperion!』
そうしている間にも白野はそのままガッツスパークレンスにウルトラマントリガーのハイパーキーを挿入する。
「未来を築く、希望の光!!」
右手で持ち、掲げる。
「ウルトラマン……トリガーッ!!!」
その叫びと共に、人差し指で変身トリガーを引く。
『Ultraman Trigger Multi Type!』
ウルトラマントリガーへと、変身した白野はそのまま目の前の怪獣と向き合う。
そこには、その名の通り、百足を思わせる胴体を持つ怪獣、ムカデンナーは両手に持つ鞭を振り回しながら、近づく。
仕掛けられる鞭の攻撃を、両腕を十字に構えることで受け止める。
するとムカデンナーが笑うように口を広げた。
直後、口の中に炎の球を白野に向けて、放つ。
白野は反射的に腕を振るった。
両腕を交差して、振るうことで火球を打ち返す。
打ち返された火球がムカデンナーの横を抜け、ビルに命中した。爆発が起こり、周囲が熱気に満たされるが、構わず白野は駆け出す。
「っ」
自身の防御で、火事が起きてしまった事に動揺を隠せない白野。
だが、そんな彼の動揺を知らないとばかりにムカデンナーは鞭を伸ばして、その先端にある刃を白野に向ける。
それを横に飛ぶことで回避する白野だったが、ムカデンナーはすぐさま鞭を戻し、今度は振り上げるようにして白野を狙う。
縦横無尽に動くムカデンナーの攻撃をどうにか避けるが、反撃に出られない。
そこに、再び火球が襲い掛かる。
今度は横へ跳躍することで逃れるが、直後に、地面が爆ぜた。
どうやらムカデンナーはこちらの動きに合わせて、先ほどの火球を放っているらしい。
それを悟った白野は、ムカデンナーが放った火球を拳で叩き落とす。
今度は被害を抑える事ができたか、不安になる。
そんな白野の隙を狙うように、ムカデンナーの鞭が白野の首を締める。
「ジュワッ」
声を上げて白野は首を絞められた状態のまま、地面に倒れ込む。そのまま首を持ち上げられ、宙吊りになった状態でムカデンナーの攻撃を受ける。
腹部を殴打され、胸部を蹴り飛ばされる。
それらの攻撃を受けながら、その胸にあるカラータイマーは青から赤へと変わり、点滅を始めた。
鳴り響くカラータイマーを聞こえながらも、拘束を抜け出す事ができない。
その時だった。
ムカデンナーの鞭を切り裂く光が現れる。
光は、そのまま白野の前に辿り着く。
疑問に思いながら、白野は、その光に手を伸ばす。
【サークルアームズ!】
光の中から、音が聞こえると共に、それは完全に姿を現す。
丸い輪に鋭い刃が生えた形状をしており、刃は完全に閉じた状態となり、一本の刀身を形作っている。
何よりも記憶のない白野たが、そのサークルアームズを握ると驚く程に手に馴染んでいた。
同時にムカデンナーは再び、鞭を使い、白野に襲いかかる。
瞬時にサークルアームズを振り上げると共に、その切れ味は鋭く、いとも容易くムカデンナーの鞭を切り裂く。
更に追撃として、振り上げたサークルアームズをそのまま一回転させてムカデンナーの胴体を切る。
横に真っ二つとなったムカデンナーは悲鳴を上げ、身体を震わせる。
だが、それも束の間である。
切り離された首と胴体がそれぞれ別々に動き、白野に襲いかかる。
【Maximum Boot Up! Multi!】
しかし、それよりも早く、サークルアームズの刀身に目映い光の刃を作り出すと共に、白野はその場で回転斬りを行う。
まるで竜巻のような一撃によって、ムカデンナーの首と胴体はバラバラになり、倒れる。
白野は倒れたムカデンナーを眺めつつ、その腕を下げる。
するとサークルアームズも光となって消えていく。
やがて、ムカデンダーとなっていたアジサイはそのまま元の身体に戻っており、その近くにみずきが来ていた。
「あんたさぁ、ピアスやタトゥーを入れたら、両親が悲しむ事なんて、分かりきっていたでしょ」
「そんなの、知っているよ!
けど、外国では常識で、格好良いじゃないか」
「あのねぇ、日本じゃ、まだそんなの受け入れられていないの!」
言い争いをしている中、白野が近づいてくる。
「喧嘩は駄目だよ。仲良くしないと」
「白野はぁ」
そう言いながら、白野はそのままアジサイの近くにいく。
「ピアスやタトゥーは分からないけど、それって身体を傷つけてまでやる事?」
「お洒落には、必要な事だから」
「うーん、俺には理解できないな」
苦笑しながら、白野は答えた。
「だったら、心配されないようなお洒落にしたら。
ピアスやタトゥーに拘るだけじゃ、お洒落じゃないと思うから」
「……」
その言葉と共にアジサイは黙る。
「それにお洒落の事を理解して欲しいならば、その両親の心も理解しないと。
自分の方だけ一方的に理解して貰おうというのは、無理があると思うよ」
「それは、確かに、そうだけれど。でも、僕にとっては、大事なことで、譲れないんだ!」
「だからこそ、両親の心も理解しよう」
その言葉にアジサイも納得したのか、大きく溜息を吐き出す。
「こんな餓鬼に言われるとはな。
けど、その通りだな」
ゆっくりと、その言葉と共にアジサイはそのまま警察に連れられるように、向かう。
「とにかく、せっかくのケーキが台無しよ。
ほら、白野行くわよ」
「うん」
その言葉と共に白野はみずきに連れられるように向かう。
そんな2人を見る視線に気づかず。