AI: ソムニウム ファイル THE futurity Decker 作:ガンダムラザーニャ
また活動報告のリクエスト募集を続けてますので、皆様のリクエストをお待ちしております。
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俺はシャルモンで鳳蓮さんとクロトさんに事情を説明した。
「なるほど、つまりあなたはあの後で人助けをしたときに瓦礫に埋もれちゃって、怪獣に踏み潰されそうになったところでこのアイテムが現れて、それであの巨人、ウルトラマンデッカーに変身した。
そういう訳ね」
「はい、俺にもそうとした言えなくて…」
「ふむ、中々興味深いデバイスじゃないか」
クロトさんがフラッシャーを手に取り、まじまじと見つめる。
「そ・れ・よ・り・も!
何よあの戦い方は!
あんな素人丸出しの戦い方をして、恥を知りなさい!」
「えぇっ!?
いやいや鳳蓮さん!
俺だっていきなり変身して怪獣と戦ったんですよ!?
それに、街に被害を出さないように広い場所まで誘導しましたし……!」
「そんなの当たり前でしょう? 街を守るなら、街の被害を最小限に抑えるのは当然のことよ?」
うぅ……そう言われると返す言葉がないな……。
確かに俺は街を守りたいと思って戦っていたけど、戦い方に関しては全く考えてなかった。
それじゃあダメだと言われても仕方ないのか……。
「でも、怪獣との戦いでの拳の振り方も、避け方も、全く持ってなってないわ。
アマチュア以前にド素人よ」
「ぐはぁっ!!」
ズバズバ言い過ぎじゃないですかねぇ!?
「鳳蓮、少し言い過ぎじゃないのか」
「あらごめんなさい。
ワテクシったら思ったことは何でも口にしちゃうタイプだから♪」
悪びれもなく言う鳳蓮さん。
「…まぁ、彼の言うとおり、君の動きは素人のそれだ。
私のテラノイドを倒したことは事実だが、次も勝てるという保証がない」
「…」
確かにそうだ。
今なんてスフィアが蔓延ってるような状態だし、それに刺激されていつまた怪獣が出てくるかもわからない。
だから、強くならなくちゃいけないんだ。
「まぁいいわ。
ワテクシが坊やを鍛えて差し上げるわ。
素人でもアマチュアでもない、本物に、ね」
ついてきなさいと、指をクイクイしながら歩き出す鳳蓮さん。
「あ、あの、どこに行くんですか?」
「決まってるでしょ? 修練場よ」
「しゅ、修練場って、修行するんですか!?」
「当たり前でしょう? これから戦う相手は怪獣だけとは限らない。
スフィアだって現れるかもしれないのよ?」
そう言って、鳳蓮さんは立ち入り禁止と書かれた扉の鍵を外して開ける。
そういえば今まで、鳳蓮さんにはここは何があっても開けるなって言われてたから、こうして開ける所を見るのは初めてだ。
薄暗ぐ長い階段を降りていく俺たち。
そしてその先に広がっていた光景を見て驚いた。
そこにはまるでどこかの地下にある闘技場のようになっていた。
天井は高く、広さもかなりある。
壁際には剣や槍などの武器が並べられており、中央部分には訓練用の人形らしきものが無数に置かれていた。
そして、一番奥の壁にはモニターが設置されており、そこに映っているのは、俺が戦ったあの巨人だった。
「ここってまさか……」
「そう、ここが修練場よ。
本来はワテクシの修練のために使っていたんだけれど、まさか坊やのために使うことになるなんてね」
「…えっ?
ここでどんな修練してたんですか?」
「んっ?
ワテクシのパティシエとしての腕を上げる修練よ?」
「ここでですか!?」
こんな所で一体何をしていたのか気になるけど、今はそんなこと気にしている場合じゃないな。
…でも、ここでどうやって修練すれば。
「けど、怪獣のようなでかい相手じゃないと、俺変身して戦えないと思うんですけど…」
「そういうことなら落ち着きたまえ。
君なら人間サイズのまま変身できるさ」
「えっ、どういうことですかクロトさん?」
「私はこれまで様々な世界でウルトラマンを見てきた。
そのほとんどが巨体で戦うことはあったが、人間サイズどころかミクロサイズまで小さくなることも可能だ」
「様々な世界って、クロトさんって何者ですか?」
「神だ」
ニチャアっと笑みを浮かべながら答えるクロトさん。
うーん、この人も謎が多い人だな……。
「ともかく、君の要望には応えるさ」
そう言うとクロトさんが懐からタブレットを取り出し、操作することで修練場の真ん中に何かが投影・実体化した。
それは、全身に海藻を被った姿の怪獣だ。
「か、怪獣!?」
「これはヘドロ怪獣 ザザーンだ。
人間サイズまで落とし込んではいるが、それでもかなりの強敵だぞ」
「マジかよ…」
「さっ、後は君がデッカーに変身して、ザザーンと戦うんだ」
「うぅ…、わかりましたよ」
まさか本当にやるのかと思いながら、俺はカードケースからカードを取り出して、フラッシャーに装填、角を立てる。
『ウルトラディメンション!』
「輝け、フラッシュ!デッカー!!」
『ウルトラマンデッカー!フラッシュタイプ!』
そうして、俺は人間サイズになるように念じながら変身すると、本当に巨大にならずにそのままのサイズでデッカーに変身できた。
「あらまぁ、改めて変身する所を見ると、やっぱり凄いわねぇ」
「ふむ、やはり彼は面白いな」
二人共、感心したように呟く。
「さぁ、始めなさい。
何かあれば指示を出すから」
鳳蓮さんの合図でクロトさんがタブレットを操作したと同時に、ザザーンは動き出し、襲いかかってきた。
「はぁっ!」
拳を突き出してくるザザーンの攻撃を横に避けると、飛びかかるように殴りかかってきた。
「うわぁっ!!」
間一髪のところで避けたが、地面が砕けるほどの威力に驚く。
「そこ、避けたら反撃しなさい!」
「ッ!? はぁっ!!」
鳳蓮さんの指示通り、すぐに蹴りを入れる。
ザザーンも負けじと腕でガードするが、衝撃に耐えられず後退する。
「いい感じよ坊や!
そのまま叩き込みなさい!」
言われたようにザザーンに攻撃しようとするも、ザザーンが殴りかかろうとするので受け止める。
「いいわ、いいわよ坊や!
相手の動きをよく見て、そしてカウンターを決めなさい!」
その後も鳳蓮さんの声を聞きつつ、戦いを続ける。
やがて、ザザーンの動きに慣れてきたのか、徐々にこちらの攻撃が入るようになり、ついにザザーンの腹部に直撃する。
それが効いて、ザザーンは大きく怯む。
このまま一気に畳み掛けようとしたところで左胸のランプが赤く点滅し始めた。
「えっ、まただ!」
「坊や!
余所見厳禁よ!!」
「えっ、うわっ!?」
ランプに気を取られて、その隙にザザーンの反撃を許してしまい、馬乗りにされる。
ザザーンが俺の顔を殴ろうとするので避けまくる。
「もうっ!! これじゃあジリ貧じゃないか!!」
「坊や落ち着いて!! ほら、相手の動きをよく見なさい!!」
鳳蓮さんに言われてザザーンの方を向く。
避けながらザザーンが殴ってくる方向を見る。
殴りかかったことにより重心が傾くのを見て、ザザーンを転がして距離を取る。
そして額の前で菱形を作り、両手をクロスさせてエネルギーを集中させてから、十字を作るように手を交差させる。
手から放たれた光弾は真っ直ぐ進み、ザザーンに命中して爆発した。
「な、何とか勝てた…」
そのまま俺は変身を解除するとその場に座り込む。
「お疲れ様、坊や」
「ほ、鳳蓮さん…、どうでしたか?」
「まぁまぁの出来よ。
アマチュアの域は超えてないけど、磨けば光るダイヤモンドってところかしら」
「そ、それなら良かったです……」
「…ふむ、中々良いデータが取れた。
今後も特訓をしていけば、君はウルトラマンとして更に強くなるだろう」
「そ、そうですか……」
「さっ、立てる坊や?
今日のところはこれでおしまいにしましょムッシュ・クロト?」
「あぁ、今日は満足の行くデータが取れたからね。
それでも構わないさ」
「そう。
じゃあ坊や、休憩が終わったら、店の方も手伝いなさい」
「わ、わかりました…」
鳳蓮さんは俺を立ち上がらせて、クロトさんは隣でタブレットを見る。
俺はしばらく休憩室で休憩を取ってから店の手伝いをすることにした。
すると誰かがやってきた。
長い水色の髪を2つの三編みにした少女だ。
彼女は常連の伊達みずきちゃんだ。
「こんにちは〜!」
「あら、こんにちはみずきちゃん。
今日はどうしたの?」
「いつものケーキを2つ、お願いしたいんだけど」
「いつものね。
坊や、ここに出しておくから、袋に入れて勘定して頂戴!」
「わかりました」
鳳蓮さんが用意したケーキ2つを袋に入れてみずきちゃんに渡し、お金をもらってお釣りを返す。
「じゃあ私はこれで!」
「うん、元気で」
そうしてみずきちゃんが帰っていくのを見送ってから、鳳蓮さんが声を掛けてきた。
「…それにしてもあの子、相変わらずケーキ2つ持って帰るわね。
余程ボーイフレンドのこと気にしてるのかしらね」
「えっ、ボーイフレンド?
でもみずきちゃん、女子高に通ってるんじゃ…」
「そうじゃないわよ!
6年前、彼女のボーイフレンドがいたじゃない。
白野って坊やのことよ」
「は、白野?
そう言えば6年前から全然見かけないですね…」
「えぇ、6年前の闇の巨人の事件があったでしょ?
それ以来、白野の坊やが来なくなっちゃってね。
みずきちゃんにも聞いても、答えなくなさそうにしてたし、あの子今頃どうしてるのかしら?
あんなかわいいガールフレンドを放っておいて」
「…」
言われてみれば確かにそうだ。
俺は6年前の事件の時、その時頭痛がひどくてほとんど覚えていなかったが、今でも覚えてる。
みずきちゃんがまだ小学生だった頃、よくここのケーキ食べに来てたことあったけど、一時期ある男の子を連れてきてた。
その子の名前は白野。
ぼんやりしてるけど、どこか掴み所がない子供だった。
けど、あの事件以降、白野くんの姿を見ていない。
代わりに、今みたいに時々みずきちゃんがやってきてケーキを2つ買いに来るんだ。
…本当に、白野くん今頃どうしてるのだろう?
そう思いながら、しばらくみずきちゃんが出ていった店の扉を見つめた。