AI: ソムニウム ファイル THE futurity Decker 作:ガンダムラザーニャ
俺は今、簪ちゃんと買い物をしていた。
アニメに関する雑誌とかを買いながら、簪ちゃんは俺に話しかけてくれるが、そんなことは俺の耳には入らなかった。
フラッシャーが壊れて数日が経った。
クロトさんが徹夜で修復作業を行ってるが、未だに治る予兆がない。
むしろあの手この手で尽くしても直せないので次第に発狂し、狂気に満ちた笑い声が地下から聞こえてくる。怖い。
「…彼方さん、ちゃんと話聞いてる?」
「…あぁごめん!えと、何だっけ?」
「もう……。…やっぱり、デッカー今はに変身できないことが余程のショックなんだよね」
そう言うと、彼女は悲しげな表情を浮かべた。
「…そうだな、俺はスフィアと怪獣から人を守るためにデッカーに変身して戦ってたのに、今はそれができないからな。
それに、万が一スフィアや怪獣が出現しても、クロトさんが作って、鳳蓮さんが動かすテラフェイザーがいるから安心だけど、やはりそれが虚しいなって」
俺は自分の無力さに嘆いた。
今の俺には戦う力がない。
それどころか、変身アイテムすら壊れてしまったのだ。
それに、クロトさんはあくまでも時間稼ぎだって言ってたけど、今までの自分の役割をテラフェイザーが担うって聞いたときの虚しさが半端じゃなかった。
だからか、俺の気分もどんどん落ち込んでいった。
「……ねぇ彼方さん。私ね、ずっと考えてることがあるんだ」
すると、隣にいた彼女は俺の前に来て、真剣な眼差しで俺の顔を見る。
「今までは、彼方さんが一生懸命頑張って地球を守ってきたから、今だけはゆっくりと休んだら良いと思うの」
「…………」
「でもね、いつかまた彼方さんが必要になったときが来たときは、私たちはどんなことがあっても協力するよ!」
「……ありがとう」
彼女の優しい言葉を聞いて、少しだけ元気が出た気がした。
そして同時に思った。
この子は本当に優しくて良い子だと。
「それにね、私は彼方さんたちみたいに何かできるってわけじゃないけど、今だけは私がそばにいてあげる、いや私が彼方さんのそばにいたいの、だから…」
彼女は顔を真っ赤にして恥ずかしげにしながらも、はっきりとした声で言った。
「……今日一日だけでいいから、私とデートしてください」
その一言を聞いた瞬間、俺の中で何かが弾けたような感じがした。
彼女を見ると、顔だけでなく耳まで赤くなっていた。
「そうか…、そうだな!
じゃあ、今日は店番じゃないし、めいいっぱい楽しむぞ!」
「うん!」
俺は彼女の手を握りしめ、そのまま歩き出した。
「え!?ちょ、ちょっと待ってよぉ~!」
こうして俺たち二人は、楽しい1日を過ごした。
だがこの時知らなかった、まさかテラフェイザーがあんなことになることを。
そして、俺の中に新しい力が目覚める予兆があったことを。
絶望と希望は、今まさにそこまで来ていた。