AI: ソムニウム ファイル the previous Trigger   作:ボルメテウスさん

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第9話

 白野は、まるでその森に導かれるように迷い込んでいた。

 

 

 

 周りは見渡す限り樹木ばかりであり、どこへ進めばいいのか分からない。

 

 ただ一つ分かることは、この森が尋常ではないということだけだ。

 

 木漏れ日の射す森の中は薄暗く、人の手が加えられていない自然の美しさがある。

 

 しかしその一方で、人を拒むような異様な雰囲気があった。

 

「……ここは、一体どこなんだ」

 

 小学校の授業を終え、何時ものようみずきと一緒に帰っていたはずが、何時の間にかこの場所に立っていた。

 

 学校からここまで歩いてきた道のりを覚えているし、間違いなく今までいた場所と同じ街だというのは間違いない。

 

 だが目の前に広がる光景はどう見ても街の中ではなく、木々や草花が生い茂る森林だった。

 

「それよりも、みずきは」

 

 そんな不安な状況よりも、白野が最初に考えたのは、一緒にいたはずのみずきの行方だった。

 

 この不思議な現象に巻き込まれたのは自分だけなのか、それとも彼女も同じ場所にいるのか。

 

 どちらにせよ一刻も早く彼女を探さなければと焦るが、どこに行けばいいのか皆目検討もつかない。

 

 途方に暮れて立ち尽くしていると、不意に背後から声をかけられた。

 

 振り返るとそこには、巨大な目がこちらを睨んでいた。

 

 金色の鎧を思わせる外殻を持ち、その巨体は怪獣と呼んで差し支えないだろう。

 

「まさか、これは、あの怪獣が」

 

「正確には、あの怪獣ともう一体の怪獣が作り出しているのよ、トリガー」

 

 そう、白野を呼ぶ声に後ろを振り返る。

 

 そこに立っていたのは

 

「カルミラ」

 

 それは、白野の敵対している相手の1人である闇の三巨人の1人にして、リーダー格であるカルミラだった。

 

 白野はすぐにGUTSスパークレンスを、真っ直ぐとカルミラに向ける。

 

「ここは一体どこだ」

 

「ふふっ、情熱的じゃないかい、トリガー。

 

 まぁ、慌てる必要はないわよ、この空間には私達の邪魔をするあの小娘はいないわよ」

 

「……どういう事だ」

 

 カルミラの言葉に、疑問に思いながら、カルミラに問いかける。

 

「この空間は、あのゴルドラスとこことは別の空間にいるシルバゴンの2体で形成された異空間。

 

 この異空間を脱出するには、その2体を倒す必要がある」

 

「なんで、そんな説明をする」

 

「無駄だからよ。

 

 シルバゴンはここではない遠い未来で実体化させている。

 

 それを倒す手段は、今のあなたにはない」

 

 カルミラはそう言いながら、ゆっくりと、まるで誘うように白野に手を向ける。

 

「トリガー、あんたにはあの小娘や、人間の生活は似合わない。

 

 また、私と一緒に破壊と殺戮を楽しもうじゃない!」

 

 そしてカルミラの手から伸びたのは光の鞭だった。

 

 鞭はそのまま白野を捕らえる為に伸びるが、それを白野は避ける。

 

 しかし鞭の動きは素早く、白野を捉えようと何度も襲う。

 

 白野はそれを何とか避けながらも、隙を見てスパークレンスを向けた。

 

 しかしカルミラはその動きを読んでいたかのように、指先から光線を放ち、白野の体を拘束する。

 

 そのまま地面へと叩きつけられ、身動きが取れなくなった白野にカルミラは近づく。

 

「くそっ! 離せ!!」

 

「ほらほら、暴れても無駄だって」

 

 抵抗するも全く意味はなく、白野は無力にも地面に押さえつけられる。

 

 カルミラは動けない白野を見下ろしながら笑みを浮かべた。

 

「ふふっ、なぁに心配する必要はないよ、トリガー。

 

 ここで、あんたをたっぷりと可愛がってあげるわ」

 

 そうカルミラは言うと、ゆっくりと近づく。

 

 だが

 

「とぉりゃあああぁぁぁぁ!!!」

 

 聞こえてきた叫び声。

 

 その声と共に白野に近づくカルミラに対して、攻撃を仕掛けた人物がいた。

 

 その事にカルミラは驚きを隠せず、目を見開きながら、避ける。

 

「誰だい、あんたは!」

 

「私を忘れたとは、良い度胸じゃない。

 

 ここがどういう場所か分からないけど、丁度良いわ。

 

 あんたをここでぶっ倒すわ」

 

 その言葉と共に、その攻撃を仕掛けた人物の姿を目に見える。

 

 腰まで届く水色の髪は三つ編みに結ばれており、女子高生を思わせる衣服を身に纏いながら、その手に持っているのは近未来を思わせる鉄パイプだった。

 

 その後ろ姿しか見えない白野は疑問に思いながら、どこか見覚えのある女性に疑問に思っていた。

 

「誰だか知らないけど、邪魔をする以上は容赦はしないわよ」

 

 そうしながら、未だに鞭によって、身動きが取れない白野に変わって、女性に向けて、カルミラはそのまま鞭を振る。

 

 その攻撃に対して、女性はその手に持った鉄パイプで弾いた。

 

 弾かれると共に、そのまま女性は真っ直ぐとカルミラに向かって走る。

 

 そしてその勢いのまま拳を突き出した。

 

 だが、カルミラもただ黙っているわけではなく、その攻撃を難なく避ける。

 

 するとカルミラは、その女性の足を払うようにして蹴り上げた。

 

 その一撃を受けて、女性は体勢を崩すが、まるで舞うようにくるりと回転して着地した。

 

 カルミラは、そのまま手に持った鞭をまるで剣のように固定化させると共に、そのまま女性に接近する。

 

「はあぁぁ!」

 

「ふんっ!!」

 

 その剣と、鉄パイプがぶつかると共に、火花を散らす。

 

 そこから、互いに一歩も引かずに攻防を繰り広げていた。

 

 一方、白野はというと、ようやく拘束が解けて立ち上がると同時に、目の前の女性に視線を向ける。

 

 その顔立ちに、白野はどこか既視感を覚えた。

 

(なんだ、この感覚は)

 

 それが何なのか分からず、思わず眉間にシワを寄せている中で、戦いは激化していく。

 

 その決着をつけたのは以外な一撃だった。

 

 女性はカルミラの攻撃を受け流しつつ、懐に入ると、そのまま腹部に回し蹴りを叩き込んだのだ。

 

 カルミラもその衝撃で後ろに下がる中、女性は腰からとある武器を手に持つ。

 

「あれって」

 

【ブーストアップ! トルネード!】

 

「空の彼方まで吹き飛べえええぇぇ!!!」

 

 女性は、その武器の銃口から吹き出る突風は、カルミラを上空へと打ち上げる。

 

 カルミラは、抵抗する事すら出来ずに、そのまま遠くへ飛ばされていった。

 

 それを見た白野は、女性が構えた武器を見て、確信する。

 

 それはGUTSスパークレンスと、同じ形をした物だった。

 

「それは」

 

「君っ、大丈っ」

 

 そう、女性はそのまま白野の方へと向ける。

 

 心配そうに見つめた表情は一変。

 

 それは、信じられない物を見るような瞳だった。

 

 青く透き通るような目と、まるで機械を思わせる金色の目。

 

 それは両方とも見たことがあり、その顔立ちは、白野はとても知っている。

 

「白野」

 

「みずきなの?」

 

 それは白野にとっても信じられない人物だった。

 

 小学校で、同級生であり、一緒に暮らしているみずきが高校生ぐらいに一気に成長している事に。

 

「アイボゥ、これって。

 

 やっぱり、本物なの」

 

 そう、みずきは驚きを隠せず、そのまま白野を抱き締める。

 

 まるで、いなくなった大切な存在を、やっと見つけたかのように。

 

「みずきなの?」

 

「うんっ、私だよっ、白野っ」

 

 白野の言葉に、嬉しそうに答える。

 

 その姿は、白野が知るいつもの姿ではなく、少し大人びた容姿になっていた。

 

「でも、なんで? 

 

 みずきは、俺と同じぐらいだったはずだけど」

 

『おそらくだが、この時空は未来と繋がっている為だろう』

 

 そうして、みずきの目から飛び出たのは

 

「アイボゥ? 

 

 なんで」

 

『悪いが、詳しい事情は話せない。

 

 未来の情報を話せば、本来辿るはずだった歴史が大きく崩れる可能性もあるからね』

 

「本来の歴史」

 

 そう、みずきの表情は暗くなっていた。

 

 それが、どういう意味なのか、白野はなんとなく察した。

 

「みずき」

 

「うぅん、分かっている。

 

 歴史は、元に戻さないといけない、だけど」

 

「未来で、何が起きるか分からないけど、俺は絶対にみずきの元に帰るよ。

 

 過去でも、未来でも」

 

「っうん」

 

 その言葉と共に涙を流しながら、頷く。

 

『だが、どうやってこの空間から脱出する?』

 

「カルミラが言っていたけど、未来にいる怪獣をなんとかしないらしいけど、どうすれば」

 

『未来、もしかしたら、可能性はあるかもしれないな』

 

「どういう事、アイボゥ」

 

『私に任せたまえ』

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