AI: ソムニウム ファイル THE futurity Decker   作:ガンダムラザーニャ

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造られし巨人

「…俺、こんな姿になってたのか」

 

怪獣を倒してから翌日。

 

昨日のことでどの番組も持ち切りだった。

 

それで、俺が変身した姿がはっきりと映っていたが、あぁいう姿に変身して戦ってたんだな。

 

何というか、胸元に銀河の星のような模様があって、それから左肩を中心にプロテクターみたいなのが装着された、一昔前の剣闘士にありそうな見た目で、左胸には何やらカードケースに似たランプみたいなのがあった。

 

顔も変わってて特に額がひし形に尖った形になっている。

 

…思えば、俺が見たあの映像の光の巨人もこんな感じだったよな。

 

確か、俺が変身したときに叫んだのは、デッカーだったよな。

 

それにフラッシャーからもはっきりとウルトラマンデッカーって言ってたし。

 

そう考えながらテレビを見ていると。

 

「…あら、調子はどう坊や?」

 

「あっ鳳蓮さん!

すみません今仕事手伝いますから!」

 

「別に無理しなくていいわよ。

昨日あなた、あれだけボロボロだったじゃない。

だから今日のところは休みなさい」

 

「でも……」

 

「いいわね? これはあたしからのお願いよ」

 

「……はい」

 

鳳蓮さんの言う通りだ。

 

昨日の今日で疲れがまだとれてないんだ。

 

それに、鳳蓮さんのことだから、疲れが溜まってる状態で手伝いに行くのは帰って足手まといになってしまう。

 

「んっ?

そういえばあなた、さっきから何を見てるのよ?」

 

「えっ、あぁ…、ニュースですよ。

ほら、昨日のことで持ち切りですから」

 

「ふぅ~ん……。

まぁ、確かにあれだけのことが起きたんだものねぇ。

…でもワテクシとしてはこっちも気になるのよねぇ…」

 

そう言って鳳蓮さんはニュースを見る。

 

どうやら昨日から、謎の飛行物体が各地で出現して人々を襲い掛かってるらしい。

 

んで、それが怪獣を刺激して暴れさせてる可能性もあるとか。

 

確か、名称も決まってて、スフィアと呼ばれてるらしい。

 

「本当に物騒になってきたわね。

これと6年前と関係してるのかわからないけど、そう連想してしまうわ」

 

「あれ?

6年前って何かありました?」

 

「何かって、決まってるじゃない!

世界を覆い尽くす闇とウルトラマントリガーが戦った話のことよ!」

 

「ウルトラマン、トリガー?」

 

「覚えてないの!? じゃあ、これを見なさい!」

 

そう言って、鳳蓮さんは新聞を持ってきた。

 

そこにはウルトラマントリガーが闇と戦って、世界を救ってくれたことが書かれている。

 

「当時もこの辺り危険だったから、坊やも連れて避難したものだわ。

……それにしても、昨日現れたあの怪獣……、もしかしたら……」

 

「えっと……、そのウルトラマントリガーと戦った闇と関係あるんですかね?」

 

「わからないわ。

ただ、もしそうだとしたら、まだ6年前の戦いは終わってないことになるわね」

 

「……」

 

それはよくわからないが、昨日怪獣が出てきたのは事実だ。

 

そもそも、6年前のその時期、頭痛がひどくてその時に起こったことほとんど覚えてないけど。

 

でも、例えその6年前と関係があってもなくても、怪獣が出てくるなら、どうにかするしかない。

 

「とにかく、今日はゆっくり休んで明日に備えなさい。

また明日になれば大丈夫でしょうしね」

 

「わかりました」

 

俺はしばらくしてから外の空気を吸うために外へ出た。

 

それで近くスーパーの電化製品のテレビ置き場で、変わった男がニヤリとした様子でテレビに映ってる、昨日の例のニュースを見ていた。

 

「ほぉ、これがこの世界のウルトラマンか…。

だが神の才能を持つ私が造り上げたウルトラマンが上であることには変わりはない」

 

「…?」

 

「ん?

そこの君、私に何かようかな?」

 

「あっ、いや…。

今さっき、ウルトラマンのことを知っていそうな話をしてたから、知りたくてつい」

 

「そうか。

確かに昨日のニュースで持ち切りにされるくらいのものだからね」

 

「失礼ですけど、お名前を聞いても?

俺は彼方 明日見 彼方って言います」

 

「ほう…、明日見 彼方か。

なるほどいい名前をしているじゃないか。

私の名はクロト、最強のウルトラマンを作ることを目指しているのさ」

 

「最強の、ウルトラマン?」

 

男、クロトさんは壮大な夢を語るかのように手を広げる。

 

「私はウルトラマンという存在が好きでね。

だからウルトラマンのことを研究し、自分だけの最強のウルトラマンを造るのが、私の最終目的と言ってもいい」

 

「研究を?

じゃあ6年前に現れたという、ウルトラマントリガーのことも!?」

 

「あぁ、もちろん知っているさ。

話せば長くなるが、ありとあらゆるウルトラマンという存在を、私は見てきたのだからね」

 

どういうことだと、聞き出そうとした時に、ニュースの速報でスフィアが大量に現れ街を攻撃しているという情報が入った。

 

それもこの街に。

 

「ふっ、スフィアか。

ならば、私の神の才能を示すときぃ!!」

 

「あっ、クロトさん!」

 

クロトさんが狂ったように走り出したので追いかける。

 

外の上空では、スフィアが大量に出現して、街を破壊していた。

 

しばらくすると、クロトさんが路地裏に走っていくので俺もついていくと、懐から装置を取り出した。

 

「さぁ君の番だぁ…。

私の神の才能の最高傑作、テラノイドォ!!!」

 

スイッチを押すと、その装置から巨人が現れた。

 

「あれって、デッカー?」

 

いや、よく見たら違う。

 

確かにデッカーに似ているが、所々違う。

 

顔立ちはよく似てるけど、デッカーみたいに左胸のプロテクターも無い。

 

胸元にランプがある。

 

赤と銀色の巨人だ。

 

確かクロトさんはこれをテラノイドと呼んだか。

 

テラノイドは空中飛行するスフィアに光線を撃って撃ち落としていく。

 

そしてそのまま地面に降り立つと、一気に走って行って、次々とスフィアを倒していった。

 

「すげぇ……」

 

圧倒的な強さだった。

 

それに俺が変身するよりも圧倒的に強いかもしれない。

 

だがしばらくしていると、テラノイドの動きが鈍くなってきた。

 

それにクロトさんが焦った様子で装置を操作する。

 

「おい、どうしたテラノイド!?

何故反応しない!?

…まさか、エネルギー切れか!?」

 

そうこうしてる内に、動きが止まってしまったテラノイドに、スフィアたちが纏わりつく。

 

纏わりついた所から異形化し、テラノイドが怪獣となって暴れ始めた。

 

「そんな…っ、私の、テラノイドが、ウルトラマンが…」

 

「く、クロトさん!

今はそんなことよりも早くここから離れますよ!」

 

「そんな、そんな…」

 

放心してクロトさんがその場から動こうとしない。

 

このままだと、クロトさんも危ない。

 

だけど今の俺が戦っても、勝てるかどうかわからない。

 

でも、だからといって放っておくこともできない。

 

俺は、悩んだ末に覚悟を決めた。

 

「……やるしか、ないよな」

 

俺はその場から離れて、誰もいないところを確認してからフラッシャーを取り出し、起動させる。

 

ケースからカードを取り出して、フラッシャーに挿入し、角を立てさせる。

 

『ウルトラディメンション!』

 

「輝け!フラッシュ!デッカー!!」

 

叫ぶと同時に、俺は強い光に包み込まれる。

 

『ウルトラマンデッカー フラッシュタイプ!』

 

デッカーに変身した俺は、怪獣と化したテラノイドがクロトさんを踏み潰さないように後ろから引き剥がし、広い場所に向けて背負い投げをする。

 

背中から落とされた衝撃によって、テラノイドは起き上がるもフラフラしていた。

 

テラノイドに殴りかかろうと俺は拳を構えて走り出すが、すぐに回復したのか、テラノイドが俺の拳を受け止め、そのまま取っ組み合いになる。

 

押したり押されたりを繰り返して、しばらくすると、蹴りを腹に喰らってしまい、よろめいた隙に強烈な頭突きもくらってしまう。

 

「ぐぁっ!?」

 

なんとか倒れずに踏ん張るも、テラノイドの突き出した手からの光線を受けてしまう。

 

「うわぁあああ!?」

 

直撃を受けて吹っ飛ばされ、地面を転がる。

 

すると、俺の左胸のランプが、最初は青かったのに赤くなって点滅し始めた。

 

「ま、まずいっ! これじゃあ……」

 

そう思ってると、テラノイドがこちらにゆっくりと歩いてくる。

 

そして目の前まで来ると、両手を十字にクロスして、光線を放とうとする。

 

「…っ!」

 

俺は咄嗟に転がるように回避して、すぐさま手裏剣を投げるように怪獣のランプに向けて光線を放った。

 

その瞬間、ランプを中心に小規模ながら爆発を起こし、動きが鈍くなり始める。

 

そうか、あれが弱点だったんだな!

 

俺はトドメとばかりに、両手をクロスして、十字を作って強力な光線を放った。

 

テラノイドは避けることができず、光線を喰らった直後に内側から爆発した。

 

「私のウルトラマンがーーーーっ!!」

 

と、クロトさんの悲鳴が聞こえた。

 

あの人からすれば、一生懸命作ったテラノイドが破壊されたことに嘆いているのだろう。

 

だが、理由はどうであれ、スフィアを倒そうとしてくれたこの人のテラノイドが暴走して、暴れまわるのを止めたかった。

 

もうこれで、クロトさんのテラノイドがスフィアのせいで暴れずに済む。

 

そう思って安堵し、俺は変身を解除した。

 

「…はぁっ!」

 

変身した後の脱力感に、俺は膝をつく。

 

早く店に戻ろうとした時に、真剣そうな表情の鳳蓮さんが俺を見下ろしていた。

 

「ほ、鳳蓮、さん?」

 

「何となく、さっきの巨人の近くにいるんじゃないかと探しに来てみれば。

坊や、あなたがあの巨人だったのね」

 

「えっいや鳳蓮さん?

一体何の話を…」

 

「惚けなくてもわかるわよワテクシには。

そもそも、巨人の姿から戻る所を、今さっき見させてもらったから」

 

えぇっ!?

 

まさか今さっき見られたってことか!?

 

どうしよう俺、このまま追い出されるのか?

 

と、思っていると鳳蓮さんに襟を引っ張られて引き摺られる。

 

「全く、何なのよあの戦い方は!

ついてきなさい、話を聞くからあなたをアマチュアから本物に鍛えてあげるわよ!」

 

「えぇっ、ちょっ!?

鳳蓮さん!?」

 

訳が分からず、俺は鳳蓮さんに連れて行かれようとしていた。

 

「待て」

 

「んっ、あなたは誰かしら?」

 

待ったをかけるように、クロトさんが現れた。

 

「ク、クロトさん?」

 

「君も先程、そこの彼がウルトラマンであったのを知ったように、私も今気付いたんだ。

私もついて行かせてもらおうか」

 

「へぇ、それはなぜ?」

 

「…そんなことは決まっている」

 

クロトさんが狂ったように笑いながら答える。

 

「私は最強のウルトラマンを造ることを目標としている。

そして、暴走してしまったとはいえ君は私のテラノイドを破壊したのだ。

そんな君を直接観察し、研究することで、私はこの神の才能を持って、テラノイドを超えるウルトラマンを造るのさぁ!

明日見 彼方ぁ…、光栄に思うがいい」

 

「ふん、どうやらあなたもこの坊やが気に入ったようね。

いいわついてきなさい、ワテクシの店に一人二人住んだって変わらないから」

 

「えっ、ちょっと鳳蓮さん!?

俺話が全く見えてないんですけど!?」

 

「良いから、ちょっとついてきなさい。

こうなったら色々と話を聞かなくちゃいけないから」

 

「えっ、えぇ…」

 

俺は混乱しながら、鳳蓮さんに引き摺られ、その後をクロトさんが追いかけるのであった。

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