AI: ソムニウム ファイル the previous Trigger   作:ボルメテウスさん

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その力は何の為に

「白野、今日の晩飯は外食にしようか」

 

「外食?」

 

 その日の学校帰り、みずきは白野にそう告げた。

 

 白野が伊達の家に居候する事になり、ほとんどみずきとの共同生活になってから既に三週間は過ぎた。

 

 最初の1週間程はみずきの動きを見ながら、学習し、現在では白野は立派な家政婦というべき動きで家で働いていた。

 

「もしかして、今日の晩ご飯、俺が作るの嫌だった」

 

「白野の料理は絶品だから、良いけど、白野にも、1度は食べて欲しい所があるのよ」

 

「食べて欲しい所?」

 

「とにかく、ついてきて」

 

 そう疑問に思いながら、みずきに連れられて、そのままとある場所に向かった。

 

 そこには無国籍料理店「ブラフマン」と書いていた。

 

 店の中はかなり狭く、カウンター席が数席と机の椅子が4つほどしか無かった。

 

「厳ちゃん、今日もよろしく!」

 

 店に入った瞬間、みずきは手慣れた感じで入っていく。

 

「いらっしゃい、みずきちゃん。

 

 そっちの子は」

 

 そう言いながら、みずきを歓迎したのは1人の男性だった。

 

 その身体はかなりの筋肉質で、全身は白い布で覆われており一切肌を見せない。

 

 さらには顔には愛らしいマスクを着用している。

 

「この子は、私の所の居候の白野。

 

 白野、この人がここの店長の厳ちゃんだよ」

 

「よろしくお願いします」

 

「あぁ、よろしく。

 

 それで、注文は」

 

「おすすめ」

 

「はい」

 

 白野の言葉を聞いて、厳は手早く何かを作り始める。

 

 数分後、出てきたのはビーフシチューだ。

 

 ビーフシチューといっても肉は入ってないが、しっかりと味わえばそれはビーフシチューだと言う事は分かった。

 

 そして、その味はとても美味しかった。

 

「どう、美味しい」

 

「うん、とっても! 

 

 凄いですよ、厳さん!!」

 

「そう言って貰えると、嬉しいな」

 

 みずきと白野が笑顔で言う。

 

 白野にとって今まで食べた食事の中で一番美味しいと思った。

 

 それからは厳は様々な料理を出してくれた。

 

 どれもこれもが絶品だった。

 

「それにしても、厳さんは、なんでマスクをつけているんですか?」

 

 ふと、気になった事があり、厳に尋ねる。

 

 すると、厳は一瞬、身体を固まる。

 

「それは」

 

「白野、それはあんまり聞かないで」

 

 厳が答えようとした時、みずきは厳しい口調で言う。

 

「ごめんなさい」

 

 普段とは違う雰囲気に驚きながらも白野は謝る。

 

「気にしないでくれ。

 

 まぁ、気になるのは無理はないよ」

 

 そう言うと、厳は自分のマスクを触る。

 

「あまり、素顔は人に見せたくないんだ」

 

「けど、厳さん、結構格好良いと思うけどね」

 

「格好良い?」

 

 その言葉に厳は思わず首を傾げる。

 

 だが、そうしている共に聞こえたサイレン。

 

 気になり、すぐに店の外を見る。

 

「あれは」

 

 店の外に見た光景。

 

 それは一匹のロボットが暴れている光景だった。

 

 それはまるでドラゴンを思わせる姿をしたロボット怪獣であり、その名はギャラクトロンだった。

 

 ギャラクトロンは口から光線を放ちながら町を破壊していた。

 

 人々は逃げ惑う人々、その中で建物の一部が彼らに向かっていた。

 

「っ!!」

 

 白野もみずきも気づいたが、動く事ができなかった。

 

 しかし、厳は、ただ1人、その瓦礫に向かって走って行った。

 

「うおおぉぉぉ!!!」

 

 巨大な体格の厳はその瓦礫を軽々と受け止めると、それを放り投げる。

 

 そのスピードはかなり速く、かなりの距離があったにも関わらず、白野とみずきの目の前に落ちる。

 

 それを見て、2人は唖然とする。

 

 そんな2人を余所に厳は逃げている人々を見る。

 

「大丈夫ですかっ」

 

 そう、振り返るが

 

「ばっ化け物っ」

 

「っ」

 

 それは、先程の瓦礫で、彼のマスクが外れていたからだ。

 

 そこから露わになった素顔は、とても人とは思えないような歪な顔をしていた。

 

 その絶叫と共に、再び人々は逃げ始めていた。

 

 助けた人々からの避難を受け、厳は仮面をつける。

 

 そして、彼は自分の拳を見つめながら呟く。

 

「やはり、俺は」

 

「厳さん、やっぱり格好良いよ」

 

「えっ?」

 

 そう自分を非難しようとした厳に対して、白野は呟く。

 

「白野君、俺の顔はこんなに」

 

「顔は、確かに少し変わっているけど、それが何? 

 

 厳さんは、俺達でもすぐに動けなかったのに、咄嗟に人を助けた。

 

 それは、凄い事じゃないか」

 

 白野の言葉を聞いて、厳は言葉を返せない。

 

 そんな彼に白野は笑顔で言う。

 

「だから、胸を張ってください!」

 

 その言葉に厳は目を閉じる。

 

「そうですね、ありがとうございます」

 

 そう言って、再び愛らしいマスクを着けた。

 

「君達も早く「厳ちゃんが素顔を見せたんだよ」えっ?」

 

 そう厳が避難を促そうとした時、みずきは笑みを浮かべる。

 

「白野も、正体を隠す必要はないよね」

 

「うん、そうだね」

 

「正体?」

 

 厳が疑問に思うよりも早く、白野は懐からガッツスパークレンスを取り出す。

 

「それは」

 

「未来を築く、希望の光!! ウルトラマン……トリガーッ!!!」

 

【Ultraman Trigger Multi Type!】

 

 鳴り響く音声と共に、白野の身体は光に包まれる。

 

 同時に街を破壊するギャラクトロンに対して、そのまま蹴り上げる。

 

「あれはっ」

 

 そこには巨人が立っており、それこそが白野の正体。

 

「厳ちゃんも知っているでしょ」

 

「えぇ、ウルトラマントリガーっ、まさか白野君がそうだとは」

 

 驚きを隠せない厳を余所に、白野はそのまま目の前にいるギャラクトロンに構えながら、その手にはサークルアームズを手に取り、走り出す。

 

 サークルアームズの刀身がギャラクトロンに向けて、振り下ろされる。

 

 しかし、ギャラクトロンは白野の腕を掴む。

 

 それと同時に電撃が白野を襲う。

 

 それにより怯むが、そのまま回し蹴りで吹き飛ばす。

 

 しかし、すぐに態勢を立て直す。

 

「あいつ、なんて硬い装甲なのっ」

 

「ロボットだから、その装甲にダメージは受けつかないのかっ」

 

 そうしている間にもギャラクトロンは後頭部から伸びる大きな鉤爪の付いたギャラクトロンシャフトで白野を拘束する。

 

 その拘束力は高く、そのまま持ち上げられてしまう。

 

 更に胸部にあるレーザー砲を向けて発射しようとする。

 

 このままでは、あの一撃を食らってしまう。

 

 そう思った時だった。

 

「現場に来ると、これか」

 

「えっ?」

 

 そう聞こえたのはツンツンした黒の短髪が特徴的な青年だった。

 

「あんたは?」

 

「アビスに所属するエージェントである烏丸だ。

 

 あんたは確か伊達さんの娘の、だったら良いか」

 

 そう言うと共に烏丸はその手にガッツスパークレンスを構える。

 

 すると、その顔は人間の顔からまさに鳥を思わせる姿だった。

 

「えっ宇宙人!」

 

「俺はレイビーク星人だからな。

 

 さてっと!!」

 

 その言葉と共にガッツスパークレンスを構える。

 

 それと共に地上に現れたのは巨大な戦車と言うべき存在であり、ガッツスティンガーが現れる。

 

 ガッツスティンガーは、その上部にある車載弾薬を真っ直ぐとギャラクトロンに向けると共に、その口を開いた瞬間にミサイルが放たれた。

 

 それらは次々と命中していき、大爆発が起こる。

 

 それを見て、白野は解放され地面に落ちる。

 

「負けられない。

 

 厳さんの力のように」

 

 そう言いながら、白野は立ち上がる。

 

 同時にその腰にあるガッツハイパーキーが赤く光輝いている。

 

「これは、試してみる!」

 

【Ultraman Trigger Power type! Boot up! Deracium!】

 

 白野はそのまま赤いガッツハイパーキーをそのままガッツスパークレンスにセットする。

 

「勝利を掴む、剛力の光!! ウルトラマン……トリガーッ!!!」

 

【Ultraman Trigger Power type!】

 

 その音声と共に白野の姿は変わる。鳴り響く音声と共に、白野の身体は徐々に変わっていく。

 

 先程までは赤と紫だったボディは赤一色へと変化する。

 

 同時にその身体にあるプロテクターの形もたすきがけのようなスタイルへと変わっていく。

 

 その姿こそが、白野が厳との交流を通して得られた新たな姿。

 

 ウルトラマントリガーパワータイプである。

 

 姿が変化した事に多少驚きを感じたギャラクトロンだが、未だに無傷な状況もあり、後頭部にあるギャラクトロンシャフトを白野に向けて放つ。

 

 先程までの白野ならば、その鉤爪に簡単に捕らえられてしまっただろう。

 

 だが

 

「ハァッ!」

 

 白野はその叫び声と共に、ギャラクトロンシャフトを片手で掴んだ。

 

 その事に驚きを隠せないギャラクトロンはすぐにギャラクトロンシャフトを戻そうとするが、びくともしなかった。

 

 同時に白野は片手で掴んでいたギャラクトロンシャフトをそのまま引っ張り、根元から引き千切った。

 

「っ!!」

 

 ギャラクトロンシャフトが引っ張られた事で、その箇所からは火花を散らしていた。

 

 同時に白野は掴んでいたギャラクトロンシャフトをその場で捨て、真っ直ぐとギャラクトロンに向かって、走ってくる。

 

 それを察知したギャラクトロンもまた、その腕にあるギャラクトロンブレードを展開し、白野に対抗するように振り下ろす。

 

 先程までの圧倒的な力の差が嘘のように、白野はその攻撃をまた軽々と受け止める。

 

 マルチタイプに比べても、スピードは多少落ちているように見えるが、それを上回る程のパワーがあり、白野の力によって受け止められたその一撃は地面に叩きつけられ、大きくクレーターを作っていた。

 

 そんな一撃を受け止めた白野に対して、ギャラクトロンは一度距離を取り、そして先ほどと同じように、胸部からレーザーを放つ。

 

 今度は二方向から放たれたレーザーに対し、白野もまた同じように両手を前に突き出し、そのまま両腕を広げていく。

 

「ハアァァッ!!」

 

 それと同時に、全身を赤く光らせ、腕を広げた状態で円を描くように動かし、そこからまるで炎のようなエネルギーを放出する。

 

 それは迫る二つのレーザーを飲み込み、そしてそのままギャラクトロンにも襲い掛かる。

 

 その攻撃に対し、ギャラクトロンは左腕にある大剣を盾にして防ぐ。

 

 しかし ドガァン! と、ギャラクトロンの腕は爆発を起こす。

 

 威力自体は大した事はないが、それでもダメージとしては十分な物だ。

 

「ハアッ!」

 

 そこに白野の回し蹴りが入り、ギャラクトロンはそのまま地面へと吹き飛ばされる。

 

 その攻撃には流石のギャラクトロンもダメージを受けるが、同時に白野も自身の変化を感じ取る。

 

(力はただ振り回すだけじゃない。

 

 どう使うのが重要だ)

 

 パワータイプへと変わり、確かに力は上がるが、本来ならば身軽な身体が自由に動かせない。

 

 だからこそ、力が上がった分、白野はそれを上手く使いこなす為に、冷静にギャラクトロンの動きを伺う。

 

 厳が瓦礫から人々を救ったように、白野は人々の未来を守りたいと思ったのだ。

 

 それならば、今ここで負ける訳にはいかない。

 

 それは一瞬で全ての力を出し切るように、脱力させながら、一瞬のチャンスを逃さないように集中して、白野は構える。

 

 それと共にギャラクトロンは白野に向かって駆け出す。

 

 その速度は先程までとは段違いであり、すぐに距離を詰められる。

 

 だが、白野は慌てる事無く、その攻撃を見切るように構える。

 

 同時に、白野はギャラクトロンの攻撃を一瞬で避けると体と両腕のプロテクターが同時に発光同時に、そのエネルギーを溜め込んだ赤い光球を集め、ゼロ距離で放つ。

 

「デラシウム光流」

 

 必殺の一撃はギャラクトロンの腹部に命中する。

 

 しかし ギャラクトロンは腹部に穴が空いた状態になり、ゆっくりと、その身体は倒れる。

 

 同時にギャラクトロンを中心に爆風が舞い上がり、その戦いは白野の勝利で幕を閉じた。

 

 そして、ギャラクトロンとの戦いが終わった、その夜。

 

「ギャラクトロンに変身していた奴はどこまで純粋に未来のことを考えた結果、人口削減を行うべきだと考えた過激派の奴らしい。

 

 一応、今は刑務所で大人しくしているよ」

 

 そう言いながら、戦いに協力してくれた鳥丸から事件の詳細をブラフマンで食べながら、聞いていた。

 

「まったく、とんでもない奴もいたもんねぇ」

 

「うん」

 

 そう言いながら、白野もみずきも頷きながら言う。

 

「にしても、あんた、人間の変装を取っているけど、良いのか?」

 

「あぁ、普通の店だったら、嫌だけど、ここの店主には、もうバレているし。

 

 それに、こうやって気軽に素顔で食べられる店って、なくて嫌だったんだよなぁ」

 

「まぁ、私自身は人の事を言えないからね」

 

 そう言いながら、厳もまた笑みを浮かぶ。

 

「あんたの素顔だっけ? 

 

 別に宇宙人からしたら、そこまで酷いとは思えないけど、それをつけたままにするのか?」

 

「えぇ、確かにこの素顔を受け入れてくれるのは、それこそ宇宙人ぐらいでしょう。

 

 けど、今ではこのマスクも、また私の一部なので」

 

 そう言いながらも、男はマスクを触る

 

 その事に白野は少しだけ驚くが

 

「うん、それは良かった」

 

「厳ちゃんのそれ、見ていないと少し落ち着かないからね」

 

 そう白野とみずきも同意するように言った。




白野とみずきが2人で食事をしている時、その存在は見つめていた。

「トリガー、まさか復活して、あんな子供に現を抜かすなんて」

そう言いながら、その存在はじっと睨み付ける。

「まぁ良いわ、いずれ、いずれ、お前の心は私の物にする!」

それと共に、その存在はゆっくりと消えていく。
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